令和元年6月13日東京新聞

係争中で答えられない」川口市立中いじめ問題  市議会一般質問「責任持って」と母親

 川口市の市立中学校でいじめに遭った元男子生徒(16)が市を提訴した問題で十二日、市議会六月定例会の一般質問で初めてこの問題が取り上げられた。文書開示に関する判断や対応の遅れなどが問われたが、市教育委員会は「係争中のため答えられない」などとする答弁に終始。元生徒の母親は「係争中でも、責任を持って答弁する必要がある」と市教委の対応を批判している。 (森雅貴)

 いじめ問題を質問したのは碇(いかり)康雄市議(川口新風会)。元生徒が市の条例に基づき、いじめに関する記録の開示を請求したが、市教委が一部しか開示しなかった理由などを尋ねた。

 市教委の山田浩一学校教育部長は「当時は第三者委員会の審査中であったことから部分開示とした」と説明。いじめの原因については「係争中のため、法的な場を通して説明していく」と述べるにとどまった。

 また、碇市議は、訴訟で市教委が新たに開示して元生徒に送付したと説明した文書などが、十二日現在も元生徒に届いていない問題で、なぜ文書を直接渡さずに郵送したかも質問。山田部長は「確実に届けるため郵送した」と述べたが、議場からは「手渡しの方が確実だ」とのヤジが飛んだ。

 いじめ防止対策推進法は、いじめに関する調査結果など必要な情報を被害者の児童・生徒と保護者へ適切に提出することを定めている。

 閉会後、元生徒の母親は、情報を出さない市教委の姿勢に不満を示した。これまで市議会で取り上げられなかった点についても「憤りを感じる」とし「いじめ問題の重要性を理解してもらいたい」と話した。

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令和元年6月13日付東京新聞

市教委職員、情報漏らす 川口いじめ 第三者に調査内容

埼玉県川口市の市立中学校の元男子生徒(16)がいじめで不登校になった問題で、市教育委員会の男性職員が元生徒にかかわる情報を第三者の女性に漏らしていたことが十二日、関係者への取材で分かった。職員は本紙の取材に対し、情報を伝えたことを認めており、有識者は「教育公務員として信じられない行為」と問題視している。元生徒は、市がいじめに対して適切に対処しなかったなどとして裁判を起こしている。

女性によると、女性は職員が市教育研究所副所長だった二〇一八年四~十月の間、自分の子どもについて頻繁に相談していた。同年十月に電話で相談している中で、職員が突然、「担当の件ではないが」と前置きし、元生徒側と市教委の間のトラブルについて話し始めたという。これらのやりとりは音声データに残されており、職員は「一生懸命調べた」と発言し、元生徒のいじめへの市教委の対応について報道されていることは間違いだという趣旨を伝えていた。

職員は当初、本紙の取材に「記憶にない。事実なら地方公務員法違反に該当する」との認識を示していた。その後、音声の中で自分の名前が出ている部分があることが分かると、情報を伝えたことを認め「現時点でコメントできない」とした。

元生徒の母親によると、職員が語った内容は「事実と違う」という。「その職員とはその時点まで話したこともない。わざわざ市教委内部で調べ、うそを第三者に告げていたのはショックだ。とても許せない。相当の処分を期待する」と話した。

教育評論家の尾木直樹さんは「市教委の職員としてあきれた行為。市民の教育行政への信頼を失墜させ、不信感を抱かせる。背景や原因を徹底的に調べ、今後、市民に知らせる必要がある」と指摘している。 (森雅貴)

 

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平成31年2月14日付朝日新聞埼玉版

川口市、第三者委認定「いじめ」を一転否認

埼玉県川口市立中学校でいじめが原因で不登校になった元生徒(16)が、学校や市教育委員会の対応が不適切だったとして市に500万円の慰謝料を求めた訴訟の第4回口頭弁論が13日、さいたま地裁(岡部純子裁判長)で開かれた。市側は訴状の認否で、市教委が設置した第三者委員会が調査報告書でいじめと認定した行為を一転して否認する準備書面を提出した。

調査報告書は昨年3月、第三者委が生徒や教諭への聞き取り調査などから7行為をいじめと認定。「不登校はいじめが主因」とまとめた。これを受けて当時の学校教育部長も、記者会見で「学校の対応の遅れ、市教委の見通しの甘さなどすべてについて(元生徒側に)謝罪した」と話した。

訴状も報告書に基づき、7行為をいじめとした。しかし、市側はこの日の準備書面で、報告書でいじめと認定された、元生徒の自宅を他の生徒がスマートフォンで無断撮影してLINEにあげたことについて、「遊び」として否定するなど、7行為すべてについて一転いじめを否認した。

こうした市側の主張に元生徒側は反発。岡部裁判長は市側に対し、次回(5月15日)までにいじめを否認した根拠について説明するよう求めた。

市教委は「いじめ防止対策推進法のいじめの有無と、自治体相手の損害賠償での違法性(いじめの存在)の有無は異なると考えている」とコメントした。

元生徒の母親は「度重なる事実とは異なる主張が、どれほど子どもを傷つける行為か考えて欲しい」と話している。(堤恭太)

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平成31年1月30日東京新聞

川口 中学いじめ 被害者本人が記録請求 市教委、多数開示せず

 

埼玉県川口市の市立中学校でいじめに遭った元男子生徒(16)が、自分のいじめにかかわる情報の開示を市教育委員会に請求したところ、多数の文書が存在を明らかにしないまま開示されなかったことが分かった。元生徒は県教委にも開示を請求し、市教委作成の文書が出てきて判明した。情報公開の専門家は「市教委が文書を隠したとみられても仕方ない」

と指摘する。 (柏崎智子、森雅貴)

元男子生徒は入学まもなくからサッカー部で会員制交流サイト(SNS)で中傷されたり、Tシャツのえりを引っ張られ倒されるなどのいじめに遭った。二年生だった二〇一六年九月に自傷行為をして不登校に。学校や市教委は当初、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認めず、県教委や文部科学省の指導で一七年二月から第三者調査委員会を開催。

一八年三月、「いじめが不登校の原因」と報告書をまとめた。

学校や市教委に不信感があった元生徒は同年一月、いじめに関する全記録の開示を市教委に請求。五十四枚が開示されたが、三十二枚は元生徒や保護者が書いた経緯や手紙だった。いじめについて市教委が作成したのは、対応を時系列で列挙した文書など十四枚にとどまった。

資料が少ないと感じた元生徒側は一八年十一月、県教委へ、自分のいじめに関し市教委が提出した文書の開示を請求。今月、百三枚が開示され、市教委作成の文書は七十二枚に上った。いずれも市教委が開示したものと別の文書だった。

市教委指導課は取材に対し、「当時は調査委員会で審議中だった。調査委の会議は条例で非公開と定められ、調査・審議の対象になり得る文書は開示しなかった」と説明。しかし、いじめ防止法などでは、調査委は被害者側に適切に情報提供し、要望を聞きながら進めるよう求めている。

市教委は元生徒側に「調査委に関する文書は開示しない」と通知していたが、具体的にどんな文書が存在するか知らせていなかった。指導課は「普段のやり方で隠す意図はなかった」とし、開示制度を担当する市行政管理課も了承したと説明。一方、行政管理課は「もっと開示できる文書があるのではと指摘したが、最終決定は指導課」とした。

◆隠したように見える

<個人情報開示に詳しいNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長の話> こんなに異なる文書が別の機関から出てきたケースは、聞いたことがない。自分の情報の開示請求なので、できる限り開示するのが原則。県に提出した文書を本人に開示せず、文書名も伝えないのは、隠していたとみられても仕方ない。

川口市非開示

川口いじめ 市教委文書 「事実と異なる」母不信

 

川口市教委が開示せず、埼玉県教委への開示請求で出てきた文書=一部画像処理
 川口市非開示2

埼玉県川口市教育委員会がいじめに関する多数の文書を当事者の元男子中学生に開示しなかった問題で、県教委の開示で判明した市教委の文書の中には、いじめとして問題になった原因が保護者にあるかのように印象付ける記述が複数あった。元生徒の母親は「事実と異なることを県教委などへ報告していたから、開示しなかったのでは」と不信感を強めている。 (柏崎智子)

問題の記述があったのは、二〇一七年八月三十日付の「部外秘」とされた市教委指導課作成の文書。

いじめの概要と学校、市教委などの対応をまとめたもので、冒頭の「本事案の概要」に「二年生時の夏休みに、母親とサッカー部保護者との間でトラブルがあり(中略)これをきっかけに、母親が一年生時の事案をいじめであるとして学校に申し出た」と書かれていた。

しかし同じ文書の中で、元生徒が一年生の一学期に会員制交流サイト(SNS)で仲間外れにされた件では「一年生時の担任から、かかわる生徒全員が指導を受け」たと書いていた。

一年生の頃から学校がいじめを把握し対応していたとしており、記述が矛盾している。

また、市教委の対応では「母親に対して相当回数にわたり直接指導、学校訪問を行い、解決に向けた指導助言を行った」などと強調。不登校が長引いた原因が母親にあるかのような書きぶりが目立った。

文書を読んだ母親は「一年のころから学校に相談しており、二年になっていじめを申し出たというのはうそ。私と他の保護者との間でトラブルになったこともない。このような文書を基に第三者調査委員会も話し合ったのかと思うとショックだ」と話す。

また、不登校だった元生徒のため、カウンセラーの派遣や学習支援を市教委が提案しスケジュール案を示した保護者宛ての文書も新たに開示されたが、母親は「文書は見たことがなく、学習支援はほとんど実施されなかった。本人に届かない文書がなぜ県教委に提出されていたのか」と驚く。

指導課は取材に「いじめの件で元生徒側と係争中であり、文書の内容は裁判にかかわるため答えられない」とコメントした。元生徒は、学校や市教委の対応が不適切だったため不登校が長引いたとして、損害賠償を求め市を提訴している。

教育評論家の尾木直樹さんは「母親をいわゆる『モンスターペアレント』だと思わせ、たいしたいじめではないと見せようとする意図を感じる。第三者調査委員会は被害を受けた子どものために実施するものなのに、市教委の保身のためのよう。多数の文書を開示しなかったことも含め、職員の処分を検討するべきだ。放置すれば市長にも責任が及ぶ」と話している。

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平成30年11月23日読売新聞

中3自殺未遂で第三者委、母「何一つ説明ない」

埼玉県川口市立中学校3年の男子生徒(15)が入学当初からいじめを受け、2017年4月に飛び降り自殺を図った問題で、市教育委員会が20日、記者会見し、対応の経緯を説明した。市教委指導課の岩田直代課長は、生徒が3度目の自殺未遂をした約半年後の同年11月に第三者調査委員会を設置し、母親(43)に伝えたと説明。

しかし母親や生徒は「『第三者委員会』という言葉さえ言われたことがない」とするなど、複数の食い違いが生じている。

生徒は16年4月の入学当初からいじめを受け、同年9、10月の2度、自宅で首つり自殺を図ったほか、17年4月には自宅近くのマンション3階から飛び降り、左大腿骨頸部を骨折するなどの重傷を負い、現在車いすで生活している。

読売新聞のこれまでの取材に対し、母親は、最初の自殺未遂をする前の16年9月初めから、生徒が自分でいじめの内容を記した手紙数枚を担任らに渡していたと証言。

しかし岩田課長は「保護者が副担任に一括して手渡した。担任が『しっかり見守っていくので大丈夫。安心して来るように』と生徒に話した」と説明した。母親は、「連絡が来たことはない」としている。

また、市教委は最初の自殺未遂で重大事態として第三者調査委員会を設置しなかった理由について、「校内調査の結果、いじめの事案が確認できなかったため」と説明。

山田浩一学校教育部長は16年10月に2回目の自殺を図った後も、「複合的な原因が考えられた」として重大事態としなかったとした。

市教委は第三者調査委員会の委員が、埼玉学園大学教授で臨床心理士の小山望委員長ら3人であると公表。しかし、委員の氏名を生徒側に伝えていないことも明らかにした。理由について「本人や保護者への聞き取りが必要となる時期に説明することから非公開としていた」と述べた。

山田部長は会見で「結果は誠に遺憾で申し訳ない」と述べたが、「学校、市教委は最善の方法を考えて対策していた」と対応の不手際は認めなかった。

一方、生徒の母親は20日、コメントを発表。「市教委は同時期に別のいじめ問題でも、文部科学省や県教育委員会から繰り返し指導されていたにもかかわらず、息子の件は何も対応はしなかった。最初の自殺未遂から重大事態として第三者委員会で調査をしていれば、車いすで生活することもなかった」とこれまでの市教委などの対応を批判した。

第三者調査委員会についても、「設置したとされた日から1年以上たち、何一つ説明や報告もされない。不可解なことばかりなので、何を言っても信じることなどできない」と不信感をあらわにしている。

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平成30年11月10日付毎日新聞

長へ報告1年後 法律など違反の疑い

川口市の市立中学3年の男子生徒(15)が、いじめが原因で3回自殺を図り不登校になっている問題で、市教育委員会や学校がいじめ防止対策推進法や文部科学省のガイドラインに反する疑いがある対応をしていた。市長への報告が最初の自殺未遂から1年以上過ぎてからになるなどした一連の対応に生徒側は不信感を強め、専門家も批判している。【鴇沢哲雄】

母親(43)や市教委によると、生徒は2016年4月に入学。5月ごろから、同じサッカー部の同級生や先輩から仲間外れにされるなどのいじめを受けるようになった。

生徒は9月、いじめを訴える複数の手紙を担任教諭に提出。直後と翌10月の2回、自宅で自殺を図った。17年4月にマンションから飛び降りて重傷を負い、直後に学校はいじめを認めた。

生徒が16年9月に担任に渡した手紙には、仲間外れや無視、陰口など具体的ないじめの内容のほか、「ぼくは、生きてちゃだめなんだ」などと自殺を示唆するような記述もあった。しかし学校は同年11月、母親に「調査の結果、いじめは確認できなかった」と電話で伝えたという。

同法では、いじめで自殺や不登校など重大な被害が生じた疑いがある場合、学校は自治体の長に速やかに報告する義務がある。ところが、市教委が同法に基づく重大事態として市長に報告したのは1回目の自殺未遂から1年以上が過ぎた17年10月だった。

市教委は翌11月、事実関係を調査するため同法に基づく第三者委員会を設置したとしているが、委員の氏名を公表しないなど設置の明確な根拠を示していない。

ガイドラインでは被害者側の意向を踏まえた調査にするため、調査開始前に調査目的や委員の人選などの説明を義務付けているが、ガイドラインに反し生徒側に説明していなかった。

母親は「調査委を設置したことや議論の内容なども一切知らされていない。本当に調査委を設置していれば記録があり、すぐに説明できるはず。それをしないのでは、調査委の実態がないと考えるのが自然だ」と批判している。

 

教育評論家の尾木直樹さんの話

生徒が手紙でいじめを訴えているのに、いじめを認めないこと自体が重大で隠蔽だ。第三者委員会が被害者側の聞き取りをしなければ調査とはいえない。

文部科学省は(いじめとは言えない)学校内でのトラブルでも、被害者側の立場に立って聞き取りをするよう求めている。いじめをなくすためには、いじめを防止する視点で考えなければいけない。

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平成30年11月2日付毎日新聞

いじめ第三者委「秘密会」に 被害者に非通知

埼玉県川口市の市立中学3年の男子生徒(15)が、いじめが原因で3回自殺を図り、不登校になっている問題で、市教育委員会が昨年11月、いじめ防止対策推進法に基づく第三者委員会を設置しながら「秘密会」とし、当事者の生徒側に約1年間、設置を説明していない異例の事態となっている。生徒側は市への不信感を強め、文部科学省も市の対応

を疑問視している。

文科省のガイドラインでは、いじめが背景にあると疑われる自殺や不登校などの重大事態があった場合、第三者委を設置して調査するとともに、調査前に委員の人選や調査方法などを被害者側に説明するよう求めている。

男子生徒の母親(43)によると、生徒は2016年4月に入学し、5月ごろからサッカー部の同級生や先輩に悪口を言われたり仲間外れにされたりした。同年9月と10月に自宅で2度首をつって一時意識不明となり、昨年4月には自宅近くのマンションから飛び降りて重傷を負った。

生徒は最初の自殺未遂の前、いじめ被害を訴える手紙を担任教諭に渡したが、学校側は、いじめはないとする調査結果を母親に伝えた。学校側が、いじめを認めたのは、生徒が飛び降り自殺を図った直後だった。

市教委は昨年11月に第三者委を設置し、同月中に3回の会合を開いたとしている。だが、同月の市教委定例会会議録には、茂呂修平教育長の「個人情報を含む内容のため秘密会で行いたい」との発言が載っているだけで委員の名前などは記されていない。市教委は「大ごとにしたくないという生徒側の意向を踏まえた」というが、生徒側は否定している。

市教委は先月30日の定例会見で、委員は弁護士、医師、学識経験者の3人だと明かしたが、他のいじめ問題の第三者委では公表している委員の名前などは発表しなかった。

生徒側には今後説明するとしている。

母親は「委員会を設置したという説明もなく、息子への聞き取り調査も行われていない。これで、きちんとした調査ができるのか疑問だ」と批判。文科省児童生徒課は「第三者委の設置では、委員の選定や調査方法などについて家族とよく相談し、納得してもらう必要がある。市教委の対応は配慮が足りなかったと言わざるを得ない」と指摘した。【鴇沢哲雄】

 

「聞いたことない」

いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の小森美登里理事の話 第三者委員会を秘密会にするのは聞いたことがない。これでは調査自体の信頼性が疑われる。第三者委の設置を生徒側に説明していないなら、委員会をスタートさせてはいけない。

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平成30年10月31日付毎日新聞

自殺未遂3度の男子生徒 いじめ詳細、学校不信記す

 埼玉川口市自殺

男子生徒がいじめを訴えて学校に渡した手紙。加害生徒などの名前も書かれていた=鴇沢哲雄撮影

「ぼくは、サッカー部の友だちからいじめられている」--。いじめが原因で自殺未遂を3度繰り返した埼玉県川口市の市立中学の男子生徒(15)が、担任などにいじめを訴える手紙を提出していた。母親が毎日新聞に示した。いじめの詳細や自殺を示唆する記述があるにもかかわらず、学校は調査でいじめが確認できなかったなどと母親に

伝えたという。生徒や母親は学校などへの不信感を強めている。【鴇沢哲雄】

男子生徒は2016年4月の入学直後から同じサッカー部の同級生や先輩などからいじめを受け、同年9月と10月、17年4月の3回にわたり自殺を図った。手紙は5通で、最初の自殺未遂の直前にノートに書いていた。

1通目は9月1日付。加害生徒の名前を列記する一方、学校への不信感もつづっている。

「仲間はずれにされたり、むしされたり かげ口を聞こえるようにする。(中略)●(担任の実名)先生は小学校のときの校長先生と同じ。自分の事を守っていて ぼくの事はきくだけきいてほったらかしならきくな。やはりぼくは、生きてちゃだめなんだ」

翌2日は「ぼくはどこに行けばいいんだろう」と心の迷いをつづった。「母さんが言えないぼくのかわりに話しを先生にしたのに先生はぼくをみすてた。……母さんごめんなさい」

11日の手紙では、大きな字で「ぜったいゆるさない」と怒りの感情を記す一方、「この何日かでいなくなる方法を考える」と追い詰められた気持ちをつづっている。

「ぼくの教室がないからクラスも先生もいない。だからぼくは学校には行けない。弱くて何もいいかえせない自分がいけないし……母さんかなしくてつらい思いをさせてごめんなさい。ぼくは弱くてごめん」

翌12日の手紙は「今日は学校に行った」と書き出している。「学校に行ったけど、ぼくのクラスもない先生もいない学校に場所はない。こんなに学校に行きたいのに……」

5通目の15日の手紙は「ぼくの中のきずは、きえていない」で終えていた。「母さんが何ども先生にそうだんしてくれたけど先生たちは、しんけんに話しをきいてくれなかった。

ぼくは、●(学校名)中にいてはいけない この世にもいてはいけない。::本当は●(学校名)中にいって卒業したかった。ざんねん」

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平成30年10月26日付東京新聞

「くるしい…」絶望の日記 自殺未遂3回、川口の中3男子

文部科学省が二十五日に発表した全国の学校での二〇一七年度のいじめ認知件数が、過去最多を更新した。各地で続く、理不尽ないじめ。埼玉県川口市の市立中学校でいじめを受け、自殺未遂を三度繰り返した三年男子生徒(15)は、一年生からつづった日記を本紙に示した。いじめに向き合わない学校や市教育委員会への不満と絶望があふれている。車いす生活となった生徒は「学校は、僕のような子どもを増やさないで」と願っている。 (柏崎智子)

「ぼくは、サッカー部の友だちからいじめられている」(一六年九月一日)

男子生徒や母親によると、いじめは入学直後から始まった。悪口や仲間外れ、かばんが踏み付けられ、筆記用具を折られた。いじめる生徒や保護者と話したいと担任教師らに頼んだが実施されなかった。二学期に入り、生徒は日記のコピーを担任に渡した。口下手な生徒が出した精いっぱいのSOSだが、学校が解決に動く気配はなかった。五回目に渡した日記には、自宅へ電話してきた教頭に転校を勧められたと書き「ぼくはやっぱり中学校にいたら迷惑な生徒なんだな(中略)この世にもいてはいけない」とつづった。

九月十八日に「母さんごめんなさい」と書いた翌日、自室で首をつった。命は助かったが、不登校に。十月二十六日には「先生たちは何もしてくれない。口だけ。電話もない」と書き、再び自殺を図った。翌月、学校から「いじめアンケートをしたが、いじめはなかった」と電話があった。

母親は睡眠時間も削って見守ったが、生徒は二年生初日の一七年四月十日、発作的に近所のマンションから飛び降りた。頭や太ももなどを骨折する大けがをし、病院へ来た校長がやっと「いじめとして対応する」と母親に告げた。しかし、話し合いの場はなかなか実現しない。一八年三月、先輩の卒業が間近になり、男子生徒の焦りは募る。

「くるしいくるしいくるしいくるしい」「いじめられていた時から時間が止まってる」「先輩たちは卒業した これでいじめられたことは隠してごまかしてなかったことにされるんだ」

六月に学校がようやく話し合いの場をつくったが、出席者は当事者の一部だけ。ある保護者からは「自殺未遂を人のせいにするな」と暴言も受けた。

いじめを認めてもらい、相手と話し合い、学校へ安心して通える環境を取り戻すという生徒の望みはかなっていない。母親は「早く対応してくれれば、こんなに傷つかずに解決できたはず」と憤る。市教委は「第三者委員会を設置して検証している」とするが、母親は「委員会がどんなメンバーかなど、一切説明がない」と話している。

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 平成30年10月13日東京新聞

川口の中学生3度自殺未遂 母「早く動いてくれれば」

埼玉川口市いじめ

「いじめはまだ解決していない」と訴える男子生徒の母親=埼玉県川口市で

埼玉県川口市の市立中学校三年の男子生徒(14)が、入学当初からのいじめを苦に三度の自殺未遂を図っていた問題で、生徒の母親(43)が十二日、本紙の取材に応じた。

生徒は担任教師に助けを求めたが、対応されず、第三者調査委員会の設置も遅かった。母親は「学校や市教育委員会がもっと早く動いていれば、こんなことにならなかった」と憤った。

母親によると、男子生徒は入学間もない二〇一六年五月ごろから、所属するサッカー部の先輩や同級生ら十数人から仲間外れやからかい、暴言を受けるようになった。九月には、いじめの内容や加害生徒の名前を記し「助けてください」と訴える手紙を担任教諭に複数回、手渡した。だが、何の対応もなく、自宅で首つり自殺を図った。

その後も学校の動きは鈍く、男子生徒は十月、二度目の自殺を図った。二度目の自殺未遂を受け、学校はようやく無記名のいじめ調査をしたが、母親は教頭から電話で「いじめは認められなかった」と伝えられた。

一七年四月、男子生徒は自宅近くのマンションから飛び降り、頭や太ももなどの骨を折る大けがをし、車いす生活になった。市教委が、いじめ調査の第三者委員会を設置したのはその七カ月後。母親には知らされなかった。いじめ防止対策推進法では、自殺未遂など命にかかわる事案は「重大事態」とし、教育委員会は速やかに第三者委員会を設置しなければならない。

川口市教委の岩田直代指導課長は「学校に対応を任せたのと、男子生徒から事情を聴ける状態ではないと保護者から聞いていたので、設置が遅れた。設置の説明も担当がしたと聞いている」と説明している。

今年六月、学校で加害生徒から謝罪を受ける席が設けられ、いじめにかかわった生徒の半数ほどは謝罪し、関係は改善した。一方、その席で「自殺を他人のせいにするな」と非難する保護者もいたという。母親は「息子の望みは、いじめた生徒から謝罪をしてほしいだけなのに、かなえられない」と悔しさをにじませた。 (浅野有紀、柏崎智子)

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