平成29年10月14日NHK大阪放送局
体罰受け後輩自殺 元部員語る

5年前、大阪市立桜宮高校で、バスケットボール部の男子生徒が顧問から体罰を受けたあと自殺した問題について、一緒にクラブ活動をしていた元部員の男性が東京都内で講演し、「教師は子どもに対し人としての尊厳を持って接してほしい」と呼びかけました。
講演会は、教師の指導や体罰がきっかけで子どもを亡くした親たちで作る「指導死親の会」という団体が、東京・港区で開いたシンポジウムの一環として行いました。
講演した谷豪紀さん(24)は、以前、桜宮高校のバスケットボール部に在籍し、平成24年に顧問の教師から体罰を受けて自殺した男子生徒の2年先輩でした。
谷さんによりますと、スポーツの強豪校だった桜宮高校では、当時、クラブ活動で、思うようなプレーができないといった理由で、平手打ちなどの体罰がたびたび行われていたということです。
当時は、生徒たちの間でも体罰は必要だという考えが多く、こうした学校の雰囲気に強い違和感を感じていたほか、優れた選手だった後輩の生徒が体罰を受けて自殺したと知り、非常に悔しく、怒りを覚えたということです。
谷さんはその上で「教師は子どもたちに対し人としての尊厳を持って接してほしい」と呼びかけました。
講演の後、谷さんは「今も体罰を受けている生徒たちは、甘んじて受け入れるのではなく、許されないものだから、ほかの大人に訴えてほしい」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20171014/4743001.html

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平成29年9月28日朝日新聞大阪版
大阪市、元顧問に賠償金の半額求め提訴へ 桜宮高自殺

 大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒(当時17)が2012年に自殺した問題で、大阪市議会は27日、市が遺族に支払った損害賠償金など計8723万円の半額を、部の顧問だった男性教諭に支払いを求める訴訟を大阪地裁に起こす議案を可決した。
 バスケ部の主将だった男子生徒は12年12月に自殺した。元教諭は暴力をふるっていたなどとして懲戒免職となった。その後、遺族は市に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こし、元教諭の暴行などが自殺の原因として約7500万円の支払いを命じる判決が確定。市が賠償金と遅延損害金を16年に支払っていた。

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平成28年12月23日朝日新聞デジタル

 大阪市立桜宮高校のバスケットボール部主将だった男子生徒(当時17)が、顧問(当時)から暴力を受けて自殺した事件から、23日で4年を迎える。学校現場で暴力根絶の取り組みが続くが、根絶には至っていない。

男子生徒の父親は「形ばかりの対策になっていないだろうか」と訴える。

 大阪市立桜宮高校(大阪市都島区)では19日、男子生徒の追悼集会が開かれた。在校生や保護者、卒業生ら約900人を前に、角芳美校長は「当時の状況を直接知る者が少数となった今こそ、痛ましい事案を風化させることなく、改革への強い決意を確認したい」とあいさつした。

 同校では事件後、毎日、校長と2人の教頭が交代で部活動を回り、異変を早期に見つける工夫を続ける。月に1度は部活動の顧問たちと管理職との意見交換の場も持つ。教職員を対象に怒りの感情を抑える「アンガーマネジメント」研修にも力を入れる。

 指導者を志す生徒も多いことから、1年生全員が地域の乳幼児と触れ合って生命の尊さを学ぶカリキュラムも、昨年度から続けている。

 大阪市教育委員会によると、2014年度、大阪市立学校の体罰・暴力行為は99件が報告された。桜宮の事件があった12年度の502件から5分の1に減ったが、根絶にはほど遠い。

 今年11月、市立中学の運動部の男性顧問が、複数の女子部員の足を蹴ったり髪の毛を引っ張ったりしたとして停職2カ月の懲戒処分を受けた。この教諭は前任校でも体罰を繰り返したとして14年に停職10日間の懲戒処分を受けていた。市教委の服務担当職員は「なんでまた繰り返されるのか。本当に残念。繰り返し理念や哲学を伝えていくしかない」と嘆く。

 市教委は桜宮高校の事件の翌年9月、部活動指導の指針をまとめ、「プレーヤーズファースト」の精神を打ち出した。

「生徒が主人公の部活動。勝利至上主義から生徒第一主義」「今日の結果より未来の成長」。指針には、こんな言葉が並ぶ。体罰を早期に把握して報告する態勢づくりの徹底を図るほか、懲戒処分の基準も厳しく見直した。

 角校長は「仕組みを改善しても、教職員一人ひとりが事件の教訓を我がことのように学ばないと意味がない。当事者として地道に訴え続けたい」と話す。

 桜宮高校の自殺した男子生徒の父親(47)は、朝日新聞の取材に「教育現場は息子の死から学んだ教訓を忘れてしまったのではないか」と投げかける。

 全国でも教職員による児童・生徒たちへの体罰や暴力行為が相次ぐ。文部科学省の調査では、全国で体罰をしたとして、14年度に懲戒免職や減給、訓告などの処分を受けた公立学校教員は952人。今月18日には、日本大学東北高校(福島県郡山市)が、相撲部の顧問とコーチが部員をゴム製ハンマーで殴るなどしていたと発表した。

 そんな中、父親は「特に大阪の状況は深刻だ」ととらえている。「息子の事件後、一部の教員が大阪市教委に『体罰をせずにどうやって問題のある子どもを指導するのか』と苦情を寄せたと聞く。生徒の個性や特性を見抜き、自信を持たせながら長所を伸ばす教育本来の姿が見失われていないか」

 体罰を繰り返して11月に処分された市立中学の男性顧問のケースなどを踏まえ、「再発防止の誓いや施策が現場に浸透していないのではないか。市教委はしっかり検証するべきだ」と改善を求めている。(小河雅臣)

 

 

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平成28年2月27日朝日新聞社説

高2自殺判決 生徒を追い詰めた暴力

 

2012年12月に大阪市立桜宮高校バスケットボール部2年の男子生徒(当時17)が自殺したのは、元顧問(50)の暴力が原因だとして、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は市に約7500万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

裁判長は「元顧問の暴行がなければ男子生徒は自殺しなかった」と因果関係を明確に認めた。

そして生徒が暴行を受けた後に無気力になる異変を元顧問が認識していたとも指摘、自殺を予見できたと認めた。

判決後、遺族は「息子のような子を二度と出したくない」と語った。

子どもへの暴力行為は、正当化する余地のない人権侵害だ。市教委はもちろん、教壇に立つ教員、学校関係者はこれを機に改めて心に刻んでほしい。

理解できないのは、事件後に「暴力が自殺の要因」と認めていた市が、裁判で一転して「主な原因は生徒自身の悩みや家族にあった」と主張したことだ。「賠償にあたり、元顧問以外の要素はないのか詰めなければならなかった」と説明する。だが、責任を家族に帰するような主張は遺族感情を傷つけた。

元顧問は13年、傷害と暴行の罪で有罪判決を受けたが、暴力と自殺の因果関係は争点にならなかった。

遺族は関東に移り住んでから因果関係などの認定を求めて訴訟を起こした。市はもっと遺族側に寄り添った対応はできなかっただろうか。

体罰は指導上やむを得ないという考えは、今も根強い。

文部科学省によると、14年度に体罰で処分された公立の小中高校などの教職員は952人で、前年度の約4分の1に減ってはいる。だが、ゼロと回答する県もあり、実態がどこまで把握できているか、疑問も残る。

兵庫県姫路市立中学校の教諭が、いじめを受けて骨折した生徒について「病院では階段から転んだことにしておけ」と別の教師に指示したとして、今月停職6カ月の懲戒処分を受けた。

ことを荒立てず、面倒を避けたい。そんな勝手な隠蔽体質が学校現場にあれば、子どもたちは救われない。

学校や教育委員会は、体罰は顕在化しにくいとの前提に立ち、被害の掘り起こしに努めるべきだ。

定期的なアンケートや、外部に相談窓口を設ける取り組みなどを広げたい。

暴力はもちろん、教師の暴言や不用意な一言も、子どもを傷つける。教師は自らの指導方法を常に省みてほしい。教師同士が互いの指導に意見を言い合える雰囲気作りも不可欠だ。

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平成28年2月25日東京新聞

桜宮高自殺で大阪市に7500万円賠償命令 「体罰が原因」

大阪市立桜宮高バスケットボール部主将の二年の男子生徒=当時(17)=が自殺したのは、顧問だった元教諭(50)による体罰や暴言が原因として、両親と兄が市に総額約一億七千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は二十四日、約七千五百万円の支払いを市に命じた。

岩井伸晃裁判長は「顧問による暴行で精神的に追い詰められたことが自殺の原因で、顧問は自殺の可能性を予測できた」と判断した。

判決は、元顧問の体罰を「教育上の指導として許される範囲を著しく逸脱した暴力的な虐待行為で、違法性は強い」と厳しく指摘。「生徒は顧問の暴行や威迫的な言動によって強い不安や恐怖、混乱に陥り、精神的に追い詰められて自殺した」とし、体罰や暴言と自殺との因果関係を認めた。

訴訟で、市は自殺を予測できなかったと主張したが、判決は「顧問は、自殺直前の練習での様子から生徒の異変に気付いていたのに暴行や暴言を続け、自殺の危険性を増大させた」と指摘し、自殺は予測可能だったと判断した。

判決によると、生徒は二〇一一年四月、バスケ部に入り、一二年九月に主将になった。元顧問から何度も平手で強く顔を殴られたり、「キャプテン辞めろ」といった暴言を繰り返し受けたりして精神的に追い詰められ、同年十二月に自宅で自殺した。

大阪市の吉村洋文市長は「市にとって厳しい判決だが、真摯に受け止める。控訴は行わない」とのコメントを出した。元顧問は、暴行と傷害の罪で懲役一年、執行猶予三年の有罪判決が確定している。

◆「指導の効果 暴力にない」

「暴力に指導の効果はない。今でも暴力をふるっている指導者がいるなら、改めていただきたい」。

判決後、東京都内で記者会見した生徒の父親(46)は、体罰の根絶を強く訴えた。

今回の事件は、文部科学省が教員による体罰の実態調査を始めるなど、国や自治体が教育現場の体罰防止に取り組むきっかけとなった。両親は息子の自殺後に関東地方に転居し、二〇一三年十二月に提訴した。

父親は「二度と息子のような犠牲者を出してはいけないという思いでやってきた」と振り返り、「体罰や暴言が息子を自殺に追い込んだと認め、おおむね納得がいく判決を出してもらった」と語った。二十代の兄は「裁判は終わっても弟は帰ってこない。生きていたら酒を飲んだり、将来、子どもを見せ合うこともできたのに」と話した。

大阪市は元顧問を懲戒免職としたが、訴訟では「体罰と自殺に因果関係はない」などと主張し、遺族側と全面的に争ってきた。

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