平成29年9月27日毎日新聞
自殺の事実、学校伏せる 死亡当日

 茨城県取手市で2015年11月、市立中3年の中島菜保子さん(当時15歳)がいじめを苦にする書き込みを日記に残して自殺した問題で、学校側が死亡当日、「受験を控えた同級生たちへの配慮」を理由に自殺の事実を伏せる方針を両親に伝えていたことが分かった。市教委はこれまで「遺族の意向もあった」と説明していたが、両親は毎日新聞の取材に意向を否定しており、自殺当初から事実を隠そうとしていた疑いが強まった。
 「市教委が自殺の事実を隠した」とする毎日新聞の報道を受け、菜保子さんの父考宜(たかのぶ)さん(46)と母淳子さん(47)が当時の資料を調べ、判明した。それによると、菜保子さんが病院で死亡した同年11月11日午後、中学校の男性教頭(当時)が自宅を訪問。「受験を控えた3年生ということを考えると、不慮の事故で亡くなったという形で話をさせてほしい。いろいろな意味での教育的配慮だ」と話し、自殺の事実を他の生徒に伏せる方針を伝えた。
 その後、教頭は「調査は進めたい」とし、アンケートなどを行う方針を伝えた。これに対し、淳子さんが「死に損にならないようお願いしたい。ちゃんと調べてほしい」と泣きながら懇願すると、教頭は「責任を持って調べたい」とだけ答えた。
 毎日新聞の情報公開請求で開示された公文書によると、市教委はこの日の夜に臨時会合を開き、自殺の事実を伏せて「突然の思いがけない死」と生徒たちに伝える方針を決定。学校は12日に全校集会を開き、菜保子さんの自殺を「思いがけない突然の死」と生徒たちに説明した。
 両親は16日に日記を見つけ、いじめを調査するよう求めたが、学校は自殺の事実を伝えないまま、菜保子さんの名前を出さずにアンケート調査を実施。「いじめは確認できない」と結論づけた。
 考宜さんは、学校側がいう意向を示したことはないとし、「最初から菜保子の死と真摯に向き合っていなかったことが分かる。子どもを盾に保身を図っていたとしか思えない」と話した。取手市教委と当時の教頭は「回答を控えたい」として、取材に応じなかった。【玉腰美那子】

「全体的な事実把握調査を」大井川知事
 茨城県取手市立中3年の中島菜保子さんが自殺した問題で、先月の県知事選で初当選した大井川和彦知事が26日の就任会見で、「全体的な事実関係を把握する。スピード感を持って調査したい」と述べ、いじめの有無にとどまらず、市教委の対応も調査する方針を示した。
 この問題を巡っては、市教委が2016年3月に「いじめによる重大事態に該当しない」と議決したが、今年5月に文部科学省の指導を受けて撤回。橋本昌前知事は先月、遺族の要望を受け、知事直轄の新たな第三者調査委員会を設置する意向を示していた。大井川知事もこれを引き継ぐ意向で、10月3日に開会する定例県議会に第三者委設置の条例案を提出する方針。
 菜保子さんの父考宜さん(46)は「真摯で誠意ある公平な調査をしてほしい」と話した。【玉腰美那子】

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平成29年8月31日読売新聞茨城版
いじめ防止条例化へ 検討委員会が初会合…取手・中3自殺

 取手市立中学校3年の中島菜保子さん(当時15歳)が自殺した問題で、いじめ防止対策推進条例の制定に向け、市教育委員会が設置した有識者の検討委員会が30日、藤代庁舎で初会合を開いた。市教委は来年4月の条例施行を目指す。
 委員長に長野雅弘・聖徳大児童学部教授、副委員長に学識経験者の松浦勉氏が選ばれた後、市教委が、いじめ防止の基本方針や、児童生徒の自殺などの重大事態を調査する常設の対策委員会設置などを盛り込んだ条例案の骨子を提示。委員からは「予防に重点を置いた条例にするべきだ」「子供の発信に周囲の大人が気付くことが重要」といった意見が出された。

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平成29年8月21日東京新聞社説
いじめ自殺 遺族に寄り添い調査を

 子どもの自殺といじめの関係が疑われる重大事態に直面したとき、なぜ遺族に寄り添った調査がされないのか。
学校や教育委員会、そして第三者調査機関の振る舞いが不信を招く事案が相次ぐ。
 例えば、二年前、茨城県取手市の女子中学生が「いじめられたくない」と日記に書き残して自殺した事案では、市教委の無知と事なかれ主義が浮き彫りになった。
 市教委は第三者機関を設ける前に、学校はいじめを確認できなかったとして「重大事態ではない」と議決していた。
頭からいじめを否定する姿勢が、遺族の怒りを買ったのは当然だ。
 いじめ防止対策推進法は、いじめが疑われれば重大事態ととらえ、教委や学校の下に組織を設けて調べ、情報を提供するよう定めている。ましてや、遺族は同級生の目撃証言を自力で得てもいた。
 国の指導を受けて、市教委は調査から撤退した。遺族の要望に沿って、県が新たに第三者機関を置く。二度と失敗は許されない。
 誰のために、何のために重大事態を調べるのか。教育行政や第三者機関の側と、遺族ら被害者の側とで、その認識が食い違っていては不毛な結果しか生まない。
 第三者機関の任務は、自殺の背景にいじめがあったとの前提に立ち、事実を解明することだ。「真相を知りたい」と願う遺族の心情に寄り添い、それに誠実に応える調査でなくてはならない。
 そのためにも、遺族が構成員の人選に参加し、加害者側はもとより、教委や学校からの独立性を担保することが重要だ。調査の目的は、あくまで悲劇を繰り返さないための教訓を学ぶことにある。
 自殺に至る過程には、多様な要因が複雑に絡み合っている。だが、家庭環境や個人的発達のありように不用意に踏み込めば、遺族の信頼を失う恐れがある。
 一年前、青森市の女子中学生が自殺した事案では、市教委の第三者機関がまとめかけた結論に遺族が反発し、棚上げ状態に陥った。
 いじめは自殺の直接の引き金とは言い切れず、思春期うつだったとされたからだ。これでは自己責任に帰するに等しい。
 第三者機関には、いじめとは無関係の領域を子細に分析する権限はあるのか。また、なぜその必要性があるのか疑問が拭えない。相手の刑事、民事の責任を追及するための調査ではないはずだ。
 いじめがなければ、死なずにすんだかもしれない。その切実な問いへの答えこそが望まれている。

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平成29年8月17日朝日新聞東京本社版「声」
いじめ自殺、再調査遅すぎる
 高校教員 宍倉潔(千葉県 54)

 茨城県取手市で女子中学生が自殺した問題で、当時の調査の責任者だった市教育委員会の元教育部長らが両親に謝罪した。自殺したのは2年も前の話だ。今ごろ何の意味があるのか。
 日記にはいじめをうかがわせる記述があったが、市教委は両親に「いじめは認められなかった」と報告していた。
しかし文部科学省から調査の見直しの検討を指導され、市に代わり県に新たな調査委員会を設置することになったという。
 市教委が向いているのは生徒ではなく、文科省なのである。ご両親の怒りと嘆きはいかばかりだろうか。
 市教委の報告をおかしいと感じた教師もいたかと思うが、現場の声が聞こえてこないことも気にかかる。県が新たに調査するというが、加害者はすでに中学を卒業しており、詳細に調べるには時間が経ちすぎている。
学校や教育委員会が迅速かつ適正に動いていたならば、いじめも自殺も防げていたかもしれない。そして、加害者への適切な指導もできたかもしれない。
 今回、機能していなかった市教委の罪は極めて重い。何の処分も加えられないのであれば、教育委員会など不要である。

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平成29年8月5日東京新聞茨木版
取手中3自殺「ようやくスタートライン」

県教委から回答書を受け取った後、会見する中島考宜さん(中)と淳子さん(右)=県庁で

取手中3自殺

 取手市の市立中学に通っていた中島菜保子さん=当時(15)=が、三年生だった二〇一五年十一月に「いじめられたくない」と日記に書き残して自殺した問題で、県が四日、新たに第三者委員会の設置を決めた。
遺族側は「ようやくスタートラインに立った。娘に向き合った調査を」と、真相解明に向けて真摯な姿勢で取り組むことを強く望んだ。(山下葉月)
 両親は四日午前、県教委から第三者委の設置を伝えられた後、県庁で会見した。父親の考宜さん(45)は新たな第三者委が行う調査について「進め方は慎重に協議を重ねていきたい」と、厳しい表情を崩さなかった。
 両親は、菜保子さんが亡くなってから一カ月後の一五年十二月、学校と市教委の調査で、いじめの証言が得られなかったことに疑念を抱き、独自に生徒への聞き取り調査を開始。同級生二十人と会って話を聞くと、いじめを示唆する証言が次々と出てきた。
 考宜さんは「既に一年九カ月という年月を失っている。過去にさかのぼって調査することになるが、手を抜かずにやってほしい」と語った。母親の淳子さん(47)は「娘にきちんと向き合った調査をして」と訴えた。両親の代理人の弁護士は「両親の集めた証言が学校の調査で出てこなかった。不十分な調査のやり直しをきっちりしてほしい」と県に要望した。
 両親は先月、県教委と市教委に、第三者委の設置や人選について、申し入れ書を提出。第三者委は、両親と県教委が推薦する委員それぞれ二人と委員長の五人で構成し、委員長は日弁連に派遣してもらうよう要請していた。
県教委の担当者は「遺族と協議しながら人選を進める」と話した。
 取手市教委も県庁で会見。今後、県の調査に全面的に協力していく考えを示した。矢作進教育長は「ご遺族の信用を失ったことで県に調査委が設置されることを、申し訳なく思っている」と改めて謝罪した。

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平成29年8月4日朝日新聞東京本社版夕刊
取手・中3自殺、県に調査委設置へ 茨城

茨城県取手市で2015年11月、市立中学3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺した問題で、橋本昌知事は4日、新たな調査委員会を知事のもとに設置することを決めた。文部科学省によると、いじめ防止対策推進法では調査委の設置は市町村の教育委員会とされており、県が対応するのは極めて異例という。
自殺をめぐっては、市教委が昨年3月に「いじめによる重大事態に該当しない」と議決して調査委を設置したため、両親が調査委の解散を要求。市教委は今年6月に調査委の解散を決定した。両親が市教委との信頼関係が失われていることを理由に、知事のもとに調査委を置くよう求めていた。
県が取手市から委託を受ける形で、条例を制定して対応する。橋本知事は「ご両親が1年9カ月苦しんだことを重く受け止めた。制度的には市教委と市が対応していくべきだが、できる限り申し入れに沿った形で対応していきたいと検討した」と話した。新たな調査委事務局は知事部局に置き、調査委の人選はいじめ防止対策推進法の趣旨を踏まえ、両親と協議するとした。記者会見した中島さんの父考宜(たかのぶ)さん(45)は「まずは第一歩。菜保子の身に何が起きていたのか、担任を含む学校関係者にも深く調査してほしい」と要望した。(佐藤清孝、箱谷真司)

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平成29年7月14日東京新聞宮城版

取手いじめ自殺 両親「新たな第三者委を」 県教委に申し入れ

取手市中3女子

県教委の担当者に申し入れ書を渡す中島考宜さん(右)と淳子さん(中)=県庁で

二〇一五年十一月、取手市の中学三年生中島菜保子さん=当時(15)=が「いじめられたくない」と日記に書き残して自殺した問題で、いじめを調査する新たな第三者委員会の設置を巡り、菜保子さんの両親、県と市の教育委員会が十三日、県庁で協議した。両親は、あらかじめ人選や第三者委の進め方について申し入れていたが、この日の協議では進展はなかった。 (山下葉月)
解散した第三者委に代わる新たな調査組織のあり方について、両親は県教委と市教委宛てに十一日付で申し入れ書を提出した。それによると、市教委との「信頼関係が完全に失われている」ことから、橋本昌知事主導で「条例等を制定し設置すべきだ」と主張している。
第三者委は、両親と県教委が推薦する委員二人ずつで構成し、委員長は日弁連に派遣してもらうよう要望している。
会合は原則公開し、毎回、議事録を作成して遺族に報告するように求めている。
この日、協議は非公開で行われた。協議後、会見した父親の考宜(たかのぶ)さん(45)によると、設置時期をはじめ県教委側から具体的な提案はなく、来月、あらためて作業の進み具合について報告を受けるという。
考宜さんは「一年八カ月、ずっと苦しんできた。設置時期など回答してほしかった」と感想を述べた。
県教委は「さまざまな課題があると思うが前向きに検討したい」と話している。

取手市中3女子経過

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平成29年6月6日東京新聞
取手中3自殺 中学は「重大事態」と報告 市教委「該当せず」と議決

二〇一五年十一月に「いじめられたくない」と日記に書き残して茨城県取手市立中学三年の中島菜保子さん=当時(15)=が自殺した問題で、学校がいじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」として報告したにもかかわらず、市教委が重大事態に該当しないと議決していたことが五日、分かった。市教委が市議会議員全員協議会で明らかにした。
市教委によると、学校は一六年三月四日付で「重大事態発生報告書」を市教委に提出。いじめの有無や自殺との関連は判断できないとしたが、遺族から「いじめによって自殺した」と申し出があったことから、重大事態として報告した。
一方、市教委は同月十六日の臨時会で、生徒への聞き取りからいじめが確認できないとして、「重大事態」に該当しないと議決した。
同法の規定では、いじめの事実が確認できなくても、いじめにより心身に大きな被害が生じた可能性があれば重大事態と認定できる。矢作(やはぎ)進教育長は協議会で「自死につながるいじめかどうかで判断してしまった」と謝罪した。市教委は五月三十日、議決を撤回している。
菜保子さんの母淳子さん(47)は「このような学校の報告があるとは知らなかった。市教委は何の権限があって『該当しない』と判断できたのか」と憤った。

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平成29年6月2日朝日新聞

取手・中3自殺の調査委、解散へ 市長「心よりおわび」

茨城県取手市で2015年11月、市立中学校3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺したことをめぐり、市教育委員会は1日、市の調査委員会を解散させる方針を公表した。調査委員会をめぐっては中島さんの両親が「中立性と公平性、遺族への配慮が欠けている」などと、解散を求めていた。
藤井信吾取手市長は1日の会見で「市教委の対応が遺族に寄り添ったものではなかったことについて、
心よりおわび申し上げる」と述べた。同席した矢作進教育長も「遺族との信頼関係を回復するにはスタートに立ち返り、(調査委員会を)解散する方向で考えていきたい」と話した。2日に開かれる市教委に解散を提案する方針という。
市教委は昨年3月「(自殺は)いじめによる重大事態に該当しない」と議決していた。しかし、先月30日にこの議決を撤回し、文部科学省からも調査の見直しの検討を指導されていた。31日には、矢作氏が両親に謝罪もしていた。(佐藤清孝)

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平成29年5月31日朝日新聞
中3自殺「広義の意味でいじめあった」取手市教委認める

茨城県取手市で2015年11月、市立中学校3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺したことをめぐり、市教育委員会は30日、臨時会を開き、中島さんへの広義の意味でのいじめはあったとして、「(自殺は)いじめによる重大事態に該当しない」とした昨年3月の議決を撤回すると決めた。
市教委が両親の要望を受けて第三者による調査委員会を設置すると決めた際に議決していた。臨時会後、記者会見した矢作進教育長は「当時の議決は妥当性や遺族側に対して配慮に欠けた判断だった」と述べた。
中島さんは、自宅で首をつって亡くなった。日記には「いじめられたくない」などと書かれ、両親はいじめがあったと訴えていた。
市教委はこれまで、「いじめは確認されなかった」との説明を繰り返していた。だがこの日、中島さんが亡くなった翌12月に全校生徒にアンケートした結果などから、からかいなどの広い意味でのいじめがあったことを把握していた、と明らかにした。
両親は「中立性と公平性、遺族への配慮が欠けている」として調査委の解散を求めているが、市教委は
「今後も全容解明に向けて調査を継続したい」とし、解散しない考えだ。(佐藤清孝、箱谷真司)

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