平成31年2月14日付NHK大分放送局

体力テスト死亡訴訟で学校側争う

3年前、大分市にある私立中学校で男子生徒が体力テストの最中に倒れて亡くなった事故をめぐり、生徒の両親が、学校側には体調の確認を怠るなどの過失があったとして合わせて4800万円余りの損害賠償を求めた裁判が14日から始まり、学校側は争う姿勢を示しました。 3年前、大分市にある私立岩田中学校の3年生だった柚野凜太郎さんは、体育の授業中に体力テストで走っていた際、突然、不整脈を起こして倒れ、心肺停止の状態で病院に運ばれましたが、2日後に亡くなりました。 これについて、柚野さんの両親は、担当教諭が体調の確認を怠ったほか、心臓マッサージだけで、人工呼吸は行わず、救命措置が十分でなかったなどの過失があったとして、学校と担当教諭に対し、合わせて4860万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしています。 14日から大分地方裁判所で審理が始まり、学校側は訴えを退けるよう求めました。詳しい主張については今後、書面を提出して明らかにするとしています。 この事故の対応をめぐって学校側が立ち上げた有識者の外部調査委員会は、報告書の中で、安全の配慮に問題があったと指摘した一方で、死亡との因果関係は不明だとしています。 柚野さんの父親は裁判後に会見し、「悔しさしかないが、なぜ14歳で亡くならねばならなかったのかを明確にしたい」と話しました。 柚野さんの両親は去年9月、業務上過失致死の疑いで担当教諭を刑事告訴し、警察が受理して捜査を進めています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20190214/5070003010.html

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平成31年2月6日付朝日新聞

「オマエの荷物全部池に捨てる」 高2自殺でいじめ認定

山口興2自殺

山口県の村岡嗣政知事(左)に報告書を手渡す、県いじめ調査検証委員会の堂野佐俊委員長=2019年2月5日、山口県庁

山口県周南市で2016年、県立高校2年の男子生徒(当時17)が自殺し、いじめの有無を調べていた調査検証委員会は5日、報告書を公表した。LINEメッセージによる仲間外れなど、いじめがあったと認定し、自殺に影響があったと結論づけた。

男子生徒は16年7月の未明、駅構内で貨物列車にはねられ死亡した。スマホに「オマエの荷物全部池に捨てる」「顧問に退部届けもらって」というメッセージが残っていた。

報告書などによると、テニス部に所属していた男子生徒は同月、野球部顧問に「助っ人」を頼まれて入部。テニス部の練習に十分参加できず、部のLINEグループから強制的に退会させられ、部室の荷物引き取りを求められた。

検証委はLINEの強制退会について「つながりを重視する現代の高校生にとって残酷な行為の一つ」として、いじめと認定した。

検証委は教職員らの聞き取りを実施。別の生徒から身体的特徴を揶揄したあだ名をつけられ、リボンを頭に付けられてスマホで撮影されるなど計18項目のいじめを認定した。教職員も野球部の雑用を押しつけるなど「いじめに類する行為」があったと指摘した。

そのうえで「教職員による十分な配慮と対応があれば、自死は防げた可能性があった」と指摘した。

県教委は16年8月に第三者委を設置し、17年11月に「いじめのみを自殺の要因と考えることはできない」とする報告書を公表。遺族が再調査を求め、検証委が調べていた。

(井上怜、棚橋咲月)

 

男子生徒のLINEに残された主なメッセージ

(テニス部員から)

「部室にあるオマエの荷物全部池に捨てる」

「顧問に退部届けもらって」

「さよなら」

「しねや」

(亡くなる直前、友人と)

「たすけて」

「野球部には行かんって野球部顧問にいっとって」

「なんか俺もう無理やわ」

「なにが?」(友人)

「いろいろ」

「俺もう無理かも」

「どうしたん」(別の友人)

※報告書と遺族への取材から

 

男子生徒の自殺をめぐる主な経緯

2016年7月 山口県周南市で県立高校2年の男子生徒(当時17)が列車にはねられ死亡

8月 県いじめ問題調査委員会が調査開始

17年8月 男子生徒の遺族が調査委にいじめと自殺の因果関係を明確に盛り込むよう求める意見書を提出

11月 調査委が報告書を公表。「いじめのみを自殺の要因と考えることはできない」と結論

12月 遺族が県に再調査申し入れ

18年2月 調査検証委員会が初会合

19年2月 検証委が調査報告書を公表

 

◆調査検証委員会の報告書の骨子

・「仲間はずれ」など、学校生活での多くの要因が複雑に絡み合い相乗的に作用したことが自死に大きく影響した

・雑用の押し付けや、全校生徒の前で名前を呼び周囲が笑うなど5項目で教職員からの「いじめに類する行為」があった

・女子生徒の制服のリボンを頭に付けられてスマホで撮影されるなど18項目を「いじめ」と認定

・教職員による十分な配慮と対応があれば、自死は防げた可能性があった

 いじめ認定へ家族3人3カ月、執念のLINEロック解除

いじめ認定へ

男子生徒が通学に使っていたリュックサック(手前)と部活用のバッグ。部屋はずっとそのままにしてある=山口県周南市、棚橋咲月撮影

LINE

山口県周南市で県立高校2年の男子生徒(当時17)が2016年に自殺し、調査検証委員会が5日、いじめによる自殺と認定した。「息子は生きたかったはず」。生徒の母親は話す。

16年7月、教員の要請でテニス部と野球部を掛け持ちになると、息子は疲れ、いらだつようになった。亡くなる2日前、「何でそんな顔しちょるん」と聞くと「俺にもいろいろあるんじゃあ」と言い返された。これが最後の会話となった。

「人懐っこくて、曲がったことが嫌いな自慢の息子」。追い詰められていたことになぜ気づけなかったのか。高校に問い合わせると「変わったところはなかった」と告げられた。

息子が残したスマホのLINEアプリ。閲覧には4桁のパスコードのロック解除が必要だった。「0000」から家族3人で順番に試し、途中であきらめかけた時もあったが、3カ月かけて解除。

履歴に友人に送ったメッセージが残っていた。「なんか俺もう無理やわ」「なにが?」「いろいろ」

履歴をたどると、野球部の練習でできた手マメの写真を送って「つらい」と漏らし、足が遠のいたテニス部の部員から「しね」「オマエの荷物全部池に捨てる」と書き込まれていた。テニス

部員のLINEグループからの強制退会の記録も残っていた。通信記録は県の第三者委に提供した。

今も息子の死を受け入れられず、部屋は当時のまま。仏壇は息子が好きだった抹茶入りのお菓子やパンダのグッズで埋め尽くされる。食事は必ず息子の分もつくる。「報告書を必ず再発防止につなげてほしい。学校は子どものどんなサインも見逃さないでほしい」(棚橋咲月)

 

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平成31年2月9日NHK福井放送局

教育大綱改定前に遺族が意見書

おととし、池田町で男子中学生が自殺した問題を受け、町は8日午後、教育行政の方向性を示す「教育大綱」を改定する方針です。 一方、生徒の遺族は8日朝、改定案について「反省が踏まえられておらず、納得できない」とする意見書を町の教育委員会に提出しました。 おととし3月、池田町の中学校で14歳の男子生徒が自殺し、町の教育委員会が設置した第三者委員会は、教員から繰り返し厳しい指導を受け生徒が追い詰められたとした上で教職員間の情報共有が不十分で、学校の対応にも問題があったと指摘しました。 これを受け町では教育行政の方向性を示す「教育大綱」を改定することになり、8日午後、地域が一体となって子どもの学びなどを支援する方針を盛り込んだ改定案を正式に決定する方針です。 一方、改定案について説明を受けた生徒の母親は8日午前、教育委員会を訪れ、「問題の原因や反省が踏まえられておらず、納得できない」とする意見書を提出しました。 この中で母親は、「間違った認識のもとどんなに大綱の見直しを行ったとしても、良いものができるとは思えません。町の教育を見直すきっかけとなった原因をもう1度考え直して頂きたい」としています。 母親によりますと、文書を受け取った町の教育長は、「意見を踏まえて改定案の前書きを一部変更した」などと答えたということです。 町では午後から開かれる会議で教育大綱が正式に改定されることになっています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20190208/3050001463.html

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平成31年2月6日付朝日新聞西部本社版夕刊

教員によるいじめに「最も怒り」 高2自殺、両親が会見

山口県周南市で2016年、県立高校2年の男子生徒(当時17)が自殺したのは、いじめが主な要因だったとする県の調査検証委員会の報告書が公表されたのを受け、男子生徒の両親が6日会見した。父親は「学校の対応がきちんとしていれば息子は亡くならずにすんだ。報告書を重く受け止めて」と訴えた。

男子生徒は16年7月、駅構内で貨物列車にはねられ死亡した。いじめの有無を調べていた県の調査検証委員会は、LINEメッセージによる仲間はずれなどのいじめや、教職員によるいじめに類する行為があったと認定し、自殺の主要な要因になったと結論づけた。

会見に臨んだ父親は時折声を震わせながら、「最も驚き、怒りを感じたのは教員によるいじめ。子どもたちへの接し方をいま一度問い直してほしい」と要望した。母親は「報告書が出て終わりではない。再発防止に向けてどう行動に移していただけるか見つめていきたい」と話した。(棚橋咲月、藤牧幸一)

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平成31年2月5日付東京新聞夕刊

山口高2自殺 教職員の「いじめ」認定 雑用押し付けなど

山口県周南市で二〇一六年、県立高二年の男子生徒が自殺した問題で「県いじめ調査検証委員会」(委員長・堂野佐俊(どうのさとし)山口学芸大教授)が同級生からのいじめがあったと認定し、教職員も雑用を押し付けるなどの「いじめに類する行為」をしていたと認めた報告書をまとめたことが五日、分かった。検証委は同日、村岡嗣政知事に報告書を手渡した。

午後に概要を公表し説明する。

一三年成立のいじめ防止対策推進法は生徒の行為のみをいじめと定義し、教職員は含まない。だが検証委は部活顧問ら教職員が関与した五つの事例について、男子生徒のストレス要因になったとしていじめに類する行為と判断した。遺族側代理人の石田達也弁護士は「異例の認定で学校の責任は重い」と話した。

報告書によると、五つの事例は(1)全校生徒の前で名前を呼んだ(2)雑用を押し付けた(3)試験中に「ちゃんとやったんか」と話し掛けた(4)対応に困るようなことを言った(5)不必要に

名前を連呼した。

男子生徒がストレスを感じたと判断した理由として、全校生徒の前で名前を呼んだことに関し「ツイッターへの投稿やテストの問題用紙に、名前を呼ばれることは恥ずかしく嫌だったと主張している」と指摘。雑用の押し付けについては「嫌だと友人に伝えており、理不尽さや負担を感じていたと考えられる」とした。

検証委は報告書で教職員の行為に他の生徒が同調し、次のいじめを生み出す端緒となる可能性があると強調。適切ないじめ対策と部活動運営、教職員による十分な配慮と対応があれば、自殺を防ぎ得た可能性があると結論付けた。

山口県光市の県立高に在学していた男子生徒は一六年七月、周南市の駅で貨物列車にはねられ死亡。県教育委員会は一七年十一月、他の生徒からのいじめがあったと認めた第三者による調査部会の報告書を公表した。遺族側が再調査を求め、県常設の検証委が同級生や教職員などを聞き取りした。

検証委は報告書で他の生徒からのいじめについて、調査部会が認めなかったものも含め十八事例を認定した。

 ◆教員のいじめも規定を

<教育評論家で法政大特任教授の尾木直樹さんの話> 教員の「いじめ」に踏み込んだ画期的な報告書で知る限り例はない。できるだけエピソードを取り上げストレスを検証したのは緻密で丁寧。一つ一つの事例は体罰より軽く見え、他人からは大したことではないと思えるかもしれないが、被害者の生徒にとっては深刻ないじめだ。指導する立場の教員がふざけたり、いじったりすることでいじめにつながっており、生徒との距離感が問われている。いじめ防止対策推進法にも、教員によるいじめの規定を盛り込むべきではないか。

 

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平成31年2月5日付神戸新聞

神戸中3自殺 メモ隠蔽で有識者会議が報告書提出

メモ隠蔽有識者

長田教育長

不祥事防止策をまとめた報告書を長田教育長(右)に手渡す山下座長=神戸市役所

 

神戸市垂水区で2016年10月、中学3年生の女子生徒=当時(14)=が自殺し、同級生らがいじめを証言したメモが隠蔽された問題で、神戸市教育委員会が設置した「組織風土改革のための有識者会議」が4日、不祥事防止の取りまとめを長田淳教育長に提出した。背景に教職員の多忙化やいびつな年代構成などが影響していると指摘し、研修の充実や働き方改革の推進などを求めた。(井上 駿)

メモ隠蔽問題と、後を絶たない不祥事の背景が共通しているとし、対策をまとめた。座長の山下晃一神戸大准教授から取りまとめを受け取った長田教育長は「アクションプランを策定し実行していく」と述べた。

取りまとめでは、14~18年度、教員の懲戒処分(66件)の約半数を50代が占め、節目の年次で定期的に総合的な研修をすることを提案。学校への啓発も事例の紹介や資料配布にとどまっているため現場の意識や理解が不十分とし、研修の充実や強化が必要とした。

また、不祥事の遠因になっている多忙化については、若手が多く、中堅が少ない年代構成も影響しており、管理職によるマネジメント強化など働き方改革を挙げた。ほかにも、風通しの良い職場環境づくり▽弁護士ら外部専門家の活用▽教職員の相談・通報窓口の充実-などを盛り込んだ。

また、校長間で教員の異動の調整をする市の人事慣行について山下座長は「異動希望が通りやすい側面もあるが、学校の伝統にとらわれて法令順守の意識が薄れやすい」と指摘した。

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平成31年2月4日付共同通信

高3自殺、第三者委が意見聴取 岩手、遺族「真相究明を」

岩手県立不来方高(同県矢巾町)3年のバレーボール部員新谷翼さん=当時(17)=が昨年7月に自殺した問題で、県教育委員会の第三者委員会は3日、翼さんの両親から意見を聴取した。

父親の聡さん(51)は「なぜ息子が亡くなったのかいまだに分からない。しっかりと真相究明してほしい」と求めた。

遺族側は、部顧問の男性教諭による行き過ぎた指導が原因だったと主張している。聡さんは聴取後、県庁で記者会見し「(翼さんの同級生は)卒業間近だ。アンケートや聞き取りが難しくなるので残念だ」と語った。

第三者委は大学教授や弁護士ら計6人で構成されている。

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平成31年2月2日付河北新報

<バレー部PTSD控訴>二審も岩手県に賠償命令 暴言認定で増額

  盛岡一高(盛岡市)の元バレーボール部員の男性(27)が在学中、元部顧問の40代男性教諭からの暴力や暴言で心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、教諭と県に計約200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は1日、県に20万円の支払いを命じた一審盛岡地裁判決を変更、慰謝料を増額し、県に40万円の賠償を命じた。  小川浩裁判長は教諭が部活動中、男性に平手打ちした事実や「お前のような人間が社会を駄目にする」などと言い放った事実を新たに認定。体罰や男性の人格を否定するような言動は「教員の裁量の範囲を超えて違法」と判断した。  教諭が一審での尋問で「平手打ちは『びんた』と異なり暴力ではない」などと供述した点も「詭弁だ」と指弾したが、暴力や暴言とPTSDの罹患との因果関係は認めなかった。  判決後に仙台市内で記者会見した男性の父親(62)は、同じ教諭が指導した不来方高(岩手県矢巾町)の男子生徒(17)が昨年7月に自殺したことに触れ、「息子も自殺と紙一重の状況だった。学校がまともな調査をしていれば、男子生徒が死ぬことはなかった」と学校側の対応を批判した。  判決によると、男性教諭は2008年、県外遠征を無断欠席した男性を体育教官室に呼び出し、鍵を壁に投げ付けたり拳で机をたたいたりして、30分以上にわたり怒鳴りつけるなどした。  岩手県教委は「判決内容を精査して対応を考えたい」とコメントした。

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平成31年2月1日付河北新報

<いじめ母子心中>「丁寧に対応していれば」寺岡小で臨時保護者会

寺岡小2

保護者会に参加する保護者=31日午後6時40分ごろ、仙台市泉区の寺岡小

昨年11月、仙台市泉区で寺岡小2年の女児(8)へのいじめを苦に母親が2人で無理心中したとみられる事件を受け、寺岡小は31日夜、臨時の保護者会を開いた。女児の死亡後、保護者会は初めて。瀬戸幸子校長がいじめの内容や学校の対応を説明した。  保護者会は非公開で約450人が出席した。終了後に取材に応じた瀬戸校長によると冒頭、全員で黙とう。女児が朝顔の支柱を振り回されたり、登校中に置いていかれたりしたことを瀬戸校長が時系列で説明した。質疑応答では、11人が児童の心のケアやいじめへの対応方法について質問した。  瀬戸校長は取材に「尊い命を失い痛恨の極みだ。今後は認識を改めて、保護者との連絡を密に対応する」と述べた。  出席者からは学校の対応についてさまざまな意見が聞かれた。出席した母親の一人は「説明を直接聞き、学校はちゃんと対応していたと思えた」と受け止めた。別の児童の父親は「より丁寧に対応していれば、ここまで痛ましい結果にはならなかったのではないか」と推し量った。  ある保護者は「亡くなった母子と学校はいじめの問題意識を共有できていなかったのだろう」と指摘。別の出席者は「学校が経緯を説明せず、(いじめが)なかったことになってしまうと思っていたが、経緯が聞けて良かった」と話した。

 

<いじめ母子心中>学校の対応不適切 議会理事会に仙台市教委が説明

仙台市泉区で寺岡小2年の女児(8)と母親がいじめを苦に無理心中したとみられる事件に関連し、死亡直前のいじめ調査で母子が「いじめがあった」「現在は続いていない」の両方に丸を付けていたことが、31日分かった。市教委の担当者は「(回答をうのみにせず)細やかに対応すべきだった」と学校側の対応が不適切だったとの認識を示した。  同日開かれた市議会いじめ問題等対策調査特別委員会理事会で、市教委が明らかにした。調査は昨年11月14日に母子から提出されたもの。  杉山勝真学校教育部長は「昨年10月以降、新たにいじめの相談がない中で調査した。女児らと十分に相談しなかった」とした上で、「油断があった。細やかに対応すべきだった」と釈明した。  同小の瀬戸幸子校長は「しにたいよ」と書いた女児の手紙を見た昨年8月24日に詳しい事情を聴いておらず、杉山部長は「学校の対応が良かったかどうかは、反省を含めて検証が必要だ」と述べた。  関係児童の保護者との面談の際、質問のメモを瀬戸校長が無断で相手側に渡したことには「校長の判断で相手側の心の用意として渡した。了解を得ておらず、学校としての対応は良くなかった」と語った。

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平成31年1月30日 河北新報

<仙台・折立中自殺>市いじめ専門委 協議の途中経過を遺族に概要報告 

仙台市青葉区の折立中2年の男子生徒=当時(13)=が教諭から体罰を受けた上、いじめを訴えて2017年4月に自殺した問題で、市教委の第三者機関、市いじめ問題専門委員会の川端壮康委員長(尚絅学院大教授)は29日の会合後、協議の途中経過を遺族に報告したことを明らかにした。  遺族への経過報告は初めて。川端委員長ら複数の委員が今月、遺族と会い、概要を口頭で伝えたという。川端委員長は「議事の内容を話せる範囲で話し、質問にも答えた」と説明した。  昨年12月の会合で委員から「遺族への丁寧な説明が必要だ」との指摘があり、遺族に報告する内容や手法を話し合っていた。

 <いじめ防止条例>「最終的な調整」 仙台市長、母子心中受け

郡和子仙台市長は29日の定例記者会見で、市議会2月定例会への提出を目指すいじめ防止条例案に関し「最終的な調整を行っている。準備が整い次第、提出する」と述べた。同日発表の議案にはなく、会期中に追加提案するとみられる。  昨年11月に泉区で寺岡小2年の女児(8)へのいじめを苦に母親が2人で無理心中したとみられる事件を踏まえ「(新たに)盛り込むべきことがあるか、足らざることはないか調べている」と理由を説明した。  女児へのいじめを巡り、遺族は学校の対応が不十分だったと指摘。市教委は学校がいじめを認識し、一定の対応をしたと主張する。  郡市長は「(条例案の内容の)大きな変動は考えていないものの、(遺族と学校で)認識にずれがあることは大きな課題」と語り、再発防止策を条例案に反映させた上で、定例会に提出する可能性を示唆した。

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