平成31年2月5日付河北新報

仙台市いじめ防止条例案 母子心中受け項目追加 2月定例会初日 提出へ

仙台市で昨年11月、泉区寺岡小2年の女児(8)へのいじめを苦に母子が無理心中したとみられる事件を受け、市は4日、制定を目指しているいじめ防止条例案に、新たに対応を盛り込む方針を決めた。既に発表した当初提出議案に項目を加え、市議会2月定例会開会日の7日に提案する見通し。  条例案にはいじめられた児童生徒、いじめを受けた子どもや双方の保護者と学校側が、共通の理解の下、いじめの事実の確認や支援、指導を進めていくことを追加した。  事件を巡り、学校などの対応が不十分だったと訴える遺族側に対し、学校側は一定の対応をしたと説明するなど、認識の違いが明らかになっていることを踏まえたという。  郡和子市長は1月29日の定例記者会見で、事件を受け「(新たに)盛り込むべきことがあるか、足らざることはないか調べている」と説明し、同日発表の提出議案に含めなかった。  この項目を含め、条例案は計55条で構成。児童生徒がいじめをした要因の把握と対応を学校側に求めるほか、いじめ防止を目的に教職員による体罰や不適切な指導を禁止することなどを盛り込んだ。  いじめ被害を訴えて市立中学生3人が相次いで自殺した問題を受けて設置した市いじめ対策等検証専門家会議の後継組織として、常設の「いじめ防止等対策検証会議」の設置を定めた。  市はいじめ防止対策推進法などに基づいて具体的な施策の内容を定める市いじめ防止基本方針も改定する方針。いじめ関連の各委員会の検証結果などを踏まえ、児童生徒の入学・転入時の引き継ぎ、会員制交流サイト(SNS)を活用した相談しやすい環境整備の徹底などを追加する。

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平成31年2月1日付河北新報

<いじめ母子心中>「丁寧に対応していれば」寺岡小で臨時保護者会

寺岡小2

保護者会に参加する保護者=31日午後6時40分ごろ、仙台市泉区の寺岡小

昨年11月、仙台市泉区で寺岡小2年の女児(8)へのいじめを苦に母親が2人で無理心中したとみられる事件を受け、寺岡小は31日夜、臨時の保護者会を開いた。女児の死亡後、保護者会は初めて。瀬戸幸子校長がいじめの内容や学校の対応を説明した。  保護者会は非公開で約450人が出席した。終了後に取材に応じた瀬戸校長によると冒頭、全員で黙とう。女児が朝顔の支柱を振り回されたり、登校中に置いていかれたりしたことを瀬戸校長が時系列で説明した。質疑応答では、11人が児童の心のケアやいじめへの対応方法について質問した。  瀬戸校長は取材に「尊い命を失い痛恨の極みだ。今後は認識を改めて、保護者との連絡を密に対応する」と述べた。  出席者からは学校の対応についてさまざまな意見が聞かれた。出席した母親の一人は「説明を直接聞き、学校はちゃんと対応していたと思えた」と受け止めた。別の児童の父親は「より丁寧に対応していれば、ここまで痛ましい結果にはならなかったのではないか」と推し量った。  ある保護者は「亡くなった母子と学校はいじめの問題意識を共有できていなかったのだろう」と指摘。別の出席者は「学校が経緯を説明せず、(いじめが)なかったことになってしまうと思っていたが、経緯が聞けて良かった」と話した。

 

<いじめ母子心中>学校の対応不適切 議会理事会に仙台市教委が説明

仙台市泉区で寺岡小2年の女児(8)と母親がいじめを苦に無理心中したとみられる事件に関連し、死亡直前のいじめ調査で母子が「いじめがあった」「現在は続いていない」の両方に丸を付けていたことが、31日分かった。市教委の担当者は「(回答をうのみにせず)細やかに対応すべきだった」と学校側の対応が不適切だったとの認識を示した。  同日開かれた市議会いじめ問題等対策調査特別委員会理事会で、市教委が明らかにした。調査は昨年11月14日に母子から提出されたもの。  杉山勝真学校教育部長は「昨年10月以降、新たにいじめの相談がない中で調査した。女児らと十分に相談しなかった」とした上で、「油断があった。細やかに対応すべきだった」と釈明した。  同小の瀬戸幸子校長は「しにたいよ」と書いた女児の手紙を見た昨年8月24日に詳しい事情を聴いておらず、杉山部長は「学校の対応が良かったかどうかは、反省を含めて検証が必要だ」と述べた。  関係児童の保護者との面談の際、質問のメモを瀬戸校長が無断で相手側に渡したことには「校長の判断で相手側の心の用意として渡した。了解を得ておらず、学校としての対応は良くなかった」と語った。

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平成31年1月26日付河北新報

<いじめ母子心中>「事実解明の場が必要」 仙台市教育長、第三者委設置を表明

  仙台市教委は25日の定例教育委員会で、昨年11月に泉区で寺岡小2年の女児(8)へのいじめを苦に母親が2人で無理心中したとみられる事件を報告した。非公開の会議終了後、佐々木洋教育長は「客観的、公平な立場で事実の解明、学校と市教委の対応を検証する場が必要だ」と述べ、第三者委員会を設置して調査することを正式に表明した。  早期設置に向け、第三者委の枠組みや担当する検証項目を検討する。いじめと心中との因果関係については「捜査機関ではない」と語り、調査対象とするのは難しいとの認識を示した。  父親によると女児は昨年8月、手紙に「しにたいよ」と書いたが、市教委はいじめ防止対策推進法上の「重大事態」に当たるとは判断していない。佐々木教育長は「いじめによる自死ではなく、長期間の不登校ともいえない。(手紙を書いた)経緯を精査する必要がある」と指摘し、現時点では判断できないとした。  学校や市教委の対応を巡る責任は「まずは事実をしっかり固めたい」と述べるにとどめ、言及を避けた。

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平成31年1月25日付河北新報

<仙台・母子心中>「しにたいよ」と手紙 学校は昨夏把握 重大事態と捉えず

仙台泉区無理心125

仙台市泉区で昨年11月、寺岡小2年の女児(8)へのいじめを苦に母親が女児と無理心中したとみられる事件で、市教委がいじめ防止対策推進法上の「重大事態」と同等の調査を続けている。女児は昨年7月ごろから「死んでしまいたい」と両親に訴え、手紙に思いをつづっていた。元校長らから「夏の段階で重大事態と捉えて対応すべきだった」との声が上がっている。  いじめ重大事態の調査に関する文部科学省のガイドラインは、児童生徒の生命や心身に重大な被害が生じた疑いがある場合、学校は調査を始めると規定。被害の深刻化を避けるため、疑いが生じた段階で動き始めるよう求める。  父親によると、経緯は表の通り。女児は昨年7月7日に「死んでしまいたい」と吐露。8月24日には「しにたいよ」と手紙に書いた。文部科学省の担当者は「手紙は、心身の苦痛が大きいことを示す一つの根拠になる」と指摘する。  手紙は、同24日のうちに両親が校長に手渡したという。母親は9月14日、市教委の教育相談室に「いじめがなければ、自殺したいと思うほど追い詰められない」と訴えた。

学校と市教委は9月までに、女児が死を意識していることを把握したとみられる。  市教委幹部は「市内で相次いだ、いじめなどによる自死事案と異なり、いじめと事件の関連性を早計に決められない。まずは重大事態と同等に位置付け、しっかり調査する」と言う。  重大事態と判断しなかったことに批判的な意見もある。ある市議は「重大な被害が生じた疑いは十分にあり、疑いを知った段階で調査すべきだった」と強調。県内の元小学校長は「手紙は決定的。『死にたい』と発言した時点で深刻に受け止めた方がよかった」と語った。

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平成31年1月24日付河北新報

<いじめ母子心中>両親、学校以外の複数機関へ相談 解決につながらず

仙台市泉区で昨年11月、寺岡小2年の長女(8)のいじめを苦に母親が長女と無理心中したとみられる事件で、両親は学校や市教委以外の少なくとも4機関にいじめを相談していた。

複数の窓口で現状を訴えても事態の打開につながらず、母子は精神的に追い詰められたとみられる。  両親の記録によると、昨年7月31日に県総合教育センター、8月20日に県教委にそれぞれ電話で相談した。同20日には仙台弁護士会で面談を受けた。9月10日は文部科学省の24時間子どもSOSダイヤルに連絡した。  相談担当者は「体調を崩した女児が話し合いに耐えられるか、もう少し考えた方がいい」(県総合教育センター)、「学校に対応を聞いてほしい」(県教委)などと答えたという。  SOSダイヤルは県教委の相談窓口につながる仕組みだった。いずれも解決につながる方策は示されなかったとみられる。  県総合教育センターの担当者は取材に「一般論として、話を聞き学校や教委など適切な相談先を紹介するのが役割。具体的な解決策は示せない」と説明した。  市教委には8月23日以降、電話で5回相談。学校への指導を求め「繰り返し指導している」との返答だった。事態が改善しなかったため、9月14日に市教委の教育相談室を訪れ、いじめ解消を訴えた。担当者は「市教委は直接、児童生徒の指導は行わない」などと話すにとどまったという。  両親は腹痛や頭痛を訴えた長女の心のケアにも奔走した。昨年8月20日に県立こども病院(青葉区)を受診。スクールカウンセラーには9月、少なくとも2回相談した。  10月下旬、校内で「いじめの話を言い触らしている」と広まったといい、長女の体調はさらに悪化した。  父親は「どこに相談しても駄目だった。泣き寝入りしかない、諦めるしかないのかと妻と話した。家族全員が夜も眠れず体調を崩していった」と振り返った。

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平成31年1月22日付毎日新聞

「いじめで母と小2の娘が心中」 父親が仙台市教委へ調査申し入れ

仙台泉区無理心中要望

市教委への要望書を提出後、記者会見する父親(右)=仙台市役所で2019年1月21日、早川夏穂撮影

仙台泉区無理心中要望メモ

長女が何度も「しにたいよ」と訴える両親に宛てて書いた手紙=仙台市役所で2019年1月21日、早川夏穂撮影

昨年11月、仙台市泉区で母親と小学2年の長女の無理心中とみられる事件があり、父親が21日、同市教育委員会に第三者委員会による調査を求める要望書を提出した。

父親は「長女は学校でいじめを受け、相談を受けた学校も対応を怠った」と訴えている。

父親によると、長女は小学1年だった昨年3月ごろから、同級生に仲間外れにされる、たたかれそうになるなどのいじめを受けていたという。両親から相談を受けた学校は「いじめがあったという事実をもとに、マニュアルにのっとって対応する」と返答したが、対応は進まず、長女は精神的に不安定となり、母親も体調を崩したという。

長女は同8月ごろ、両親に宛て「しにたいよ」と6度も繰り返し訴える手紙を書き、「わるいことしかないよ」「いじめられてなにもいいことないよ」などとしたためていた。

2人は昨年11月29日、自宅で死亡しているところを父親が発見した。宮城県警泉署は、母親が長女の首を絞めた後に自殺した無理心中の可能性があるとみて捜査している。

取材に対し父親は、「何十回といじめについて相談したが、対応してもらえず絶望していた」と時折涙をこらえながら訴えた。

市教育委の佐々木洋教育長は「事案は重く受け止めている。しっかりと調査し、事実関係の把握につとめる」とコメントしたが、学校がいじめを認定し、対応していたかどうかについては明らかにしていない。【早川夏穂】

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平成31年1月21日付河北新報

<いじめ母子心中>両親のメモを無断で相手に 学校の対応に不信募らす

小学2年の長女へのいじめを苦に母親が2人で無理心中したとみられる事件は学校のちぐはぐな対応がいじめ収束の機会を逃し、不用意な行為が家族の不信感を招いた経緯が父親の証言から浮かぶ。  父親によると、両親は昨年5月に長女が同級生2人からいじめを受けたことを知り、学校に相談。担任教諭は同級生の保護者に連絡せず、子ども同士の握手で仲直りをさせたが、収束しなかった。  校長室登校を続ける長女に校長が教室へ行くよう促したが、裏目に出た。父親は「長女は我慢をして教室に行き、体調をさらに崩した」と指摘した。  学校への不信がピークに達したのが、昨年8月にあった同級生の親との話し合いだった。  両親が同級生への質問項目を書いたメモを、校長が無断で相手方に渡したことが分かった。「口頭で謝罪を受けたが、情報管理ができておらず信用できなくなった」と振り返る。  母親は9月以降も市教委に相談したほか、文部科学省の24時間子どもSOSダイヤルに連絡したが、具体的な対応はなかったという。  長女は8月に「しにたいよ」と手紙に記すなど、ふさぎ込むようになった。父親は「母子で家にいる日が多くなった。2人は誰も頼れず、追い詰められてしまった」とうなだれた。

 <いじめ母子心中>全国自死遺族連絡会代表理事「いじめ 家族追い込んだ」

仙台泉区無理心中

「しにたいよ」。父親が公表した両親宛ての手紙で、長女は全てひらがなで悲痛な胸の内をつづっていた

仙台市泉区で昨年11月、母親が寺岡小2年の長女(8)と無理心中したとみられる事件で、全国自死遺族連絡会(仙台市)の代表理事田中幸子さん(69)=青葉区=が20日、河北新報社の取材に応じた。田中さんは「いじめが家族全体を追い込み、最悪の結果となった」と述べ、市内で相次いだ中学生のいじめ自殺と本質は同じとの認識を示した。  母親は長女への同級生によるいじめに悩んで体調を崩し「精神的に追い詰められた」(父親)とみられる。田中さんは「いじめがなければ痛ましいことは起きなかった。いじめは決して許されない」と語った。  市内では2014年9月以降、いじめを訴えた中学生の自殺が3件発生。「本質は全て同じ。学校だけで対応できないのに市教委の指導や専門機関の助言が十分でなかった。

教訓を生かさないと、不幸な事態がまた繰り返される」と警鐘を鳴らした。  事件後、父親の周囲では「子供を道連れにした」「育児に悩んでいた」と母親や長女への中傷が広がったという。田中さんは「学校のいじめは地域全体に有形無形の影響が出る。いじめを訴えた側をはじき出すことは絶対にあってはならない」と強く指摘した。

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平成31年1月20日付河北新報

仙台・泉区で昨年11月、妻と娘が無理心中 「いじめ原因」と父親が第三者委調査要請へ

仙台泉区

妻と長女の死亡は学校でのいじめが原因だと訴える父親=19日午後3時25分ごろ、仙台市青葉区本町

仙台市泉区で昨年11月、母親が寺岡小2年の長女(8)と無理心中したとみられる事件で、父親が19日、青葉区で記者会見し、学校であったいじめが原因だとの認識を示した。

父親は「同級生からいじめを受け、学校の対応が不十分だった。(周囲から)妻が子育てに悩んでいたと言われているのはおかしい」と訴えた。遺族は21日、第三者委員会による調査を佐々木洋教育長に要請する。  父親によると、長女が1年生だった昨年3月ごろから、同学年の児童2人に登校中に置いて行かれたり、仲間外れにされたりした。5月中旬には朝顔の支柱でたたかれそうになった。  6月ごろから腹痛や頭痛を訴えて校長室に登校するようになり、促されて教室に行くと同じ児童ににらまれることもあったという。  夏休み終了直前の8月24日には「しにたいよ」「いじめられてなにもいいことないよ」との手紙を両親宛てに書いていた。9月ごろから欠席が増え、母親も体調不良や不眠に悩むようになって「精神的に追い詰められた」(父親)という。  この間、母親は学校や市教委に繰り返し相談。校長から「いじめはあった。マニュアルに沿って対応する」と説明されたが、「相手児童への指導が十分でなく、表面的な対応が続いた」と指摘した。  周囲では死亡の原因が母親の育児に関する悩みだとうわさされているとし、「加害者と学校に謝ってほしい。真相を話してもらい、妻と長女の名誉を回復したい」と声を詰まらせた。  市教委は19日、河北新報社の取材に「学校の対応は把握しているが、家族と話ができていないと聞いている。引き続き調査を丁寧に進める」と話した。

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