平成30年12月28日付毎日新聞

「いじめ防止できず自死招いた」両親が須賀川市など賠償提訴 福島・中1自殺

福島県須賀川市の市立中学1年の男子生徒(当時13歳)が昨年1月、いじめが一因で自殺した問題で、男子生徒の両親が「いじめを防止、解消できず自死を招いた」などとして、クラス担任と部活顧問の2人の教諭と市に計約7674万円の損害賠償を求める訴えを福島地裁郡山支部に起こした。

訴状などによると、男子生徒は昨年1月27日、自宅で自殺した。いじめ防止や適切な措置を取らなかった2人の教諭と市に重大な責任があるとしている。

須賀川市教委が設置した第三者委員会は昨年12月、男子生徒の自殺は「いじめが大きな一因」とする調査結果を発表。一部の教職員がいじめを「からかい」と軽視し、適切な指導や助言がなかったことが問題を深刻化させたと指摘していた。

須賀川市の橋本克也市長は「ご遺族に対し、誠意を持って対応してきた。内容を十分に検討し、対応する」とコメントした。【笹子靖】

 

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平成30年1月16日 朝日新聞福島版

追い詰められた末、悲劇 須賀川いじめ自殺報告書

 須賀川いじめ自殺報告書

開示された市いじめ問題専門委員会の調査報告書と資料。報告書は45ページに及ぶ

須賀川市立中学1年の男子生徒(当時13)が昨年1月に自殺した問題で、市教育委員会が設けた「いじめ問題専門委員会」の調査報告書が15日、朝日新聞の情報公開請求に対して開示された。学校で様々ないじめを受けた男子生徒が、追い詰められた末に

命を絶った状況がうかがえる。

男子生徒が中学に入学して1カ月後の2016年5月。男子生徒に触ると「菌がつく」として、その「菌」をほかの生徒が触って回す「菌回し」という行為が始まった。

この行為は2学期になって激化。担任の指導で沈静化したが、3学期まで続いたという。専門委は「最終的にはクラスの男子の大半である9人」がかかわったと認定している。

学級内での日常的な悪口やからかいは入学直後から始まった。給食の時、男子生徒が触ったものを避けるような言動をとるクラスメートもいた。クラスメートによる一連の行為について、専門委は「いじめに該当する」と断定した。

嫌がらせは部活動でもあった。男子生徒は6月から「ハゲ○○」と2人から呼ばれるようになり、10月からは「ゴミ○○」とも呼ばれるようになった。専門委は「人格を否定するもの」と厳しく非難している。

 

校内の対策 機能せず

学校側は「いじめ防止基本方針」を策定していた。いじめと思われる言動を把握した時はまず「学年会」で議論したうえで、校内の「いじめ対策委員会」に報告することになっていた。

だが各学級の担任らは、把握した事柄すべてを学年会に報告するわけではなかった。「クラスで解決できる問題はクラスで対応するという気風になっていた」とされ、このため男子生徒へのいじめを検討する余裕がなかったという。

担任はいじめを見聞きするたびに、加害側の生徒を指導していたとされる。ただ、専門委は悪口を言った生徒に対する担任の指導内容を「抽象的」と指摘。スクールカウンセラーに情報を伝えなかったとも指摘している。

教頭が担任から「菌回し」の報告を受けたのは12月以降だ。その後、学級日誌に「いじめがなくなってよかった」と記載されたため、教頭はいじめが解消されたと認識していたという。

 

専門委、学校の対策を批判

専門委は、いじめを過小評価し、「単なるからかい」ととらえていた教員が多くいたことを認定している。また教員の連携不足や組織的な対応の不十分さ、男子生徒と加害側の生徒双方の行動や態度などが把握されていなかったとも指摘。これらが重なって「最悪の結末に至った可能性が否定できない」とし、学校側を強く批判している。

一方、男子生徒は小学生のころから学習面で課題を抱えていた。専門委は、男子生徒に必要だった「特性に合わせた学習環境」が整備されず、「ストレスを抱える状態に置かれ続けていた」としている。

追い打ちをかけたのが、いじめだった。クラスメートの半数以上や部活のチームメートから人格を否定する悪口を言われ、からかわれた。

専門委は「いじめによってさらに相当強度のストレスを付加され、そのことが自死にまで追い詰めた」と指摘している。(鈴木剛志)

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平成29年12月26日朝日新聞

中1自殺「いじめが大きな一因」 調査委、学校を批判

 

福島県須賀川市立中学1年の男子生徒(当時13)が1月に自殺した問題で、市教育委員会が委嘱した外部有識者による「いじめ問題専門委員会」は25日、調査報告を発表し、「いじめが自殺の大きな一因だった」と認定した。学校の対応については「事態を軽視し、適切に指導しなかった」と批判した。

男子生徒は1月27日朝、自宅で首をつって死亡しているのが見つかった。遺書はなかったという。

市教委は2月、男子生徒が昨年7月以降の複数回のアンケートや面談でいじめを受けていると訴えていたことを認めた上で、翌月に専門委を立ち上げ、自殺といじめの因果関係や学校の対応を調べ始めた。

調査報告によると、男子生徒はクラスの9人の男子から「菌がつく」といじめられていたほか、部活でも数人から髪形をからかうようなあだ名をつけられていた。また、普段から同級生にからかわれたり、悪口を言われたりしていたという。

調査報告は「男子生徒は学校にうまくなじめなかったようで、ストレスを抱えていた」と指摘。その上で、「いじめが大きな一因となって自死を選択した」と結論づけた。

また、学校の対応について、「いじめではなく、からかい」と認識して事態を軽視する教職員がいたとしたほか、情報が教職員間で十分に共有されず、「適切な指導や助言がされなかったことが問題を深刻化させた」と非難した。

報告を受け、市教委の柳沼直三教育長は「真摯に受け止め、いじめ根絶についての対策を考えたい」と述べた。(鈴木剛志)

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平成29年12月25日毎日新聞

福島・中1自殺 いじめ一因「指導なく深刻化」 第三者委

福島中1自殺

記者会見で調査結果について説明する第三者委員会の笠間善裕委員長(右)=福島県須賀川市役所で

福島県須賀川市で今年1月に市立中学校1年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、市教委が設置した第三者委員会は25日、自殺は「いじめが大きな一因となった」とする調査結果を発表した。一部の教職員が、いじめを「からかい」と軽視し、情報共有も不十分で適切な指導や助言がなされなかったことが問題の拡大や深刻化を招いたと指摘した。

市教委によると、男子生徒は1月27日朝、自宅で首をつって自殺した。学校には昨年7~12月、男子生徒から「からかわれたり、ばかにされたりする」などの訴えが3回あった。学校は関与した生徒十数人を指導後、いじめは解消されたと判断し、経過を観察していた。

しかし、遺書などは確認されず、自殺の前日も登校するなどいじめと自殺の因果関係が明確でないため、第三者委員会(委員長・笠間善裕弁護士)が3月以降、教職員や生徒らからの聞き取りを進めてきた。

報告書では、男子生徒は、学習面を中心に学校になじめず、ストレスを抱える状況の中で、クラス内で男子生徒に触れると「菌」がつくといじめられたり、部活動でも髪形をからかうような「ハゲ〇〇」、人格を否定するような「ゴミ〇〇」とのあだ名を言われたりしていたという。

また、報告書は「単なる『からかい』であり『いじめ』ではないと事態を軽視する教員が一定程度存在したことが問題の拡大を招いた」と指摘。男子生徒の特性やいじめなどの情報が十分に共有されていなかったとした。

記者会見した笠間委員長は、学校側の対応が不十分だった理由として「教職員に対する負担が重すぎるのではないか。マンパワーが不足している」とも指摘した。【曽根田和久、宮崎稔樹】

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平成29年2月8日朝日新聞福島版

市教委、「いじめ」認める 「解消と判断」

 福島いじめ1

写真・図版

記者会見の冒頭、頭を下げる市教育委員会の柳沼直三教育長(右)ら=須賀川市

 福島いじめ2

写真・図版

記者の質問に答える市教育委員会の柳沼直三教育長=須賀川市

  須賀川市の市立中学校1年の男子生徒(13)が自殺した問題で、市教育委員会は7日、記者会見を開き、男子生徒がいじめられていたことを認めた。男子生徒から「SOS」の訴えがある度に関係する生徒を指導していたとし、「いじめは解消したと判断していた」との見方を示した。

 この日開かれた記者会見には柳沼直三教育長と、男子生徒が通っていた中学校の校長らが臨んだ。

 市教委の説明によると、学校が初めて異常を把握したのは昨年7月。男子生徒がアンケートで友人関係について「(容姿を)からかわれたり、バカにされたりする」と回答した。

 また、保護者と担任が同席した11月の面談で「悪口を言われる」と訴えた。さらに12月の「いじめ(悩み)についての調査」で、「いじめられている」と再度、訴えた。

 いずれの場合も男子生徒からの訴えを受け、教職員が計十数人の同級生に事情を聴き、からかいなどをやめるよう指導したという。校長は「(12月の指導の後)男子生徒に対するいじめの言動が見られなかった。

生徒からの訴えもなくなったことから、いじめは解消したと判断した」と述べた。

 金銭の要求や身体に危害を加えるいじめは確認できていないという。学校は、いじめと自殺の因果関係について調査を続ける一方、市教委も近く外部の有識者らによる調査委員会を設ける方針だ。

 男子生徒が1月27日に死亡してから10日以上たって記者会見を開いたことについて、柳沼氏は「遺族から静かに見送らせてほしいと頼まれた」と述べた。一方、SNSなどで不確定な情報が流れていることを挙げ、「今後、調査をする中では公にして対応した方がいいと考えた」とも語った。

 柳沼氏は会見の最後に「未来を担う大切な命を守りきれなかったことに対して、心より深くおわび申し上げる」と声を詰まらせながら述べ、頭を下げた。(石塚大樹、鈴木剛志)

 

■休まず 亡くなる前日も登校

 記者会見での主なやりとりは次の通り。

 ――男子生徒はどういう生徒か

 教育長「これまで休んだことはなく、亡くなる前日も登校していた。ごく普通の中学1年生として学校生活を

送っていた」

 ――いじめていた生徒への指導内容は

 校長「担任や学年主任などから、こういうことはやってはいけないと伝えた」

 ――いじめが解消されたと考えた根拠は

 校長「本人からの訴えがなく、『生活ノート』にも記載がなかった。クラスメートが書いた学級日誌にも

『いじめがなくなった』という記載があった」

 ――ほかの生徒の記載は信じられるのか

 校長「総合的に判断した」

 ――遺族は自殺といじめの因果関係の調査を望んでいないのか

 教育長「因果関係についての要望はない」

 ――遺族が望まなければ今後の調査内容は公表しないのか

 市教委学校教育課長「第三者委員会の結果を公表するには、遺族の同意が必要になる」

 

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平成29年2月7日 朝日新聞夕刊
福島で中1自殺 「十数人がいじめ関与」 須賀川市教委
 福島県須賀川市教育委員会は7日、市立中学校1年の男子生徒(13)が1月末に自宅で自殺したと発表した。
男子生徒へのいじめがあったことも明らかにした。市教委は外部の有識者らによる調査委員会を立ち上げ、自殺といじめの因果関係などを調べる方針だ。
市教委によると、男子生徒は1月27日朝、自宅で首をつって死亡しているのが見つかった。遺書などはなかったという。
7日に記者会見した市教委によると、男子生徒は昨年7月、学校生活に関するアンケートに「からかわれたり、バカにされたりする」と回答。11月の三者面談でも「悪口を言われる」と訴えた。12月にあった調査でも、「いじめられている」という内容の訴えをしていたという。
市教委は、十数人の同級生がいじめに関わっていたと明らかにした。一方で、「金銭の要求や身体に危害を加えるいじめはなかった。関係する生徒に指導し、いじめは解消したと判断していた」としている
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平成29年2月1日河北新報

須賀川市の中1男子が自殺 いじめ有無を調査

  福島県須賀川市の市立中1年の男子生徒が自殺していたことが31日、市教委などへの取材で分かった。

学校や市教委はいじめがなかったかどうかを調べている。
 市教委などによると、男子生徒は1月27日、市内で自殺したという。遺書の有無については「分からない」
としている。
 男子生徒が通う学校の教頭は取材に「遺族の意向で詳細は話せない。いじめの有無を含めた学校生活の
様子について市教委と連携して調査している」と語った。

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