【10月20日 河北新報社説】

「いじめは部活動とクラス内で複数の生徒によって行われ、身体的攻撃はほとんど認められない悪口や陰口、集団からの排斥といった集団いじめと判断できる」 「教師はいじめに対する認識、理解、解決への意欲を欠き、情報、兆候を学校全体で共有せず、対応すべき組織も機能しなかった」
天童一中1年の女子生徒=当時(12)=が昨年1月に自殺した問題で、第三者調査委員会は
「いじめが自殺の主要な原因」と認定した報告書を天童市教委に提出した。
134ページに上る報告書には、いじめの実態とともに、関係する教師をはじめ、学校に対する厳しい指摘、批判が多く盛り込まれた。
大津市の中2男子自殺を受け、一昨年9月にいじめ防止対策推進法が施行された後も、天童市を含めた東北、全国でいじめの存在が疑われる自殺が相次いでいる。
報告書は詳細な事実認定から8項目を提言し「本事案を教訓として二度とこのような事態を繰り返さないことを期待したい」と強調した。重い言葉として胸に刻みたい。
女子生徒は3学期が始まる2014年1月7日午前8時ごろ、登校途中に山形新幹線にはねられて死亡した。
自宅からは「陰湿な『イジメ』にあっていた」などと記したノートが見つかった。全校生徒約530人へのアンケートでは、13人がいじめを見聞きし、00人以上がいじめに関して記述した。母親が2度教師に相談、本人も友達関係で不安を訴えていた。
第三者委は6人で構成し、調査員として弁護士2人を委嘱した。特に重視したのが女子生徒を取り巻く人間関係の把握だった。学校などが集めた断片的な情報、資料を読み解き、生徒、教職員、遺族からの聴取、証言をつなぎ合わせて、自殺に至った状況を浮かび上がらせた。
報告書によると、クラスと部活動が共通する生徒を中心とするグループがいじめを繰り返した。
女子生徒はおとなしく1人でいることが多く、異質に思え、気に食わなかったとみる。周囲の多数の生徒は関わりを避け、あるいは「異を唱えると自分に矛先が向く」と考えて傍観した。
自殺の約3カ月前、部活動のミーティングを機に、いじめは激しさを増した。顧問の意図に反し、部員
から悪口を非難された生徒は、そのことを逆恨みし、グループメンバーが同調、行為がエスカレートしていった。
女子生徒は「一生懸命やってみたが状況は改善せず、追い詰められて自殺を選んだ」と結論付けた。
教師、学校への提言は、対応の問題点から導き出した。身体的暴力を伴わないいじめへの認識、部活動でも対策を取る義務、教師間の連携と情報の共有などを挙げた。
「傍観者のみならず、直接の加害生徒ですら、当事者意識や内省が明らかに不足していることも特徴である」。報告書は繰り返し指摘した。
天童市の事案は決して特異なケースではないだろう。多角的な検証、分析を重ねた報告書を、痛ましい事態の再発防止に生かしたい。

http://yamagata-p.jp/achive_kiji/pdf_2015100500001.pdf

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【10月21日付 河北新報】

女子生徒が山形新幹線にはねられ自殺した現場。死から1年9カ月たっても花などの供え物は絶えない

◎なぜ起きた集団いじめ(上)追い詰められる少女

昨年1月、天童一中(山形県天童市)1年の女子生徒=当時(12)=がいじめを苦に自殺した問題は、第三者調査委員会がまとめた調査報告書で、いじめの詳細な実態が明らかになった。報告書はクラスと部活動で続いた悪口や嫌がらせ、仲間外れを「集団いじめ」と断定し、傍観した多くの生徒、教職員らの責任も問うた。集団いじめはなぜ起きたのか。女子生徒のSOSをなぜ見落としたのか。134ページに及ぶ報告書から検証する。(山形総局・伊藤卓哉、長谷美龍蔵)

いじめが自殺の主要な原因と認定した報告書は、女子生徒を取り巻く人間関係をつぶさに描き出した。
クラスには遠慮なく大声でしゃべり、誰彼構わず悪口を言う女子グループがあり、いじめを主導した加害生徒らが中心にいた。所属したソフトボール部でも、加害生徒ら重複するメンバーがグループを形成。
クラスと部活動で影響力を持った。

<泣きながら訴え>
女子生徒はおとなしく、1人で小説を読むことも多かったが、話せば面白い印象を持たれていた。個性の強いグループには気後れし、嫌悪感もあった。グループはそんな態度が「異質」に思え「気に食わず」「いら立ち」を覚えたとみる。
2013年5月下旬、女子生徒への悪口が始まった。「いじめは部活動とクラスで複数の生徒により行われ、身体的攻撃は認められない悪口や陰口、集団からの排斥といった集団いじめ」があったと判断した。
女子生徒は表情を変えることなく、聞いていない、気にしていない雰囲気を漂わせた。だが、7月上旬、「私何か言われてる?」とクラスメートに尋ね、普段は感情をあらわにしないが、悪口への不満を漏らした。
部活動では、ペアを組む多くの練習でいつも1人余る存在にされ、相手を探し回る姿を嘲笑された。捕球できないボールをわざと投げられる光景も見られた。
2学期になり、女子生徒は誰も名乗りを上げないクラスの役職に立候補し、積極的な様子を見せていた。
ところが、9月10日前後にあった部活動のミーティングをきっかけに、いじめはエスカレートしていく。
顧問は「陰口でなく、みんなの前で」言うよう指導し、女子生徒は「仲間外れをしないでください」と泣きながら訴えた。だが、加害生徒の悪口や問題行動を非難する声が上がり、加害生徒は逆恨みの感情を持って行動を激しくした。

<「校舎に来るな」>
11月になると、悪口は言葉や黒板への書き込みを含め「常態化」した。他の生徒には無視や、仲間外れにするよう働き掛け、話しているだけで干渉した。
女子生徒は授業中までノートに絵や小説を書くことに没頭するようになり、教師に注意されている。友人としゃべらなくなり、「見て分かるくらいの孤立感」があった。悪口は、冬休み前最後の練習まで続いた。
女子生徒は3学期が始まる14年1月7日、山形新幹線にはねられ自殺した。新築した校舎を初めて使う日だった。遺族側は、新校舎に来ないよう言われたことが引き金になったとみる。
報告書は「一生懸命やってみたが状況の改善につながらず、自分を押し殺して心を閉ざしたが、孤立しただけでいじめは収まらず、追い詰められ、自殺を選んだ」と結論付けた。

●報告書の提言
・心理的な嫌がらせなど暴力を伴わないいじめを過小評価してはならない。日常的な悪口や嫌がらせは被害生徒にとってダメージが大きく、深刻な事態を発生することを正しく認識した対応と措置を実践する必要がある。

[天童いじめ自殺問題]天童一中1年の女子生徒が3学期が始まる2014年1月7日午前8時ごろ、登校途中に山形新幹線にはねられ死亡した。自宅からは陰湿な『イジメ』にあっていた」「ダレカ、タスけテよぅ」などと書かれたノートが見つかった。学校は1月15日、全校生徒約530人を対象にアンケートを実施した。
13人が女子生徒へのいじめを直接見聞きし、100人以上がいじめに関して記述した。

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【10月21日 河北新報】

今後の対応などを説明する山本市長(左から2人目)

天童一中1年の女子生徒=当時(12)=が昨年1月に自殺した問題で、天童市の山本信治市長は20日、いじめが主要な原因と認定した第三者調査委員会の報告書と遺族側の意見書を市教委から受け取った。
「行政の長として本市で起きた悲しい事件には大きな責任がある」と述べ、再発防止に向けて教育の充実を
図る方針を明らかにした。
市役所で記者会見した山本市長は、いじめ対策連絡協議会を新たに設置して、未然防止対策や啓発活動
の充実を図る考えを表明。「関係者と連携し、二度とこういう事態にならないように全力で取り組むことが私の責任だ」と強調した。
遺族は意見書で「学校と教諭の落ち度についてどのように考え、どのような形で遺族に対する責任をとる
つもりなのか、明らかにすること」と要望していた。
いじめによる自殺は、災害共済給付制度を利用した死亡見舞金の支給対象となるが、山本市長は遺族に対する賠償などには言及しなかった。
遺族側が意見書で要望した第三者委の収集した資料の保存については、会見に同席した水戸部知之教育長が「永年保存を考えている」と語った。
第三者委の野村武司委員長も同席し「学校は1回会って反省しなさいというような単純な指導でなく、時間をかけて事件に向き合ってほしい」と話し、あらためて加害生徒らへの指導の徹底を求めた。
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【山形新聞】

天童いじめ問題、市長「大きな責任」 報告書開示受け学校側落ち度指摘

会見で「大きな責任を感じている」と述べる山本信治天童市長(左から2人目)=天童市役所

天童市の中学1年の女子生徒が、学校でいじめを受けて自殺した問題で、いじめが自殺の原因になり、学校が対応を怠ったと指摘した第三者委員会の調査報告書と遺族からの意見書が20日、同市の佐藤通隆教育委員長から山本信治市長に手渡された。山本市長は「大きな責任を感じている」と述べ、学校側の対応
について「大きな欠落があった」との認識を示した。
報告書は市役所で手渡され、第三者委の野村武司委員長らが同席して内容を説明した。その後、記者会見した山本市長は報告書に関し、「大変厳しく、つらい内容だった。痛惜の念を感じている」と語った。
自身の責任については「学校設置者というよりも、行政の長として、本市で起きた悲しい事件の責任は、
わたし自身も大きい」と説明。今月7日には、遺族宅を訪れて謝罪したことも付け加えた。市長としての
責任の果たし方については「再発防止に全力で取り組む」とした。
また、「当時の学校にはいじめに関する連絡体制があったが、機能せず、いじめも認識できず、対応できなかった。大きな欠落があった」と、学校側の落ち度を指摘した。再発防止に向けた対策として、教育、人権擁護、警察、PTAなど13団体の代表で組織する「いじめ問題対策連絡協議会」を(10月30日に)
発足させる方針を示し、「多くの協力を得ながら報告書の提言を丁寧に実行し、毎年チェックを重ね、快適な学校生活を送れるようにしたい」と説明した。
加害生徒への指導に関し、野村委員長は「『駄目じゃないか』『謝りなさい』ではなく、亡くなった生徒がどんな思いだったのか―に考えが至るプロセスを大切にし、時間をかけてこの事件と向き合ってほしい」と話した。報告書が市長に提出されたことで第三者委の任期は終了した。

吉村知事、二度と起こらぬよう地域と防止策を図る
天童市の中学1年女子生徒の自殺問題で、第三者委員会の報告書の開示を受け、吉村美栄子知事は20日、「教育関係者は重く、厳しく受け止めなくてはならない。これまでのいじめ対策が十分だったか、あらためて検討させたい」と述べた。
県教育委員会は、先の県いじめ問題審議会の席上、いじめ防止に向けた検討課題を設けて状況改善に
つなげる方針を示している。これを踏まえ吉村知事は定例会見で、「全ての教育関係者がいじめを見抜く
感度を上げ、被害者の心情を受け止めて対応することが大切だ。痛ましい事案が二度と起こらぬよう、
地域と一丸となっていじめ防止対策を図っていただきたい」と強調。今回の学校関係者の処分については
「県教委が十分に検討し、適切に判断してもらいたい」と述べた。

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【10月2日付 京都新聞】

滋賀県東近江市内のスポーツ少年団バレーボール部に所属していた当時小学4年の女子児童が、練習中に指導者の命令を受けた複数の部員に殴られて負傷し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、指導者3人に対し慰謝料や治療費など計約1千万円の損害賠償を求め、1日に大津地裁彦根支部に提訴した。
訴状などでは、2012年5月、同市内の小学校体育館で練習中、男性コーチ(40)が、サーブを失敗
した女児の背中を1人ずつ平手打ちするよう、他の部員9人に命じた。このコーチは女性監督(54)と別の男性コーチ(38)と相談のうえ、部員同士でたたかせることを決めたという。女児は打撲傷を負い、PTSDも発症した、としている。
指導者3人は7月に傷害罪で略式起訴され、東近江簡裁は20万~30万円の略式命令を出したが、3人は処分を不服として正式裁判を申し立てている。

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【10月20日付 朝日新聞山形版】

◆ 調査報告書に遺族側意見書
天童市の市立中学校1年の女子生徒(当時12)が昨年1月に自殺した問題で、遺族側が19日、第三者委員会の調査報告書に対する意見書を市教育委員会に提出した。「いじめが自殺の主要な原因」とする結論を受け入れる一方、再発防止について、外観を取り繕うのではなく、実効性のある教育の内容・方法を検討して実践することを強く要望する、としている。
◆ 「外観取り繕うのではなく」 意見書は同日午前、遺族側の代理人を務める安孫子英彦弁護士が市教委に手渡した。意見書の中で遺族側は「報告書は、担任や部活動の顧問が(いじめに関する)十分な情報を得ながら過小評価して対応を怠り、学校として有効な対策がなされなかったと認定している」とし、「報告書で明らかにされたこれらの事実を受け入れたい」と記している。
また、学校と市教委に、報告書作成のために収集した資料をすべて開示することや、加害生徒と保護者を
速やかに指導することを求めている。
一方、再発防止策について、「対策を講じているような外観を取り繕うのではなく、本当にいじめを許さないという思いで、提言を実践してほしい」と要望。「教育の内容・方法についての突っ込みが不足している。
真に実効性のある教育の内容・方法を検討して公表し、実践することを強く要望する」と訴えている。
朝日新聞の取材に対し、安孫子弁護士は「報告書作成のために集められた資料が開示されていないため、結論以外に意見を述べることができない」と述べた。また、今回の問題について天童市の山本信治市長の考えを明らかにするよう求めたという。
報告書は今月5日、第三者委員会が市教委に提出。市教委は20日、報告書に遺族側の意見書を添えて山本市長に提出する予定だ。(井上潜)

◆ 小学校でいじめ認知件数 増加
県教育委員会は19日、県内の公立小・中・高校、特別支援学校で今年4~7月に認知したいじめ件数を発表した。小中高、特別支援学校計2629件で、前年度同期の2162件に比べて増加、特に小学校は1・5倍に増えた。
この日開かれた県いじめ問題審議会(会長・河野銀子・山形大教授)で県教委が報告した。
学校別では小学校1654件(前年度4~7月1074件)、中学校644件(同621件)、高校288件(同431件)、特別支援学校23件(同36件)。小学校ではすべての学年が増加し、特に5年生は前年度の117件から278件に増え、2・4倍近くになった。県教委は「全県統一アンケートや個別の面談によって、いじめを発見する学校側の感度が高まった結果」としている。
いじめの態様は、冷やかしやからかい、悪口など言葉によるいじめが6~7割を占め、前年度と同じ傾向だった。
審議会では、天童市の第三者委員会の調査報告書についても意見交換。部活動でのいじめ防止について、委員からは「部活動の目的は人格形成であって競争ではない。その認識を顧問の教員は持つべきだ」などの意見も出た。(米沢信義)

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【10月17日付 河北新報】

仙台市泉区の館中1年の男子生徒=当時(12)=が昨年9月下旬、いじめを苦に自殺した問題で、市教委は16日、原因究明に向けた追加調査を実施する方針を決めた。週明けにも、調査を行う第三者委員会に諮問する。
市教委は今月5日、男子生徒の校名を公表し、全校生徒や保護者に初めて説明したことを踏まえ、追加調査の環境が整ったと判断した。自殺の原因や背景分析のほか、学校と市教委対応の検証、再発防止に向けた提言を第三者委から求める方針。第三者委は11月にも全校生徒対象のアンケートを行い、結果をまとめ来年3月までに答申する予定。
大越裕光教育長は「自殺から1年以上経過後の調査になるが、一層の原因究明のためには実施すべきだと判断した」と述べた。
追加調査の方針は、市内であった臨時教育委員会で決定。委員からは「記憶が曖昧になった生徒も多いはず。十分配慮して調査してほしい」との意見が出た。
今回の問題で市教委は昨年11月、第三者委に調査を諮問。第三者委は、いじめに関わった生徒だけを対象に聞き取りして、ことし6月、いじめと自殺の関連性を認める答申を出した。
16日の委員会では、2学期初日の15日から館中に講師1人を増員したことも報告された。7日の保護者説明会で増員を求める声が上がっており、市教委は「教諭の負担を軽減したい」と説明した。
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【NHK仙台放送局】

調査委が生徒アンケート実施へ

仙台市の中学1年の男子生徒が去年、いじめを受けたあと自殺した問題で、仙台市教育委員会は全校生徒を対象にしたアンケート調査について、専門家からなる調査委員会に諮問することを決め、アンケートは調査委員会が実施することになりました。
この問題で仙台市教育委員会と男子生徒が通っていた中学校は、遺族の了解が得られたとして今月、中学校名を発表し、全校生徒や保護者に事実関係を説明しました。
これを受けて、仙台市教育委員会は、全校生徒を対象にしたアンケート調査を行うことにし、16日、臨時の教育委員会が開かれ意見が交わされました。
5人の教育委員からは「いじめが1年以上前のことなのでアンケートは慎重に行ってほしい」とか、「専門家に任せた方が良い」などの意見があがり、アンケート調査を専門家からなる調査委員会に諮問することを決めました。
今後、調査委員会がアンケートの方法や質問項目などを決めることになります。
仙台市教育委員会の大越裕光教育長は「いじめがあった結論が変わることはないと思うが、これまで分からなかった詳細が分かるかもしれない。遅すぎたことは否めないが、早急に調査を依頼したい」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20151016/5736651.html

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【10月16日付 朝日新聞大阪本社版】

2011年、大津市立中学2年の男子生徒(当時13)がいじめを受け自殺した問題を受け、市教育委員会は15日、子どもの心身に重大な被害をもたらしたいじめなどに関して学校が児童生徒に実施するアンケート結果について、被害者側に開示する基準案を策定し、明らかにした。いじめと確認すれば加害者名を被害者側に提供すると明記している。
市教委によると、いじめ防止対策推進法は被害者側への対応について「必要な情報を適切に提供」と規定しているが、提供する情報の範囲は定めず、これまで開示基準を定めた自治体もないという。文部科学省によると、各教委が個別のケースに応じて判断している。
市教委は、被害者側にとって加害者名を「事実に関する情報の要素として不可欠」と判断。
いじめを助長したと考えられる児童生徒の氏名も「必要な場合は伝える」とした。アンケートに答えた児童生徒の名前は原則提供せず、伝聞情報は事実確認できなければ伝えないとした。
中2の男子生徒が自殺した11年のいじめ問題で、全校生徒へのアンケート結果を情報公開請求した遺族に対し、市教委は大半を黒塗りで開示。遺族が市を相手取った損害賠償請求訴訟で、大津地裁は14年1月の判決で「個人情報保護条例の解釈を誤った違法性があった」と認定した。
開示基準は今月中に策定を終え、各校に周知する。(奥令)
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【京都新聞】

いじめ調査、被害者に開示へ 大津市教委、加害者名も

いじめなど重大事案が起きた場合に学校が子どもたちに実施する調査について、大津市教委は公表基準を新たに設ける。特に、被害者やその保護者などに対しては情報公開請求を受ける前に事実関係を伝えるほか、いじめなどの行為が確定すれば、被害者救済の観点から被害者に対し加害者氏名などの情報も開示する。
学校による調査結果は「今後の調査に支障が出る」などとして被害者に事実関係すら開示しないケースがあり、全国的に問題となっている。公表基準を設けるのは大津市が初めてで、近く決定し各学校に伝える。
公表基準案によると、公表対象は、いじめによる自殺や心身への被害、不登校などのほか、体罰や恐喝、学校内での事故など、重大事案についての調査結果。
被害者側に公表する範囲は、いじめなどの事案のあった時期や内容、加害者の氏名、学校の対応など、調査で明らかになった事実関係。被害者本人の個人情報なども伝える。伝聞などで事実を確認できなかった情報や、調査に回答した子どもの氏名は開示しない。
被害者側の意向に沿った調査とするため、調査前に調査実施の承諾や情報開示の範囲、公表時期などについて、被害者側と協議する。調査対象となる子どもの保護者にも情報開示の範囲などを事前に説明する。
2011年10月に市内の中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺し、大津市教委はその際の調査結果を
事実上非開示とした。遺族が情報開示を求めて訴え、大津地裁が14年1月に違法性を認定。市教委は「原因を知りたいという遺族の心情を損なった」と謝罪し、文部科学省も明確な公表基準を策定していない
ことなどから、公表基準づくりを進めていた。

■全国基準になり得る
大津いじめ事件で遺族の代理人を務める石田達也弁護士の話 公表範囲は全国的にばらつき、どこに住んでいるかで著しく差がある。大津市は開示できる最大限の範囲を示したといえ、意義は大きい。
文科省とも協議の上で作成したといい、全国基準になり得る。被害者救済の視点を入れたのも画期的だ。
被害者に加害者情報が開示されないと、被害者側は訴訟も、対応を求めることもできなかった。加害者情報
開示には慎重な声もあるかもしれないが、開示は加害者にとっても事実に向き合って内省し、更生する
きっかけになるはずだ。
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【NHK大津放送局】

大津市がいじめ調査公表基準案

大津市教育委員会は、いじめによる自殺など子どもたちに大きな影響が出た場合に行う調査について調査対象となる事案や結果の公表の基準などをまとめた案を示しました。
4年前、大津市で中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺した問題では、学校が全校生徒に行ったアンケートの結果を生徒の保護者に開示した際教育委員会がほとんどを黒塗りにするなどしたため遺族が精神的な苦痛を受けたなどとして賠償を求める訴えを起こし、市が敗訴しています。
また、生徒の自殺がきっかけとなって作られた「いじめ防止対策推進法」ではいじめによる自殺など子どもに重大な事態が起きた場合、学校などが調査を行い、事実関係を保護者や子どもに伝えることを義務づけています。
これらをふまえ、大津市教育委員会は、学校によって対応にばらつきがないよう調査の対象や結果を公表する際の基準を作り、その案を15日の教育総合会議で初めて示しました。
案では、調査の対象をいじめによる自殺だけでなく、暴行や恐喝、体罰それに、学校生活に関わる事故で原因がわからなくても子どもの命や心身に重大な影響が生じた疑いがある場合などに広く適用するとしています。
そして、結果については、個人情報を判別できないよう転記して資料の一覧を提供するなど極力、開示する仕組みにしたとしています。
教育委員会によりますとこうした基準の作成は、全国でも珍しいということです。
大津市教育委員会の井上佳子教育長は、「この基準を作ることで、どの学校でも同じレベルで公表できて
大変意義がある」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/2065662671.html?t=1444983894439

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【10月13日付 神戸新聞NEXT】

2007年に兵庫県立龍野高校(たつの市)テニス部の練習中に倒れ、寝たきりとなった同県太子町の女性(25)と両親が県に損害賠償を求めた訴訟で、女性側は13日、県に介護費用など約2億3千万円の支払いを命じた大阪高裁の判決を不服として県が上告した最高裁を訪れ、上告棄却を求める要請書を提出した。
女性は梨沙さん。事故当時は同校2年の硬式テニス部キャプテンで、練習中に不整脈を発症し倒れた。
今年1月、二審の大阪高裁判決は、不整脈の原因を熱中症と認定し、顧問教諭には指導義務違反があったと指摘し、学校側の責任を認めた。県は2月に上告した。
両親らは判決の維持を求めるため、3万8425人分の署名を集め、最高裁に提出。東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、父の正則さん(52)は「今後、学校で同じような不幸な事故を出したくない」、母の弘美さん(53)は「県にはせめて当時何があったのか、どうすれば事故を防げるのかを考え、取り組んでもらいたかった」と話した。(藤森恵一郎)
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【NHK神戸放送局】

部活中事故 最高裁に署名提出

8年前、兵庫県の県立高校で部活動の練習中に倒れて重い障害が残り、県に賠償を求めている女子生徒と家族が、13日最高裁判所を訪れ、学校側の過失を認めた2審の判決を確定させるよう求める署名を提出しました。
この裁判は、平成19年5月、兵庫県立龍野高校で2年生の女子生徒がテニス部の練習中に倒れ、重い障害が残った事故をめぐり、本人と両親が学校の安全管理に問題があったと訴えているものです。
1審の神戸地方裁判所は訴えを退けましたが、2審の大阪高等裁判所は、熱中症が原因と認めた上で、顧問の教師が長時間の練習を指示するなど学校側の対応に過失があったと指摘し、兵庫県におよそ2億4000万円の賠償を命じました。
判決を受けて兵庫県は、「倒れた原因は熱中症ではなく、顧問の教師が熱中症を防ぐために練習を軽くする義務もない」などとして上告しています。
これについて、女子生徒と家族は、13日、最高裁判所を訪れ、兵庫県の上告を退けて2審の判決を確定させるよう求める3万8000人あまりの署名を提出しました。
このあと家族は、東京・霞が関で記者会見を開き、女子生徒も車いすに乗って同席しました。
母親は、「娘を守ってやれず無念でなりません。熱中症による学校の事故をなくすためにも最高裁判所には2審の判決を確定させてもらいたいです」と訴えました。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/2025593341.html?t=1444740954815
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【読売テレビ】

熱中症訴訟 学校に責任…最高裁に申し入れ

8年前、兵庫県立高校の部活動中に倒れ、寝たきりとなった女性の両親らが「学校が安全配慮義務を怠ったため、娘は熱中症で倒れた」として、兵庫県と係争中の裁判で、家族は13日、学校側の責任を求めて最高裁判所へ申し入れを行った。この日、最高裁判所を訪れた家族。娘の梨沙さんは、兵庫県立龍野高校の2年生だった8年前の5月、テニス部の練習中に倒れ、一時、心肺停止の状態となった。
幸い、一命は取り留めたものの、脳に酸素が十分届かず、重度の障害が残った。父の正則さんは「目も見えない、話すこともできない、食べることも手足を動かすこともできない、残念ながらそういう状況です」と話す。当時、テニス部のキャプテンだった梨沙さん。本来、練習に付き添うはずの顧問が、その日は出張のため不在だった。練習最後のランニング中に梨沙さんは意識を失ったのだ。両親らは「学校側が安全に配慮する義務を怠ったため、梨沙さんが熱中症で倒れた」として兵庫県を提訴。
一審の神戸地裁では、訴えは棄却されたが、ことし1月の大阪高裁は、梨沙さんが熱中症に陥ったと認定。
将来の介護費用などおよそ2億3千万円の支払いを兵庫県に命じた。その後、兵庫県は大阪高裁判決を
不服として、最高裁に上告している。兵庫県教育委員会事務局体育保健課の船田一彦課長は「熱中症が
多発する時期ではない5月に、専門家でない顧問教諭が熱中症を予見するということは不可能」という。
「娘のような事故を、繰り返してほしくない」。両親は、最高裁判所でも学校側の責任が認められるよう署名活動を続けてきた。そして13日、梨沙さんと両親は集まったおよそ3万8千人分の署名を手に最高裁判所へ。
兵庫県の上告を棄却し、学校側の責任を認めるよう申し入れを行った。正則さんは、「何も変わらない、何も安全に対して考えていけない兵庫県には、我々が声を上げていかないと同じような事故が繰り返されてしまう。
同じような事故があってはならないという思いで、署名を提出させて頂きました。我々の主張が極めて当たり前だということを、最高裁には判断して頂きたいです」と訴える。8年前の部活動中に起きた事故の責任は誰にあるのか。梨沙さんと家族らは、最高裁の判断を待つ。
http://www.ytv.co.jp/press/kansai/D10596.html

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【10月12日付 京都新聞】

いじめを苦に男子生徒が自殺してから4年目の11日、黙とうをささげる桶谷教育委員長(右)や越市長(右から2人目)ら=大津市役所

大津市の中学に通う男子生徒=当時(13)=がいじめを苦に自殺してから、11日で4年となった。大津市役所では、市教委や市職員ら35人が集まり黙とうをささげ、いじめで苦しむ子どもをなくすため、徹底した対策に取り組む思いを新たにした。
市はこの日を「行政の重い責任をあらためて認識し、二度とこのような事件が起こらないよう取り組んでいく日」と位置付けている。黙とう後、越直美市長は「いじめ対策は当然、市や市教委、学校が行うが、市民の皆さんもいじめをなくす輪の中に入ってほしい」と、全市的に取り組む必要性を訴えた。
市や市教委はこの間、各学校にいじめ対策担当教員を配置するなど対策に力を入れてきた。いじめの相談、認知件数も年々増え、従来なら表に出なかったようなケースも把握できるようになってきているという。
桶谷守教育委員長は「一定の効果はあったが、まだ道半ば」と振り返り、越市長も「組織や制度は変わったが、最後は一人一人の意識が変わるまでやらないといけない。対策が子どもに届いているか、私たちが子どもの声を聴けているか、徹底して取り組む」と述べた。

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【10月10日 河北新報】

天童一中1年の女子生徒=当時(12)=が昨年1月に自殺した問題で、「いじめが主要な原因」と認定した第三者調査委員会の報告書を受け、当時の担任と部活動顧問らが初めて遺族に謝罪していたことが9日、遺族への取材で分かった。
同校の教頭とともに7日に遺族宅を訪問した。担任らは「かけがえのない命を守ることができなかった。
対応に不十分さがあった」と頭を下げたという。
母親は「学校にはいじめについて相談していたのに、なぜ対応してくれなかったのか」と訴えた。
山本信治天童市長もこの日焼香に訪れたが「学校の設置者として責任がある」と述べるにとどまったといい、遺族は「明確な謝罪の言葉がなかった」と疑問視した。山本市長は9日、取材に対し「責任があるという発言に謝罪の意も込めた。言葉足らずであったなら、遺族に大変申し訳ない」と話した。

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