2021年2月10 日付毎日新聞
兵庫・加古川いじめ自殺初弁論 両親「娘の死、置き去りにした」
兵庫県加古川市で2016年9月、市立中2年の女子生徒(当時14歳)がいじめを苦に自殺したのは学校が適切な対応を怠ったためであり、自殺後の調査でもいじめを示唆していた情報を隠すなど実態解明に後ろ向きな態度で深く傷つけられたとして、両親が市に約7700万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、神戸地裁姫路支部(倉地真寿美裁判長)であった。両親が意見陳述で学校と市教委への不信と再発防止のための体質改善を訴えたが、市側は請求棄却を求めて争う姿勢を示した。
被害生徒の父は法廷で「娘の死を置き去りにし、反省の気持ちをみじんも感じない姿勢を許すことができない」と市教委の姿勢を批判。母は「この事案を決して忘れず、教訓にしなければならない」と訴えた。
一方、市側は答弁書で、自殺の原因となったいじめがどの行為なのかが明らかでないと主張。代理人弁護士は「学校の注意義務違反と、生徒の自死との間に、法的因果関係は認められない」と述べた。
市教委の第三者委員会の調査報告書を基にした訴状などによると、被害生徒は1年生だった15年夏ごろから、部活動で仲間外れにあっていた部員と親しくしたことで多数派による無視や仲間外れを受けるようになった。クラスでも小学校の頃からの嫌なあだ名で呼ばれ、無視や陰口も言われるなどのいじめを受け、クラス替えとなった2年生になっても続いた。