学校事件の報道

学校事件: 体罰・不適切な指導

2021年3月22日付朝日新聞

児童に暴行、担任が誘導か 「やっちゃいな」と呼び掛け

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秋田市の小学校で起きた不適切な指導について説明する市教委の担当者ら=2021年3月22日午後4時12分、秋田市役所、高橋杏璃撮影

 秋田市の小学校で今月、3年生の学級担任の50代の女性教諭がクラスの複数の児童に対して、特定の児童をたたくよう誘導する発言をしていたことが22日、市教育委員会への取材で分かった。学校の調査に対し、教諭は事実関係を認めているという。

市教委によると、教諭は今年3月、昼休みの鬼ごっこで児童間のトラブルがあった際、数人の男子児童に「やっちゃいな」などと呼びかけ、トラブルの原因となった男子児童をたたくよう誘導。複数の児童らはこの男子児童の腹部を1回ずつたたいた。また、学校が児童から聞き取った証言では、教諭が「私がたたくと退職になっちゃうから代わりにやれ」と発言したほか、女子児童が暴力に反対した際に、「この子は殴られないと覚えないから」と言ったとされる。教諭はこれらの発言については「覚えていない」と学校に説明しているという。

また、市教委によると、昨年5月ごろ、教諭は児童らに「好きな人や嫌いな人はいるか」と尋ね、嫌いな人として名前があがった2人の児童に「これが現状だ。これからはみんなに好かれるように頑張らないといけないよ」と発言。発達障害が疑われる転校生の児童に対し、「前の学校の子たちもあなたがいなくなって喜んでるでしょうね」と発言したことがあったという。このほか、欠席しがちな児童が映画を見に行った話をした際に、「映画を見に行くよりも、学校に来て勉強したら」と諭したこともあったとされる。

保護者の有志6人が今月15日に来校し、被害を訴えて発覚。16日以降は、教頭など別の教員1人を同席させた上で、担任教諭が授業を続けた。教諭が勤務を続けたことについて、市教委は「こういう事案があったとはいえ、学級担任の仕事があるので優先させた」と説明している。

学校は19日に緊急保護者会を開き、担任教諭と校長が謝罪した。現時点で心身に不調をきたした児童は確認されていないという。教諭の処分は未定で、市教委が事故報告書を提出した後、県教委が決定する。(高橋杏璃、野城千穂)

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2021年3月1日付朝日新聞

重傷負わせ逮捕も ボランティアの部活指導、現場任せ

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茨城県警察本部

  茨城県小美玉市の市立中学校で剣道部の部活指導にあたっていたボランティアの男性(46)が、男子生徒(13)に重傷を負わせた疑いで逮捕された。慢性的に不足する部活指導を地域の有志が担った結果、役割や責任が明確にされていないことが背景にある。

県警石岡署や市教育委員会によると、事件は小美玉市の市立中で昨年9月1日、男性と剣道部員の男子生徒がつばぜり合いをしていて起きた。男性が突然体当たりしたため、生徒は後方に転倒。直後に生徒は「大丈夫です」と話したが、後日、病院で左手関節の骨挫傷や脳振盪(しんとう)など、3カ月の重傷と診断された。

男性は8月下旬から同中へ指導に来ており、当日が3回目。市教委は「顧問も剣道経験者。(男性は)地域の剣道団体でも活動しており、接点があったかもしれない」と説明する。

署は1月20日、男性を傷害容疑で逮捕した。男性は剣道6段で、生徒は昨春に入学して剣道を始めたばかりの初心者。部員の技量を見極められる男性が、経験の浅い生徒に危険な練習をさせてけがを負わせた責任を重くみたとみられる。

市教委によると、男性の立場はボランティアで、校長の面談を経なくても活動できる。顧問は事件当日、練習に同席していたという。
今回の事態を受け、萩生田光一・文部科学相は1月22日、記者会見で「学校の許可を得ずに部活指導にあたるのは適切ではない」と指摘。県教委は「ボランティアも含め、部活の指導には校長との面談が必要」という趣旨の通知を、県内すべての県立学校や市町村教育委員会などに出した。

部活動や授業中の事故でけがを負った場合、保護者と学校側が掛け金を負担する災害共済給付制度で治療費がまかなわれる。今回のケースは「学校管理下の事故」として、この制度で被害生徒側に治療費が給付される見通しだ。狩谷秀一・市教委指導主事は「長年の習慣で、ボランティア参加に校長面談を課してこなかったが、部活動は教育活動の一環。

学校側の監督責任を明確化するため、校長が把握するよう改めた」と説明する。

「保護者が参加すると断りにくい」

部活の指導は教員だけでは手が回らないことから、これまでも保護者や地元住民が様々な形で指導に関わってきた。県教委は「外部指導者」「部活動指導員」「ボランティア」の3種類を想定している。このうち、定義が最もあいまいなのがボランティアだ。

古くからあるのが外部指導者で、25年以上前に導入された。校長の委嘱を経て、顧問の技術指導を補う人材としての役割を期待されている。顧問不在の時は、指導や試合への引率は認められていない。大半が無報酬だ。

近年、部活に携わる教員の負担の重さが問題視されたことから、国が2017年度に導入したのが部活動指導員だ。市町村教委が任用し、顧問教員の負担を減らせるよう、単独で練習の指導や試合の引率ができる。国の基準で、時給1600円の報酬が出る。

外部指導者については県教委のガイドライン、部活動指導員は学校教育法の施行規則にそれぞれ役割が明記されている。だが、ボランティアについては明確なルールがなく、運用は現場に任されている。ある県教委関係者は「保護者が参加すると断りにくく、指導方法などについて、顧問と意識の共有が難しい場合もある」と打ち明ける。

県教委によると、部活動指導員は事故時の対応を求められるなど、責任が重いからか敬遠する人が多く、県内17市町村で79人(2月8日時点)にとどまる。県教委は市町村立の中学校計219校に1校1人配置する目標を掲げるが、現在配置できているのは計46校で、全体の約2割だ。

こうした事情もあり、部活指導の補助は外部指導者とボランティアが現場を支えているのが現状だ。ただ、県教委は両者について、正確な人数などは把握できていない。教員の負担減をめざしている市町村教委には「校長との面談を要件にすれば、簡単なボランティアもお願いしにくくなる」と障壁の高さを危惧する声もある。県教委の担当者は「ボランティアは幅が広い。

整理して自治体と共有したい」と話している。(鹿野幹男、片田貴也)

技術と指導者としての資質は別

日本部活動学会副会長で学習院大学の長沼豊教授(教科外教育)の話 部活動は学習指導要領に明記されている教育活動の一環。責任の所在を明確化するため、校長がボランティアを把握するのは当然だ。技術が優れていることと指導者としての資質は別。研修が不可欠で、サッカー指導者のようなライセンス制度をほかの種目でも導入すべきだ。指導者不足という点については、負担に見合った報酬を支払うことで解消をめざすのが望ましい。

 

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2021年2月15日朝日新聞

生徒に柔道技「体罰に他ならない」 元教諭に有罪判決

  事件のあった兵庫県宝塚市立長尾中学校=宝塚市長尾町
 生徒2人に柔道の技をかけて重軽傷を負わせたとして、傷害罪に問われた兵庫県宝塚市立長尾中学校の元教諭、上野宝博(たかひろ)被告(50)=懲戒免職=の判決公判が15日、神戸地裁であり、国分史子裁判官は「肉体的苦痛かつ精神的苦痛を加えた」として、懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。判決によると、柔道部顧問だった上野被告は昨年9月、同校の武道場の冷凍庫にあったアイスキャンディーを1年生の男子部員2人が無断で食べたとして激高。武道場で、1年生部員に足払いをかけて床に打ち付けるなどの暴行を加え、背骨を圧迫骨折させたほか、別の1年生部員にも寝技をかけ、足などに軽傷を負わせた。国分裁判官は「対話で内省を促すこともできた。教育的効果はなく体罰に他ならない」としたうえで、「過去にも体罰で処分を受け、怒りのコントロールができないことを自覚していた」として刑事責任は重いと指摘。反省の態度を示し、懲戒免職処分を受けたことを踏まえ、執行猶予を付けた。

上野被告は判決の言い渡しの際、一つひとつの言葉をかみしめるようにうなずいていた。(森下友貴)

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2021年2月10日付朝日新聞

吹奏楽部顧問が部員蹴り、暴言…謹慎処分に 広島新庄高

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広島新庄中学・高校=広島県北広島町

 広島新庄中学・高校(広島県北広島町)の吹奏楽部顧問の男性教諭(42)が、部員への体罰や暴言を理由に、昨年12月末から2週間の謹慎処分を受けていたことが、同校への取材でわかった。現在、顧問も外れている。教諭は2018年9月にも別の部員への暴言で謹慎処分となったという。

学校や関係者によると昨年10月、部活動の練習中に筆記用具を忘れた高2の男子生徒に対し、足を蹴る体罰を加えた。生徒にけがはなかった。教諭は学校の調査に「生徒の態度で理性を失いかけた。蹴る意思があった」と認めたという。教諭は部員たちに「バカ」「本気でやらんと殺すよ」などの暴言も繰り返していたという。

さらに、昨年8月の校内合宿中に、飲酒していたとの情報が保護者から寄せられた。当初、学校に「一度きり」と説明したが、その後、複数回飲酒したことを認めた。こうした虚偽報告も処分の理由となった。

学校は、4月から顧問に復帰させることを念頭に、吹奏楽部の指導方法をまとめたガイドラインを作成中という。

保護者からは「女子生徒にマッサージをさせている」との指摘もあった。学校が昨秋調べたところ、教諭は18年以降、女子生徒によるマッサージを頻繁に受けていたことを認めたという。マッサージをした生徒は複数おり、学校側に「自発的にした」と説明したという。

6年連続で中国大会へ 校長「情熱が…」

 18年にも部活指導中に、高1の女子生徒に「クズ」「カス」と暴言を吐いたとして、2週間の謹慎処分を受けた。学校はパワハラなどの研修をしたという。

この教諭は07年に吹奏楽部の外部講師として着任し、数年後に教諭として採用された。同校は11年に全日本吹奏楽コンクール中国大会に初出場し、14~19年の6年連続で中国大会に進んだ。荒木猛校長は取材に対し、「強くしたいという部活動にかける情熱が間違った形で出てしまったと理解している。暴力や暴言は肯定できない」と話した。

学校が昨年、吹奏楽部の全部員に調査したところ、処分の対象となった事案以外にも、この教諭に胸ぐらをつかまれたと話す生徒や、指揮棒を投げたり、譜面台を蹴ったりしたと訴える生徒もいたという。荒木校長は「過去の実態を詳細に把握することは難しく、生徒に重大なけがなどがない限り、調べる予定はない」としつつ、「非常に残念で申し訳ない。生徒、保護者との信頼関係の構築に努めたい」と話した。

県学事課の担当者は「内部管理の問題。校内で適切に対処していただく」と話している。

県吹奏楽連盟の古土井(ふるどい)正巳理事長は「事実であれば非常に残念」と話している。吹奏楽部員の保護者の一人は「子どもは先生の顔色を見ておびえながら部活をしている。教員としてあるべき姿ではないし、クラブは先生の私物じゃない」と憤った。(西晃奈)

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2020年10月14日付朝日新聞

柔道技で傷害容疑の中学校教諭、過去にも体罰で2度処分

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会見で謝罪する森恵実子・兵庫県宝塚市教育長(右から2人目)ら=宝塚市役所

 生徒2人に柔道技で重軽傷を負わせたとして、兵庫県宝塚市立長尾中学校教諭の上野宝博(たかひろ)容疑者(50)=同県西宮市柏堂西町=が傷害容疑で逮捕された事件で、宝塚市教育委員会は13日に会見を開き、上野容疑者がこれまで3件の体罰で2度処分を受けていたことを明らかにした。

上野容疑者は9月25日午後4時半から午後5時ごろまでの間、顧問を務める柔道部の部員で1年生の男子生徒2人に対し、道場内で柔道の寝技をかけるなどして負傷させた疑いがあるとして、12日に兵庫県警に逮捕された。

宝塚市教委によると、上野容疑者は9月25日、柔道部の活動中、差し入れのアイスキャンディーを食べたとして、男子生徒2人に柔道技をかけて負傷させた。生徒は2人とも入部間もなく、柔道はそれまで未経験だったという。

うち1人には、投げ技や寝技で失神させた後、ほおをたたいて目を覚まさせ、さらに技をかけるなどし、背骨を圧迫骨折させた。この生徒がその場から逃れるように帰宅した後、仮入部だったもう1人の男子生徒にめがねを外させ寝技を繰り返し、首や腰などに軽傷を負わせたという。現場には副顧問の40代の男性教諭もいたが、上野容疑者に恐ろしさを感じて止められなかったという。

市教委によると、上野容疑者は別の中学にいた2011~12年に生徒のほおをたたくなどした2件の体罰で、13年2月に訓告処分を受けた。さらに同年6月には頭突きで生徒の鼻を折り、同年10月に減給の懲戒処分を受けたという。

同市の森恵実子教育長は「子どもたちの模範となるべき教職員としてあってはならない事態を引き起こしてしまった。心から深くおわび申し上げます」と謝罪した。(石村裕輔)

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2020年10月14日付毎日新聞

柔道部顧問が中1生徒の背骨折る 傷害容疑で逮捕 アイス食べたことに立腹 兵庫

中学校の柔道部顧問で、1年生の男子生徒2人に暴行を加えて背骨を折るなどの重軽傷を負わせたとして兵庫県警宝塚署は12日、傷害の疑いで同県宝塚市立長尾中学校教諭、上野宝博(たかひろ)容疑者(50)=同県西宮市柏堂西町=を逮捕した。2人が無断でアイスキャンディーを食べたことに腹を立て、「柔道の練習だ」といって体罰を加えたという。

調べでは、上野容疑者は9月25日午後4時半ごろから約30分間、校内の武道場で、12歳と13歳の部員2人を柔道技で投げ飛ばして顔をたたいたり、寝技をかけたりしてけがをさせた、

としている。12歳の生徒は背骨骨折で全治3カ月の重傷。もう1人の生徒は執拗(しつよう)に寝技をかけられ、首を打撲する軽傷を負った。容疑をほぼ認めているという。

宝塚市教委によると、上野容疑者は、2人が道場内にあった冷蔵庫のアイスキャンディーを無断で食べたことに立腹。2人は謝ったが、練習中に一方的に投げ技や寝技を繰り返し、1人は絞め技で失神した後も平手打ちで起こし再び技をかけ続けた。副顧問の40代の男性教諭が現場にいたが、「恐怖で制止できなかった」と傍観していた。重傷の生徒が逃げ帰り、保護者が学校に問い合わせて発覚。10月に被害届が出され、宝塚署が捜査していた。

市教委によると、上野容疑者は2016年4月に長尾中に赴任した。2年生の生徒指導を担当し、柔道三段。負傷した2人は初心者だった。上野容疑者は当初、同校の調査に「指導が行き過ぎた」と弁明。当日夜に教頭らと生徒宅に謝罪に行った際に体罰だと認めたという。

上野容疑者は前任校でも11~13年に、体罰で生徒の鼻を骨折させるなどし計3回処分(減給1、訓告2)されていた。怒りを抑えるための「アンガーマネジメント」と呼ばれる研修も受けていたという。

記者会見した森恵実子教育長は「体罰を受けた恐怖は筆舌に尽くしがたく、胸が押しつぶされそうになる。心から深くおわび申し上げる」と陳謝した。【関谷徳、土居和弘】

 

「人道的な問題」被害者団体が批判

2011年に名古屋市立高校の柔道部員だった次男を練習中の事故で亡くした「全国柔道事故被害者の会」の倉田久子代表(60)は、「初心者を相手に年齢も体格も立場も上の人間が指導を外れた暴力を振るうとは、柔道を離れた人道的な問題だ。誰が考えてもあるまじき行為」と批判した。

また、上野容疑者が過去に3回、体罰を理由に処分を受けていたことについて、「指導を続けさせる宝塚市教委のあり方、市全体、ひいては兵庫県全体の問題だ。指導の場に立たせないような処分が必要だが、トップが本気で取り組まなければ改善されない。第三者委員会が調査するならば、被害者の立場に立つ委員を選び、被害者側が傍聴し、報告書をチェックできる態勢を取るか注視する必要がある」と話す。

柔道では、中高生の練習中の事故が多発し、各地で訴訟も起きている。同会では、重篤事故の被害者の共通点として、①初心者②1年生③実力差④体格差――などを挙げている。

倉田代表は「柔道による事故は変わらず起き続けている。全日本柔道連盟は安全な指導方法を普及啓発しているが、意識の低い指導者には届いていない。指導者資格制度を見直す時期が来ている」と訴えた。【稲田佳代】

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勝利至上が生む「ブラック部活動」、コロナ機会に再考を

令和2年9月9日付朝日新聞岐阜版

岐阜県内の中学や高校の部活動で、顧問による暴力や暴言が後を絶たない。2012年には大阪・桜宮高の男子バスケットボール部主将が顧問から受けた体罰などを理由に自殺し、大きな社会問題となった。その後もやまない部活動における体罰やコロナ禍の部活動の将来などについて、「ブラック部活動」の著書がある名古屋大学の内田良准教授(44)に聞いた。

――部活をはじめ学校の中での体罰がなかなかなくなりません。なぜですか。

「日本では、スポーツ活動全般について、厳しいトレーニングによって人を育てるという価値観が根強い。根性論と言われますが、厳しい状況を乗り越えて強くなる、たたかれて強くなるという考え方が依然としてある。だから暴力を正当化してしまう」

ブラック部活動

部活動について語る名古屋大学大学院の内田良・准教授=2020年3月、名古屋市千種区、山下周平撮影

――どう指導すれば良いのでしょう。

「今は人を脅して育てる時代ではない。自分で考える人間を育てるのが教育です。体罰や恐怖による指導はいらない。たとえ教育効果があっても体罰はやめるべきだと考えます」

「体罰について、先生に聞くと、『あれは指導』だと言い、生徒は『先生が真剣に怒ってくれたおかげで自分は育った』と話す人が大勢いる。つまり、体罰には一定の教育効果があるんだろうと思います。しかし、指導と体罰が一体化し、その境界を見えなくしている面があります」

――学校では体罰に反対する声はなかなか表に出てきませんが。

「部活や校則など学校で起きる問題に共通するのが、『これはおかしい』とみんなが思っているのに、声が上がらない、上げられないという点です」

「部活について言えば、試合に勝つことが目標になると、顧問の権限が強くなる。暴力を目にし、おかしいと思いつつ文句を言ったら、レギュラーになれなくなるかもしれないし、いじめのターゲットになりかねない。こぼれ落ちる恐怖があるから、生徒たちはなかなか声を上げられない。そのうちに、その文化に適応してしまう現実がある」

――どうすれば、体罰は減らすことができますか。

「顧問の力が強いので、部活をまず学校から切り離す、内申書や入試から切り離すことが重要です。週3日くらいのゆとりある活動にしていく。勝利至上主義ではなく、趣味のような場にしていく必要があります。こうした動きはすでに加速していて、文部科学省は教員の働き方改革の一環で、土日の部活の指導を教員に担わせず、地域の活動とする改革案を

まとめています」

――コロナ禍で部活も大きな影響を受けました。部活はどこに向かいますか。

「今年、多くの部活動の全国大会は中止になりました。練習時間も減らされた。強制的ですが、この夏、体験したことは部活動の理想型です。代替的に行われた交流試合などにより、子どもたちは勝ちにこだわらず、スポーツや文化を楽しむことができた」

「部活は楽しく、達成感や一体感を味わうことのできる意義があります。だからこそ、体罰を含め過熱してきました。しかし、教員の働き方改革が進む中で、教育課程外の部活はそもそも縮小の方向に進んでいます。この夏、経験した『縮小』の意味を考え、部活動のあり方を見直す契機と捉えるべきなのです」(聞き手・山下周平)

うちだ・りょう 1976年、福井市生まれ。名古屋大学経済学部卒業後、児童虐待などに関心を持ち、教育学の世界へ。専門は教育社会学。柔道や組み体操などの事故についての研究で知られ、教員の働き方改革や校則など学校問題全般について発信をしている。

 

岐阜県内であった暴力・暴言の事例

・私立高校剣道部で、女性コーチが部員を平手打ち

・県立高校野球部で、男性監督が木製バットで部員の頭をたたく。「死ね」「消えろ」などの暴言も

・公立中学校剣道部で、男性顧問が耳をけがした部員に、「反対側も聞こえなくしてやろうか」と暴言

・県立高校野球部で、男性監督が部員にメガホンを投げる。「死ね」「消えろ」などの暴言も

・公立中学校ソフトテニス部で、社会人指導者の男性が部員の足をける

・県立高校の女子ハンドボール部で、男性コーチが部員3人の足をける

・県立高校の女子バスケットボール部で、男性顧問が部員にパイプ椅子を投げつける。

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2020年5月17日付毎日新聞

女子小学生バレー監督永久追放 大分県連盟 「声が小さい」と小6女児たたく

  大分県日出町の女子小学生バレーボールチームの50代男性監督が、複数のメンバーに体罰をしていた問題で、県小学生バレーボール連盟(県小連)は16日、監督を永久追放処分にすることを決めた。また体罰の隠蔽があったとして、チームに解散を勧告することも決めた。

 県小連が同日の倫理委員会で決めた。監督は同町の小学校教頭も務めており、町教委は3月、暴力行為があったとして監督を文書訓告とする処分を決定。この日の倫理委も、監督の行為が、県小連が設ける罰則規定「行政責任をとるような体罰・暴力行為」に当たるとし、処分としては最も重い永久追放が妥当と結論付けた。処分が確定すれば、監督は上部組織の日本小学生

バレーボール連盟(日小連)加盟のチームで指導できなくなる。

 また県小連は、体罰がなかったように監督と保護者が口裏を合わせる隠蔽をしたことも問題視。日小連の規定に基づき「チーム解散」にすべきだと判断し、解散を勧告することも決めた。

 関係者によると監督は2019年6月、練習中に「声が小さい」などの理由で、小学6年の女児ら3人を夜のグラウンドで10周走らせた後、平手で女児の頭をたたいた。【河慧琳】

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2020年4月15日付毎日新聞

大分の小学生バレーチーム体罰 監督の教頭を訓告処分 県と日出町教委

体罰問題が発覚した小学女子バレーボールチーム(画像の一部を加工しています)

 大分県日出町の小学女児バレーボールチームの監督を務める50代の男性教頭が、チームの小6女児に体罰をしたことが発覚した問題で、同町教育委員会がこの教頭と当時の小学校校長を文書訓告処分にしていたことが分かった。校外の社会体育活動で暴力があったと認定し、地方公務員法の「信用失墜行為」にあたると判断した。処分は3月16日付。

 関係者によると、男性監督は2019年6月、バレーボールの練習中に声が小さいなどの理由で小6女児ら3人を夜のグラウンドで走らせ、走り方が良くないとして2人の頭を平手打ちした。

 県教委に7月に情報が寄せられ、町教委が連携して調査。バレーチームが所属し、町教委が事務局を務める町スポーツ少年団は11月、体罰を認定し、監督を活動停止6カ月の処分にした。

また当初は「体罰がなかった」としていた県小学生バレーボール連盟も12月、体罰を認めて監督を同じく活動停止処分していた。

 ただ監督の教員としての立場での処分を巡っては、校外のクラブ活動中での暴力だったことから、教職員が公務中の体罰を禁止する規定が盛り込まれた学校教育法の適用外だった。

 しかし、県、町教委は男性監督の行為が、公務中の体罰と類する暴力だったとして「信用失墜行為」に当たると結論づけて訓告とした。併せて当時の校長も監督責任があるとして訓告にした。

 スポーツを巡る暴力について、県教委は「公務外の活動だが、小学生を教えており、完全なプライベートとは言えない」、町教委も「二度とこのようなことが起こらないようにする」と話した。

【石井尚】

 

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令和元年6月27日付毎日新聞

「校庭100周走れ」中学教諭を懲戒処分 千葉県教委

千葉県教委は26日、炎天下、男子生徒に校庭を100周走らせる体罰を加えたとして、柏市立中の男性教諭(32)を同日付で減給10分の1(1カ月)の懲戒処分にしたと発表した。男子生徒は途中で座り込み、熱中症の疑いと診断された。

県教委によると、男性教諭は先月25日、顧問を務めるサッカー部に所属する2年生の男子生徒に対し、前日の小テストでカンニングをした罰として「校庭を100周走れ」と指示。男子生徒は1周約400メートルの校庭を約3時間かけて75周、計30キロ近く走った時点で足がふらつき座り込んだ。この日は気温が30度前後あり、練習を見にきていた母親が男子生徒を病院に連れて行ったところ、熱中症の疑いがあると診断されたという。

県教委によると、男性教諭はほかの部員にも同様の体罰を加えていた。男性教諭は「体罰に該当する認識がなかった」と説明しているという。【秋丸生帆】

 

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