【10月17日付 河北新報】

仙台市泉区の館中1年の男子生徒=当時(12)=が昨年9月下旬、いじめを苦に自殺した問題で、市教委は16日、原因究明に向けた追加調査を実施する方針を決めた。週明けにも、調査を行う第三者委員会に諮問する。
市教委は今月5日、男子生徒の校名を公表し、全校生徒や保護者に初めて説明したことを踏まえ、追加調査の環境が整ったと判断した。自殺の原因や背景分析のほか、学校と市教委対応の検証、再発防止に向けた提言を第三者委から求める方針。第三者委は11月にも全校生徒対象のアンケートを行い、結果をまとめ来年3月までに答申する予定。
大越裕光教育長は「自殺から1年以上経過後の調査になるが、一層の原因究明のためには実施すべきだと判断した」と述べた。
追加調査の方針は、市内であった臨時教育委員会で決定。委員からは「記憶が曖昧になった生徒も多いはず。十分配慮して調査してほしい」との意見が出た。
今回の問題で市教委は昨年11月、第三者委に調査を諮問。第三者委は、いじめに関わった生徒だけを対象に聞き取りして、ことし6月、いじめと自殺の関連性を認める答申を出した。
16日の委員会では、2学期初日の15日から館中に講師1人を増員したことも報告された。7日の保護者説明会で増員を求める声が上がっており、市教委は「教諭の負担を軽減したい」と説明した。
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【NHK仙台放送局】

調査委が生徒アンケート実施へ

仙台市の中学1年の男子生徒が去年、いじめを受けたあと自殺した問題で、仙台市教育委員会は全校生徒を対象にしたアンケート調査について、専門家からなる調査委員会に諮問することを決め、アンケートは調査委員会が実施することになりました。
この問題で仙台市教育委員会と男子生徒が通っていた中学校は、遺族の了解が得られたとして今月、中学校名を発表し、全校生徒や保護者に事実関係を説明しました。
これを受けて、仙台市教育委員会は、全校生徒を対象にしたアンケート調査を行うことにし、16日、臨時の教育委員会が開かれ意見が交わされました。
5人の教育委員からは「いじめが1年以上前のことなのでアンケートは慎重に行ってほしい」とか、「専門家に任せた方が良い」などの意見があがり、アンケート調査を専門家からなる調査委員会に諮問することを決めました。
今後、調査委員会がアンケートの方法や質問項目などを決めることになります。
仙台市教育委員会の大越裕光教育長は「いじめがあった結論が変わることはないと思うが、これまで分からなかった詳細が分かるかもしれない。遅すぎたことは否めないが、早急に調査を依頼したい」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20151016/5736651.html

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【10月7日付 朝日新聞宮城版】

仙台市泉区の市立館中学校1年の男子生徒が昨秋、いじめを受けて自殺した問題で、中学校は6日、全校集会を開き、在校生に初めて事実を説明した。「男子生徒は転校した」と事実と異なる説明をしていたことなどについて謝罪した。
全校集会は午前9時前から、体育館で非公開で開かれた。集会後に記者会見した菅原光博校長によると、
校長が男子生徒の名前を明らかにしたうえで、亡くなった経緯を説明し、「本人が苦しく心を痛めていたことに、学校が十分に対応できず申し訳なかった」と話したという。
遺族の要望で、これまで事実を伏せていたことや、「転校した」と伝えたことについても謝罪。生徒たちは静かに聞き、涙ぐむ子や「具合が悪い」と訴える子もいたという。
館中では今後、校舎の一角に献花台を設け、生徒や保護者が手を合わせられる場所にする。道徳の授業やスクールカウンセラーを交えた取り組みの内容をこれまで以上に深め、生徒会でもいじめ問題に取り組むという。
ただ、今回の事案を授業などでどうとり上げるかについては、「検討中」と述べるにとどめた。
集会に参加した3年の女子生徒(15)は、自分たちの学校だといううわさが広がっても、説明しない学校に不信感があった。「もう少し早ければよかったけど、遺族の意向なら仕方ない」別の3年の女子生徒(15)も「遺族の人が嫌と言っているものを無理やり公開できない」と学校に理解を示した。
「学校全体が二度とこんなことを起こしてはいけないという空気になれた」と話す3年の男子生徒(15)もいた。
一方、2年の男子生徒(14)は、用意した紙を読み上げる校長の姿に違和感を覚えたという。「本当に反省していたら覚えてくるはず。『遺族の意向』と連発するのも、責任逃れのように感じた」と納得できない様子だった。
2年の女子生徒(14)のクラスでは、「隠していた学校はおかしい」と担任に問いただす生徒もいたという。女子生徒の母親は「うそをついても謝ればいいという態度は、子どもがまねをする。今さら受け入れられない」と憤った。

■いじめ自殺と公表をめぐる動き
<2014年>
5月 いじめを受けた男子生徒が休みがちになる
9月 男子生徒が自殺
11月 第三者委員会が調査を開始
<2015年>
6月 第三者委が仙台市教育委員会に調査結果を答申
8月21日 市教委が記者会見し、男子生徒の自殺を公表。その後、学校が同級生に「転校した」と説明していた
ことが判明
9月 市議会で、学校内での公表を求める声が相次ぐ。遺族も校長に公表を要望。
10月3日 教育長や校長が遺族と会い、公表で同意
6日 全校集会で生徒に説明

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【10月4日付 朝日新聞宮城版】

献花台があった場所には今も花束などが供えられている。よく訪れる近所の男性は、「生徒が死を選んだことを学校や地域は重く受け止めて、みんなで黙禱を捧げるべきだ」と花束に水をあげていた=3日、仙台市内の公園

仙台市立中学1年の男子生徒が昨秋、いじめを受けて自殺したことが公表されてから、1カ月以上が経った。生徒が通った中学校では「遺族の意向」として、自殺の事実は説明されていない。朝日新聞の電話取材に応じた生徒の父親は、「学校での説明は必要と思うようになった」と心境の変化を記者に語った。

■「生徒や保護者への説明、必要だと思うようになった」息子が亡くなってから、1年が過ぎました。区切りになるかとも思ったけれど、やっぱりそんなことはありません。むしろ、今になって、学校などに新たな怒りもわいてきています。ただ、息子が通った中学校で、生徒や保護者に対して事実が明らかにされることについては、いまでは必要だと思っています。考えが変わりました。
直後から、このことは「墓まで持って行こう」と思っていました。いじめの加害者もわからず、怖い思いをしている状況で、他人やマスコミから探られて、中傷され、これ以上傷つくのは絶対に嫌でした。残された家族や生活を守るためには、公表はできない、と。報告書がまとまり、学校側からすべてを伏せ続けることはできないと説得されて、泣く泣く、8月の公表にいたりました。
しかし、最近は「このまま隠そうともがいていても仕方ないんじゃないか」と思い始めました。学校内で事実を伏せていることで、動揺している人、悩んでいる人もいると報道などで知って、そのままにしていいのだろうかと思いました。
学校側とは、「二度とこんなことは起こさない」と約束してもらっていました。加害者の生徒たちも反省し、具体的ないじめ対策もとられると期待しました。でも、1年経ったいま、私から見ると、何が変わったのかわからない。再発防止ができないのであれば、しっかり事実を出して、生徒や学校に向き合ってもらう必要があるのでしょう。今後、学校側から生徒らへの説明についてはっきりと提案があれば、断るつもりはありません。
しかし、そもそも、こんな最悪な出来事が起こらないと、騒ぎにならないと、学校全体が動かないというのは本当におかしい。何をしても、死んでからでは遅いんです。悔しい。
息子がまだ生きていた当時、いじめをやめるよう指導する内容の学年集会が開かれていました。それでも、いじめはなくならなかった。それを考えると、事実を明らかにしても何も変わらないのではないか、という思いは残ります。
そんな中、学校そばの献花台の設置は、とてもありがたかった。どなたが行動を起こしてくれたのかはわからないけれど、私も直接手を合わせに行きました。息子も、少しは浮かばれたかな。少しずつ、前を向いて行動していかないといけないと思えるようになりました。(聞き手・船崎桜)

〈仙台のいじめ自殺問題〉仙台市立中学1年の男子生徒が入学直後の昨年5月から、仲間外れにされるなどのいじめを受け、昨秋に自殺した。市教育委員会は今年8月21日、具体名は伏せたまま、いじめが関連する自殺があったことを公表し、対応の問題を認めて謝罪した。
市教委は「遺族の強い希望」を理由に、自殺の事実をそれまで明らかにしていなかった。中学校側も、加害者を除く同級生らには「男子生徒は転校した」と事実と異なる説明をしていた。

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【10月1日付 河北新報】

[こいずみ・しょういち]九州大大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。15年3月まで東北大大学院教育学研究科教授。同4月から現職。仙台市の生徒指導問題等懇談会委員長なども務めた。滋賀県出身。

◎悲劇をなくすには(下)白鴎大教授 小泉祥一さん(65)

-仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=が自殺した学校の対応をどうみる。
「2013年施行のいじめ防止対策推進法で、学校はいじめが疑われた段階で早期に幅広く捉え、組織的に
対応する義務が課された。今回、学校は加害生徒をいったん指導したが、その後に激化したいじめをいじめと捉えなかった。この点は法令違反とも言える」
-仙台市教委は遺族の意向で学校名を伏せている。

<現実と向き合え>
「意向を隠れみのにして、『いじめは人権侵害行為で犯罪性がある』ということを加害生徒が認識できないような環境をつくっていないか懸念する。遺族は、問題をうやむやにし、いじめの温床を残したいわけではないはずだ」 「根本的な解決は学校全体で男子生徒の死を悼み、つらい現実と向き合うことが出発点になる。校名を公表する必要性は遺族も理解してくれるのではないか」-市教委の第三者委員会による調査結果の評価は。
「ごく限られた生徒や教師からの聞き取りで、事実や問題の断片にすぎない。報告書は男子生徒を『当該生徒』、いじめた側を『関係生徒』と表現し、被害と加害を曖昧にしている。加害側の家庭環境、放課後や地域の人間関係が影響している可能性もある。効果的な対策には原因と背景の構造的な分析が必要だ」 -事実関係の再調査は必要か。

<追加調査要求を>
「教委の独立性は尊重されるべきだが、4月の教委制度改革で首長が総合教育会議を招集できるようになるなど、教育行政に関与できる余地が広がった。奥山恵美子市長は追加調査を求めるべきだ。そうしないと文部科学相の指示や是正要求が発動される可能性がある」-教師の多忙さが、いじめへの対応を妨げているとの声がある。
「いじめを受けている生徒が明確なサインを出しても対応しないなら、教師としての良心や人権感覚、教育専門性が問われる。生徒にしっかり向き合える労働環境の改善を管理職や教委に求めるべきだ。いじめを認知し、適切に対応した教師を加点する教員評価制度も必要だ」

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【9月30日 河北新報】

◎在校生へ説明なし「再発防止できない」

仙台市議会9月定例会は、市立中1年の男子生徒のいじめ自殺が8月21日の市議会委員会で報告されてから初の本会議となる。29日の代表質疑では生徒が通っていた学校名を公表せず、いまだに在校生や保護者に説明していない市教委と市の対応に批判が相次いだ。
自民党の斎藤範夫氏は「学校名は既に公知の事実だ。(自分の学校で)起きたことを説明しないと再発防止はできない」と強調し、公表を迫った。
市民フォーラム仙台の岡本章子氏は学校が男子生徒の自殺後、在校生に「転校した」と虚偽の説明したことに言及。「大人はうそをつく、ごまかすという思いが子どもたちに生じかねない」と指摘した。
奥山恵美子市長は「非公表は遺族の意向。現時点で意向は変わっていないと聞いている」と従来通りの釈明に終始。学校の現状に関しては「率直に踏み込んで子どもと向き合う状況にはなっていない」と認めた。
大越裕光教育長は校名の非公表に「混乱を生じさせている」と陳謝。「遺族に状況を伝え、当該校でどんな対応が必要かを検討する」と語り、遺族と協議する意向を明らかにした。
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【朝日新聞宮城版】

仙台いじめ自殺、対応に批判続出

仙台市立中学1年の男子生徒が昨秋、いじめを受けて自殺した問題への市教委や学校の対応について、29日の市議会代表質問で批判が相次いだ。
男子生徒が通った中学校は現在も自殺の事実などを生徒に伝えていない。自民党の斎藤範夫議員は「市教委は(非公表を望む)遺族を説得して生徒に説明し、いじめについて考えさせることが再発防止になる」と指摘した。市民フォーラム仙台の岡本あき子議員は「多くの生徒が自分たちの学校のことだとわかっている。大人はうそをつくと子どもたちが思っても不思議ではない」と批判した。
奥山恵美子市長は「再発防止のために、原則公表するべきだ」としたうえで、「遺族の意向があり、子どもたちと学校が向き合う状況になっていない。遺族との協議を続けたい」と述べるにとどまった。

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【9月29日 朝日新聞宮城版】

ビニールシートの上に花束やジュースが置かれ、箱の中に手紙などがおさめられていた=仙台市内

いじめを受けて昨秋に自殺した仙台市立中学1年の男子生徒への献花が、台が撤去された後も続いている。台があった市内の公園には28日、花束の下に敷くビニールシートが新たに設けられた。
管理する市は「台がなければ不法占用ではない」として、撤去は求めない方針だ。
21日に設けられたとみられる献花台は、24日夜から25日朝の間に撤去された。誰が設置し、撤去したかはわかっていないが、撤去後も献花したり、手を合わせたりする住民らが途絶えない。
公園がある区の区役所公園課は、献花台が設けられたときは公有地の不法占用にあたると判断したが、28日に課長らが公園を確認。現状では不法占用にあたらないため、今後も定期的に点検して様子を見ることにした。

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【9月29日 河北新報】

◎悲劇をなくすには(上)NPO法人ジェントルハートプロジェクト(川崎市)理事 小森美登里さん(58)

仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=がいじめを苦に自ら命を絶ってから1年が過ぎた。
悲劇を生んだいじめをなくすには、学校や児童生徒、保護者がどう対応すればいいのか。少年の苦しみから何を学び取ればいいのか。いじめ自殺で子どもを亡くした親や、弁護士、研究者の3人に聞いた。
(仙台・中1いじめ自殺問題取材班)

<市教委判断誤り>
-仙台市のいじめ自殺問題をどう受け止めるか。
「公表に1年も費やした市教委の判断は間違っている。最初にすべきは遺族のケア。それと速やかな公表に向けた説得だった。高校1年の娘をいじめ自殺で亡くした私の場合もそうだったが、親は悲しみに打ちひしがれ、冷静な判断ができない。市教委が遺族に寄り添い、予見できる混乱を丁寧に説明すべきだった」

-遺族は非公表を望んでいる。
「真実を明らかにするには公表が必要なプロセスだと伝えれば応じるはずだ。親が公表しろと言えば公にし、事実を伏せろと言えば隠すようでは、いじめ自殺の対応にばらつきが出る。悲劇を繰り返さないためにも、一貫性のない対応は絶対に避けるべきだ」

-公表に時間がかかったことによる弊害は何か。
「真相を究明する機会を逸した。いじめた子どもと教師、保護者だけに聞き取りをしても、状況を正確に
把握できない。直後にクラスメートや同じ部活の子どもたちに話を聞かないと、真実にはたどり着けない」
「保身に走りがちな学校は『子どもの言うことは曖昧で信用できない』との論法を好む。学校の内部事情
を知らない専門家より、事実を見聞きしていた子どもの方がよほど信頼できる。むしろ早く聞き取らないと
さまざまなうわさが広がり、真実がかすんでしまう」

<生徒ら傷付いた>
-今も事実を伏せられ、学校や教師を信じられない子どもも少なくない。
「いじめ自殺を『無かったこと』にされた結果、どれだけ多くの友人たちが傷付いたか、周りの大人たちは想像できるだろうか。真実に向き合えなければ立ち直りへのケアもできない。必要なのは学校全体で事実を受け止め、悼み、思い切り泣くことだ」
「加害者が反省する機会を逃した可能性もある。加害者から本音を聞き出せるのは、いじめ自殺の発覚からせいぜい3日。加害者の親、教師は『いじめられた子にも原因があった』などと誤った弁護の仕方をしがちだ。更生する機会を奪われたとすれば、彼らは大人の事情が生み出した第二の被害者だ」

<こもり・みどり>98年7月、一人娘で高校1年の香澄さん=当時(15)=をいじめ自殺で亡くした。03年、いじめのない社会づくりを目指すNPO法人「ジェントルハート プロジェクト」を夫や支援者らと設立。理事を務める。12年、文科省いじめ問題アドバイザーを務めた。

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【9月26日付 河北新報】
献花台が置いてあった場所を調べる仙台市の区役所職員と地域住民=25日午前9時30分ごろ、仙台市内

自殺した男子生徒が通っていた中学校近くの公園に置かれた献花台=21日午後5時ごろ

昨年9月下旬にいじめを苦に自殺した仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=を追悼しようと、学校近くの公園に設置された献花台が25日朝までに撤去されていたことが分かった。献花台は21日朝までに誰かが設置した。連日、大勢の人が訪れ、花を手向け、手を合わせていた。

◎設置者名乗る匿名ファクス「迷惑考え撤去」
地元住民が25日午前8時半ごろ、花束を雨から守ろうと現地を訪れ、献花台のテーブルと白いクロスなどがなくなっていることに気付いた。24日夜には花束約50束とお菓子やジュースが供えられていたが、花束の一部と男子生徒向けのメッセージや手紙を除き、ほとんどなくなっていた。
公園を管理する仙台市の区役所は21日、献花台の側に「不法占用に当たる」との告知板を設置。
自主撤去の要請に応じない場合、強制撤去する方針を示していた。今回、撤去したのは区役所ではないという。
近所の男性(75)は「子どもの死を悼もうと勇気を持って設置された献花台が突然、撤去された。こんなことは許されない」と話した。
一方、25日朝、「献花台設置者」を名乗る人物から河北新報社に「これ以上、放置すると区役所と遺族に迷惑になるため、撤去した。手紙類は遺族に届けてほしい」という匿名のファクスが届いた。

<仙台いじめ自殺>仙台市献花台撤去方針に文科相が苦言
いじめを苦に自殺した仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=が通っていた学校近くの公園に献花台が設置されたことについて、下村博文文部科学相は25日、「遺族の思いや、冥福を祈りたいと訪れる人たちの心情を受け止める必要がある」との認識を示した。同日朝の閣議後の記者会見で述べた。
献花台は25日朝までに誰かが撤去したが、公園を管理する仙台市は「不法占用に当たる」との告知板を置き、週明けにも強制撤去する方針を示していた。
下村氏は「行政的には不法占拠かもしれないが、人生これからという子どもが自ら命を絶ったことへの哀悼の思いをしっかり受け止める必要がある」と市の方針に苦言を呈した。

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【9月23日付 毎日新聞】
男子生徒の自殺した問題を受けて仙台市立学校の校長を対象に臨時研修が行われた
=仙台市宮城野区の市教育センターで2015年9月8日午後、山内真弓撮影

◇市教委は校名非公表 誰かが21日朝設置か
仙台市立中学1年の男子生徒が昨年秋、学校でいじめを受けて自殺した問題で、学校近くの公園に、誰かが男子生徒の死を悼むためとみられる献花台を設置した。市教委は「遺族が望んでいない」として学校名を公表せず、学校も生徒や保護者にいじめの事実を明らかにしていない。
複数の地元住民によると、献花台は21日朝に設置されたとみられる。幅約2メートルのテーブルに白いクロスがかけられ、花束や菓子が供えられていた。テーブルの上には「守ってあげられなくてごめんね。
安らかに眠って下さい」「あなたの死をムダにはしないからね」などと、訪れた人らが記したとみられる
書き置きもあった。
市教委は8月に男子生徒の自殺を公表したが、個人が特定される恐れのある情報は明らかにせず、在籍していた学校でも、いじめの関係生徒以外には「家の都合で転校した」と説明していた。
娘が男子生徒と同級生だったという地元の男性(51)は22日午前、献花に訪れた。「学校では彼が死んだことさえ『無かったこと』にされ、手を合わせる機会も、哀悼する場所もない。誰かが人間として当然のことをしてくれた」と話した。
一方、住民には「子どもの動揺を誘う」と献花台設置を疑問視する声もあるという。地元区役所の公園課は21日昼、住民の通報を受け、献花台そばに撤去を求める看板を置いた。担当者は「許可なく公共スペースに設置され、都市公園法に違反している。自主的な撤去をお願いしたい」と話している。
【伊藤直孝】

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【9月23日付 河北新報】
献花台に手を合わせ、男子生徒の死を悼む地元住民=22日午後0時30分ごろ

仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=が昨年9月下旬、いじめを苦に自殺した問題で、男子生徒の父親が22日、献花台が設置された中学校近くの公園を訪れ、周辺で1人静かに手を合わせた。
午前9時すぎ、人目を避けるように公園が見渡せる位置に立ち止まり、献花台に向かって静かに祈った。
午後には関係者を通じて供物もささげた。
父親は河北新報社の取材に「(献花台の設置を)ありがたく感じ、駆け付けた。一周忌を前に皆さまに手を合わせてもらい、息子も幸せだと思う」と話した。
献花台の設置者は不明。近所の男性(63)が21日午前、置かれているのを見つけた。22日も花束や
菓子などを手に住民が次々に訪れ、冥福を祈る姿が見られた。
夫婦で献花した近所の男性(65)は「今もきちんと事実を公表しない市教委や学校は、いじめ自殺をなかったことにしようとしているのではないか。地元住民として、亡くなった男子生徒を悼みたい」と語った。
献花台について公園を管理する区役所の担当課は21日、「不法占有に当たる」として、撤去を求める
張り紙を近くに掲げた。設置者が片付けない場合、週明けにも強制撤去するという。

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