平成30年12月30日付朝日新聞青森版
市教委が調査検証案提示 遺族「もっと深く」
青森市立中学2年の葛西りまさん(当時13)が2016年8月に自殺した問題で、市と市教育委員会は29日、市いじめ防止対策審議会の調査についての検証の状況について遺族に報告した。遺族は市教委の審議会について市や市教委が自ら検証することは難しいと指摘し、検証の進め方を見直すよう求めた。
小野寺晃彦市長と成田一二三教育長が市内で葛西さんの父剛さん(40)と面会し、検証の状況を報告した。面会後に会見した剛さんによると、審議会が調査過程で遺族を傷つけ、不信感を抱かせた点について配慮が不十分だったとするなど「おおまかには調査に問題があったという内容」だったという。
剛さんはこの内容が不十分だったとして、「(検証は)市や市教委が自らを批判することになり、構造的に難しい。第三者の目が必要」と指摘した。葛西さんが通っていた中学校の教員の懲戒処分の検討も求めた。
葛西さんの自殺をめぐっては、審議会が17年4月、葛西さんの「思春期うつ」を自殺の一因とする最終報告案を示したが、遺族が再検討を要求。委員を総入れ替えして調査をやり直し、今年8月、いじめが自殺の主な原因と結論づけた。
遺族は結論に理解を示した上で、当初の調査について検証するよう求める要望書を8月25日付で市に提出していた。
剛さんは会見で「検証が始まっていること自体知らされていなかった」と述べ、市側への不信感をあらわにした。面会後に報道陣の取材に応じた小野寺市長は「もっと速やかにお伝えすべきであった。真摯に反省したい」と述べた。(土井良典、武沢昌英)