平成28年11月30日朝日新聞東京版
いじめについて会見する出口利定学長(中央)ら=小金井市
東京学芸大学付属高校(世田谷区)で、男子生徒がいじめを受け昨年6月に骨折していたことが29日明らかになった。事故報告書を作らなかったり、生徒への面談を尽くさなかったりと、学校側の不適切な対応が記者会見でいくつも表面化した。学校側は「生徒指導の研修の徹底」を再発防止策として挙げたが、生徒は今も学校に復帰できていないという。会見での主なやり取りは次の通り。
――骨折した時にいじめと判断しなかったのはなぜか
「保健室に来た本人は『自分で転んだ』と言い、そのままにしていた。骨折が起きたときには教員らが事故原因を記す事故報告書を作成することになっているが、誰も作らず、原因についても調べなかった」
――(9日後に)いじめの早期発見のための定期アンケートがあった
「本人はアンケートでいじめを申告した。校内の『いじめ防止対策委員会』は、担任と部活顧問に本人との面談を指示。担任は翌月に面談したが、いじめがあると確認できなかった。顧問は面談しなかった」
――その後は
「さらに、骨折した状態の被害生徒は、別の生徒に投げられ、脳振盪を起こした。そのときも、事故原因も確認せず、報告書も作らなかった」
――学校としていじめを把握したのはいつか
「9月になって保護者からいじめがあったと担任に申告があって、調べ始めた。その後もいじめ防止対策推進法に基づく『重大事態』という認識がなく、文部科学省への報告が半年遅れた」
(青木美希、木村司)