2021年3月31日付朝日新聞

男子生徒へのいじめ認定、自殺の直接的原因でないと結論

写真・図版

再調査の結果について会見する、いじめ調査部会の船木昭夫・部会長職務代理者(右)=2021年3月30日、青森市の青森県庁、渡部耕平撮影

 八戸学院野辺地西高校(青森県野辺地町)の男子生徒(当時17)が一昨年1月に自殺した問題について、県青少年健全育成審議会いじめ調査部会は30日、再調査の報告書を県に提出した。いじめが自殺の要因の一つだと認めたが、直接的な原因ではなかったと結論づけた。

男子生徒の遺族が「学校でいじめがあった可能性がある」と指摘し、同高を運営する学校法人「光星学院」(八戸市)が昨年、第三者委員会を設けて審議。昨年8月の報告書で「学校でのいじめは認められない」と判断したため、遺族が県に再調査を求めた。

調査部会は昨年12月から今年3月まで13回審議し、遺族がいじめだと指摘した友人らの言動など12項目のうち4項目をいじめと判断した。4項目の中には男子生徒の教科書に「死ね」と書いたノートの切れ端が残っていたことや、友人から使い走りをさせられていた事実などが含まれ、男子生徒が「一連の行為で心身の苦痛を感じたものと認められる」「いじめがあったと判断する」とした。

一方、男子生徒が自殺するまでの心理について、いじめの事象だけではなく、様々な人間関係で抱いた感情が境目なく関連しているとし、いじめは「自殺の一要因であると考えられるものの、直接的に自殺の原因であったとは認められない」と位置づけた。部会長の代理を務めた船木昭夫・青森大教授は会見で「(学校での)いじめや自殺が二度と発生しないことを願い、報告書を提出した。一つ一つの言葉や通信機器によるやりとりの中にいじめや自殺を引き起こすものが存在することを認識してほしい」と述べた。

男子生徒の父親(58)は取材に「いじめがあったと認められ、ホッとしている。学校にはいじめが自殺に絡んでいたことを認め、謝罪してほしい」と話した。(渡部耕平)

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2019年10月1日NHK

【青森】高校生自殺で八戸学院野辺地西高校が第三者委 生徒の持ち物から「死・ね」と書かれた紙が…学校側はいじめを否定

野辺地町にある私立高校に通っていた当時高校2年の男子生徒が、ことし1月に自殺したことを受けて、学校側が、外部の専門家による第三者委員会を設置し、自殺の原因を詳しく調べていることがわかりました。
保護者側は「学校でのいじめが原因ではないか」と訴えていますが、学校側は、調査の結果、いじめは確認できなかったとしています。

野辺地町にある八戸学院野辺地西高校によりますと、当時、高校2年の男子生徒がことし1月に自宅で自殺し、学校は県と対応を協議する一方で、自殺の原因を調べるため、同級生たちへのアンケートや教員への聞き取りを行ったということです。

その結果、学校では「遺書が見つかっておらず、調査でも学校でのいじめは確認できなかった」と遺族側に伝えました。

しかし、生徒の遺族は、子どもの持ち物から「死ね」と書かれた紙が見つかった、などとして、「学校でのいじめが原因で自殺したのではないか」と訴え、学校側は、ことし7月、弁護士や臨床心理士などによる第三者委員会を設置しました。

第三者委員会は、ことし8月からこれまで4回、会合を開き、自殺の原因を詳しく調べていて、来年1月までに調査結果を出したいとしています。

野辺地西高校の橋場保人校長は「情報が錯綜して調査に影響を与えることや、生徒への心理的な負担を考えて、第三者委員会の設置などを非公開にした」と話しています。

また高校を運営している学校法人光星学院の古川聡常務理事は「原因がはっきりしてから公表するつもりだった。ほかの生徒のケアを行いながら、委員会の調査に協力していきたい」と話しています。

野辺地西高校を運営している学校法人光星学院の古川聡常務理事は「遺族の意向を受けて、ことしの7月に、弁護士や大学の専門家など4人からなる第三者委員会を設置して、これまで4回、会合を開いている。ほかの生徒のケアを行いながら、委員会の調査に協力していきたい」と話しています。

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