平成29年9月7日河北新報
<仙台中学生自殺>市教委 第三者委に調査を諮問

 仙台市青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が教諭から体罰を受けた上、いじめを訴えて4月下旬に自殺した問題で、市教委は6日の臨時会で、第三者機関「いじめ問題専門委員会」の初会合を11日に開き、調査を諮問することを決めた。
 諮問事項は(1)自殺に至るまでの事実関係の調査(2)自殺の原因と背景、いじめや体罰などとの関連性の分析(3)学校と市教委の対応(4)再発防止に向けた提言-の4点とした。
 臨時会では、専門委の新委員に伊藤佑紀弁護士(仙台弁護士会)、大塚達以県精神医療センター医療部長、川端壮康尚絅学院大准教授の3氏を選出した。留任の高橋達男県社会福祉士会会長と、今後選出される臨時委員3人を合わせた計7人で調査する。
 臨時委員は、男子生徒の遺族が専門委への関与を要望した3団体から選出される。人選に時間がかかり、専門委の会合を開けない状態が続いていた。
 臨時会終了後、大越裕光教育長は「(発生から)4カ月以上たってからの開催になったことは改めておわび申し上げる」と話した。

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平成29年8月10日河北新報
<仙台中学生自殺>第三者委開催めど立たず

 仙台市青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が教諭から体罰を受けた上、いじめを訴えて4月下旬に自殺した問題で、原因や事実関係などを調査する市教委の第三者機関「いじめ問題専門委員会」が、自殺から3カ月以上を経た現在も開催のめどが立っていないことが9日、分かった。
 大越裕光教育長が同日の市議会いじめ問題対策調査特別委員会で明らかにした。辞任した委員の補充に時間を要していることが理由という。
 市教委によると、専門委は3月以降、委員6人中5人が相次いで辞任。遺族から精神保健福祉などの分野から3人の委員を加えるよう要望があり、関係団体と現在も調整している。
 奥山恵美子市長の任期は21日までだが、大越教育長は「委員全員が確定していない状況で、21日までの開催は困難だ」と明言。開催時期の見通しも示さなかった。市議からは「専門委で検討が始まらないのは異常事態。教委の姿勢が問われる」と苦言が出た。
 体罰の実態などを調査するため、奥山市長が市長部局への新設方針を示した第三者機関についても、加藤俊憲総務局長は「人選が遅れ、21日までの開催は困難な状況」と説明した。
 特別委では、市立五城中の尾形孝徳校長、宮城教育大の久保順也准教授の2氏を参考人として招き、いじめ問題の現状や課題に関する意見を聞いた。

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平成29年7月7日河北新報
<仙台中学生自殺>他の生徒にも体罰の可能性

 
senndai
仙台市青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が教諭2人から体罰を受けた上、いじめを訴えて自殺した問題で、他の生徒も同校などで体罰を受けた可能性が高いことが6日、市と市教委が全校生徒258人に実施したアンケートで分かった。
アンケートには173人(67%)が回答。うち20人が自分が体罰を受けたり、他の生徒が受けるのを見聞きしたりした経験があると答えた。男子生徒に体罰をした50代の男性教諭が「プリントがないとの理由で同級生の頭をたたいた」という回答が複数あった。
20人中12人は折立中での経験を、残る8人は小学生時代の経験を申告した。
男子生徒への体罰は、小中学校を通じて27人が見聞きしたと回答した。50代の女性教諭が男子生徒の口に粘着テープを貼ったとされる体罰には8人が言及し、うち5人は「セロハンテープだった」と記述した。

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平成29年7月5日河北新報
<仙台中2自殺>今月中にも再調査開始

 仙台市泉区の南中山中2年の男子生徒=当時(14)=が昨年2月に自殺した問題を巡り、奥山恵美子市長は4日の定例記者会見で、いじめ防止対策推進法に基づく再調査を月内にも開始する意向を示した。
 奥山市長は「7月中を第1希望に鋭意(準備を)進めている」と述べ、再調査機関の構成員などについて遺族の要望を踏まえて検討していることを説明した。
 青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が教諭に体罰を受けた上、生徒からのいじめを訴えて自殺した問題を調べる市教委第三者委員会については、「私の下でスタートさせたい」と、8月下旬の市長任期満了までに調査を始めるとした。
 体罰の実態などを調査するため、市長部局に新設する第三者機関にも言及し、「委員構成の具体案を詰めているが、まずは南中山中の事案の再調査を優先して進めたい」と述べた。

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平成29年6月16日河北新報
<仙台中学生自殺>市長はリーダーシップを

仙台市議会6月定例会は15日、2日間の代表質疑を終えた。青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が教諭らから体罰を受けた上、いじめを訴えて自殺した問題を全5氏が取り上げた。8月で引退する奥山恵美子市長に「任期中に責任を持って対応すべきだ」とリーダーシップ発揮を求める声が相次いだが、煮え切らない答弁に終始した。
奥山市長は5月、体罰の実態などを検証する第三者機関の設置を表明したが、具体化していない。既存の市教委第三者機関・いじめ問題専門委員会もメンバー3人が辞任の意向を示し、早期に会合を開ける状態にない。
14日の代表質疑では、菊地崇良氏(自民党)が「今後の予定もほとんど決まっていない。後任の市長に丸投げするのか」と批判。木村勝好氏(市民フォーラム仙台)も「在任中に各委員会(機関)を機能させるべきだ」と迫ったが、奥山市長は「できるだけ早く設置したい」と述べるにとどめた。
15日は鎌田城行氏(公明党市議団)が「市長部局にいじめ防止対策推進室を設置し、総力を挙げ対応を」と提案。
花木則彰氏(共産党市議団)は教諭の負担軽減のための少人数学級拡大を訴え、「次の市長が決まってからでは間に合わない」と強調した。
一方、樋口典子氏(社民党市議団)は「今必要なのは教育行政の自立と自主性。地域と連携し、実効性のある取り組みを進めるべきだ」と指摘した。

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平成29年6月14日朝日新聞宮城版
中2自殺で遺族が再度要望書「第三者委設置を」

4月末に自殺した仙台市立中学2年の男子生徒の遺族が、奥山恵美子市長や岡部恒司市議会議長らあてに2度目の要望書を出した。いじめを解明する第三者委員会を速やかに設置することなどを求めている。
13日の四十九日に合わせ、12日に郵送した。市教委の第三者委をめぐっては、現状の半数に上る委員3人が辞任の意向を示している。要望書では、「新たな委員の選任まで時間を要し、調査が始まるめどが立たないとの報道を見て憤りを感じる」とし、遺族が推薦した3団体を委員に加えて速やかに調査を始めるよう求めた。
また、第三者委が市教委の付属機関になっている現状では「公平性、中立性が確保されていない」として、設置の根拠になっている条例を見直すことも要望した。
市教委は13日、男子生徒が通っていた学校の全生徒と保護者あてに、体罰について尋ねるアンケートを配布した。
男子生徒への体罰を見たり、聞いたりしたことがあるかなどのほか、回答者自身も体罰を受けたことがあるかなども尋ねる。アンケートは奥山市長と大越裕光教育長の連名で、市教委に直接郵送してもらう。(中林加南子、藤崎麻里)

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平成29年6月9日河北新報
<仙台中学生自殺>生徒「死んでも誰も悲しまない」

いじめ被害を訴えていた仙台市青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が4月に自殺した問題で、男子生徒が同級生に「僕が死んでも誰も悲しまない」などと打ち明けていたことが8日、市教委が公表した全校生徒アンケートで分かった。約2割が男子生徒へのいじめを「見聞きした」と答え、新たに8件のいじめが疑われる事案も明らかになった。
アンケートは5月2~19日に実施し、全校生徒258人中251人が回答した。回収率は97.3%。うち55人が男子生徒へのいじめとみられる出来事を具体的に書き込んだ。
新たにいじめが疑われる事案は(1)同級生から「死ね」と言われた(2)「別の中学校に行け」と言われた(3)集団で囲まれ、悪口を言われた(4)机に「臭い」と書かれた(5)菌扱いされていた(6)消しゴムのかすを頭に乗せられた(7)集団による仲間外れ(8)陰口-の8件。
男子生徒が帰宅途中、「死にたい。死んでも誰も悲しまない」と話したとする記載があった。今年2月に教室で転倒し、骨折した件は「自分で転んだ」「(同級生が)足を出して転ばせた」と相反する回答もあった。
遺族関係者によると、遺族は7日午前、校長から今回の公表内容を示された。遺族側は削除された回答があるとして、公表するよう求めたが、聞き入れられなかったという。
遺族側に事前に示されていたアンケートには骨折について「(同級生が)アキレス腱を伸ばすようにして足を掛けた」との記載や、男子生徒が保健室で「けんかの責任を押し付けられると養護教諭に相談していた」との回答もあったという。
回答の一部を非公表とした市教委の判断について、遺族関係者は取材に「都合の悪い情報を隠そうとしている」と批判した。

<仙台市教委>いじめ問題専門委の3人辞意

仙台市教委が設置する第三者委員会「いじめ問題専門委員会」の本図愛実委員長(宮城教育大教職大学院教授)ら3人が辞任の意向を示したことが8日、分かった。専門委は青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が自殺した問題を調査するが、後任選びの影響で調査が遅れる可能性がある。
市教委によると、3人は3月末~4月上旬に辞任を申し出た。本図氏は取材に「泉区南中山中のいじめ自殺問題の答申を3月下旬に出し、区切りがついたため」と説明した。市教委は新委員が決定した段階で3人の辞任を認める方針。
男子生徒の遺族は、専門委メンバーを遺族が要望する団体などからも選定するよう求めている。

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平成29年6月6日朝日新聞宮城版

いじめ問題、専門家3人に聞く

3年で3人の男子中学生が自殺した仙台市の教育界には、どんな問題があり、解決の糸口はどこにあるのか。
いじめ問題について、専門家3人に聞いた。

仙台本田
■被害者より加害者の病理、深刻 本田秀夫さん(53) 信州大医学部付属病院子どものこころ診療部長 いじめで心に傷を負った子供たちの診察をしていると、必ずしも全ての学年を通じていじめられていたわけではない、ということに気づきます。つまり、いじめが起きにくいクラスがあるということ。先生らによって一人ひとりの個性を引き出す教育環境ができていれば、子供は他人のあら探しをして攻撃する必要がなくなるからです。
それとは反対に自殺した男子生徒が口に粘着テープを貼られたり、頭をたたかれたりしたのは、クラスになじめない子はいじめてもいいという雰囲気を、先生が率先して醸し出した可能性があります。
公立学校は「みんな仲良く」「みんな一緒に頑張ろう」という文化が強く、それがいじめの温床になりやすい。「みんな」という文化に入ってこないと異質だとみなすわけですから。
いじめ問題というのは実は、被害者より加害者の病理の方がより深刻です。自分の傷を癒やすために他人をいじめている場合も多く、精神医学的な対応が必要ですが、いじめをする子供たちは診療を受けには来ない。
別の子供との関係で虐げられているかもしれないし、親子間の虐待が他の子への攻撃性として出ているかもしれない。
ですが、ほとんどの親は自分の子がいじめをしていると気づいていません。
だから、いじめが分かったら双方の家庭を巻き込み、当事者全員に面接をして話し合わなければならない。その意味で、今回のケースでいじめた側の親に報告すらしなかったことは、とてもまずかった。当事者が認識を共有して一発で解決に導き、二度といじめを許さない雰囲気をつくらないと、いじめは水面下で陰湿化してしまいます。
中学生の各教科の習熟度は勉強が得意な子だと高校生並み、苦手な子は小学生レベルというケースもあります。
運動能力や社交性、性格も実に多様。「みんな一緒に」の理念だけで教室を運営するのは無理があります。本気でいじめ対策に取り組むのなら、日本の教育体制を根本的に見直す必要があります。(聞き手・森治文)

精神科医。著書に『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』など。

仙台香山

■いじめの対象、誰でもなりうる 香山リカさん(56) 精神科医
大人たちは「いじめが起こるのは、被害者と加害者との関係に何か問題あるからではないか」と原因と結果を論理立てて解釈しようとしますが、それは大きな間違い。残念ながら今の学校では、いじめは突然、何の前触れもなく、そして誰にでも起こります。
子供たちの話を聞いていて感じることは、今の子供は対人関係に非常に敏感だということです。自分がいま、「相手からどう思われているか」「私の言葉を相手がどう受け止めているか」を常に考えて行動し、言葉を発している。また、相手や周りから「何を期待されているか」「何を要求されているか」に過剰に気を使う。
子供はいつ何時、自分がいじめの対象になるかわからないということを、実によく知っています。いま、いじめられている子の次は自分がターゲットになるかも知れない。だから周りの微妙な空気の変化を察知することに全精力を使う。
学校関係者や保護者は、子供たちのちょっとしたしぐさ、そぶり、会話に注意して下さい。「うちの子は大丈夫」「我が家のしつけはしっかりしているから」とは思ってはだめ。繰り返しになりますが、いつでも、誰もが、被害者になり得るのです。
いじめの渦中にある時、自分に何が起こっているのか正確に把握できる子供なんて、まずいません。いじめている側も、いじめているという意識はありません。被害者は「いじめられているなんて思いたくない」と考えるし、加害者は「自分のやっていることは、よく話題になっているいじめなんかじゃない」と思いがちです。
これは学校関係者も同じかもしれません。子供たちが言い争いをしていても、「ふざけているんだろう」。追いかけっこをしていても、「活発な子供のことだから」と考えて、なるべく過小評価してしまいます。「うちのクラスでいじめがあるわけがない」と思い込もうとする。
まず、「これは、いじめだ」と早期に判断して対処を始めるべきです。そこから、すべてが始まります。(聞き手・石川雅彦)

立教大学現代心理学部教授。著書に『いじめるな!』(共著)、『若者の法則』など。

尾木

■先生の子供観がゆがんでいる 尾木直樹さん(70) 教育評論家
今回、仙台市で体罰をした2人の先生は、ごく普通の先生だったのだと思いますよ。教育熱心な、生徒に慕われている先生かもしれない。ただ、そんな先生が何げなく拳でたたいたり、口に粘着テープを貼ったりするようなことをしてしまう点に、仙台の異常さがあると思います。
そもそも、先生の子供観にゆがみがあるのではないでしょうか。授業中に周囲の雰囲気にかかわらずしゃべり続けたり、立ち上がって歩き回ったりする子供は、現代の教室では珍しくはありません。いまの教育現場は、クラスにそんな子もいることを前提に、教育活動をしていくことが常識となっているんです。
その子を「変な子」と異端視せずに、まず同じ目線になって「私はあなたの仲間よ」と伝え、その子の気持ちを理解しようとする。そこから、すべての指導が始まるんです。
今回の体罰に使われた拳や粘着テープは、「よそ者扱い」の典型的な例です。教育の基本原理・原則である「個に寄り添う」という理念を行政や現場が理解・共有できていないと思います。仙台の遅れは、そこです。まずは教師の側が子供の人権やいじめに対する感性を高めなければ、子供を守ることはできません。いま、しっかり、そこにメスを入れるべきです。
私はいろいろな教育現場を回っていますが、現場には素晴らしい志や能力を持つ先生がたくさんいて、日々頑張っている。
ただ、その本心を声に出すことができない、あるいは、彼らの声がなかなか実践に反映されていないような雰囲気がある。
これは仙台市だけの問題ではありません。
その原因の一つとして、教職員の過重労働問題があります。疲れ切っている先生たちは、正常で健全な心を持ち続けることが難しくなっているのでしょう。命の大切さやいじめが重大な問題であることは頭では理解している。しかし、その健全な正義感や問題意識、感受性が発揮できないところまで追い込まれているのかもしれません。そのような状況で真っ当な教育ができるわけはありません。(聞き手・石川雅彦)

法政大特任教授。著書に『いじめ問題をどう克服するか』『取り残される日本の教育』など。

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平成29年6月6日NHK仙台放送局

全校調査 いじめは毎日のように

ことし4月、仙台市の中学2年の男子生徒が自殺し、いじめや体罰を受けていたことが明らかになった問題で、男子生徒へのいじめの実態を解明するため全校生徒に実施したアンケート調査の結果がわかりました。
この中では、具体的な複数の生徒の名前や部活動名を挙げながら、毎日のようにいじめが繰り返されていた実態が記入されていて、教育委員会は第三者の調査委員会を設置して事実関係の確認を進めることにしています。
ことし4月、仙台市の中学2年の男子生徒が休み時間に学校を出てマンションから飛び降りて自殺し、その後、机に『死ね』と書かれたり、ほおを叩かれたりするなどのいじめを受けていたほか、教諭から体罰を受けていたことが明らかになっています。
これを受けて、教育委員会はいじめの実態を解明するため、男子生徒が通っていた中学校の全校生徒を対象にアンケート調査を行い、その結果がわかりました。
この中では、「『臭い』『こっちに来るな』などと毎日のように悪口を言われ、言い返すこともなく、トイレの前で1人で座っていた」とか、具体的な複数の生徒の名前や部活動名を挙げながら、「5、6人からほぼ毎日、悪口を言われていた」などと、いじめの具体的な実態が記入されています。
また、「菌扱いされていた」とか、「消しゴムのかすを髪の毛に乗せられていた」などといういじめの内容や、自殺した当日の様子について、「朝は顔色が悪くてフラフラしていた」という記入がありました。
仙台市教育委員会は第三者の調査委員会を設置して事実関係の確認を進めることにしています。
http://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20170606/4027951.html

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平成29年5月27日河北新報
<仙台中学生自殺>市長 問われる覚悟
◎終わらぬ連鎖(下)岐路
<国は見切り>
不手際が続く仙台市教委に、国は見切りを付けた。
「教育委員会主体では、透明性や信頼性の観点から困難だ」
22日夕、文部科学省。4月26日に起きた青葉区折立中2年の男子生徒(13)の自殺を巡り、義家弘介文部科学副大臣は奥山恵美子市長に市長主導での調査を強く求めた。隣には大越裕光教育長が同席していた。
義家氏が大越氏を呼び出したのは、泉区館中の男子生徒=当時(12)=の自殺(2014年9月)への市教委の対応に苦言を呈した15年11月に続き2回目。大越氏は終始、沈痛な表情でうつむいたままだった。
泉区南中山中の男子生徒=同(14)=の自殺(16年2月)も含め、2年7カ月の間にいじめ絡みの自殺が3件続いた仙台市。義家氏は「重大性の認識の欠如」を特に問題視した。
「いじめ重大事態の疑いもないのか」。折立中生徒の自殺を発表した4月29日の記者会見で、こう問われた大越氏は「先入観を持たないようにしている」と否定。だが、3日後には文科省の指導で、重大事態として調査を進める方針に一転させた。
教諭2人による男子生徒への体罰も、保護者の通報があるまで市教委は把握できなかった。義家氏は「市長のリーダーシップで、なれ合いを排して外の目を入れるべきだ」と、市教委の調査能力を断罪した。
<独立性尊重>
義家氏から直々に指導力発揮を期待された奥山氏も当初、反応は曖昧だった。面談後、「副大臣も全面的にギアを入れ替えることが有効だとは思っていない」との見方を示した。
15年4月の地方教育行政法改正で、首長による教育大綱の策定や総合教育会議の開催、教育長の直接的な任命・罷免が可能になり、教育行政への首長の権限が強まった。ただ、市長就任前は市教育長だった奥山氏は、教委の独立性や中立性を尊重する姿勢が目立つ。
市教委が男子生徒への体罰を確認した今月19日。「体罰を見抜けず、力不足と批判を受けても仕方ない」と謝罪した大越氏を、奥山氏は「現行の教育長(大越氏)の下で調査を進めるべきだ」と罷免を否定した。
<8月で引退>
義家氏との面談から2日後の24日、奥山氏は記者会見で、いじめが絡む3件の自殺への対応や、全市立学校での体罰の実態調査のため、市長部局に第三者機関を新設する方針を表明。ようやく市長主導にかじを切った。
「教委のみで物事を進めることに疑義があり、身内に甘くなるという懸念もある。しっかりと私が関与していく」。
奥山氏は調査結果次第で市教委を組織改編する可能性にまで言及したが、「教委抜きで完全に進むわけではない」「学校現場を預かり、良くしていくのは教委の一人一人の力だ」と付け加えるのも忘れなかった。
悲劇の連鎖を今度こそ断ち切れるのか。奥山氏は8月で市長を引退する。岐路に立つ仙台の教育行政を、残された時間で新たな道へと導く奥山氏の覚悟が問われている。

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