平成30年2月24日付河北新報

<福島中2自殺>「対策組織 機能せず」第三者委員長、学校側に疑問

いじめ被害を訴えていた南相馬市立中2年の女子生徒の自殺を巡り、検証作業に当たった第三者委員会の若杉裕二委員長が23日、「対策組織が機能していなかった」と、改めて学校側の対応に疑問を示した。市役所で開かれた記者会見で述べた。  第三者委は市教委の依頼を受け、加害生徒約10人を含む130人近くの関係者への聞き取りを実施。今月19日、「継続的ないじめが自殺の主因」と認定する調査結果を答申している。  若杉委員長は、女子生徒が通っていた中学校に教員、保護者らでつくるいじめ対策委員会が設置されていた点を重視。「対策委の存在が教員に周知されておらず、対応は担任任せ。学校組織を挙げて対処すべき事案だった」と指摘した。  答申を受け、市教委は今月中に小中学校の緊急校長会議を開く考え。2018年度内にいじめ防止基本方針を定め、警察関係者や保護者らを交えた「市いじめ問題対策連絡協議会」を設置する。

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平成30年2月22日付朝日新聞

担任「いじめ見て見ぬふりした」 神奈川の小学生不登校

神奈川県茅ケ崎市立小学校の4年生の男子児童(10)について、市教育委員会の第三者委員会が「日常的にいじめを受けていた」と認定する報告書をまとめたことがわかった。担任だった女性教諭は「いじめを見て見ぬふりをした」と説明したという。男児は2年近く不登校が続いている。

第三者委の調査によると、男児は2年生だった15年5月~16年3月ごろ、複数の同級生から殴られたりズボンを脱がされたりするいじめを繰り返し受けた。

3年生になった16年4月から学校に通えなくなり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

いじめで不登校になったと両親が訴え、担任は学校の聞き取りに、いじめに気づかなかったと説明。ただ第三者委の調査が進み、「いじめを見て見ぬふりをしていた」「注意するのが面倒になった」などと説明を変えたという。第三者委は、担任が適切な対応をせず、学校も組織的な対応が不十分だったとする報告書を今月13日、市教委に答申した。

市教委は今月2日付で、不適切な対応と虚偽報告があったとして、教諭を文書訓告、指導が不十分だったとして当時の校長を厳重注意にした。報告書で対応の遅れを指摘された市教委は「児童と保護者には大変申し訳ない」としている。(遠藤雄二)

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平成30年2月21日付神戸新聞

神戸中3自殺 調査継続求め、文科省に申し入れ書

2016年10月、神戸市垂水区の市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、生徒の母親の代理人弁護士が20日、いじめの事実関係を調べる市教育委員会設置の第三者委員会の調査が不十分として、文部科学省に対し、調査の継続などを市教委に指導するよう求める申し入れ書を送付したと明らかにした。第三者委は昨年12月、母親が求めた追加調査を実施しない旨を通知していた。

申し入れ書では、いじめ防止対策推進法の趣旨を踏まえ、関係生徒への聴取など調査の継続や、いじめと自殺の関連の明確化などを求め、市教委への指導を依頼した。同省は「申し入れ書を精査した上で、対応を考える」としている。

代理人弁護士によると、第三者委は報告書を昨年8月にまとめ、容姿を中傷するなどのいじめ行為を認定しているが、いじめを生んだ背景や自殺との関係を明確にしていないという。市教委と報告書の公表について協議しており、久元喜造市長への再調査要望も予定しているという。(井上 駿)

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平成30年2月21日付朝日新聞茨城版

いじめ問題で教育長辞任へ 防止条例制定にメド

 取手市立中3女子

市教委定例会で辞任について同意された矢作進教育長(右)=取手市

取手市立中学校3年の中島菜保子さん(当時15)が自殺した問題で、矢作進市教育長(66)が任期途中の3月31日付での辞任を表明し、20日の市教委定例会で同意を得た。同日の定例会で、3月議会に提案する「いじめ防止対策推進条例」の最終案が決まったことから区切りをつけたという。

会見で矢作教育長は、県が設置した調査委員会で「調査が適正に進んでいくと思う」としたうえで、4月施行予定のいじめ防止条例を基に、「市を挙げていじめ防止に取り組んでいけるめどがついた」と辞任の理由を述べた。また、中島さんの自殺については「日記が出てきたのに重大事態ととらえることができなかったことが、長引かせる大きな問題だったと反省している」と振り返った。

矢作氏は小学校長を経て2012年から教育長を務めてきた。19日に藤井信吾市長と市教委に辞職願を提出した。

この問題を巡っては、市教委が「いじめによる重大事態に該当しない」と議決したうえで、16年3月に第三者委員会を設置したが、17年6月に解散した。

その後、両親の求めに応じて、県が自殺の背景や市教委の対応などについて調べる一方、市教委はいじめ防止条例制定に向けて検討委員会を設け、審議してきた。

中島さんの父・考宜(たかのぶ)さん(46)は「教育長が辞めても菜保子が戻ってくるわけではない。市教委にはもっと真摯な対応をしてほしかった」と話した。(佐藤清孝)

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平成30年2月20日NHK大分放送局

部活中に死亡 不服申立て認めず

9年前、県立竹田高校の男子生徒が剣道の部活動中に亡くなった事故で、大分地方検察庁が業務上過失致死の疑いで書類送検された当時の顧問らを不起訴にしたことに対し、生徒の両親が福岡高等検察庁に不服を申し立てていましたが、申し立ては認められませんでした。 この事故は平成21年8月、県立竹田高校2年の工藤剣太さんが剣道の部活動中に熱中症で倒れて亡くなったもので、当時の顧問と副顧問の2人の教諭が業務上過失致死の疑いで書類送検されました。 これに対し大分地方検察庁は、平成24年に2人を不起訴にし、その後、両親の申し立てで、大分検察審査会が「不起訴は不当」とする議決をし、改めて捜査を行いましたが、平成26年に再度、不起訴と判断しました。 こうした大分地検の処分に対し、両親は去年5月、福岡高等検察庁に不服申し立てを行っていましたが、福岡高検によりますと、今月16日付けで「申し立ては認められない」と判断したということです。 20日、福岡高検を訪れ今回の判断が伝えられた工藤剣太さんの両親は、来月にも最高検察庁に不服を申し立てるということです。 母親の工藤奈美さんは「これから先、学校で傷つく子どもたちが減るように大切な命を守っていくために、来年の時効まで、あきらめずに声をあげ続けていきたい」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/5075343931.html

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平成30年2月20日付朝日新聞名古屋本社版夕刊

「指導死」から子ども守るには 名古屋でシンポ開催へ

教師の指導による子どもの自殺について考えるシンポジウム「『指導死』はなぜ起こるのか」が25日午後1時から、名古屋市中村区のウインクあいちである。遺族らが不適切な指導について警鐘を鳴らす。

「指導死」親の会が主催。学校でお菓子を食べ、教師の指導を受けた翌日に中学2年の次男(当時13)を自殺で亡くした大貫隆志さん(61)=同会

代表世話人=や、野球部内で体罰を見聞きしたことが一因で高校2年の次男(当時16)が自殺した山田優美子さん(48)らがパネルディスカッションで体験を話す。

昨年3月、教師による厳しい叱責が原因で中学生が自殺した福井県池田町の事例も踏まえ、子どもを死に追いつめる指導の問題点を検証する。

スクールソーシャルワーカーを養成する日本福祉大の野尻紀恵准教授(教育福祉学)の講演もある。

山田さんは「学校現場を敵視するのではなく、子どもの命を守る指導のあり方を先生も一緒に考えてほしい」と呼びかける。資料代1千円(学生500円)、定員60人。問い合わせは「指導死」親の会(4104@2nd-gate.com)。(小若理恵)

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平成30年2月20日付河北新報

<仙台中2自殺>遺族会見「早期の再調査再開を」

仙台市泉区の南中山中2年の男子生徒=当時(14)=が2016年2月に自殺した事案を再調査する市いじめ問題再調査委員会の議事が打ち切られた問題で、男子生徒の父親が19日、市役所で記者会見した。委員構成を維持した上で、村松敦子委員長の交代と、早期の再調査再開を要望した。  再調査委は17日、弁護士の村松氏と精神科医で遺族推薦の野田正彰委員との間で激しい発言の応酬があり、村松氏が「このメンバーでの審議継続は難しい」と議事を打ち切った。  父親は「委員を選び直すには時間がかかり、再調査がさらに遅れる」とする一方、「独断と偏見で打ち切りを決めた」と村松氏の交代を求め、正副委員長のどちらかに遺族推薦委員を就かせることを提案した。  17年3月に「いじめによる精神的苦痛が自殺の一因」と答申した市教委第三者委員会委員への聴取が実現していないことが、再調査が進まない原因だと強調した。会合で市教委や村松氏を繰り返し非難する野田氏を「言葉遣い(の問題)はあると思うが、指摘に間違いはない」と擁護した。  郡和子市長は取材に「委員の人選はベストだったと思う。村松氏からの報告を待ちたい」と語った。

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平成30年2月20日毎日新聞

南相馬中2自殺 「複数男子生徒の継続的いじめが主原因」

南相馬中2自殺調査委

阿部貞康教育長(左)に答申する第三者委員会の若杉裕二委員長=福島県南相馬市原町区本町の南相馬市役所で2018年2月19日午後7時1分、

高井瞳撮影

 

市教委の第三者委が最終報告書を答申

日記などでいじめを訴えていた福島県南相馬市立中2年の女子生徒(当時14歳)が昨年2月に自殺した問題で、市教委の第三者委員会(委員長、若杉裕二弁護士)は19日、「複数の男子生徒による継続的ないじめが自殺の主な原因」とする最終報告書を市教委に答申した。担任教諭らがいじめを止められなかったことについて、「いじめの情報を一部の教員が抱え込んでいた」などと学校側の対応能力を問題視している。

女子生徒は昨年2月11日夜、自宅の自室で自殺した。報告書は市教委の調査と同様、複数の男子生徒に「汚い」とばい菌扱いされたり、わざと体をぶつけられたりするいじめがあったと認定した。

また報告書は、学校側の問題に言及。教員間で話し合いの時間がとれず情報が一部の教員にとどまり、他の教員のバックアップ体制が不十分だったと指摘した。また、校長は一般教員との距離に隔たりがあり、リーダーの役割が不十分とした。教諭らによる週1回の生徒指導委員会も、経過報告で終わることが多く、具体的対応策の検討などが行われていなかったと非難した。

詳細は21日公表だが、関係者によると、校長にはいじめの存在すら報告されていなかった。【大塚卓也】

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平成30年2月18日付河北新報

発言応酬で議事打ち切り いじめ再調査委員会、空中分解も 

仙台市は17日、いじめ防止対策推進法に基づくいじめ問題再調査委員会の第6回会合を市役所で開いた。弁護士の村松敦子委員長と、精神科医で遺族推薦委員の野田正彰氏の間で激しいやりとりがあり、村松氏が「このメンバーでの審議継続は難しい」と議事を打ち切った。

泉区の南中山中2年の男子生徒=当時(14)=が2016年2月に自殺した事案の再調査中に、委員会は空中分解寸前となった。  野田氏は1月20日の第5回会合で、市教委の第三者委員会が南中山中の事案に関する答申書をまとめた経緯を説明するため出席していた大越裕光教育長に「あなたたちが(男子生徒を)殺したんだよ」と発言した。  17日の会合で、村松氏が野田氏に「いじめ防止を目的とする本委員会にふさわしくない。相手を困惑させ、威嚇し、侮辱する発言は自重してほしい」と注意すると、野田氏は反発。進行を遮り、「決めたことを実行せず、うそばかりついている」などと村松氏を批判した。  議事の打ち切りに、出席した他の4委員から賛否双方の意見が出たが、村松氏が職権で決定した。村松氏は「委員の選任、解任を含め、郡和子市長に判断してほしい」と述べた。委員の去就に発展すれば、再調査が大幅に遅れる可能性がある。  会議終了後、男子生徒の父親は野田氏の発言を「一般の人には暴言に聞こえても、遺族の気持ちを代弁してくれた」と話した。傍聴者の1人は「委員会は誰かを断罪する場所ではないのでは」と首をかしげた。

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平成30年2月17日朝日新聞大阪本社版

市賠償の半額分支払い、元顧問に命令 バスケ部生徒自殺

 桜宮高校

桜宮高校では、体罰防止の取り組みが続いている=大阪市都島区

大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒が顧問だった男性から暴行を受けて自殺した問題で、市が遺族に支払った賠償金の半額を元顧問の男性に求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。長谷部幸弥裁判長は元顧問に、請求通り4361万円の支払いを命じた。

公務員の賠償責任を被害者・遺族が直接問うのは法的に困難ななか、生徒の両親は今回の判決が教育現場の暴力の抑止力になれば、と望んでいる。

部の主将だった生徒は元顧問から暴力や暴言を受け、2012年12月に自殺。元顧問は傷害罪などで有罪判決を受けた。遺族は13年、市を相手に東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起。判決に基づき、市は遅延損害金を含め8723万円を支払った。

今回の大阪地裁判決は、市が支払った賠償金と元顧問の暴行の因果関係を認定。元顧問は「判決に従う」としており、市の請求通りの支払いを命じている。

東京地裁に起こした損害賠償請求訴訟で、遺族が元顧問の責任を直接問えなかったのは法の制約からだ。

国家賠償法は、公務員が職務で誰かに損害を与えた場合、国や自治体が賠償責任を負うと定めている。1955年には最高裁で公務員個人の責任を否定する判決が確定。警察官ら公務員が公権力を行使する際に萎縮しないための配慮と考えられてきた。教師や医師は民間の組織に属するケースもあるが、公立施設で働いていれば、不法行為の責任を、受けた相手から直接問われることはない。

一方で、国賠法は今回のように公務員個人に故意や重い過失があった場合、国や自治体が本人に支払いを求める「求償権」があるとも定めている。

今回、市は賠償金の原資は税金で、元顧問には重い過失があったとして負担を求めることを検討。交渉したが折り合いがつかず、17年11月に提訴していた。

生徒の両親はこの5年余りの間、元顧問に「誠意を見せてほしい」と思い続けてきた。母親は「直接責任を負うことで、今後、二度と同じことが起きないよう、抑止力になることを願います」と話す。

 

「公務員個人の責任、明確化」

今回の判決について、立命館大学法科大学院の松本克美教授(民法)は「求償権の規定があっても行使される例は少なく、公務員個人の責任を明確にした意義がある」と評価した。「ブラック部活動」の著書がある名古屋大大学院の内田良・准教授(教育社会学)も「教育の範疇を超えた事案について、自治体は積極的に教師に賠償を求めていくべきだ。でなければモラルハザードが起きる」と述べた。

ただ、教育現場からは困惑の声も上がる。大阪市の公立中学校で運動部の顧問をする40代の男性教諭は体罰はあってはならないとした上で「もし(指導に)失敗すれば、我々が教育委員会から訴えられるというのは複雑な思いだ」と話す。別の中学校の管理職の男性も「行政と教員の負担割合がなぜ半々なのか。明確な基準がなく、あいまいではないか」と語った。(大貫聡子、金子元希)

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