2020年10月20日付神戸新聞NEXT

宝塚・中2自殺で再発防止策 市教委「教育一からやり直す」

再発防止策を公表する宝塚市教育委員会の森恵実子教育長(左から2人目)ら=宝塚市役所
再発防止策を公表する宝塚市教育委員会の森恵実子教育長(左から2人目)ら=宝塚市役所
神戸新聞NEXT
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  兵庫県宝塚市で2016年12月、いじめを受けた市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、同市教育委員会が19日に再発防止策を公表した。「私たちはかけがえのない大切な命を救うことができませんでした」との一文から始まる基本方針は33項目に及ぶ取り組みを記す。9月25日には市立長尾中学校内で教員の体罰による傷害事件も起こる中、市教委や学校には確かな実行が求められている。 方針に盛り込まれたのは新規の取り組み6件、拡充・継続の取り組み27件。19日に会見した森恵実子教育長は「全部の学校で一律に実践していく。宝塚の教育を一からやり直していく」と説明した。

市教委に担当を設置するほか、各学校にも対策チームを置く。いじめの実態をつかむアンケートを市内で統一した様式にするほか、女子生徒が自殺した毎年12月を「いじめ防止月間」と定め、学校内でいじめについて学ぶ機会をつくるという。

全教職員への研修は既に実施している。ただ、長尾中の傷害事件で逮捕された教諭も8月に研修を受けていたことから、森教育長は「経験を積むと自己流の指導が身についてしまい、研修を人ごとに感じてしまう。参加型の研修をし、自分の学校でも起こりうるんだということを共有することが大事だ」と説明した。

今後、市教委、学校が方針を元に行動計画を策定し、改革の進捗状況を第三者を交えて市総合教育会議などで検証するとしている。(大盛周平)

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宝塚市 いじめの再発防止策案

令和2年10月08日付 NHK神戸放送局

4年前、宝塚市の女子中学生がいじめで自殺した問題を受け、市は、およそ30項目からなる再発防止策の素案をまとめました。
いじめの早期発見に向けて、学校内などでの情報共有の仕組みづくりを徹底するなどとしています。
4年前、宝塚市で当時中学2年の女子生徒がマンションから飛び降りて自殺した問題では、市の調査で、いじめに関する情報提供があったにもかかわらず、教員らが適切に対処していなかったことが明らかになっています。
これを受けて、宝塚市は再発防止策の素案をまとめ、この中では「救えたはずの命を守れなかったことを胸に刻み、教育を一から見直す」として、およそ30項目の対策が盛り込まれています。
具体的にはSOSに早期に気付くために、いじめについてのリーフレットを生徒や保護者に配布するほか、教員がカウンセリングなどを学ぶ機会を設けるとしています。
さらに、生徒などへのアンケート調査を毎年行い、いじめ事案が発生した場合に教員どうしや教育委員会との情報共有を図るルールを明確化するとしています。
さらに、今回、部活動でのいじめも繰り返されていたことから、部活動の実態について大規模なアンケート調査を行い、分析結果を「白書」としてまとめるとしています。
宝塚市は今後、再発防止策を決定し、各学校に周知することにしています。

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宝塚・中2自殺 学校や市教委、別生徒のいじめ被害の対応怠る

令和2年6月30日付神戸新聞

兵庫県宝塚市で2016年、市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、女子生徒が亡くなる1年前に別の生徒が遭っていたいじめについて、市教育委員会は当初、学校などと電話でやりとりしただけで「交友関係のトラブル」と判断していたことが29日、市教委への取材で分かった。標的が次々と入れ替わるいじめが部活動で横行する中、学校、市教委ともに問題視せず、適切な対応を怠っていた可能性がある。

市教委が当時の校長らに事実関係を聞き取ったとして29日、同市議会議員総会で報告した。

この問題を巡っては、再調査委員会が今月22日、自殺した女子生徒への25件のいじめを認定し、自殺と強い関連性があるとする報告書を公表。同じ部活動では1年前から女子生徒以外の部員に対するいじめが計22件あり、別の生徒1人が脱毛症や不登校になるなどしていたことを明らかにした。

市教委によると、15年9月上旬に学校は別生徒の脱毛症などを把握し、秋ごろに市教委へ「(いじめ防止対策推進法が定める)重大事態に当たるか」と電話で相談していた。しかし、市教委は付属機関の「市いじめ防止対策委員会」の委員と電話で協議しただけで「交友関係のトラブル」と判断。学校、市教委ともに、後に生徒の自殺につながる事態の深刻さに気付かず、いじめ対策委も踏み込まなかったという。

自殺した女子生徒の遺族は「前年のいじめに徹底した指導があれば、娘が自死に追い込まれることも防げた」としている。市教委は再調査委の公表後、「事実関係を調査中」としていたが、改めて「重大事態として対応すべきだった」と説明した。(大盛周平)

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宝塚の中2自殺「いじめによる自死明らか」再調査委報告

令和2年6月23日付朝日新聞大阪本社版

宝塚中2自殺報告

遺族のコメントを紹介する代理人の石田達也弁護士。傍らに置いたのは亡くなった女子生徒の似顔絵=兵庫県宝塚市

兵庫県宝塚市で2016年12月、中学2年の女子生徒が自殺した問題で、市の再調査委員会(委員長=春日井敏之・立命館大大学院教授)は22日、複数の生徒で無視するなど、計25件のいじめ行為があったとする報告書を中川智子市長に提出した。再調査委は「いじめと自死は極めて強い関連性がある」と結論づけた。

この問題を巡っては、市教育委員会が諮問した第三者委員会が18年10月に最終報告書をまとめ、4件のいじめを認めていたが、「いじめ被害と心理的影響の考察がなされていない」などとして遺族側が再調査を要求。市が昨年、弁護士や大学教授など有識者5人で構成する再調査委を設け、関係者から改めて聞き取り調査をしていた。

再調査委が22日に公表した報告書によると、女子生徒は16年9月ごろから、学級や部活動でいじめを受け孤立していった。再調査委は、女子生徒が「ストーカー」などと陰口を言われていた▽ボールを集中的にぶつけられていた▽ほかの生徒が部活のパス練習の相手をしなかった▽パーティーに呼ばれなかった▽LINEをブロックされた、など計25件のいじめを認定。「いじめによって自死したことは明らか」と断定した。

さらに、女子生徒が所属していた部では、別の部員が不登校になるなど女子生徒以外の部員に対するいじめも22件あったと認定。いつも誰かがいじめの標的にされる状況が続いていた、と指摘した。その上で「学年、学校を挙げた支援が行われていれば、当該生徒の重大事態は避けられた可能性が高い」との見解を示した。中川市長は「救える命を救えなかった責任を

受け止め、二度とこのようなことがないよう、しっかりと考えていかねばならない」と話した。

女子生徒の遺族は22日、代理人の弁護士を通してコメントを発表。再調査の結果を高く評価し、受け入れるとした上で、「教員一人一人の意識改革、資質向上を進めるのはもちろん、学校システム全体の改革も必要」などと訴えた。(太田康夫)

宝塚の中2女子生徒自殺を巡る経緯

2016年12月8日

宝塚市で中学2年の女子生徒(当時14)が自殺

2016年12月28日

市教育委員会が第三者委員会に調査を求める

2018年7月23日

第三者委員会が市教委に調査報告書を提出(内容は非公表)

2018年10月16日

第三者委が報告書を改訂し、いじめ以外に自殺の原因が見当たらないことを追記したと公表

2018年10月18日

遺族が第三者委に抗議。「当初の報告書は原因究明が不完全だった」と指摘し、遺族の指摘で報告書が改訂された経緯も説明していないと訴えた

2019年4月26日

遺族の要請を受け、中川智子市長が再調査の方針を表明

2020年6月22日

再調査委が25件のいじめを認定した報告書を中川市長に提出。いじめと自殺には極めて強い関連性があると報告

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中川市長「救えた命だった」 宝塚中2自殺で検証委員会設置へ

令和2年6月23日付神戸新聞

宝塚中2自殺

再調査委員会の報告を受けて会見をする中川智子市長=22日午前11時半、宝塚市末広町(撮影・村上貴浩)

女子生徒に対して25件ものいじめがあったのに、学校、教育委員会は事の重大さを感じとれなかった-。2016年に兵庫県の宝塚市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が飛び降り自殺した問題で、22日に市いじめ問題再調査委員会が報告書を公表した。提言を受け、中川智子市長は「教育改革が必要」と硬い表情で語った。

宝塚市いじめ問題再調査委員会の報告書を受け、記者会見に臨んだ中川智子市長は沈痛な面持ちで市の対応の甘さを認め、再調査委の報告内容を精査する「検証委員会」を発足させることを明らかにした。

「2016年12月8日、救えた命を救えなかった」。会見冒頭、絞り出すような声で言った。亡くなった女子生徒が中学1年の時、部内には別の生徒へのいじめが既にあったことに触れ、「そこで対応していれば命を絶つことはなかった」と後悔を漏らした。

また、女子生徒は「亡くなる前日まで救いの手を待っていた」とし「手をつかむことができなかった責任を受け止める」と話した。

中川市長は報告書について「絵に描いた餅にさせない」とし、浮き彫りになった課題を解決し、再発防止につなげるための検証委員会を設置すると表明。「宝塚の教育を変えていくことが亡くなった彼女へのせめてもの償い」と語った。

また、市長と教育委員会で構成する総合教育会議の開催回数を増やすことも約束した。(名倉あかり)

 

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「いじめと強い関連」無視や陰口など25件認定 宝塚・中2自殺

令和2年6月22日神戸新聞NEXT

宝塚中2自殺中川市長

宝塚市の中川智子市長に調査内容を答申する市いじめ問題再調査委員会の春日井敏之委員長(右)=22日午前、宝塚市末広町(撮影・村上貴浩)

宝塚中2自殺調査の経緯

兵庫県宝塚市で2016年12月、市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が飛び降り自殺した問題で、同市が設置した再調査委員会(委員長=春日井敏之・立命館大大学院教授)は22日、同年9月ごろから部活動やクラスで無視や陰口など計25件のいじめがあったとする報告書を公表した。同委は「いじめと自死には極めて強い関連性がある」とした。(大盛周平、中川 恵)

この問題を巡っては、当初に調査を担当した第三者委員会が18年7月に報告書を市教委に答申。だが、遺族が事実誤認などを指摘し、同委が同10月に改訂を行う異例の事態に。4件のいじめを認定し「いじめ行為以外に特に自死に結びつくような事柄は見当たらなかった」としたものの、遺族は実態が未解明として再調査を求めていた。報告概要の具体的な内容が公表されるのは今回が初めて。

再調査委は中川智子市長の諮問を受け、昨年7月、大学教授や弁護士ら5人で発足。女子生徒の同級生や教職員ら計46人に聞き取りなどを実施した。

再調査報告書によると、女子生徒は16年9月ごろから、クラスや所属する部活動で複数の生徒から無視や仲間外れにされ、「うざい」と言われるなどした。部活動中にボールを集中的にぶつけられることもあったといい、自身の行いを謝罪しようとした行為も笑われ、「尊厳が大きく毀損(きそん)された」と指摘。再調査委は「いじめによって自死したことは明らか」と報告した。

また、部活動では2015年から別の部員に対するいじめが発生しており、既に4人が退部していたにもかかわらず、顧問らが具体的な対応をしていなかったことなども判明。同委は「学年、学校を挙げた指導、支援が行われていれば当該生徒の重大事態は避けられた可能性が高い」とし、学校や教員の危機意識の乏しさを指摘した。

さらに第三者委の調査についても「調査プロセスで丁寧さを欠いた」とし、遺族との意思疎通に問題があったことを批判した。

答申を受けた中川市長は「救える命を救えなかった責任をしっかり受け止める」とし、早急に検証委員会を設けるとした。遺族は代理人弁護士を通じ「娘の自死は偶然が重なった結果ではなく、起きるべくして起きた悲劇だった。徹底した再調査の結果を高く評価し、これを受け入れたいと思う」とコメントした。

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平成31年4月27日神戸新聞

第三者委、遺族と信頼関係築けず再調査へ 宝塚・中2自殺

謝罪する宝塚教委

最後まで信頼関係を築けなかった。2016年12月、宝塚市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が自殺してから2年4カ月余り。同市は26日、生徒が自殺に至った経緯の再調査を決めた。市教育委員会は、生徒の自殺を調査した第三者委員会と遺族との意思疎通が不十分と明らかにし、「遺族の理解」という制度の課題が浮き彫りになった。(中島摩子、井上 駿、大盛周平)

会見した市教委の森恵実子教育長は「時間を要し、混乱を招いた。大変申し訳ない」と謝罪した。同席した市教委幹部は何度も「異例」の言葉を口にした。

中でも、第三者委が昨年秋、市教委に提出済みの報告書を約2カ月で改訂した点を重視し「(事前に)遺族に説明していたら改訂に至らなかった」と説明。また「第三者委は公正中立を重視するあまり、遺族への情報提供がスムーズでなかった」と評し、第三者委が遺族や学校、市教委などとの関係に苦慮したとも推し量った。

さらに、市教委が非公開とした報告書の概要を、第三者委が声明文で明らかにすると、わずか2日後に遺族が抗議声明を出す事態に。これを受け、第三者委の委員長を務めた弁護士が「遺族の気持ちに配慮が足らなかった」と釈明するなど、混迷ぶりが際立った。

その後も報告書の公開範囲で、遺族は「事実認定を中心にしてほしい」と求めたが、第三者委は「全体を示さないと調査の趣旨が伝わらない」と主張し、折り合わないまま非公開が決定。森教育長は市教委も「調整する努力が足らなかった」とし、「市教委にも第三者委を任命した責任がある」と踏み込んだ。

第三者委の調査や制度を巡っては、文部科学省が本年度、有識者らの委員会があり方を議論する。同省の担当者は「第三者委と遺族側が、信頼関係が築けない事案が多い」とし、委員の選任方法▽第三者性の担保▽いじめの事実認定−などが論点になる見込み。

立命館大大学院の春日井敏之教授(臨床教育学)は「遺族との調整がしっかり図れていれば、ここまでこじれなかったのではないか」と指摘。その上で「第三者委員会が公平公正に検討を進めるのと、遺族に寄り添うのは矛盾しない。遺族に納得してもらうためにも、経緯を報告しながら丁寧に報告書を作成すべきだった」と述べた。

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平成31年4月27日付毎日新聞

宝塚中2いじめ自殺、市が再調査へ 遺族要望、報告書「不十分」

兵庫県宝塚市で2016年12月、市立中学2年の女子生徒(当時14歳)がマンションから飛び降りて自殺した問題で、市は26日、自殺の経緯を再調査する方針を明らかにした。市教委の第三者委員会が作成した報告書について遺族から「調査が不十分」と批判があり、市が設置している別の有識者による委員会が調べ直す。

市教委の第三者委は昨年7月、仲間外れなど他生徒によるいじめを認定した報告書をまとめた。しかし、遺族から「いじめと自殺の因果関係が分かりにくい」と指摘され、同10月に「いじめ行為以外には自死と結びつく事柄は見当たらない」との表現を加え、改訂した報告書を作成した。

市教委によると、改訂版について遺族は今年2月、いじめ行為が具体的に特定されておらず、部活以外のクラスでのいじめの調査も不十分と訴え、市長部局による再調査を要望。市教委は「遺族とのコミュニケーションが不足し、信頼関係を築けていなかった」として、現在の第三者委による調査の継続を断念した。市は今後、常設している子供の権利擁護を担当する委員会に調査を委ねる方針を決めた。

中川智子市長は「ご遺族の気持ちをしっかり受け止め、納得してもらえる再調査をしたい」と話した。【土居和弘】

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平成31年4月26日付神戸新聞NEXT

謝罪する宝塚教委

謝罪する宝塚市教育委員会の森恵実子教育長(右から2人目)ら=26日午後、宝塚市役所

報告書を受ける森教育長

森恵実子教育長(左)から第三者委員会の調査報告書を手渡される中川智子市長=26日午後、宝塚市東洋町、宝塚市役所(撮影・風斗雅博)

兵庫県宝塚市で2016年12月、市立中学2年の女子生徒=当時(14)=が飛び降り自殺し、いじめを認める報告書を答申した第三者委員会の調査について、同市の中川智子市長は26日、「いじめの事実関係が未解明」とする遺族の要請を受け、再調査する方針を明らかにした。同市教育委員会は答申済みの調査報告書の非公開も決定。再調査は、中川市長が改めて委員を任命し、別組織が担当する。

弁護士らでつくる第三者委は約1年半かけてまとめた調査報告書を改訂したものの、女子生徒の遺族に受け入れられず、内容が公表されないまま再調査が決まる異例の事態となった。

会見した同市教委の森恵実子教育長は「遺族と第三者委が十分に意思疎通できず混乱を招いた」と信頼関係を築けなかったと説明。「公表が望ましい」とした調査報告書は部分公開でも合意できなかったとした。

同日、全て非公開となる調査報告書を受け取った中川市長は「遺族が納得されるまで真摯に調査したい。スピーディーに進め、人選に配慮する」と語った。

女子生徒の自殺を巡っては、弁護士や臨床心理士らで構成する第三者委が16年12月に発足。昨年7月までに76回の聞き取り調査と44回の会合を重ね、調査報告書を市教委に答申。しかし、遺族の指摘で、心理学的な仮説を含む記述を削除し、結論部分に「いじめ行為以外に、特に自死に結びつくような事柄は見当たらなかった」と追記した。

神戸新聞の取材では、調査報告書は、女子生徒が仲間に入ろうとすると「ストーカー」と呼ばれたなどのいじめ4件を認定したことが分かっている。

自殺した児童生徒の遺族が第三者委の調査報告書を不満とし、再調査に至るのは、兵庫県内で神戸市、多可町のケースに次いで3件目となる。(中島摩子、大盛周平)

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平成30年10月11日毎日新聞

第三者委「いじめ」認定 報告書改訂

兵庫県宝塚市で2016年12月、マンションから飛び降りて自殺した市立中学2年の女子生徒(当時14歳)について、市教委の第三者委員会がいじめがあったと認定し、他に「自死(自殺)に結びつくような事柄は見当たらなかった」との調査報告書をまとめたことが明らかになった。学校が積極的に関与すれば女子生徒の自殺は防げた可能性があるとも言及している。遺族らへの取材で判明した。

女子生徒は16年12月8日に死亡。日記に学校での人間関係の悩みをつづり、死亡前日には「もう死ぬ。生きる意味がない」などと書いていた。

報告書では、女子生徒が仲間に入ろうとして他の生徒からストーカー呼ばわりされたことや、部活で仲間外れにされたことをいじめと認定。部内で1年前にも不登校が発生しながら学校側が積極的に関わろうとしなかったと指摘した。そのうえで不登校になった生徒の訴えを真摯に受け止めていれば、「本件事態は回避しえたのかもしれない」と学校の責任に言及した。

第三者委は今年7月にいったん報告書をまとめて市教委に提出した。しかし遺族から「いじめと自殺の因果関係が分かりにくい」などの指摘を受け、今月1日付で改訂。「いじめ行為以外には特に自死に結びつくような事柄は見当たらなかった」と加筆し、いじめによる自殺を強く推認させる内容にした。

学校事件・事故被害者全国弁護団副代表の渡部吉泰弁護士は「完成後に報告書が改訂されるケースは初めてではないか。調査の過程で遺族との意思疎通が不十分だった可能性がある」と指摘している。

二つの報告書は共に非公表。第三者委の石田真美会長(弁護士)は「遺族から報告書の公表の許可を得ておらず、(改訂について)現段階ではコメントできない」としている。

女子生徒の父親(52)は「学校や市教委がいじめにしっかり対応してくれていれば、娘は死ななくてもよかったのではないか。なぜ対処できなかったのかを明らかにしてほしい」と話している。

【石川勝義、土居和弘】

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