大島商船高専学生自殺 新第三者委で再調査へ 遺族「同級生の卒業前に真実を」
令和2年8月31日付毎日新聞
2016年5月に自殺した大島商船高専(山口県周防大島町)の1年生男子学生(当時15歳)の遺族が30日、岩国市内で記者会見した。高専を運営する国立高専機構が、現在いじめの有無を調査している第三者委員会とは別に、新たに第三者委を設置して再調査する方針を決めたことを明らかにした。【大山典男】
男子学生は寮生で16年5月21日未明、寮を出て校舎から飛び降りて亡くなった。遺書は確認されず、学校側は17年3月に「自殺の原因は不明」とする調査報告書をまとめたが、遺族が第三者委の設置を要請。弁護士や大学教授らによる第三者委が18年6月に初会合を開き、調査を続けてきた。しかし、遺族側は20年6月、調査開始から2年が経過しても結果が出ていないなどとして、新たな第三者委を設置し再調査するよう求めていた。
遺族側によると、現在の第三者委は報告書を10月中旬までにまとめる見通し。これに対して遺族側が報告書の疑問点や問題点を指摘した上で、新たな第三者委が資料などを引き継ぎ、再調査に着手する予定だ。新たな第三者委は委員3人程度で、人選に当たっては遺族の意見を聞くという。
機構側は、男子学生の同級生が卒業する21年9月までに再調査を終えたいとしているという。男子学生の母親は記者会見で「月日がたつにつれ、息子がどんな思いでいたのか、どうして追い詰められたのか、息子のためにも真実を知りたいとの気持ちが強くなった。同級生が卒業する前に1カ月でも2カ月でも早く真実を示してほしい」と述べた。