平成28年2月4日神戸新聞
龍野高部活事故、再発防止を 両親ら県に要請文
兵庫県立龍野高校(たつの市)で2007年5月、テニス部の練習中に熱中症で倒れ、
重い後遺症を負った当時2年の女性の両親と弁護士らが3日、井戸敏三知事と
県教育委員会に対し、再発防止の取り組みや、謝罪などの対応について問う要請文を
送付した。(上田勇紀)
事故をめぐっては、両親らが県を提訴。昨年12月、最高裁が県の上告を棄却し、県に約2億3千万円の支払いを命じた二審大阪高裁判決が確定した。
判決確定に対し、井戸知事は同月の定例会見で「(最高裁は)変な判断が多い。
学校がどこまで安全に対して気を遣えばいいのか、全く示されていない」などと発言した。
両親らは、井戸知事宛ての要請文で「首長としてあまりに品位のない見識に欠けたもので、落胆した」と指摘。さらに大阪高裁判決は、部員らの健康状態に危険が生じないよう指示すべき-など、学校側の対応を明確に示しているとして、事故や発言の謝罪を含めた対応をする意向があるのかどうか、回答を求めた。
また、県教委に対しては、部活動の安全指導徹底や熱中症対策の強化のほか、学校で事件事故などが起きたとき、第三者委員会を組織して調査するよう求めた。
【龍野高校部活動訴訟】 2010年4月、両親らが「学校側が安全配慮義務を怠った」として兵庫県を提訴。一審神戸地裁判決は熱中症を認めず、「顧問は事故を予見できなかった」として、請求を棄却した。昨年1月の二審大阪高裁判決は熱中症を認定し、顧問は「水分補給のための休憩時間を設けなかった」などと学校側の責任を認めた。最高裁は昨年12月、県の上告を棄却。
将来の介護費用などを含め約2億3千万円の支払いを命じた二審判決が確定した。