法は生かされるか 天童・中1死亡と「いじめ防止法(上)第三者委設置
趣旨と裏腹「旧態依然」 市教委 遺族に示さず要綱策定

いじめを防ぐため国や自治体、学校の責務を定め、昨年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」。いじめの実態を隠蔽(いんぺい)しようとする教育現場
の体質改善がその背景にある。学校でのいじめに悩んでいた天童市の中学1年の女子生徒(12)が1月、山形新幹線にはねられて死亡した問題は発生から3ヵ月を迎える。同法施行後に起きた生徒の死亡といじめとの因果関係の調査は全国初とみられるが、法の趣旨とは裏腹に学校と遺族は信頼関係を築けていない。

いじめにより生命、心身、財産に重大な被害が生じた疑いがある場合、事実解明に当たる公平、中立な調査組織、いわゆる第三者委員会の設置を同法は規定している。
この点で市教委の動きは速かった。女子生徒がいじめに遭っていたと記したノートを市教委が確認したのは1月15日。学校は同日放課後に全校生アンケートを実施。16日夜、学校で遺族に示した結果では、100人以上が伝聞を含めいじめの存在に言及、13人が具体的な記述をしていた。動揺する両親に学校は第三者委員会の設置を打診した。「設置の了承は得た」(市教委)と、17日には設置要綱を告示。わずか3日で要綱はまとめられ、設置が決まった。
しかし、遺族が要綱の内容を知らされたのは告示から数週間後の2月中旬だった。後の市議会で遺族の合
意を得ずに策定されたことが明りかになると、市教委は同法(第28条)が速な設置を規定を根拠にし、「県が示したひな型に従った」と釈明した。

市教委が遺族に委員会設置を打診した際、要綱は示さなかったが、4人の委員候補を提案していた。対応の早さに戸惑った遺族「持ち帰り考えたい」と委員の了承は保留した。委員候補の中には市の法律相談員の弁護士など、遺族にとつては市に近い立場と映る人物もいた。

2月18日付で市教委各市議に1枚の報告書が配布された。第三者委員会関し「委員確定後も(委員名の)公表は当面差し控える」と明記されていた。他県のケースでは、委員確定の段階で所属団体、個人名が公表されている。市教委の対応は市民の目で委員会の公平、中立性を担保するという全国の流れに逆行している。
遺族側は先月28日、要綱に思いが反映されていないことを不服とし、全面的な見直しを市教委にあらためて要望した。
いじめによっていくつもの命が失われたことを受け、いじめ防止対策推進法は施行された。とりわけ、滋賀県大津市で中2男子が自殺したケースでは教育現場の悪質な隠蔽(いんぺい)が問題となり、保護者の立場、心情を尊重することが基本方針に盛り込まれた。
「日本の学校はあの時から変わったと実感できるまで行方を見守りたい」。法成立後に大津の中2男子の父親(48)は語った。しかし今、この父親は天童のケースを見てがくぜんとしている。「子どもを失い深く落ち込む遺族が、事実究明や配学校との対応でさらに苦悩することがないように法ができた。学校や教育委員会は旧態依然とし、何も変わっていない」。

いじめ防止対策推進法(抜粋)
第28条
学校の設置者または学校は重大事態に対処し、同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに当該学校の設置者または学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の方法により当該重大事態を明確にするための調査を行うものとする
付帯決議(衆議院)
重大事態の対処に当たっては、いじめを受
けた児童やその保護者からの申し立てがあっ
たときは、適切かつ真摯に対処すること

4月6日 山形新聞

——————————————————————————–
この天童市教育委員会の対応は、東広島教育委員会の対応と同じである。
「星になった少年」のご両親は、平成24年11月23日に東広島市教育委員会より第三者委員会の設置を打診され、「星になった少年が、自死した経緯背景を明らかにする」、「とにかく丁寧に、包み隠さず、遺族の了解を得ながら進めていきたい」と市場学事課長兼教育調整監の説明を受け了承した。
この後、天童市と同じように市教委は遺族に示さず設置要綱を策定した。4日後の11月27日に設置要項は策定されていた。また、調査委員会のメンバーも公表されず、一方的に東広島教育委員会が選出し12月4日に調査委員会は設置され初回の会合が行われたた。
その結果、調査委員会はご遺族の質問に対し、不備な設置要綱を理由に回答をしなかった。

調査委員会の回答
■当委員会が、一方当事者からのみ質問を受理し、これに対して回答を行うことは、その公正性に疑義を生じ、且つその法的な義務は存在しない。
■当調査委員会の審議は非公開であり、分析・評価の基礎となったアンケートや聴取等の情報について、遺族に対しても原則非公開であること。従って、委員会の統一見解を構成する際等の心証形成過程についても、その根拠や過程を示す等の説明義務が生じることはなく、また、その理由開示の請求権が存在しないことは、遺族の一方当事者性からも導出できること。
■当調査委員会の所掌事務は、東広島市教育委員会教育長に報告することであって、遺族の質問に回答すること及びその了解を得ることが要件とはされていないこと。
■遺族へ質問の回答をすることもなく平成25年9月4日教育長へ報告書を提出

ご遺族は、東広島市藏田市長、東広島市議会、東広島教育委員会に対し、いじめ防止対策推進法に準じた再調査を求めているが、応じてもらえず、事実が明らかにならないままとなっている。
教育委員会・学校は、「星になった少年」の事件の捉えを公言しておらず、「隠蔽行為」を続けている。

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

アンケート開示を求めて訴え

3年前、出水市の女子中学生が死亡し、遺族がいじめを受けて自殺した可能性があるとしている問題で、遺族が、中学校が全校生徒を対象に行ったアンケートを出水市教育委員会が開示しないのは不当だとして、アンケートの開示を求める訴えを起こしました。
訴えを起こしたのは、平成23年9月、出水市で死亡した中学2年の女子生徒の祖父です。
訴えによりますと、祖父は、女子生徒が、同じ中学校の生徒によるいじめが原因で自殺した可能性があるとしています。
そのうえで、祖父は、遺族の要請に対して出水市教育委員会が、全校生徒を対象に行われたアンケートの結果を開示しなかったのは、「いたずらに個人情報保護を楯に説明を怠るようなことがあってはならない」とする国の方針に反しているとして、生徒の名前などを伏せたうえでアンケートを開示するよう求めています。
死亡した女子生徒の祖父は、記者会見で「孫の死の真相を明らかにすることは、こうした不幸な事件を繰り返さないことにつながると確信しています」と述べました。
これに対して、出水市教育委員会は、「訴状が届いていないのでコメントは差し控えます」としています。
04月04日 18時57分 (NHK WEB)

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

いじめ自殺の原因は「校長と担任」 遺族に賠償するのは「自治体」――なぜ違うのか?

児童が自殺した主な原因は、担任や校長の対応にある――。
群馬県桐生市で2010年に小学6年の女子児童が自殺、遺族が学校側に損害賠償を求めた裁判。前橋地裁は3月中旬、群馬県と桐生市に計450万円の賠償を命じる判決を下した。県と市は控訴した。
報道によると、前橋地裁は、女児が学校でいじめを受けていたと認定したうえで、「学校が孤立感や絶望感を解消するために動いてくれず、生きる意義を見いだせない状況に陥った」と指摘。担任や校長がいじめた児童への指導といった具体的措置をとらず「安全配慮義務を怠った」と判断したという。
今回、自殺の原因とされたのは「校長と担任の対応」だった。だが、判決で賠償を命じられたのは、校長や担任教諭ではなく、群馬県と桐生市だった。なぜ、県や市が賠償を命じられるのだろうか。児童の両親は直接、校長や担任に損害賠償を求めることはできないのだろうか。湯川二朗弁護士に聞いた。
●「国家賠償法」でルールが決まっている
「もし、こうした事件が私立の小学校で起きていたなら、学校はもちろんのこと、校長や担任も損害賠償請求の対象となります。
ところが、公立小学校となったとたん、県や市は責任を負うけれども、校長や担任は責任を負わないことになります。この違いが気になるのはわかります」なぜそうなるのだろうか。
「その理由は、国家賠償法に書いてあります。
国家賠償法1条1項は、公権力の行使に当たる公務、職務を行ううえで、不法行為をしたときには、国または公共団体がその損害を賠償する責めに任ずると定めています。
この規定があるため、公務員個人は、被害を受けた人に対する賠償責任を負わないと解されているのです」
つまり、被害を受けた人が公務員個人に直接賠償請求をすることは、できないわけだ。
●「国家賠償法」でルールが決まっている
一方でその場合、公務員個人は自らの不始末の責任、国や自治体にとってもらった格好となる。国などが被害者に支払ったお金を、返さなくてもいいのだろう。
「そういったケースで、公務員個人の責任は国や公共団体が公務員個人に求償したり、公務員法の懲戒により追及されることとなっています。ただし、公務員個人が求償責任を負うのは、『故意または重大な過失』があった場合に限られています(同条2項)」つまり、故意か重過失がなければ、公務員個人は、国からの求償請求も受けないわけだ。制度的にかなり手厚く守られているようだが、どうしてなのだろうか。
「公務員はそもそも、全体への奉仕者として、積極的に公益に貢献することが求められています。そのため、公務員は不満を持った人たちからの批判を受けがちになります。
もし、公務員が『個人責任を追及されるかもしれな』という懸念を抱き、適切な行動をためらうようなことになれば、かえって公益が阻害されるおそれがあります。
このことは、警察や消防、あるいは消費生活センターの商品事故情報の公表を考えれば、よく分かると思います」
●その行為は「公権力の行使」に当たるのか
たしかに、仕事で難しい判断を強いられ、それが裏目に出るたびに個人的な責任を追及されたら、働き続けるのは難しくなるだろう。
「しかし、たとえば私立学校と公立学校を比較した場合、教師という仕事の性質は、何ら変わりはありません。私立学校の教員が、個人責任の追及をおそれるあまり、教育活動に支障が出たという話は、私は聞いたことがありません。
そう考えると、どうして公立学校の教員だけが個人責任を免れるのか、という疑問は残ります。かえってその結果、児童や保護者に無責任な教育が行われているのではないか。そんな問いかけに、もう一度原点にかえって、向き合う必要もあると思います」公務員の中でも「教員は別」という扱いは可能なのだろうか。
「たとえば、国公立病院の医療行為は、私立病院と同じ取扱いを受けて、『公権力の行使には当たらない』とされています。公立学校における教育活動も、公権力の行使にあたらないと考える余地は、十分にあると思います」湯川弁護士はこのように話していた。学校でのいじめ問題のように、根深く難しい問題に取り組む際には、いったん最初に戻って、それぞれの「責任」について考えてみることも必要なのかもしれな
い。
2014年04月02日 19時24分
(弁護士ドットコム トピックス)

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

子ども自殺で方針「第三者機関設置し調査」

2月25日 18時05分(NHK WEB)

子どもが自殺したときの対応の在り方を検討してきた文部科学省の有識者会議は、体罰や進路の悩みなど、背景に学校生活との関係があるとみられる場合は、第三者機関を設けて詳しい調査を行うことなど方針をまとめました。
子どもの自殺を巡っては、去年、「いじめ防止対策推進法」が施行され、いじめが原因とみられる場合は第三者による調査機関を設けることなどが盛り込まれました。しかし、昨年度自殺した子ども196人のうち、いじめが背景にあるとされたのは6人で、状況が分からないケースが多いことから、いじめに限らず背景を明らかにし自殺を防いでいこうと文部科学省の有識者会議が検討を重ねてきました。
25日開かれた会議で方針がまとまり、すべてのケースで3日以内に学校が教職員から聞き取り調査を行うことや、体罰や進路の悩みなど学校生活との関係があるとみられる場合は教育委員会に第三者機関を設けて詳しく調べるとしています。
文部科学省はこの方針を掲載した手引きを作り全国の教育委員会や学校に配付することにしています。有識者会議の委員のひとり、兵庫教育大学の新井肇教授は「いじめが背景にないと分かると詳しく調べるのをやめてしまうのは良くないことで、きちんと調査し再発防止につなげて欲しい」と話していました。
——————————————————————————–
「星になった少年」の事件について調査委員会は、「当日の一連の指導以外に目立った介在事情は確認できず、指導と自死の関連性は明らか」と判断しているが、東広島市教育委員会は今だにこの事件の受け止めを公言していない
市教委は文部科学省に対し、「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」において、自殺の状況を「不明」と報告ご両親は、訂正報告を求めているが、学校・市教委は対応しないという。
児童生徒の自殺等に関する実態調査については、「自殺者等の発見の時点から、原則、おおむね1ヶ月後までに記入された調査票を速やかに、詳しい調査が行われる場合は、その結果が判明した後に速やかに提出する。」と報告期限が設けられているが、今だに報告されていない状況が続いている。

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

大津市に30万円賠償命令 いじめアンケート訴訟
2014/1/14 21:03 日本経済新聞

大津市の中2男子自殺で、学校が全生徒を対象に実施したアンケートの大部分が非開示とされるなどして精神的苦痛を受けたとして、生徒の父親(48)が市に100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大津地裁は14日、30万円の賠償を命じた。

市側は「自殺原因を知りたいという遺族の痛切な心情を損なった」として責任を認め、賠償額が争点だった。長谷部幸弥裁判長は「遺族は原因調査を事実上、不可能とされ、精神的苦痛を受けた。慰謝するには30万円が相当」と指摘した。

判決によると、学校は2011年10月の生徒の自殺後にアンケートを実施。外部に漏らさないとする確約書を結ばせ、個人名を黒塗りした結果を父親に渡した。父親は真相に迫るためには制約なしに利用する必要があるとして、条例に基づき情報公開請求したが、市は同年12月、ほとんどを非開示とした。

長谷部裁判長は、アンケート利用について「一定の制約はやむを得ないが、一切禁止する必要はない。遺族の希望に配慮すべきだった」と指摘。公開請求に対する処分も違法とした。

判決後、大津市内で記者会見した父親は「いじめに関するアンケートの開示を後押しする画期的な判決。遺族の知る権利にとって大きな第一歩だ」と評価。越直美市長は取材に「判決内容は適正だ。二度とこのようなことがないよう徹底したい」と述べた。

父親は「いじめが自殺の原因」として、市や加害者とされる生徒らに約7700万円の賠償を求めて提訴し、大津地裁で係争中。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG14056_U4A110C1CC1000/
——————————————————————————–
[星になった少年]のご両親も当日の指導記録、生徒のアンケート(第1回~3回)他多数の開示請求を東広島市に行っているが、東広島市教育委員会は、その多くを黒塗りどころか全てを非開示とする処分を行っている。ご両親は、不服申し立てを行い審査会で審議が続いている。東広島市の行為も違法行為ではないのか・・・。

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn