2021年1月4日付 神戸新聞NEXT

加古川・中2自殺 部活動顧問らいじめメモ隠蔽か

兵庫県加古川市で2016年に市立中2年の女子生徒=当時(14)=がいじめを苦に自殺する約1年前、いじめの存在を示すメモを部活動の顧問らがシュレッダーで破棄していたことが3日、関係者への取材で分かった。顧問らは経緯を調べた第三者委員会に「紛失した」と答えており、破棄したことを隠蔽(いんぺい)しようとした可能性がある。

生前の重要なSOSが消され、その後の真相解明まで妨げた形だ。生徒の遺族が市に約7700万円の損害賠償を求め神戸地裁姫路支部に提訴したことも判明。「娘の尊厳をないがしろにされた」と訴えている。

関係者によると、18年6月、遺族が関係教員らに話を聞いた際に副顧問が破棄を認めた。17年度に赴任した現校長も同席していた。取材に対し顧問は「かなり前のことで答えられない」、現校長は「組織で動いているので個人で答えられることはない」と話した。市教育委員会は「訴訟中のため答えられない」としている。

提訴は昨年9月30日付。訴状などによると、15年夏ごろから女子生徒ら3人に他の部員が「うざい」と悪口を言うなど仲間外れが常態化。同11月、女子生徒は両親に「部活をやめたい」と訴え、両親は顧問に相談した。

同月、顧問と副顧問は部員を集め、メモ用紙を配布。いじめの内容を書くよう指示した。確認した顧問は「お互いさまだろ」と発言。部員同士のトラブルとの判断を受け、副顧問がメモをシュレッダーで破棄した。その後もいじめは続いた。

市教委が設置した第三者委は、報告書でいじめが自殺の原因と認定。顧問らを「女子生徒に無力感という精神的打撃を与えた」と批判した。

遺族側は、自殺の約3カ月前に学校が実施したアンケートでも、女子生徒がいじめをうかがわせる回答をしたのに、学校が対応しなかったと主張。学校や市教委は生徒の死後もアンケートの存在を遺族に知らせず、遺族は第三者委の調査過程で聞かされたとしている。

当時の校長が18年11月に戒告の懲戒処分を受け、顧問は厳重注意。副顧問の処分はなかった。

【加古川の中2いじめ自殺】 2016年9月、加古川市立中2年の女子生徒=当時(14)=が自殺。いじめに悩んでいたというメモが自宅に残され、市教育委員会は第三者委員会を設置した。17年12月、第三者委は「自殺はいじめが原因」と認定。生徒がアンケートでいじめをうかがわせていたのに、学校は何も対応しなかったと指摘した。県教委は当時の校長を18年11月に戒告、2年次担任と学年主任は訓告、部活動顧問と1年次担任を厳重注意処分とした。

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平成30年11月21日付神戸新聞

加古川中2いじめ自殺 当時の校長を懲戒処分

加古川中2

会見する加古川市教委の(左から)大西隆博教育指導部長、山本照久教育指導部参事、神吉直哉学校教育課長=20日午後、加古川市役所

2016年9月、兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=がいじめを受け自殺した問題で、県教育委員会は20日、女子生徒が通っていた中学校の当時の校長(59)=現同市立小学校長=を戒告の懲戒処分にしたと発表した。女子生徒が亡くなった結果を重視したという。重大事態と認定されたいじめ問題を巡り、県教委が懲戒処分をしたのは初めて。

女子生徒へのいじめに気づかなかったとして、当時の担任と学年主任が訓告、部活顧問と1年時の担任は厳重注意。いずれも法律に基づく懲戒には当たらない内部処分となった。

この問題では、加古川市教委が重大事態と認定し、16年11月に第三者委員会を設置。17年12月に「生徒はいじめにより自殺に至った」とする報告書を発表した。

報告書は、女子生徒が亡くなる3カ月前のアンケートにいじめを示唆する書き込みをしたのに、学校側は見逃したと指摘。「この時点で気づいていれば、自殺は防げた」と結論付けた。1年時にも無視やからかいなどのいじめを受けたが、学校側は十分な対応を取らなかったとしている。

県教委は、報告書に基づき学校側の責任を検証。2年時の担任と学年主任は、16年6月に実施した学校生活アンケートで、「仲間外れを受けている」などいじめを示唆する女子生徒の回答を見過ごしたと指摘。1年時の担任は、生活ノートに記載されていた女子生徒のSOSを見逃し、部活顧問は、部活内のいじめ行為に対し、十分な対応を

取らなかったとした。

女子生徒の遺族代理人弁護士は「事前に気づいていれば自殺は防げた。かけがえのない命が失われている割に軽すぎる」と処分内容に疑問を投げ掛けた。

処分を受け、同市の田渕博之教育長は「教育委員会と全ての学校が子どもに寄り添った教育に全力を尽くし、信頼回復に努める」とのコメントを発表した。

(井上 駿、切貫滋巨)

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平成30年4月19日付神戸新聞

加古川いじめ自殺 再発防止へチェック機関設置へ

2016年9月、兵庫県の加古川市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が、いじめが原因で自殺した問題で、同市教育委員会は18日、市教委などが進める再発防止策の取り組みをチェックするため、外部の専門家による検証機関を設置する方針を明らかにした。市教委は「(女子生徒のいじめを調査した)

第三者委員会の提言を、全て実行する体制が整う」としている。

同日にあった同市議会常任委員会で公表した。5月の市議会定例会で関係する条例の改正案を提案する。

検証機関は「いじめ防止対策評価検証委員会(仮称)」。弁護士や臨床心理士、大学教授ら外部の専門家5人で構成し、議案が可決されれば6月中にも設置される。学期ごとに会合を開いて市教委から報告を受け、進捗状況などを確認。取り組みが不十分な場合に、市教委や学校に指導・勧告する権限も与えられる見通しという。

第三者委は、市長部局に検証機関を置くよう提言で求めていたが、市教委内に設置されることになった。

昨年12月の第三者委による提言を受け、市教委は再発防止に向けた「改善基本5か年計画」を策定。いじめの早期発見のため、全児童・生徒と年2回面談し、いじめの有無を問うアンケートを改良することなどを盛り込んだ。各小中学校は、計画に基づいて改善プログラムをつくり、4月から実施している。

(切貫滋巨)

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平成30年1月18日神戸新聞

いじめアンケート、保護者と共有せず 加古川市教委が方針

兵庫県加古川市立中学校2年の女子生徒=当時(14)=が2016年9月にいじめが原因で自殺した問題に関連し、同市教育委員会は17日、学校生活への適応状況を児童生徒に尋ねるアンケートについて、回答そのものは今後も保護者と共有しない方針を示した。「児童生徒が素直な気持ちを書いてくれなくなる可能性がある」ことなどを理由とした。

同市議会常任委員会で答弁した。

女子生徒は、アンケートで「友だちにからかわれたり、バカにされる」などの複数の項目に「あてはまる」と回答。

学校側は何も対応せず、保護者と面談した際にも回答内容を伝えていなかった。

常任委で、委員側が「保護者に回答を知らせておけば、一緒に対応できたのではないか。自分の子の回答も教えてもらえないのはなぜか」と質問。市教委側は「アンケート結果などを踏まえて、総合的に保護者に伝えている。数値だけが独り歩きする危険性もある」などと答えた。

また市教委は、第三者委員会からの提言を受け、いじめ早期対応などのための5カ年計画を1月中にも策定する方針を示した。各小中学校は3月末までに、計画に基づいたプログラムを作る。さらに全教職員約1400人を対象に臨時の研修会を開き、いじめの認識などを共有し、アンケートを適切に活用するよう指示していることも明らかにした。(切貫滋巨)

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平成30年1月10日朝日新聞神戸版

加古川いじめ自殺巡り小中アンケート再確認へ

加古川市立中学2年の女子生徒(当時14)が一昨年9月に自殺し、市教委が設置した第三者委員会がいじめが原因と認定した問題で、市内の全小中学校は、昨年11月に児童・生徒を対象に実施した学校生活アンケートの回答内容を改めて確認する。

市教委が9日から始まった新学期に先立ち、5日に全40校の校長に方針を伝えていた。

アンケートを巡っては、女子生徒がいじめをうかがわせる内容の回答をしていたのに学校側は対応しなかった、と第三者委が批判していた。市教委はこれを受け、アンケートのなかで女子生徒のような回答を見逃していないか、再発防止の観点から小中学校に再確認してもらう。近く市内の全教職員を対象に開かれる研修会で、回答を確認する方法などについて具体的に指示する。

アンケートは2013年度、いじめや不登校などをなくすために導入された。15年度からは6、11月の年2回、市内全校の小3~中3を対象に実施されている。友人や教師との関係、学習など学校生活全般にわたって34の質問があり、「あてはまる」から「あてはまらない」まで5段階の回答を選択する。

第三者委によると、この女子生徒は、自殺する3カ月前の16年6月に実施したアンケートで「からかわれたり、バカにされることがある」「友達にいやなことをされることがある」など複数の問いに、いじめをうかがわせる回答を選んでいた。その結果、女子生徒は友人との関係などで「要支援状態」だったにもかかわらず、当時の担任らは質問ごとにどんな回答をしていたかは確認せず、個別に事情を聴くこともなかったとされる。

第三者委の調査結果の発表を受けて昨年12月に会見した市教委は、「回答を見れば、いじめに気づき自殺を防げた可能性がある」と認めた。女子生徒の父親も公表したコメントの中で「アンケートに託した娘のシグナルを無視した」と学校側の対応を批判していた。

(中村尚徳)

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平成29年12月28日NHK神戸放送局

加古川中学生自殺市教委が再点検

去年9月に自殺した加古川市の女子中学生が、いじめを訴えていたのに学校側が対応していなかった問題で、市の教育委員会はすべての小中学校で行っている児童・生徒へのアンケートを再点検し、いじめをうかがわせる内容はないか確認する作業を始めました。 去年9月、加古川市の中学2年で当時14歳の女子生徒が登校途中に自殺を図って死亡し、市が設けた第三者委員会は、教諭や生徒への調査結果などから「自殺の原因はいじめだ」と認定しました。 このなかで第三者委員会は、女子生徒が中学1年生の頃から仲間はずれなどのいじめを受け、学校のアンケートにも「友だちから無視される」と訴えていたにもかかわらず、学校側が対応しなかったと指摘しました。 これを受けて加古川市教育委員会は、4年前から市内のすべての小中学校で行っている学校生活に関するアンケートを再点検する作業を始めました。 このアンケートは、対人関係や学習の状況などについて「あてはまる」「あてはまらない」などと5つの選択肢から回答するもので、教育委員会は対人関係で問題を抱えている可能性のある児童・生徒について過去にさかのぼってアンケートを検証し、いじめをうかがわせる内容はないか確認することにしています。 教育委員会は、「よりきめ細かな対応をすることで、再発防止に全力を挙げたい」としています。

http://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/2023953771.html

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平成29年12月27日神戸新聞

加古川・中2自殺 いじめアンケートの回答、再確認へ

加古川中2女子アンケート

いじめが原因で女子生徒が自殺した問題で、会見で頭を下げる田渕博之教育長(右から2人目)ら加古川市教育委員会の担当者ら

=23日午後、加古川市役所(撮影・辰巳直之)

加古川市立中学校2年の女子生徒=当時(14)=が昨年9月に自殺したのは、いじめが原因と第三者委員会が認定したことを受け、同市教育委員会は市内の全小中学校に対し、児童生徒へのアンケートの回答にいじめを示唆する内容がないかを、再確認するよう求める方針を決めた。

女子生徒は自殺を図る3カ月前、アンケートで「友だちにからかわれ、バカにされる」などと訴えていたが、学校側が対応していなかった。

アンケートは2013年度から小3~中3を対象に全校で実施。34項目の質問に「あてはまる」「あてはまらない」など5段階の選択肢から選んで回答する。「対人的適応」「学習的適応」などで数値化し、支援が必要かどうかを確認する。

女子生徒は「無視される」「仲間に入れてもらえない」など複数の項目に「あてはまる」と回答し、いじめを強く示唆していた。女子生徒のクラスの回答は、副担任が入力。担任は数値だけを見て実際の回答は確認しておらず、同市教委は「アンケートはいじめ発見のツールではない」と釈明していた。(切貫滋巨)

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平成29年12月26日読売新聞夕刊

「スクールカースト」の構図、中2自殺の背景に

兵庫県加古川市の市立中学2年の女子生徒(当時14歳)が昨年9月にいじめが原因で自殺した問題で、市教委が設置した第三者委員会は、クラスの生徒間で序列ができる「スクールカースト」の構図が、いじめの背景にあったことを指摘した。

担任ら学校側がこの構図の重要性を認識していなかったことが、女子生徒からのいじめの訴えを見過ごす要因だった可能性が高いという。

遺族側代理人の弁護士が明らかにした報告書の一部によると、1年生の時、女子生徒のニックネームをクラスのムードメーカーが繰り返しからかい、クラス内では、女子生徒に関わると同様にからかわれるのではないかという空気ができた。3学期になると、女子生徒はクラス内で無視され完全に孤立。無料通話アプリ「LINE」には、クラスメートが女子生徒を後ろから撮影した写真とニックネームがアップされた。部活動でも悪口を言われた。

報告書では、こうした日常的ないじめで自己否定感を強め、対人関係の極度な不安定さやいじめへの脆弱性が形成されていったとしている。

クラス替えした2年でも、別の生徒からの嫌がらせが続き、発言力のあるグループから無視されたり、からかわれたりした。

この間、女子生徒は担任と学校生活の悩みなどをやりとりする「生徒ノート」に、「きつい」「しんどい」などと書き、学校生活アンケートでもいじめに悩む様子をうかがわせる回答をしたが、学校側はいじめを認識せず、対応することはなかった。

第三者委はいじめ防止のために「スクールカーストの概念を理解して教室運営にあたるべきだ」と提言。吉田圭吾委員長は記者会見で「スクールカーストでは、発言力があり、面白くクラスを盛り上げる生徒の地位が高くなる。そういう生徒がいじめる側に回ると、誰も逆らえないという流れができ、教師からいじめが見えにくくなるのが特徴だ。地位が高い生徒こそ、いじめる側ではないかという視点が必要だ」と話した。

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平成29年12月26日毎日新聞

福島・中1自殺 いじめ定義、教員知らず 第三者委報告

福島県須賀川市で1月に市立中1年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、市教委が設置した第三者委員会は25日、自殺といじめの因果関係を認め、一部の教職員が「いじめ防止対策推進法」が定めるいじめの定義を理解していなかったことを明らかにした。この結果、いじめを「からかい」と軽視したり、多忙な同僚に迷惑を掛けまいと学校ぐるみの対処を見合わせたりして、問題を深刻化させたと指摘した。

市教委によると、男子生徒は1月27日、自宅で首をつって自殺した。遺書などは確認されておらず、自殺の前日も登校していた。

第三者委(委員長・笠間善裕弁護士)は3月以降、教職員や生徒らから聞き取り調査を実施。その結果、男子生徒は学習面を中心に学校になじめず、ストレスを抱える状況の中、クラス内で男子生徒に触れると「菌」がつくといじめられたり、部活動でも「ゴミ〇〇」と呼ばれたりしていたことを把握した。

一方、学校は昨年7月の校内アンケートや同11月の三者面談などで男子生徒から3回にわたり「からかわれたりばかにされたりする」などの訴えを受けていた。関与したとされる生徒に指導し、いじめは解消されたと判断していた。

しかし、実際は一部の教員がいじめ防止対策推進法にある定義(心理・物理的な影響を与える行為で、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じるもの)を理解していなかった。第三者委は「単なる『からかい』であり『いじめ』ではないと事態を軽視する教員が一定程度存在した」と指摘し、自殺は「いじめが大きな一因」と結論付けた。

この中学ではいじめを確認した場合、校長らでつくる常設の対策委員会に報告し、学校ぐるみで対処するルール。だが自殺した男子生徒の場合、1年生の担当教員らでつくる「学年会」での協議にとどまり、対策委には個別の対処でいじめは解消したと事後報告しただけだった。第三者委に担任は「自分のクラスのことで学校全体に迷惑を掛けたくなかった」という趣旨の説明をしたという。

ただ、学年会も週1回45分で、いじめに十分に対応できなかった。また第三者委が、対策委も兼ねる生徒指導委員会の記録を調べると、不登校についての議論が多い一方で、いじめについての議論は少なかったという。

笠間委員長は「教職員に対する負担が重すぎるのではないか。マンパワーが不足している」と指摘した。

教育評論家の尾木直樹氏も「教員は部活動や書類作成などで忙しく、子どもと向き合えない状態が続いている」としつつ、「いじめの定義を知らないのは言語道断だ。命に関わるいじめへの対処は最優先事項で、授業数を減らし教員に余裕を持たせる必要もある」と述べた。【曽根田和久、宮崎稔樹】

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平成29年12月24日朝日新聞

加古川中2女子自殺、第三者委が「いじめ原因」と認定

加古川中2女子

中学2年生女子の自殺原因を「いじめ」と認定した加古川市いじめ問題対策委員会の報告書(概要版)

兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒(当時14)が昨年9月に自殺し、市教育委員会が設けた第三者委員会は23日、いじめが自殺の原因だったと認定する調査結果を発表した。女子生徒がいじめを訴え、学校が把握する機会が何度もあったのに、何も対応しなかったことが自殺につながったと結論づけた。

女子生徒は昨年9月12日に自殺を図り、8日後に死亡。自宅から「いじめ」をほのめかすメモが見つかった。市教委はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」ととらえ、弁護士らによる第三者委を設置。第三者委は女子生徒の遺族や同級生、教職員への聞き取り調査などを実施した。

第三者委によると、女子生徒は中学1年生の時からクラス内や部活動で無視や仲間はずれ、嫌がるあだ名で呼ばれるなどのいじめを受けた。1年生の2学期、部活動で一緒にいじめられていた別の生徒の保護者がいじめを訴えたが、顧問は生徒同士のトラブル(けんか)と判断し、教職員間で共有されなかった。すると、1年生の3学期ごろからいじめがさらに激化し、2年生になっても続いた。

2年生の6月に実施された学校生活アンケートで、女子生徒がいじめられている旨の回答をしたが、学校はいじめと認識せず、何も対応しなかったという。

第三者委の非公表部分を含む調査報告書を読んだ遺族の代理人弁護士によると、アンケート結果について、中学2年の担任は部活内でのトラブルが原因と考えていたといい、学年主任も対策を指示していなかったという。

第三者委は調査報告書で「(アンケート時点で)学校が対応していれば、自死(自殺)行為をせずにすんだと考えるのが合理的」と指摘。いじめの理解と認識が教職員間で共有されず、組織的に対応されなかったなどの問題があると厳しく指摘した上で、市教委に改善のための全市的な5年計画の策定などを求めた。

女子生徒の父親は代理人の弁護士を通じて「学校への不信は今も極限状態」としつつ、第三者委の調査結果について「いろんな意味で光明を見いだす画期的な内容だと思います。本当に感謝をしております」とコメントした。市教委の田渕博之教育長は会見で「尊い命が失われたことを極めて重く受け止めています。第三者委の提言を真摯に受け止めます」と話した。(中村尚徳、高橋孝二)

 

加古川市の女子生徒が亡くなった経緯

2015年度(中学1年)

2学期 一緒にいじめられていた生徒の保護者がいじめを訴えたが学校はトラブルと判断

3学期 いじめが最もひどくなる。からかいのターゲットにされ、クラス内で孤立化

2016年度(中学2年)

6月 女子生徒が学校生活アンケートでいじめられている旨の回答。学校は対応せず

9月 女子生徒が自死

11月 市教委が第三者委員会を設置

2017年度

12月 第三者委が調査報告書をまとめる

(※第三者委の調査報告書から)

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