学校事件の報道

2020年6月15日付毎日新聞

福井中2自殺「半分近くが息子や私たちのせいと言われたよう」 遺族が悔しさ

裁判所=ゲッティ

 2017年3月に自殺した福井県池田町立池田中2年の男子生徒(当時14歳)の母親は15日、福井県や同県池田町に損害賠償を求めて提訴した後に福井市内で記者会見を開いた。これまで県、町と損害賠償について協議してきたが、自殺の原因の4割は県と町にないという趣旨の文書回答があったことなど、提訴に至った経緯を説明。「半分近くが息子や私たちのせいと言われているようで、大変ショックを受けた」と悔しさをにじませた。

 遺族側は2019年12月、県と町に計約5400万円の損害賠償を請求する旨を通知したが、20年4月に提示された賠償額は減額されていた。母親の代理人弁護士は「本人の精神面や家族に原因があると認めた判例があるので、それを踏襲したのでは」と推測する。

 母親は賠償と同時に、具体的な再発防止策の作成や関係者に聞き取りをした上での事実解明なども求めてきた。だが進行状況を県や町に問い合わせても「きちんとやっている」という返答ばかりで、資料を示すなど具体的な回答はないという。母親は「どういうふうにやっているのか疑問だ」と不信感を口にし、「町で生活しながら提訴することに悩んだが、何があったのかが裁判で明らかになり、再発防止策ができることを望む」と訴えた。

 男子生徒の自殺を巡っては、福井地検が19年2月、市民団体から業務上過失致死容疑で告発された担任と副担任、校長の3人を不起訴としたが、福井検察審査会は20年1月、担任のみを「不起訴不当」と議決し、地検が再捜査している。【大原翔】

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2020年5月17日付毎日新聞

女子小学生バレー監督永久追放 大分県連盟 「声が小さい」と小6女児たたく

  大分県日出町の女子小学生バレーボールチームの50代男性監督が、複数のメンバーに体罰をしていた問題で、県小学生バレーボール連盟(県小連)は16日、監督を永久追放処分にすることを決めた。また体罰の隠蔽があったとして、チームに解散を勧告することも決めた。

 県小連が同日の倫理委員会で決めた。監督は同町の小学校教頭も務めており、町教委は3月、暴力行為があったとして監督を文書訓告とする処分を決定。この日の倫理委も、監督の行為が、県小連が設ける罰則規定「行政責任をとるような体罰・暴力行為」に当たるとし、処分としては最も重い永久追放が妥当と結論付けた。処分が確定すれば、監督は上部組織の日本小学生

バレーボール連盟(日小連)加盟のチームで指導できなくなる。

 また県小連は、体罰がなかったように監督と保護者が口裏を合わせる隠蔽をしたことも問題視。日小連の規定に基づき「チーム解散」にすべきだと判断し、解散を勧告することも決めた。

 関係者によると監督は2019年6月、練習中に「声が小さい」などの理由で、小学6年の女児ら3人を夜のグラウンドで10周走らせた後、平手で女児の頭をたたいた。【河慧琳】

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2020年4月21日付朝日新聞

長崎)いじめ自殺遺族に死亡見舞金 独立行政法人

写真・図版

記者会見で話す母親=2020年4月20日午後1時45分、長崎市尾上町の県庁、横山輝撮影

  長崎市の私立・海星高校の男子生徒(当時16)が自殺し、「いじめが主な原因」とした第三者委員会の報告書を学校側が受け入れていない問題で、独立行政法人日本スポーツ振興センター(東京)が遺族に対し、死亡見舞金の給付を決めたことがわかった。決定は3月27日付。 男子生徒は2017年4月、市内の公園で自殺。学校側が設置した第三者委は自殺といじめの因果関係を認める報告書を18年11月にまとめたが、学校側は「論理的飛躍がある」として受け入れを拒んでいる。

 同センターは災害共済給付制度に基づき、学校の管理下で発生した事件に起因する死亡に対し、死亡見舞金を支給している。

 同センターの通知書によると、学校が提出した災害報告書では死亡の原因は「不明」とされていたが、第三者委が報告書でいじめと自殺の因果関係を認めたことを重視。いじめで「強い心理的

負担が生じていたものと推定できる」として、支給を決定した。

 男子生徒の両親は、自殺から3年となった20日、長崎県庁(長崎市尾上町)で記者会見。代理人弁護士は「学校の見解と第三者委の調査結果が食い違うという極めてまれなケース」と説明。

父親(52)は「報告書が重んじられたことについては息子も報われたと思う。ただ、ゴールは学校側が報告書を認めることだ」と話した。

 学校側の代理人弁護士は取材に「現段階ではノーコメント」としている。(横山輝)

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2020年4月15日付毎日新聞

大分の小学生バレーチーム体罰 監督の教頭を訓告処分 県と日出町教委

体罰問題が発覚した小学女子バレーボールチーム(画像の一部を加工しています)

 大分県日出町の小学女児バレーボールチームの監督を務める50代の男性教頭が、チームの小6女児に体罰をしたことが発覚した問題で、同町教育委員会がこの教頭と当時の小学校校長を文書訓告処分にしていたことが分かった。校外の社会体育活動で暴力があったと認定し、地方公務員法の「信用失墜行為」にあたると判断した。処分は3月16日付。

 関係者によると、男性監督は2019年6月、バレーボールの練習中に声が小さいなどの理由で小6女児ら3人を夜のグラウンドで走らせ、走り方が良くないとして2人の頭を平手打ちした。

 県教委に7月に情報が寄せられ、町教委が連携して調査。バレーチームが所属し、町教委が事務局を務める町スポーツ少年団は11月、体罰を認定し、監督を活動停止6カ月の処分にした。

また当初は「体罰がなかった」としていた県小学生バレーボール連盟も12月、体罰を認めて監督を同じく活動停止処分していた。

 ただ監督の教員としての立場での処分を巡っては、校外のクラブ活動中での暴力だったことから、教職員が公務中の体罰を禁止する規定が盛り込まれた学校教育法の適用外だった。

 しかし、県、町教委は男性監督の行為が、公務中の体罰と類する暴力だったとして「信用失墜行為」に当たると結論づけて訓告とした。併せて当時の校長も監督責任があるとして訓告にした。

 スポーツを巡る暴力について、県教委は「公務外の活動だが、小学生を教えており、完全なプライベートとは言えない」、町教委も「二度とこのようなことが起こらないようにする」と話した。

【石井尚】

 

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2020年4月14日 8:00

1年時に同級生から暴言、卒業まで不登校に 滋賀の中学校、いじめ疑いで第三者委設置へ

いじめ事案の疑いがあるとして第三者委員会を立ち上げる方針の立命館守山中(滋賀県守山市三宅町)

いじめ事案の疑いがあるとして第三者委員会を立ち上げる方針の立命館守山中(滋賀県守山市三宅町)

立命館守山中(滋賀県守山市)の元男子生徒(15)が、在学中だった1年生の時に同級生からいじめを受けて学校に行けなくなり、同校がいじめ防止対策推進法に規定する重大事態の疑いがあるとして第三者委員会を設置する方針であることが13日、京都新聞社の取材で分かった。元生徒は今春卒業するまで長期間不登校となっており、当時の学校側の対応が適切だったかどうかが問われそうだ。

関係者によると、元生徒は1年生だった2017年5~8月ごろの間、硬式テニス部の練習中にミスをすると同級生から「目が見えへんのか」「耳聞こえへんのか」などと暴言を吐かれ、下校中に無理やりお菓子やジュースをおごらされるなどしたという。
保護者が同年7月、部活の顧問兼担任に相談したが状況は改善せず、元生徒は8月中旬から部活を休み、2学期から不登校になった。保護者がその後、学年主任に対し、いじめに対応するよう申し出ると「調べてみます」と返答されたが、調査結果の連絡はなかったという。
学校の対応に疑問に感じた保護者は昨年6月、滋賀県総務課に相談した。県から相談記録の交付を受けた同校はその後、学内調査を実施し、12月に保護者に第三者委員会を立ち上げる旨を伝えたという。
不登校中、元生徒は塾などで学習を続けたという。保護者は「これまでずっと問題が放置されてきた。学校が早い段階で誠実に対応してくれていたら、息子は普通の学校生活を送れていたのではないか」と話す。
同校を運営する学校法人立命館広報課は取材に対し「重大事態に該当する疑いのある事案が発生したことは事実。現在、第三者委員会の立ち上げに向けて人選を行っている」とし、事案の内容に関しては「第三者委員会で調査が進められることなので現段階では答えられない」としている。

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2020年3月31日付東京新聞

前橋・高2死亡 いじめ新認定なく、遺族憤り 対策委が調査経過報告書

有紀さんの自室。亡くなった当時のままで、遺族は片付けられないでいる=前橋市で

有紀さんの自室。亡くなった当時のままで、遺族は片付けられないでいる=前橋市で

 前橋市の県立勢多農林高二年だった伊藤有紀さん=当時(17)=が昨年二月に自殺したとみられる問題で、県教育委員会が有識者らに依頼した県いじめ問題等対策委員会による調査経過報告書の内容が三十日、判明した。ただ、遺族が求めているいじめの新たな認定や死との因果関係は含まず、聞き取りやアンケートの回答内容すらも入っていない。遺族は取材に「一年間かかってこの内容とは、遅過ぎる。イライラが募る」と憤っている。(菅原洋)

◆死との因果関係含まず「再調査要請も」

 関係者によると、報告書は約十ページ。弁護士、精神科医、臨床心理士ら計約六人の委員が、昨年四月から今月まで十三回開いた会合や聞き取りなど調査の日程を羅列している。
 聞き取りは有紀さんの両親、教職員十一人、クラスの生徒十三人、中学時代の友人ら六人、有紀さんが通院したとみられる医療機関の二人、県教委職員四人に実施した経緯を記した。
 アンケートはクラスの生徒三十八人、部活動で関係があった生徒二十人に配布。回答はクラスで二十一人、部活動で九人からあったという。
 今後の対応については「引き続き検証作業を行うとともに、死亡に至る過程や心理の検証、再発防止策について審議していく予定」と記載。「なお、最終的な調査報告書については、検証結果や再発防止に向けた提言を整理した上、あらためて報告したい」と記し、最終報告の時期やその見通しも触れていない。
 有紀さんの父親(64)は聞き取りやアンケートへの協力者が少ない点に「学校が当初、生徒たちに娘の件について口止めし、子どもたちが萎縮しているからではないか」と指摘している。
 有紀さんの死を巡っては、学校が一年前に基本調査結果を公表。亡くなる約二週間前、ホームルームの時間にクラス発表の配役を打ち合わせ、ヒロイン役となった有紀さんに対して生徒が複数の否定的な発言をした。学校はこの点については、いじめと認めている。
 しかし、打ち合わせ後の当日、有紀さんが生徒から「死ねばいいのに」と言われたと訴えている点や、一年時に醜いハダカデバネズミに似ていると言われたという訴えを含む二十数枚のメモに書き残した点は、いじめと認めていない。
 父親は「(いじめ委の最終)報告に時間がかかっているだけに、学校の調査から進展がないと受け入れらない。いじめを新たに認め、死との因果関係も認定してもらわなければ、再調査の要請も考えたい」と強調している。
亡くなった伊藤有紀さん(遺族提供)

亡くなった伊藤有紀さん(遺族提供)

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

毎日新聞

熊本市中1自殺 市教委が第三者委設置へ 担任に39の不適切行為

 2019年4月に熊本市立中1年の男子生徒(当時13歳)が飛び降り自殺し、同市教育委員会が30日、第三者委員会を設置して事実関係などを調べる方針を示した。同日、両親に提出された市教委の基本調査報告書には自殺の原因についての記載が一切なかった。両親は「市立小6年時の担任の不適切指導が関連している」として詳しい調査を求めている。

 生徒は、入学直後の19年4月18日に命を絶った。両親によると、生徒は小6時に担任の男性教諭から同級生が体罰や暴言を受けたことに心を痛め「先生がうざい」と漏らしていた。命を絶つ約1カ月前には、小学校内で生徒のノートに「死」と書いてあるのを別の教諭が見つけたが、両親に報告しなかった。

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2020年3月14日付共同通信

いじめ再調査委が初会合、名古屋

 名古屋市名東区で2018年1月、市立中1年の斎藤華子さん=当時(13)=が自殺した問題で、市が設置した第三者による再調査委員会が14日、市内で初会合を開いた。弁護士の安保千秋委員長は「子どもが亡くなるのは重大な事態だ。事実関係を明らかにしたい」と話した。

 初会合では遺族への聞き取りを実施。春休み期間中にも当時の同級生100人以上から聞き取りを行う方針を決めた。市教育委員会の第三者委員会が「いじめは認められない」とした前回の調査結果の検証も同時に進めるとしている。

 出席した河村たかし市長は「市民の皆さんはぜひ本当のことを話して」と述べた。

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2020年3月/14日付共同通信

大津いじめ訴訟、両親が上告 中2男子生徒自殺

大津市で2011年に市立中2年の男子生徒=当時(13)=が自殺したのはいじめが原因だとして、両親が加害者側の元同級生らに損害賠償を求めた訴訟で、元同級生2人に計約400万円の支払いを命じた大阪高裁判決を不服として、両親が14日までに最高裁に上告した。12日付。  この自殺問題はいじめ防止対策推進法成立のきっかけとなった。  2月27日の高裁判決は一審大津地裁判決と同じく、いじめと自殺の間に因果関係があると認定。一方で「両親は家庭環境を整えることができず、生徒を精神的に支えられなかった」などとして、賠償額を一審判決の計約3750万円から約10分の1に減らした。

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn

2019年10月30日付西日本新聞

別児童に体罰・暴言20件 熊本・中1自殺 小6時担任調査へ

熊本市の中学1年の男子生徒が4月、自宅マンションから飛び降りて死亡した事案を巡り、市教育委員会は29日に記者会見し、生徒が小学6年時の担任教師による別の児童への体罰や暴言が20件あったことを明らかにした。生徒が飛び降りたことへ影響を与えなかったか担任からも事情を聴くという。遠藤洋路教育長は「亡くなった背景の調査や遺族への説明が不十分で深く反省している」と陳謝した。

生徒の遺族や他の保護者は3月、担任が複数の児童の胸ぐらをつかむ体罰や「役に立たない」などの暴言を繰り返したとして、調査を求める嘆願書を提出。市教委は、生徒が担任の言動を「ストレスと感じていた」と判断したものの、死亡直後は担任については調査しなかったという。

文部科学省の指針は、児童生徒が自死した場合、遺族への速やかな調査報告を定めているが、市教委総合支援課長は西日本新聞の取材に「存在を把握していなかった」と答えていた。

この日の記者会見で、市教委は「課長が出張中で詳細は分からない。他の職員は指針を認識した上で調査し、文科省に5月に報告書を送った」と釈明。遠藤教育長は「指針に沿って中学校の調査をしたが、小学校も要望があれば調べるべきだった」と述べた。 (壇知里)

 

シェアShare on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedIn