平成30年6月29日 朝日新聞山口版

2年前の学生自殺を新任校長が再調査「いじめの可能性」

山口県周防大島町の大島商船高専で2016年5月、1年生の男子学生(当時15)が校舎から飛び降りて自殺した問題で、同校の福田勝哉校長は28日会見し、男子学生がいじめられていた可能性があるとの認識を示した。

同校は男子学生の自殺後、同級生らへの聞き取りやアンケートから、17年6月に「いじめはなく、自殺の原因は不明」と結論付けた。遺族は第三者委員会による調査を要求。弁護士や大学院教授による第三者委が6月に調査を始めた。

これに合わせ、4月に赴任した福田校長らが学校の調査結果を調べ直したところ、男子学生が校内で複数回「殺人鬼」と呼ばれていたとの記述に行き当たり、「いじめに該当する可能性がある」と判断を改めた。福田校長はいじめと自殺との因果関係について、第三者委の調査に判断を委ねるとの考えも示した。(藤牧幸一)

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平成30年6月11日付朝日新聞山口版

第三者委が初会合 大島商船の「いじめ自殺」問題

 大島商船調査委

会合終了後、報道陣の取材に応じる平谷優子委員長(中央)ら第三者委のメンバー=10日午後6時0分、大島商船高専

大島商船高専(周防大島町)で2016年、1年生の男子学生(当時15)が自殺した問題で、いじめの有無などを調べる第三者委員会の初会合が10日、同校であった。

委員長に就いた平谷優子弁護士は「ご遺族に考え方を説明しながら、調査を進めていきたい」と話した。第三者委は計3人で、ほかに委員を務めるのは、内田喜久弁護士、西山久子・福岡教育大大学院教授。

男子学生の自殺について、同校は同級生らに聞き取り調査などをした結果、「いじめはなく、自殺の原因は不明」と結論づけて、昨年3月に遺族に報告。しかし、遺族は学校側の調査が不十分だったとして、第三者委の設置を求めていた。

初会合では、これまでの学校側の調査結果を確認し、今後の調査方法を検討した。今後はいじめの有無や自殺の背景を調べるほか、学校の対応についても評価や提言をするという。

男子学生の自殺から2年。平谷委員長は会合後、「どこまで事実に迫れるか、悩みもある。時間をかけてでも、きちんと調査すべきものはしないといけない」と話した。同校には、別の男子学生に対するいじめを調査する第三者委も設置されている。どう連携するのかについて、「時期や生活環境が似ていることから、関わりを持つことはある」

と語った。(藤牧幸一)

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平成30年5月21日付毎日新聞

「真実明らかにして」第三者委が初会合へ

大島商船調査委1

学生の自殺を巡り、いじめの有無を調査する第三者委員会が立ち上がった大島商船高専=山口県周防大島町で2018年5月17日午後0時21分、真栄平研撮影

大島商船高専(山口県周防大島町)で2016年5月、1年生の男子学生(当時15歳)が自殺した問題で、校内でのいじめが原因ではないかとの遺族側の指摘を受けて設置された第三者委員会が6月10日、初会合を開く。「自殺原因は不明」と結論付けた学校側に対し、男子学生の母親は粘り強く外部調査を求めてきた。男子学生が亡くなってから丸2年。

関係者の記憶の風化も懸念されるが、母親は「やっとここまでこぎつけた。真実を明らかにしてほしい」と原因究明に期待を寄せる。【真栄平研】

学校などによると、男子学生は16年5月21日未明、生活していた校内の寮を抜けだし、校舎から飛び降りて死亡した。遺書は見つかっていない。

遺族が調査を求め、学校側も同級生への聞き取り調査やアンケートを実施したが、昨年6月までに「いじめはなく、自殺原因は不明」と結論付けた。遺族側は、学生への聞き取りの範囲など調査が不十分だったとして昨年12月、代理人弁護士を通じて第三者委設置を求めて要望書を提出。学校側が委員の人選などを進め、3月末に設置した。

代理人弁護士によると、第三者委は県外の弁護士2人と大学教員の計3人で構成。自殺につながるいじめの有無や、当時の学校側の態勢▽自殺後の学校側の対応のあり方--などが論点となる見込みだ。

母親は三回忌を前に「息子の学校生活、寮生活が全く分からないため、どんな状況下で生活していたのか、何があの子の身に起こっていたのか、自殺に追い込まれた背景など、全てを知りたい」と思いを打ち明けた。

大島商船高専を巡っては、亡くなった学生と寮で同室だった同級生の男子学生が自殺後にいじめを受けた可能性があり、昨年末から別の第三者委が調査する異例の事態となっている。亡くなった生徒の母親は「息子の時にきちんと対応していたら、ここまで深刻化しなかったのでは。学校側は、子供の命を、あまりにも軽視している気がしてしまう」と疑問を投げかける。

同校の井手克美総務課長は取材に対し「調査がスムーズに進むように協力していく」と述べ、第三者委に調査を委ねる姿勢を示している。

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平成29年12月24日毎日新聞

15歳自殺の大島商船高専 同室学生にも「いじめ」

大島商船高専(山口県周防大島町)の1年生の男子学生(当時15歳)が昨年5月に自殺した問題で、別の2年生の男子学生(17)が適応障害の状態と診断されていたことが、毎日新聞の取材で分かった。学生は自殺した学生と同級生で、自殺後に同じクラスのグループからいじめられたと訴え、調査した教員からも威圧的な聞き取りを受けたと証言。学校は25日にも第三者調査委員会を開く予定だ。

責任流布で適応障害

自殺した同級生の遺族も第三者委の設置を要請。いじめが連鎖した可能性もあり、同じ学校にいじめを調査する二つの第三者委設置が検討される異例の事態となりそうだ。

学生や保護者によると、昨年5月、学生と寮が同室の同級生が自殺した後からいじめが始まった。同級生グループから、自殺は学生のせいといううわさを校内に広められた。自殺した同級生の寮の机に性的な本が入れられた時、学生は同室に居合わせただけで、いじめに加担したことはなかった。

止められなかったことを同級生にわびたが、翌日、同級生は自殺した。同室だったのは2日間だけだった。

その後も、同級生グループからは写真を勝手に撮られて笑いものにされたり、触れると汚い物に触れられたかのような仕草でばい菌扱いされたりした。

2年生になった今年5月、学生が体調不良を訴え「死にたい」などと漏らしたため、学校が教員らによる「いじめ対策委員会」を設置し、調査を開始。

7月には学生が適応障害の状態と診断された。

しかし、教務主事ら対策委の教員は面談で「どうして君は先生の言うことを聞かないのか」と学生を威圧したうえで「授業中に寝ている」「寮の部屋が汚い」などと詰問口調でただした。「寮生活で人間関係もうまくできないし、それがトラブルの原因にもなっている。落ち着くまで寮を離れたらどうか」と学生にいじめられる原因があるかのように言われ、保護者は一時的な退寮を促されたと感じたという。

学生は「今もいじめが続き、つらい、先生にも追い詰められた。でも、船乗りの夢があり、耐えてでも学校に行かないといけない」と話し、吐き気や睡眠障害などと闘いながらも通学を続けている。保護者は「早く解決しないと命に関わる」と不安を訴える。

調査にあたった教員は毎日新聞の取材に対し「強い口調だったつもりはない。調査で疑義があったことを聞いただけだ」と答えた。

保護者らの投書を受けた文部科学省が11月に学校設置者の国立高等専門学校機構を通じて学校に第三者委の設置を求め、25日にも初会合が開かれる。【土田暁彦】

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平成29年12月23日毎日新聞

大島商船高専自殺 遺族が第三者調査委設置の要望書

昨年5月、大島商船高専(山口県周防大島町)の1年生の男子学生(当時15歳)が自殺し、遺族が校内のいじめが原因の疑いがあるとして、代理人弁護士を通じて22日、同校に第三者調査委員会を設置して調査するよう要望書を送付した。同校は学内の調査でいじめはなかったとしているが遺族側は不十分として改めて調査を求めた。

要望書などによると、男子学生は寮生活をしており、昨年5月21日未明、寮を抜け出し、校舎から飛び降り死亡した。遺書は見つからなかった。

遺族が調査を求め、同校は同級生への聞き取り調査やアンケートを実施したが、今年6月までにいじめはなく自殺の原因は不明と結論付けた。

遺族側は要望書で、同級生の証言などに基づき、男子学生が入学直後の4月下旬ごろから上級生からや、部活やクラス内で「殺人鬼」とのあだ名で呼ばれ、自殺の前日には寮の部屋の机に性的な本が入れられ、気付いた男子学生が怒って窓から投げ捨てたことがあったなどと主張。

その頃から手首を複数回カミソリで切る自傷行為も目撃されていたとしている。

一方、遺族は自殺の当日に学校を訪れた際、校長から他の教員がいる前で男子学生の尊厳を傷付けるような発言を受けたとして謝罪も求めた。

同校側は発言を否定している。遺族は要望書で「息子の死から1年半以上たっているのに、自殺の原因が分からない。事実を知りたい」と訴えている。

要望を受け、学校側は第三者委を設置する方針。番場葉一事務部長は「ご遺族には不信感があるのかもしれない。学校としては寄り添ったつもりだった」と話している。【土田暁彦】

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