2021年1月8日付神戸新聞NEXT

加古川・中2自殺 市長「予見の可能性、主張に隔たり」メモ隠蔽を否定

女子生徒がいじめを受けて自殺した問題について話す岡田康裕・加古川市長=8日午後、加古川市役所
女子生徒がいじめを受けて自殺した問題について話す岡田康裕・加古川市長=8日午後、加古川市役所

兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が2016年にいじめを受けて自殺し、遺族が同市を提訴した問題で、岡田康裕市長は8日の会見で、「自殺に至ることを(当時の)担任や部活動の顧問らが予見できたかどうかは、(遺族側と)主張に隔たりがある」と述べた。副顧問がいじめの存在を示すメモをシュレッダーで破棄していたことには、「メモ自体の存在は隠していない。隠蔽ではない」との認識を示した。

岡田市長は、女子生徒の自殺について「何とかして防げなかったのかと自責の念を感じながら、重く受け止めている。申し訳なく思っている」と話した。その上で「訴訟にならない形での解決を願っていたが、どうしても代理人との間で埋めきれないところが出てしまった。司法の場で判定してもらわざるを得ない」との見解を示した。

一方、遺族側は8日、市教育委員会が7日に市側の法的責任を否定する見解を公表したことに対し、代理人弁護士を通じて反論のコメントを出した。「この4年間、市教委の対応に誠意を感じ感謝の気持ちを抱くことはなかった。私たち家族と市教委との隔絶した認識の差を感じざるを得なかった。本当の意味の反省がない限り、同じことは繰り返されるのではないか」と批判した。(斉藤正志)

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2021年1月7日付け神戸新聞NEXT

加古川・中2自殺 教育委員会、法的責任を否定 シュレッダーでのメモ破棄は認める

加古川市役所=加古川市加古川町北在家
加古川市役所=加古川市加古川町北在家

 兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が2016年にいじめを受けて自殺し、遺族が同市を提訴した問題で、市教育委員会は7日、「調査から得られた事実や過去の裁判例などに照らせば、法的責任は認められない」とする見解を発表した。「法的責任を否定したからといって、生徒の命を軽視しているものではない」としている。

当時の部活動の顧問、副顧問がいじめの存在を示すメモをシュレッダーで破棄し、そのことを副顧問が認めた音声データがあることについては「市教委も既に調査済みで、音声データも把握している」と言及。「事実の評価については、今後、裁判の中で明らかにしていきたい」とした。

その上で「法的責任の有無については立場が異なっても、生徒の死を重く受け止め、再発防止に向けて引き続きご遺族と協力していきたいという意向には変わりがない」としている。

遺族は5日、昨年9月に提訴した理由について「教育委員会が最後まで法的責任はないという考えに固執したことによって、話し合いは決裂し訴訟に踏み込んだ。交渉過程でも誠意を感じることはなく、娘の命を軽視しているとしか思えなかった」とのコメントを出していた。(斉藤正志)

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2021年1月7日神戸新聞NEXT

兵庫県庁3号館
兵庫県庁3号館

 兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が2016年にいじめを受けて自殺した問題で、教員の処分が適正になされていないとして、遺族側が兵庫県教育委員会に対し、再調査を求めていたことが6日、関係者への取材で分かった。当時の部活動の顧問、副顧問が、いじめの存在を示すメモをシュレッダーで破棄していたことについて、市教委が県教委に報告していなかった点を問題視している。

県教委は教職員の処分権限を持っており、18年11月、16年当時の校長を戒告の懲戒処分とした。顧問を懲戒に当たらない厳重注意とし、副顧問は処分していない。

関係者によると、遺族が18年6月、市教委職員の同席の下、副顧問から話を聞いたところ、17年までの第三者委員会の調査で「紛失した」とされていたメモを、破棄していたことを明かした。副顧問は遺族が話を聞いた1カ月前に校長に報告し、校長は顧問に確認したと説明したという。

遺族は昨年9月、学校側が適切に対応していれば自殺は防げたなどとして、市に損害賠償を求めて提訴。同12月28日付で提出された再調査の要請書で、遺族側は「真相究明を妨害し、隠蔽(いんぺい)と評価されるべき重大な非違行為を把握しないまま処分を下したということであれば、適正な処分ということはできない」としている。

県教委は「処分の基になる調査を行う加古川市教委と内容を共有した」と説明。「今後、第三者委員会をやり直したり、その報告書の内容が変わったりすれば、処分を再検討することもあり得る」とする。

市教委は「県教委には事実に基づいて報告している。詳細については裁判に関わることなので答えられない」としている。

(斉藤正志、斉藤絵美)

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2021年1月6日付朝日新聞デジタル

加古川・中2自殺で提訴 遺族がコメント発表

兵庫県加古川市立中学校2年の女子生徒(当時14)が、いじめを苦に自殺してから4年。遺族が昨年、市を相手取り、約7700万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。市が設けた第三者委員会が自殺の原因をいじめだと認定してから、市教委と続けてきた話し合いが決裂したという。2月10日に開かれる第1回口頭弁論を前に、両親が提訴に至った思いを代理人を通じて発表した。要旨は次の通り。

娘が私たちの前からいなくなってから4年経ちますが、遺族にとっては昨日のような出来事で、毎日いつもの調子で帰ってくるのではないかと錯覚さえする日々を送っております。

娘と交わした我が家にとってはほんのささやかな明るい未来の約束、それすらかなわなく置き去りになってしまった現実を胸に、自分自身の自責、加害者への恨み、教育委員会への憤りで一日が始まり一日が終わり悲壮感は尽きません。一歩進みたいが進めない。このような状況は想像できるでしょうか。

第三者委員会の答申後、私たちは関係者の協力で当時の教員と面談し、報告書の内容だけでは不明な経緯の確認作業と、教育委員会がとった行動に、遺族は深く傷つけられました。学校側の対応に納得するものは一つとして無かったのですが、市教委や学校に事実に向き合って教育の現場で再発防止を実現してほしいと願って、水面下で遺族側から和解策を提示し対話を試みました。しかし、教育委員会が最後まで法的責任はないという考えに固執したことによって、話し合いは決裂し訴訟に踏み込んだのが経緯であります。

この交渉過程でも教育委員会の誠意を感じることはありませんでした。娘の死を置き去りにしようとしている対応姿勢が続き一層怒りが募りました。和解策についても、本来は遺族から申し入れすることでなく、自ら組織としてどうすべきかと打診してくるのが筋ではないでしょうか。そうした姿勢に、娘の命を軽視しているとしか思えませんでした。

「遺族に寄り添う」という言葉を口にしますが、それはあまりに軽く、心に響くことはありませんでした。この訴訟は4年間、教育委員会と協議した果ての最終手段であり遺族の怒りだと理解してください。

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2021年1月5日付神戸新聞NEXT

加古川・中2自殺 市提訴の遺族「市教委は娘の死を置き去りに」

加古川市役所=加古川市加古川町北在家
加古川市役所=加古川市加古川町北在家

兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が2016年にいじめを受けて自殺した問題で、遺族が5日、代理人弁護士を通じてコメントを出し、市を提訴した理由を明かした。17年に第三者委員会が自殺はいじめが原因だと認定した後も、市教育委員会は法的責任はないとの考えに固執して話し合いが決裂したといい、その姿勢は「娘の命を軽視している」と指摘している。(斉藤正志)

コメント全文は次の通り。

娘が私たちの前からいなくなってから4年と月日はたちますが、遺族にとっては昨日のような出来事で、毎日いつもの調子で帰ってくるのではないかと思わせる錯覚さえする日々を送っております。果たされなくなった娘と交わしたわが家にとっては、ほんのささやかな明るい未来の約束、それすら叶わなく置き去りになってしまった現実を胸に、自分自身の自責・加害者への恨み・教育委員会への憤りと、日々その闘いで一日が始まり一日が終わり悲愴感は尽きません。一歩進みたいが進めないこのような状況は想像できるでしょうか。

第三者委員会答申後、私たちは関係者の協力で当時の該当教員と面談し、報告書内容だけでは不明な経緯の確認作業と後の教育委員会がとった行動(加害者高校推薦など)に、遺族は深く傷つけられました。学校側の対応に納得するものは一つとして無かったのですが、市教委・学校に事実に向き合って教育の現場で再発防止を実現してほしいと願って、水面下で遺族側から和解策を提示し対話を試みました。しかし、教育委員会が最後まで法的責任はないという考えに固執したことによって、話し合いは決裂し訴訟に踏み込んだのが経緯であります。

この交渉過程でも教育委員会の誠意を感じることはありませんでした。娘の死を置き去りにしようとしている対応姿勢が続き一層怒りが募りました。和解策についても、本来は遺族から申し入れすることでなく、自ら組織としてどうすべきかと打診してくるのが筋ではないでしょうか。そうした姿勢に、娘の命を軽視しているとしか思えませんでした。

「遺族に寄り添う」という言葉を口にしますが、それはあまりに軽く心に響くことはありませんでした。

この訴訟はこの4年間教育委員会と協議した果ての最終手段であり遺族の怒りだと理解してください。

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2021年1月4日神戸新聞NEXT

いじめSOSを教員が何度も黙殺 加古川・中2自殺、非公開報告書の全容判明

加古川市役所=加古川市加古川町北在家
加古川市役所=加古川市加古川町北在家
 兵庫県の加古川市立中2年の女子生徒が2016年にいじめを苦に自殺した問題で、生徒のSOSやいじめの兆候を学校の教員が何度も黙殺し、対応を怠っていた実態が明らかになった。共同通信が4日までに入手した、非公開部分を含む第三者委員会の報告書全文に記載されていた。

17年12月作成の報告書の非公開部分によると、いじめの始まりは小学5年。女子生徒が嫌がるあだ名が付けられ、無視が始まった。15年に入学した中学でもあだ名は浸透。クラスのムードメーカーが無視や悪口を率先し、他の生徒も逆らえなかった。3学期にはあからさまに無視され、「ミジンコ以下」と書かれた紙を渡された。

部活動でも陰口や仲間外れが並行。生徒は同11月、母親に「部活をやめたい」と訴えた。いじめを把握したはずの顧問らは部員同士のトラブルとして片付けた。

16年4月、2年生になりクラスが替わっても、いじめは続いた。生徒は孤立を深め、夏休み明けの9月、命を絶った。

担任に提出するノートに1年の3学期ごろから「しんどい」「だるい」との記述を繰り返したが、1、2年時の担任はいずれも「部活や勉強についてだと思った」といじめとの認識を否定した。

16年6月のアンケートで生徒は「陰口を言われている」「無視される」などの質問に「あてはまる」と回答した。「のびのびと生きている」「生活が楽しい」には「あてはまらない」と答え、判定結果は「要支援領域」だった。最も注意を要するとの警告を担任は保護者に明かさず、三者面談では提出物の遅れを指摘しただけだった。

報告書は「いじめは明白だったにもかかわらず、見過ごされた」と認定。市教育委員会は「関係者への配慮」を理由にいじめの内容や経過を非公開とし、「学校が対応すれば自殺は防げた」など指摘の一部を公開するにとどまっていた。

学校の対応を巡っては、生徒の部活動で顧問らがいじめの存在を示すメモをシュレッダーにかけ、第三者委に破棄したことを明かさなかった問題も判明。遺族は昨年9月、損害賠償を求め市を提訴している。

遺族の代理人弁護士によると、遺族は当時の担任や顧問らに聞き取りを重ねてきた。その上で、市教委がいじめの事実に向き合っていないという不信感があり、第三者委の調査で分かっていない部分が明らかになることも求めて、やむなく提訴に踏み切ったという。

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2021年1月4日付 神戸新聞NEXT

加古川・中2自殺 部活動顧問らいじめメモ隠蔽か

兵庫県加古川市で2016年に市立中2年の女子生徒=当時(14)=がいじめを苦に自殺する約1年前、いじめの存在を示すメモを部活動の顧問らがシュレッダーで破棄していたことが3日、関係者への取材で分かった。顧問らは経緯を調べた第三者委員会に「紛失した」と答えており、破棄したことを隠蔽(いんぺい)しようとした可能性がある。

生前の重要なSOSが消され、その後の真相解明まで妨げた形だ。生徒の遺族が市に約7700万円の損害賠償を求め神戸地裁姫路支部に提訴したことも判明。「娘の尊厳をないがしろにされた」と訴えている。

関係者によると、18年6月、遺族が関係教員らに話を聞いた際に副顧問が破棄を認めた。17年度に赴任した現校長も同席していた。取材に対し顧問は「かなり前のことで答えられない」、現校長は「組織で動いているので個人で答えられることはない」と話した。市教育委員会は「訴訟中のため答えられない」としている。

提訴は昨年9月30日付。訴状などによると、15年夏ごろから女子生徒ら3人に他の部員が「うざい」と悪口を言うなど仲間外れが常態化。同11月、女子生徒は両親に「部活をやめたい」と訴え、両親は顧問に相談した。

同月、顧問と副顧問は部員を集め、メモ用紙を配布。いじめの内容を書くよう指示した。確認した顧問は「お互いさまだろ」と発言。部員同士のトラブルとの判断を受け、副顧問がメモをシュレッダーで破棄した。その後もいじめは続いた。

市教委が設置した第三者委は、報告書でいじめが自殺の原因と認定。顧問らを「女子生徒に無力感という精神的打撃を与えた」と批判した。

遺族側は、自殺の約3カ月前に学校が実施したアンケートでも、女子生徒がいじめをうかがわせる回答をしたのに、学校が対応しなかったと主張。学校や市教委は生徒の死後もアンケートの存在を遺族に知らせず、遺族は第三者委の調査過程で聞かされたとしている。

当時の校長が18年11月に戒告の懲戒処分を受け、顧問は厳重注意。副顧問の処分はなかった。

【加古川の中2いじめ自殺】 2016年9月、加古川市立中2年の女子生徒=当時(14)=が自殺。いじめに悩んでいたというメモが自宅に残され、市教育委員会は第三者委員会を設置した。17年12月、第三者委は「自殺はいじめが原因」と認定。生徒がアンケートでいじめをうかがわせていたのに、学校は何も対応しなかったと指摘した。県教委は当時の校長を18年11月に戒告、2年次担任と学年主任は訓告、部活動顧問と1年次担任を厳重注意処分とした。

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2020年12月28日付毎日新聞

県立高2自殺 「いじめに積極的に関与」と元野球部員を遺族が賠償提訴 福岡

福岡県久留米市の県立高校の野球部に所属していた2年生の男子生徒(当時16歳)が2018年6月、いじめ被害をうかがわせるメモを残し自殺した問題で、男子生徒の父親ら遺族3人が、いじめに積極的に関与していたとして、野球部員だった同学年の男子6人=既に卒業=に謝罪と慰謝料などの損害賠償を求める訴訟を起こした。18日、福岡地裁久留米支部(岡田健裁判長)で第1回口頭弁論があり、元部員6人は請求棄却を求めた。

 生徒の自殺を巡っては、県教育委員会の第三者委員会が部内のいじめが原因だと認定する報告書を提出している。しかし、いじめに加わったとされた元部員と保護者側は、遺族との2度の意見交換会でも「むしろ親しくしてやっていた」などと責任を全面否定し、一切謝罪に応じていない。

 このため、父親らは「息子の名誉と尊厳を回復するには、被告ら全員から真摯(しんし)な謝罪と、同じ過ちを繰り返さないという約束を受けることが必要不可欠だ」として今年10月に提訴。遺族側代理人弁護士によると、いじめを巡る訴訟で、謝罪を目的とした訴訟は珍しいという。

 訴状などによると、生徒は18年6月22日夜、自殺しているのが見つかった。生徒の携帯電話には同級生だった元部員らの名前と「毎日色々言われてもう限界やった」「生きているだけで苦痛だったよ」などとのメモがあった。県教委の第三者委は19年3月、生徒が元部員らから、ズボンを下ろされたり、携帯電話を隠されたりするなどのいじめを受けていたとし、いじめと自殺との因果関係を認めた。

 生徒の父親らは19年10月に県警久留米署に被害届を提出。同署は元部員3人を暴力行為等処罰法違反容疑で福岡地検久留米支部に書類送検し、地検支部は3人を家裁支部に送致したが、家裁支部の審判では3人はいずれも不処分となった。

 この日の法廷では父親が意見陳述。「まだ息子の墓参りには行けていません。息子がつらい思いをしたことに対し、加害生徒の反省や謝罪を受けて何らかの形で報告ができるようにならないと、墓参りに行くことができません」などと訴えた。【江刺正嘉】

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2020年12月23日付毎日新聞

愛知の中3自殺訴訟 一宮市が和解案を拒否「第三者委の報告書と差」

 名古屋地裁一宮支部=愛知県一宮市で、川瀬慎一朗撮影
  愛知県一宮市立中学3年の男子生徒(当時14歳)が2017年に自殺し、両親が市に損害賠償を求めた訴訟で、市は23日、名古屋地裁一宮支部の和解案に応じない方針を明らかにした。審理継続を求める上申書を同日、地裁支部に提出したという。 地裁支部は11月12日、市が請求額の約9割を支払うとし、学校側の安全配慮義務違反など原告の主張をほぼ認める内容の和解案を示した。次回和解協議は24日。

 市の対応について、原告側代理人の鈴木泉弁護士は取材に「和解案は裁判所が双方の主張を踏まえて出したもの。今さら主張をする市に憤りを感じる」と話した。【井口慎太郎】

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2020年12月22日朝日新聞デジタル

体罰の根絶「原点に戻る」 市立尼崎高と桜宮高が連携へ

部活動での体罰が相次いで発覚した兵庫県尼崎市立尼崎高校が22日、同じく部活動での体罰が原因で8年前に生徒が自殺した大阪市立桜宮高校(同市都島区)と連携協定を結んだ。桜宮高校が進めてきた体罰・暴力行為を許さない取り組みを共有し、開かれた学校づくりを目指す。

市立尼崎高では、男子バレーボール部のコーチに顔をたたかれた部員が一時意識を失う体罰が、昨年5月に発覚。硬式野球部でも部長らによる体罰が明るみに出た。両部の指導者や校長ら教職員計6人が懲戒処分(停職や減給)された。

一方、桜宮高では2012年12月、バスケットボール部の主将だった男子生徒(当時17)が顧問(懲戒免職)から体罰を受けて自殺。顧問は暴行と傷害の罪での有罪が確定した。両校とも部活動が盛んで、勝利至上主義など重なる部分が多かったとされる。

桜宮高では自殺問題後、生徒が自主的に考え、教員らが生徒の意見を聞きながら言葉でコミュニケーションを図る「プレーヤーズファースト(選手第一主義)」を進めてきた。市立尼崎高はそうしたノウハウを取り入れ、互いの施設利用や教員・生徒の交流なども通じて刺激し合う方針だ。

今回の協定は、自殺問題後に大阪市教育委員会の顧問に就任して部活動改革に関わり、その後、尼崎市教委顧問となった元全日本女子バレーボール監督の柳本晶一氏の呼びかけで実現した。桜宮高の男子生徒が自ら命を絶ってから今月23日で8年。柳本氏は22日の締結式で風化への懸念を示し、「7年目に尼崎で体罰が起きた。原点に戻り確認するべきだと思った」と話した。(中塚久美子)

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