朝日新聞デジタル 2016年8月31日08時33分

いじめ訴え悲痛な叫び、スマホに遺書 青森の中2死亡

写真・図版

死亡した女子生徒がスマートフォンに残した「遺書」=遺族提供

青森市に住む中学2年の女子生徒(13)が25日に電車にはねられて死亡した事故で、女子生徒がスマートフォンに「遺書」と題して残していた文書が明らかになった。29日夜、取材に応じた父親(38)と祖父(60)は、女子生徒が周囲から「言葉の暴力」を受けていたと話し、「軽い気持ちでいじめている子たちに、こういう思いをして亡くなると伝えたい」と訴えた。

 「噂流したりそれを信じたりいじめてきたやつら、自分でわかると思います。もう、二度といじめたりしないでください」「悲しむ人も居ないかもしれない」。死亡した女子生徒がスマホに残した文書には、いじめを訴える悲痛な言葉が記されていた。祖父は「(いじめは)いったんは収まったようにみえたが……」と悔しさをにじませた。

 祖父と父親によると、昨年6月ごろ、女子生徒が他の生徒から通信アプリ「LINE」を介して中傷を受けていることがわかり、父親が担任に相談。「その年頃の女子に対して使う言葉としてはきつすぎる」文言を浴びせられていたという。中傷される理由について、女子生徒は「わからない」と話していたという。

 学校が対応し、いったん嫌がらせはなくなった。父親は相手の生徒や親に「もう関わらないようにしてください」と声をかけた。進級時のクラス替えでも配慮がされ、女子生徒は「大丈夫」と話すようになったという。

 ところが、昨秋ごろから朝起きられなくなり、「起立性低血圧」と診断された。ストレスによるものという。

 事故前日の24日、女子生徒は伝統芸能の全国大会に向けて夜9時ごろまで「津軽手踊り」の練習をしていた。三味線を担当する祖父が「頑張れよ」と声をかけると、「うん」という返事があった。翌25日朝、「具合が悪い」と訴え、両親が出勤後も1人自宅に残った。そして、この日午前10時過ぎ、JR奥羽線北常盤駅で女子生徒は電車にはねられた。

 事故後、スマホは遺品として警察から返却された。女子生徒がいつも使っていた自宅ソファには、番号を記した紙が残されていた。この番号を打ち込んでロックを解除すると、メモアプリの中に、「遺書」と記された文書が残っていた。保存された時刻は、25日午前8時34分。事故の1時間半前だった。

 父親は「物理的な暴力でなくても、言葉でも人は殺せる。優しい娘が命を賭けて訴えた」と話した。

(休波希)

     ◇

■「遺書」の抜粋

 遺書

 突然でごめんなさい。ストレスでもう生きていけそうにないです。

 ●が弱いのは自分自身でも分かってるし、●が悪い所もあったのは知ってるけど、流石にもう耐えられません。

 東京いって全国でまた皆で優勝したかったけど、行けなくてごめんなさい。だから7人で、優勝してください。

●も頑張ってね。

 学校生活も散々だし、それでストレスたまって起立性なったのに、仮病とかいう人が沢山いて、説明しても、あまり信じてくれなかった。

 1、2年の時で●の噂流したりそれを信じたりいじめてきたやつら、自分でわかると思います。もう、二度といじめたりしないでください。

(中略)

 家族へ。先立つ不幸を許してください。もう無理です。特別虐待があったわけでもない(中略)

 文章めちゃくちゃでごめんなさい。

 みんなに迷惑かけるし、悲しむ人も居ないかもしれないくらい生きる価値本当にないし、綺麗な死に方すらできないけど、楽しい時もありました。本当に13年間ありがとうございました。いつか、来世ででも●が幸せな生活をおくれる人になれるまで、さようなら。

 また、会おうね。

2016年8月25日木曜日

 ※原文ママ。●は遺族が黒塗りにした部分。

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