2019年3月23日北海道新聞
登別の中1、いじめが自殺の一因 市教委の第三者委認定
【登別】登別市内で昨年6月、中学1年の男子生徒が死亡し、自殺とみられている問題で、いじめの有無などを調べていた登別市教委の第三者委員会は22日、報告書を市教委に答申した。第三者委は、生徒が自殺したとの見解を示した上で、運動の部活動で受けたからかいなどをいじめと認定。いじめに加え、コロナ禍での生活などによる不安な心理などの内的要因が影響して自殺に至ったとした。
男子生徒は昨年6月22日、自宅があった道営住宅敷地内で倒れているのが見つかり、死亡が確認された。4階付近から転落したとみられ、警察の捜査では自殺と断定されなかったが、第三者委は22日、取材に対して「自ら死を選んだと認定した」と説明した。
第三者委の報告書は計101ページでいじめ調査の内容のほか、再発防止策などで構成。22日に公表された報告書概要によると、男子生徒は部活動内で、「太っている」などと言葉で体形をからかわれていたことや、胸を触られるなどの行為のほか、「へたくそ」などと運動の技量をからかわれていたことを「いじめ」と認定した。
一方、生徒の心理状態など内的要因として、新型コロナウイルスに対する不安や、コロナによる学校の休校によって外出できないストレス、将来への不安などに苦しんでいたと指摘。第三者委は、自殺に関して「『いじめ』を中心とした『外的な』要因と生徒自身の『内的な』問題の両者が関与した」と結論づけた。
第三者委の竹内亮平会長=北海道精神保健福祉士協会理事=は「(からかいについて)部活動の顧問が認識していた部分もあった」とした上で、指導体制を見直す必要性を指摘した。
市教委は昨年6月、いじめの疑いがあるとして、2013年施行のいじめ防止対策推進法が定める重大事態にあたると判断。弁護士や大学教員ら5人で構成する第三者委を設置し、調査を諮問していた。武田博教育長は「しっかり精査をして再発防止に取り組んでいきたい」と話した。
道教委などによると、道内で重大事態とされたのは今回を含め計34件で、被害を受けた児童生徒が死亡したのは今回が初めて。(今関茉莉)