平成29年2月23日京都新聞
大津いじめ報告書、母親が非公表を批判 市教委一転、公表へ
代理人とともに会見に臨む被害児童の母親(22日午後6時15分、大津市・県教育会館)
大津市教育委員会が、市立小男児(11)に対するいじめを調べるため設置した第三者委員会の報告書を、男児の保護者の意向に反して非公表にしていた問題で、母親(50)が22日、市内で記者会見し、市教委や学校の姿勢を隠蔽的と批判し、不信感をあらわにした。市教委は同日、報告書を公表する意向を明らかにした。
母親は学校の姿勢について、男児が不登校になる前に何度もいじめへの対応を求めたが、学校側がいじめの認知に消極的だったと指摘。母親が加害児童の家庭を訪ねるなどした結果、加害児童との関係はほぼ修復されたが、「先生に対する息子の不信感が全く解消されず、登校再開へのめどがついていない」と深刻な現状を訴えた。
母親は計4回、報告書の公表を市教委に求めたが、返事をもらえなかったと説明した。「今後、報告書が全部公表されるようになれば、学校や市教委の対応もきっちりとなるのではないか」と話した。
会見に同席した代理人の石川賢治弁護士は「教諭のいじめのとらえ方が主観的で振幅が大きい。何をいじめと考えるか感覚を共有するためにも、今回のケースに限らず第三者委員会の報告書は広く公表すべきだ」と訴えた。
会見に先立ち、石川弁護士は市教委に報告書の公表を申し入れた。桶谷守教育長は「保護者としっかり話をして、公表に向けて準備を進める」と約束。公表要請に応えてこなかったことに対しては、「保護者の思いをくみ取れず反省している」と謝罪した。