平成29年11月7日朝日新聞茨木版
取手いじめ自殺問題 知事が遺族と初面会
大井川和彦知事(右)と面会する遺族=県庁
取手市で市立中学3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺した問題で、大井川和彦知事は6日、中島さんの両親と初めて面会した。先月の県議会では、知事のもとに調査委員会を設置する条例案を可決。大井川知事は「被害者の気持ちに寄り添い、何が起きたのか客観的に調査する」とし、この問題に最優先で取り組む意向を示した。
大井川知事と遺族は県庁で面会。菜保子さんの父・考宜(たかのぶ)さんは「傷がいえることはなく、むしろ悲しみが増している。菜保子のため、今後の子供たちのためにしっかり調査をしていただきたい」と要望。大井川知事は「少しでも教育環境の改善につなげるようにしないといけないと思っている。疑問がわくことがあれば、遠慮なく連絡いただきたい」と応じた。
この問題を巡っては取手市教育委員会が昨年3月、「いじめによる重大事態に該当しない」と議決し、調査委を設置。
両親はいじめがあったと訴え、調査委の解散を求めた。市教委は今年5月に議決を撤回、6月に調査委を解散した。
両親は市教委との信頼関係が失われたとして、知事のもとでの新たな調査委設置を要望。いじめ防止対策推進法では、調査委の設置は市町村教委としているため、県は市から事務の委託を受ける形で対応することを決めた。県は現在、委員の選定を進めており、12月上旬にも調査委を発足させる方針だ。(箱谷真司)