平成31年2月18日付京都新聞夕刊
いじめと自殺の関連焦点 大津の損賠訴訟、19日判決
大津市で2011年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺したのは元同級生によるいじめが原因として、遺族が元同級生3人と保護者に計3800万円の損害賠償を求めた訴訟で、大津地裁(西岡繁靖裁判長)が19日、判決を言い渡す。最大の争点は、いじめと自殺の因果関係だ。提訴から7年余り。いじめの問題を社会に広く投げかけ、いじめ防止対策推進法が成立する発端となった事件だけに、司法の結論に注目が集まりそうだ。
裁判で遺族側は、男子生徒が自殺の前日に「ぼく死にます」との電話を元同級生にかけていた経緯などから、いじめを苦に自死したと主張。一方、元同級生側は男子生徒に馬乗りになるなど一部の行為自体は認めたものの、いじめではなく、「遊びだった」などと反論している。いじめの認識自体に隔たりがある。
昨年9~12月の尋問でも、元同級生たちはいじめとされる行為について、仲間内での「じゃれ合い」や「罰ゲーム」だったと述べ、男子生徒を身体的、精神的に傷つけた認識はなかったと振り返った。一部の保護者は「いじめとは思っていなかった」と答えた。
ただ、大津家裁は14年、元同級生のうち2人について男子生徒への暴行などを認めた上、保護観察処分にした。残る1人は不処分だった。15年に成立した遺族と大津市との和解では、地裁が市の第三者調査委員会の報告書に基づき、複数のいじめ行為を事実認定。市側の不適切な対応と男子生徒の自殺の予見性を認める判断を示した。判決では地裁が報告書を改めてどう評価するのか注目される。
訴訟は12年2月、遺族が市のほか、元同級生3人と保護者に計7700万円の損害賠償を求めて提訴した。当初、市側は争う姿勢を示したが、後に自殺との因果関係や過失責任を認めた。
男子生徒の自殺から7年4カ月。元同級生たちは成人になった。判決を前に、男子生徒の父親は「成人を迎えるまでに自らの行為を顧みてほしかった」と話し、「いじめは人を死に追いやる恐ろしい行為なんだという因果関係を証明したい。学校現場や教師への警鐘となり、いじめ自殺の未然防止に生かせるはずだ」と訴える。