平成31年1月12日付朝日新聞栃木版

作新ボクシング部監督がパワハラか 平手打ち・暴言など

宇都宮市の作新学院高校ボクシング部の川島弘行監督(43)が、部員へパワーハラスメントが疑われる不適切な行為を繰り返していたことが11日、分かった。学校側が同日、記者会見を開き、パワハラを指摘する投書があり調査した結果、不適切な行為があったと明らかにした。

川島監督は昨年8月に岐阜市であった高校総体(インターハイ)でボクシング部を学校対抗で優勝に導いた。22日に表彰される県高校スポーツ賞の「優秀監督賞」に決まっていたが、同校は辞退を表明した。

同校によると、投書は昨年12月20日に匿名で、同校へ郵便で届いた。川島監督の過去数年の指導の問題点を指摘する内容で、平手打ちや長時間の正座などの体罰や、部員の人格を傷つける暴言、部員を突然大会メンバーから外す、遠征先から部員たちだけで帰還させるといった問題行為が指摘されていたという。

同校は昨年末、部員らに聞き取り調査をしたところ、投書の内容とほぼ一致したという。10日には川島監督からも聞き取りをし、遠征先に部員を残したまま先に学校へ戻る、部員をメンバーから突然外すなどの行為について認めた。一方、体罰については否定したという。

投書では川島監督の父親で元監督、現在は外部コーチの八郎氏(75)の行為にも言及しており、同校は2人を部の指導から外した。近く校内に調査検討委員会を立ち上げ、体罰の有無も含め2人の過去の行動を調べていく。結果については後日公表する。

同部はインターハイの学校対抗で8回の優勝を誇る強豪で、川島監督は2012年から監督に就任。昨夏のインターハイでは同部を20年ぶりの優勝に導いた。(常松鉄雄)

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平成31年1月6日付朝日新聞

(フォーラム)子どもへの体罰:1 しつけと指導

子どもへの体罰しつけ指導

家庭で「しつけ」として、親が子どもをたたく。スポーツでは「指導」として、指導者が選手を殴る。家庭でもスポーツの現場でも、強い立場の大人が弱い立場の子どもたちを、「実力行使」によって言うことを聞かざるを得ない状況に追い込む点で共通性があります。今回はその両者を一緒に考えてみます。子どもに体罰、必要でしょうか?

■暴力に反対/納得いく場合も

朝日新聞デジタルのアンケートに寄せられた声の一部を紹介します。

  • 「幼い頃にテーブルの下で母親に無言でつねられたことは一生忘れません。中学では体育教師が日常的に暴力をふるっていました。自分の子供にも八つ当たり的にたたいたり、しつけ目的で突き飛ばしたりしました。体の痛みはなくなっても、心の傷は長い間癒えません。されたことも、してしまったことも、いつまでも拭いされません。すべての暴力に反対です」(愛知県・50代女性)
  • 「体罰は絶対にしてはいけないと思いつつも、ついカッとなってたたいてしまったことがある。そのときの子どもの悔しそうな顔、自分への自己嫌悪はずっと残っている。他者を大切に、自分を大切にする人に育って欲しいと願いながら、自分の子どもの意思や人格を尊重できずに、時おり、怒りにまかせてたたいてしまう自分の未熟さを自覚している。本当に申し訳ないし、情けないし、直したい」(北海道・30代女性)
  • 「スポーツ界の体罰が取り沙汰されていますが、それと家庭・教育現場における体罰を同じ枠組みで語ることに違和感を覚えます。勝つための指導と、人としてのしつけは分けるべきと思うからです。児童虐待として外部機関が介入せざるを得ないケースもありますが、親の平手打ちが子どもの成長につながる親子関係もあります。生徒の肩に手を置いたり強い口調で叱ったりするだけで体罰と訴えられる教員と、平手打ちをしても生徒や親が問題にしない教師もいます。その違いを無視して『体罰』を画一化し、概念的に議論することは不毛なだけでなく、危険とさえ感じます」(高知県・40代男性)
  • 「中学時代のバレー部では顧問の教師に何度も平手打ちをされました。『お前のせいで負ける』などの悪口を日常的に浴びせられ、性暴力も受けました。高校時代の顧問に言われたのは『俺はお前を殴らない』『楽しんでやれ』と言った言葉でした。その人物は『お前らが楽しんでプレーする姿を見るのが俺は楽しい』と言っていました。非常に対照的でした。私の今の人生観の基礎になっているのは高校時代の顧問に言われた言葉です。体罰は不要ですし、それを行う教師も不要です」(千葉県・40代男性)
  • 「こどもの発達支援に関わっています。教育(しつけ)の方法としての体罰には弊害はあっても益はないと考えます。一方で、親御さんたちは教育のプロフェッショナルではありません。仕事で教育しているのであれば、プロとして適性がないなら辞めることもできるし、仕事をある程度選ぶこともできます。だからプロが行う体罰は断固反対です。しかし、家庭も同じでしょうか。アンケートの選択肢の“絶対”という言葉に強烈な違和感を抱きました」(埼玉県・50代男性)
  • 「子供の頃(小学校低学年)は、叱られる時ゲンコツで一回ゴンというのはありました。必ずお説教とセットになっていて子供心にも『悪いことをしたな』と納得いくものでしたので、それを体罰と言われると違和感があります。それでも『言葉でわかるようになったから、もうゲンコツはしない』と小4ぐらいで親のゲンコツ卒業宣言がありました。今でも『うちの親は叱り方上手だったな』と思っていますが、一概になんでも『体罰』『暴力』というのは違うように感じています」(東京都・50代女性)

 

■虐待へエスカレート

昨年、東京都目黒区で5歳の女の子が、十分に食事をもらえず、親から殴られたり水をかけられたりという虐待を受けていた事件がありました。亡くなった女の子がノートに記した言葉が公表されたことで、事件は注目を集めました。その後も子どもへの虐待事件は相次いでいます。

虐待は、体罰の延長にあると言われます。最初は暴言や、軽い体罰から始まり、深刻な暴力へとエスカレートすることがあるからです。

虐待を減らすため、国は近年、体罰によらない子育てをしようと呼びかけています。しかし、実際には、体罰を認める意識は根強くあります。20歳以上の男女の約6割が体罰を容認しているという調査もあります。しつけのためにはやむを得ないと考える人が多いようです。

法律では、親の体罰は明確に禁止されていません。2016年、しつけを名目にした虐待が後を絶たないことから、児童虐待防止法が改正されました。これにより、監護、教育に必要な範囲を超えて、親が子どもを懲戒してはいけないことになりました。教師については、体罰が明確に禁止されているのに対して、親についてはあいまいです。

こうした中、新たな動きもあります。東京都は昨年11月、体罰禁止を盛り込む条例案の骨子案を公表しました。成立すれば全国の都道府県で初めてです。冒頭の5歳の女の子の死亡事件を検証した専門家らが、体罰によらない子育てを広めるべきだと都に提言しました。都民からも体罰禁止を求める意見が多く寄せられたそうです。(三輪さち子)

■スポーツ界、遠い根絶

スポーツ界における体罰撲滅の動きは、2013年1月が転換期となって本格的に始まりました。

この月、大阪・桜宮高の男子バスケットボール部主将が顧問から受けた体罰などを理由に自殺したことが明らかになったほか、柔道女子の日本代表でも監督らの指導陣が選手に暴力をふるっていたことがわかり、対策が急務となりました。

同年4月、日本体育協会(現・日本スポーツ協会)、日本オリンピック委員会、日本障害者スポーツ協会、全国高校体育連盟、日本中学校体育連盟の5団体が、暴力行為根絶宣言を採択します。同年5月には、文部科学省の有識者会議が、学校の運動部活動の指導で許されない体罰を示したガイドラインをつくり、許されない指導として、「殴る、蹴る」「長時間の無意味な正座や直立」「柔道で受け身ができないような投げ」などを例示しました。各競技団体も指導者研修を行うほか、選手らからの相談を受ける窓口を設置しました。

しかし、「体罰はダメ」の意識はまだスポーツ指導者には行き渡っていません。東京都教育委員会の調査で判明した公立中における部活動中の体罰は、14年度が7件、15年度が9件、16年度が8件と横ばいです。

16年には、福島県の私立高相撲部で顧問がゴム製ハンマーで部員を殴っていたことが発覚。昨年も、体操女子の五輪出場選手をコーチがたたく様子や、高校野球で監督が部員たちを殴る場面の映像が流れるなど、根絶は遠いのが実情です。(編集委員・中小路徹)

南部先生

■密室で一方的に、害しかない 日体大・南部さおり准教授

家庭内とスポーツにおける体罰の共通性について、日体大の南部さおり准教授(スポーツ危機管理学)に聞きました。

まず、絶対的な力を持つ強い大人がやり返せない子ども、生徒に一方的に振るう点が同じです。

次に、密室性。家庭には簡単に介入できません。部活動も学校が閉鎖空間であるうえ、さらに外の目が入りにくい二重構造になっています。

世代間連鎖も共通します。親は育てられたようにしか子を育てられないと言われます。スポーツ指導者も、自分が受けてきた指導のやり方で経験的に教えてしまいます。

そして、速効性。しつけたことを子どもが守らない時、体罰はすぐ効果が出る強制の仕方です。スポーツでも殴れば、生徒は「怒られるのが怖い」と、普段以上の力を出します。指導者からすれば、体罰がないと期待するほどの力を出さないことから「殴らなければわからない」と体罰はエスカレートしていきます。

さらに、される側が逃げられない点。子どもは親に経済的に依存し、外の世界で生きていけません。部活動も、全体の士気が下がるからと、退部が許されない状況になりやすい。退部するとどんな仕打ちが待っているかわからないので、体罰は嫌でも続けるしかなくなります。

家庭で体罰を受けた子どもは、外で困難に遭遇すると、暴力的に振る舞いやすくなります。スポーツでは、体罰でその競技が嫌になることもあり、強化どころか競技人生を潰すことになります。

長い目で見た時、体罰は有害でしかないことをきちんと伝えていく必要があります。

◇来週13日は「子どもへの体罰:2」を掲載します。

◇アンケート「子どもに体罰、必要ですか?」を8日までhttp://t.asahi.com/forumで実施中です。ご意見はsahi_forum@asahi.comでも募集しています。

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平成30年12月2日付朝日新聞

強豪校のバスケ部監督が体罰 「熱中症になれ」暴言も

私立富士学苑高校(山梨県富士吉田市)は1日、部員に体罰を加えたとして女子バスケットボール部の男性監督(63)を解任し、停職の懲戒処分にしたと発表した。

同部は全国高校選手権大会に23回出場した強豪校で、監督は1988年から指導にあたっていた。

学校によると、監督は2016~18年、練習試合でミスなどをした複数の部員の背中やすねを足で蹴ったり、「殺すぞ」と暴言を浴びせたりした。また、夏の屋外でのランニング中には「熱中症になれ」と発言したほか、練習時に至近距離からボールをぶつける行為もあったという。現在の部員は計24人。

11月に匿名の通報があり、調査したところ監督らは体罰を認めたという。臨時の保護者会で経緯を説明した後、記者会見した後藤茂校長は「体罰は許されるものではない。

大変申し訳ありません」と謝罪した。

野球部でも13年、監督(当時56)が体罰をしていたとして、日本学生野球協会から謹慎処分を受けている。(野口憲太)

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平成30年11月28日付朝日新聞

松山商野球部の部長が暴行 部員15人に足蹴りや平手

愛媛県立松山商業高校(松山市)は27日、野球部長の男性教諭(28)が8月以降、部員15人に足蹴りなどの暴行を繰り返していたと明らかにした。同県高校野球連盟に報告し、教諭は部の指導から外れている。

記者会見した宮部隆彦校長によると、教諭は4月に部長に就任。8月初旬から11月上旬まで20回以上にわたり、部員を用具庫や部室に呼び出し、胸ぐらをつかんで押しつける▽足やひざでける▽平手打ちをするなどの暴力を振るった。部員にけがはなかったという。

部員への定期的なアンケートの回答に暴力に関する記述があって判明。暴力を受けた部員や保護者らに謝罪した。宮部校長は「チームを甲子園に連れていきたいという強い思いがあり、思うようにいかないという焦りがあったのではないか」と推し量りつつ、「理由はどうであれ、やってはいけない行為」と話した。教諭は「指示内容と違うことを部員がしたり、

生徒の態度がよくなかったと感じたりしたときにやってしまった。深く反省している」と話しているという。

同校野球部は甲子園で春夏通算7回優勝している。(寺田実穂子)

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平成30年11月16日朝日新聞岩手版 

部活動、精神論から脱却を 生徒の自殺に研究者は

県央部の県立高校に通うバレーボール部員の男子生徒(当時17)が自殺した問題で、遺族は16日、男子生徒の顔にボールを投げつけたとして、顧問の男性教諭(41)を暴行容疑で刑事告訴する。遺族側は行きすぎた指導が自殺につながったと主張しており、県教委は第三者委員会で調査する方針だ。体罰を根絶する動きが進む中、スポーツの現場でたびたび

問題が発覚する背景などを宮城教育大の神谷拓准教授(スポーツ教育学)に聞いた。

――どのような状況で体罰が起きるのでしょうか 体罰やハラスメントが起きる一因として、運動部に精神論を持ち出すことがあげられます。暴力で生徒たちが鼓舞されたり、励まされたりすると考える指導者は少なくありません。

最近の部活動は勝つことが目的化されがちです。公立校にも推薦入試が導入され、競技成績は志望校の合否を決める重要な要素になりました。この勝利至上主義的な環境が「気合を入れる」ための暴力を正当化する要因になるのです。

――なぜ精神論を持ち出すのでしょうか

学校の教科には「学習指導要領」があり、どの程度の時間で何を教えるのかが明記されています。ただ、部活動にはこれがありません。指導者は何をすればいいのかわからない状態で、自身の経験を参考にします。指導者が過去に体罰を受けていれば、生徒たちにも同じことをする可能性があります。

――どうすれば暴力に頼らない指導ができますか

部活動の指導内容を明確にする必要があります。部活動を行うために必要なことを「試合で使う戦術を決める」「用具の準備や管理をする」のように項目別に整理していきます。

顧問や外部指導者など大人が受け持っていたものでも、生徒たちで出来ることは話し合って任せます。定期的に活動を見直す機会を設ければ、部活動で身につけた能力を可視化できます。

――生徒たちと一緒に部活動を運営すれば、体罰はなくせるのでしょうか

具体的な達成項目を作れば、暴力に頼らない指導ができます。部活動は本来、競技の勝ち負けを目的にしたり、精神論をかざしたりするのではなく、生徒たちが組織の自治を経験

する場です。教師とは計画に沿って生徒たちに能力を身につけさせる専門家なのです。

――体罰を受けたらどうしたらいいでしょうか

スクールカウンセラーや自治体の窓口に相談してください。外部の人なのでしがらみはありません。体罰の実態を説明するため、体罰を受けた日を記録したり、その場面を録画・録音したりしておくのも有効です。体罰は絶対にあってはならないこと。決して1人で抱え込まないでください。(聞き手・御船紗子)

かみや・たく 1975年生まれ。宮城教育大准教授。専門はスポーツ教育学、体育科教育学。著書に「生徒が自分たちで強くなる部活動指導」(明治図書)など。

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平成30年10月27日付朝日新聞大阪本社版

掃除ばかり3カ月半、練習させず 金光大阪高サッカー部

大阪府高槻市の私立金光大阪高校で昨年、サッカー部監督の男性教諭(55)が部員の男子生徒に、懲戒名目で、約3カ月半にわたって部活動の時間中に掃除をさせていたことが同校への取材でわかった。その間、生徒は練習に参加できなかった。長いときで1日10時間を超えたこともあり、校長は「行き過ぎた指導」と認め、清掃による指導をやめたとしている。教諭は今年7月19日付で訓告処分を受けた。

同校によると、教諭は2017年3月末、他部の生徒とけんかしたとして、男子生徒に部の練習時間中に掃除するよう命じた。期間は示さず、校内のトイレや部室の清掃、学校敷地内の落ち葉拾いなどをさせた。1カ月後、さらに生徒が遠征先に携帯電話を持ち込んだルール違反をしたとして、7月下旬まで清掃を続けさせた。期間中生徒は練習に参加できなかった。

清掃は平日で約3時間。生徒が教諭の指示で書いた日誌には、昨年6月18日の日曜日に10時間半掃除した記録と、教諭が内容を了承した旨のサインがあった。

今年7月、生徒の保護者からの抗議で、学校が問題を把握した。清掃を命じられることは部内で「掃除部行き」と呼ばれ、常態化していた。西村公延(まさのぶ)校長は「長時間にわたる清掃は行き過ぎた指導で、体罰になるかもしれない」と説明した。再発防止のために研修などを開いたという。

文部科学省の13年3月の通知では、遅刻や規則違反などをした場合、教員が清掃させたり、部活に参加させず見学させたりするなどの懲戒を認めているが、「肉体的苦痛を与えるものでない限り」などとしている。スポーツ庁の担当者は「長期間、長時間の掃除は、体罰や行き過ぎた指導に当たる可能性がある」と話す。

体罰に詳しい東京女子体育大学の阿江美恵子教授(体育心理学)は「清掃などの懲戒は、生徒が意欲を持てるよう、事前に一定の期間などを決めてするべきだ。3カ月半という期間や1日10時間の清掃は懲戒の域を超えている」と指摘する。

教諭は保健体育科を担当。1985年にサッカー部の監督に就任し、全国高校総体に7回、全国選手権に2回出場している。卒業生にはJリーグの選手もいる。

(渡辺元史、楢崎貴司)

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平成30年10月25日付朝日新聞

仙台市教委、教員176人を処分や指導 体罰や暴言で

児童・生徒への体罰や暴言があったとして、仙台市教育委員会は24日、教員176人に指導や戒告処分をしたと発表した。いじめを受けた中学生の自殺が相次いだことを受け、すべての市立学校の子どもや保護者にアンケートする過程で、体罰などが判明した。

戒告処分となったのは、仙台市若林区の50代の男性中学教諭。今年9月、上履きのかかとをつぶして履いていた1年生の男子生徒の頭をほうきでたたき、頭突きをするなどの体罰をした。監督責任があるとして校長も文書厳重注意処分となった。

このほか174人が市教委や校長による指導を受けた。3人が体罰、171人が暴言や感情的な言動などの「不適切な指導」をしていた。体罰では、▽指導に従わない児童の服をつかんでひきずり、擦り傷を負わせた▽積極性のない生徒を注意しようと額を軽くたたいた、などがあった。不適切な指導では、▽落ち着きのない児童に「特別支援学級の先生に言うよ」と言った▽大声を出して机を蹴った▽部活動の練習試合で「このままだと1回戦も勝てず、負け組になるぞ」と発言した、などがあった。

仙台市では2014年以降、いじめを受けた中学生の自殺が3年間で3件続いた。このうち17年4月に亡くなった男子生徒は、教諭から粘着テープを口に貼られるなどの体罰も受けていたため、市内すべての市立小中高校、特別支援学校の児童・生徒、保護者を対象に、体罰の有無などをアンケートした。

市教委は今年5月、アンケートで体罰が分かった教員37人に対して処分や指導をしたが、今回は不適切な指導があった教員と、新たに体罰が判明した教員に処分などを下した。

市教委は、処分や指導を受けた教員に研修を実施し、感情のコントロールや子どもの特性に応じた指導の重要性を学ばせるとしている。

仙台市では3件のいじめについて第三者委員会による調査や再調査が続いている。郡和子市長はいじめ防止条例の骨子案を示しており、条例案を来年2月の市議会に提出する方針。(山田雄介)

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平成30年10月20日付河北新報

<岩手・不来方高バレー部員自殺>父親が暴力根絶を要請 文科省に全国調査求める

岩手県立不来方高(矢巾町)3年のバレーボール部の新谷翼さん=当時(17)=が7月に自殺した問題で、父親の聡さん(51)が19日、文部科学省を訪れ、スポーツ現場での暴力根絶に向けた取り組みについて全国調査を実施するよう要請書を提出した。指導者による暴力を根絶するため、具体的な対応を取ることも求めた。  要請書は柴山昌彦文科相と鈴木大地スポーツ庁長官宛て。新谷さんの遺族は、これまで翼さんを含め氏名を公表していなかったが、要請書の中で明らかにした。  聡さんは、顧問の男性教諭による行き過ぎた指導が原因だと主張している。岩手県教委のこれまでの調査では、顧問から生徒に「おまえはばかか」「脳みそ入っていないのか」といった発言があったと一部の部員が証言。「顧問にきつく言われて、追い詰められている感じはあった」との報告もあった。  聡さんは要請後、記者会見し「息子の遺書も読み上げたので、思いは受け止めてもらえたと思う。再発防止につながることを強く望む」と強調した。文科省児童生徒課の松木秀彰生徒指導室長は「要請を大変重く受け止めている。何ができるか考えていく」とした。

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平成30年10月17日朝日新聞大阪本社版夕刊

陸上部顧問が体罰、蹴られた部員骨折 京都・乙訓高校

京都府長岡京市の府立乙訓(おとくに)高校の陸上競技部顧問の50代の男性教諭が2年生の男子部員(17)を蹴り、左腕を骨折させたことが府教委や同校への取材でわかった。

生徒は現在も入院中。教諭は同校の調査に対し、練習に遅刻したことに腹を立てて蹴ったと認め、反省しているという。

同部は12~13日に京都府内の大学で合宿した。13日に現地で解散した直後、教諭はこの部員を呼び、練習時間に遅れたことを注意。部員を後ろ向きに立たせて尻を蹴ろうとしたところ、かばった左腕にあたり、骨折したという。教諭は病院に連れて行き、保護者に謝罪した。藤本悟史・副校長は「あってはならないことで、再発防止に努めたい」としている。府教委は

今後、処分内容を検討する。

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平成30年7月7月14日付京都新聞

「校舎80周走れ」生徒倒れ救急搬送 滋賀・中学部活顧問が指示

大津市の南郷中で、ソフトテニス部2年の男子生徒が部活動中に「校舎周囲を80周走れ」と顧問の教諭から指示され、途中で倒れて救急搬送されていたことが13日、同中や市教委への取材で分かった。生徒は熱中症と診断され、同中は「行き過ぎた指導だった」と謝罪した。

同中と市教委によると、生徒は12日午後の部活動中、練習中にミスが目立ったことなどを理由に、30代の男性顧問から「校舎周囲を80周走ってこい」と命じられた。午後5時10分ごろ、生徒が倒れているのを校内で作業をしていた工事業者が見つけた。生徒は救急搬送され、その日の夜に退院し、13日は学校を休んで静養したという。

生徒が走らされた校舎外周は1周約230メートルで、80周で18キロ超になる。生徒が倒れたのは9周目だったという。気象庁によると、大津市の12日午後5時の気温は30・1度だった。

同中は、13日夜に保護者説明会を開き、経緯を説明した。平松靖之教頭は「行き過ぎた不適切な指導で、保護者におわびする。すでに顧問を指導した。今後は、安心した学校生活が送れるよう努めていく」とコメントした。

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