平成28年3月3日熊本日日新聞
いじめ疑いの重大事態、原則公開へ 県教委
2013年に熊本市内の県立高1年(当時)の女子生徒が自殺した問題で、学校調査委員会(委員長・園部博範崇城大准教授)の調査結果を受け、田崎龍一県教育長は2日、いじめが背景にあると疑われる児童生徒にかかる重大事態を「原則公開」とする新方針を明らかにした。
県教育委員会の重大事態対応マニュアルを改定する。 女子生徒の自殺をめぐっては、当初示された遺族の意向を理由に学校が事実関係の非公表を続けたことが、調査を遅らせる原因になったとして、調査委が「早期に公表すべきだった」と指摘していた。 田崎教育長は県庁で開いた会見で、いじめ5件が認定されたことを「重く受け止めている」と述べ、対応マニュアル改定を表明。遺族が公表をためらう場合も「速やかな調査につながる」などと伝え、公表の必要性を説明するとした。マニュアル改定や運用開始の時期は未定。
生徒理解に関する教職員研修の充実にも取り組む。 「いじめが自死に直接的な影響を与えたとは認めがたい」とした調査委の判断について田崎教育長は、「県教委としては調査結果を尊重する立場だ」と語った。 一方、同日の県教委定例会では、調査結果を非公開で報告。委員から「学校が組織的に機能していない」「生徒の心の叫びを感じられる教職員の感性を高める必要がある」などの意見が出たという。(上田良志)