平成29年12月24日神戸新聞

加古川中2自殺いじめ認定 遺族のコメント全文

加古川いじめ認定

中2いじめ自殺に関する会見が開かれた加古川市役所=23日午後、加古川市加古川町北在家(撮影・辰巳直之)

昨年9月、兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)が自殺した問題で、加古川市教育委員会が設置した第三者委員会

の報告書について、遺族が文書でコメントした。全文は次の通り。

あれから1年3カ月と月日はたちますが、私たち家族は、娘を亡くした絶望から、平穏な日常はありませんでした。

あの日より時間は止まったままで、地獄の日々を何とか耐えるのが精いっぱいでした。直後の学校側の言動・行動に不信感を抱いた私たちは、自分たちの力で真実を解明する強い決意と、それによる娘の名誉の回復のために命を懸ける思いで、私たちだけで、解明するために一つ一つの作業を、悲しみに苦しみに耐えながらやっておりましたが、学校というあまりにも大きな組織が立ちはだかって、力のない私たちには太刀打ちできないものだということが分かりました。

このような状況から、第三者委員会に頼らなければなりませんでした。この報告書を拝見しましたが、その内容はいろんな意味で光明を見いだす画期的な内容だと思います。

委員会の先生方は長期間にわたり粉骨砕身の調査と尽力・労力、そして娘の名誉回復に注力をしていただき、本当に感謝をしております。そして何よりも生徒たちが真剣に事案と向き合い勇気を持って真実を語ってくれたこと、そして理解をしていただいた保護者の皆さまの協力がなければ真実の解明ができなかったと思います。本当に感謝を申し上げる気持ちでいっぱいです。

報告書では、学校側の事後の対応について書かれていますが、私には娘の自死の原因を別の要因にすり替えようとしているとしか考えられませんでした。このようにして事実がねじ伏せられるものだ、と正直思った次第です。学校だけに調査を任せていれば、他の原因もしくはいじめの実態すら明らかにされない報告書になっていたかもしれません。私たちを救ってくれたのは、生徒たちであり、理解していただいた保護者の皆さまだったと思っています。

報告書に書かれた学校はどうでしょうか。事案と真剣に向き合った生徒たちに比べ、生前の娘に関わっていた教師たちは、いじめではないかという疑いすらないまま、単なるトラブルとして片付けたり、娘がアセスアンケートに託した「いじめによって絶望の中にいる」というシグナルを無視したりしたのでした。私たちが、この娘のアセスアンケートの存在を知ったのは、第三者委員会の調査です。

それまでは担任からも一切知らされませんでした。

自死の原因をすり替えようとした学校の対応に関しては決して許されるべきものではありませんし、アセスアンケートも隠ぺいするなどした学校に対し強い不信感とともに憤りを持っています。報告書を見る限り、娘は学校に殺されたものと同然と考えています。

なぜ、娘が生きているときに、娘の情報を私たち親に流してくれなかったのかと思うと悔しくてなりません。

また、少なくとも、学校が娘のことを全生徒に説明した後には、いじめ実態を確認できたはずです。その事実をなぜいち早く私たちに知らせてくれなかったのでしょうか。そして、いじめを見逃したことについて謝罪ができなかったのでしょうか。こうした学校の姿勢を実際に見た私たちは、学校が本当に事実に向き合おうとしたのかと不信を持たざるをえませんでした。学校としてあるいは教員として、教え子が亡くなったことに対し、どう思っているのか? 私たちは学校に裏切られ続けたとしか思えません。事案発生後学校から一切の謝罪はありませんし、今となっては、私たちは、謝罪されても受け入れるはずもないのです。

加害者・加担者に対しては、何らの情報もなく、現在語るべきではないものと判断しコメントは申し上げることはありません。

繰り返しますが、この報告書は、事実をねじ曲げようとした学校に対し、生徒たちおよびその保護者そして第三者委員会の専心の思いで娘の名誉回復につなげた調査結果だったと思っています。また、全国の類似案件で苦境に追い込まれているご遺族の一助になるのではないかと考えています。

教育委員会および学校・教師はこの報告書をどのように受け取っているのか、あるべき姿についてどのように考えているのか、子どもの命を預かっていることを理解しているのか、と問いたい気持ちです。学校・教師だけでなく、教育委員会こそが改善しないとこの学校の未来はないものと思います。

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平成28年12月27日 神戸新聞 

いじめ問題調査のため開かれた加古川市教委の第三者委員会初会合=23日、加古川市役所

いじめ問題調査のため開かれた加古川市教委の第三者委員会初会合=23日、加古川市役所

  神戸市と加古川市の中学生自殺をめぐり、両市の第三者委員会がいじめの疑いについて調査している問題で、前年度までに実施されたいじめの有無や悩みに関する生徒アンケートが保管されていないことが26日、分かった。

国は保管期限を定めていないが、有識者からは「自殺予防や事後検証のため、少なくとも卒業までは原本を残しておくべきだ」との批判も出ている。(上田勇紀、小林隆宏、土井秀人)

 神戸市垂水区で10月、市立中3年の女子生徒=当時(14)=が川で倒れているのが見つかった。首をつって自殺したとみられ、第三者委がいじめの有無や自殺との関連を調べている。

 市教育委員会によると、同校は学期ごとに、生徒に生活状況のアンケートを実施している。ところが、この女子生徒の学年で保管されていたのは、3年時の結果だけで、1、2年時の分は学校が学期ごとに廃棄していた。

市教委は「問題のある記述は教員が記録するなどして把握している。第三者委の調査であらためて生徒にアンケートもしており、支障はない」とする。

 また、加古川市で9月、市立中2年の女子生徒=当時(14)=が自殺し、いじめが疑われる事案でも、学校が1年時のアンケート結果を廃棄。同市教委は「問題のある記述は記録し、保存している」としつつ、原本の保管について「スペースが限られ、物理的に難しい」と説明する。

 一方、宝塚市で今月、市立中2年の女子生徒=当時(14)=が自殺したとみられる事案について同市教委は「1年時のアンケート結果を保管しているかどうか不明」としている。

 文部科学省によると、アンケート結果の保管に統一ルールはない。2011年、中2男子生徒がいじめを苦に自殺した大津市も「保管期限は各校に委ねている」とする。

 同市第三者委の副委員長を務めた兵庫県弁護士会の渡部吉泰弁護士は「原本があれば当時の対応を検証できるが、『問題がなかったので破棄した』と説明されても証明できない。卒業まで蓄積しておけば変化を捉え、問題の早期発見にもつながる」と指摘。「各校が保管期限を判断すること自体おかしい」と話す。

 神戸市垂水区の女子生徒の母親は、亡くなった背景にいじめがあったと訴えており、「後から見返して気付くこともあるはず。1、2年分も残しておいてほしかった」と話す。

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平成28年12月24日 神戸新聞 

 今年9月、加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、有識者らがいじめの有無などを調査する第三者委員会が23日、同市役所で初会合を開いた。非公開で行われ、弁護士や精神科医ら委員5人が経緯の説明を受けた。次回から学校の調査内容を確認する。

 委員長に選ばれた臨床心理士で神戸大の吉田圭吾教授(57)は会議後に会見し「亡くなった生徒のためにも、何があったのか真実を解明する」と述べた。

 女子生徒は自宅近くで自殺を図り、約1週間後に死亡。自宅から、いじめがあったことをほのめかすメモが見つかり、市教委は11月、いじめ防止対策推進法に基づき、第三者委を設置した。

 次回会合は来年1月14日に開く予定。(小林隆宏)

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平成28年11月19日 神戸新聞

女子中学生いじめ自殺か 加古川、県内初の第三者委 

女子生徒が自殺した経緯を説明する加古川市教育委員会幹部=加古川市役所

女子生徒が自殺した経緯を説明する加古川市教育委員会幹部=加古川市役所  

 兵庫県の加古川市教育委員会は18日、市立中学校2年の女子生徒(14)が9月に自殺していたことを明らかにした。いじめが疑われるため、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態と判断し、同日、調査のため、市いじめ問題対策委員会を設置した。

 兵庫県教育委員会によると、2013年9月に同法が施行された後、県内の公立学校でいじめを調べる第三者委員会が立ち上がったのは初という。

 市教委によると、女子生徒は9月12日午前7時ごろ、通学途中に自宅近くで自殺を図り、同月20日早朝に亡くなった。学校でのいじめをほのめかすようなメモが自宅で見つかり、父親が市教委に連絡。

市教委は同校の全教職員と女子生徒の友人1人に聞き取り調査をした。学級担任や部活動の顧問は「特に変わった様子はなかった」と話したという。

 生徒らへの自殺の公表を両親が希望しなかったため、市教委は聞き取り調査を中断。四十九日が過ぎ両親が公表を承諾し、詳細な調査に向けて対策委を設置した。

 見つかったメモについて、市教委は「詩のような表現でどのようにも読み取れるが、いじめがあったと受け取れる内容」とし「両親も女子生徒がいじめの被害者ではないかと考えている」と説明している。

 9月上旬に学校が行った生活アンケートで、亡くなった女子生徒は「悩みはない」と記し、同月下旬の「いじめ相談シート」による調査でもいじめは確認できなかったという。

 第三者委員会は、弁護士▽精神科医▽臨床心理士▽社会福祉士▽学識経験者-の5人。年内の初会合を目指し、調整している。

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