平成29年10月29日河北新報社説
いじめ過去最多/痛みに向き合い早期対応を

 全国の小中高校などが2016年度に把握したいじめが32万件を超えた。文部科学省が公表した児童生徒の問題行動・不登校調査によると、前年度より約10万件増え、過去最多を更新した。
 「けんか」や「ふざけ合い」など小さなトラブルを広く見渡すよう文科省が促したことが増加の一因だという。
 いじめの兆候を早期に見つけ、対処することは深刻な事態を招かないための鍵だ。発見の手段はアンケートが5割超。本人の申し出は約18%で、積極的に言い出せない傾向に変わりはなかった。
 学校関係者は当事者らの話を丁寧に聞いて、問題の解決に導いてほしい。
 実際、全体の約90%が解消したというが、一件一件の経過をフォローすることが欠かせない。形を変えて再発したり、見逃されたりしているいじめは少なくないはず。
 肝心なことは、数値上の成果を上げることではない。子どもたちが発するSOSのサインに大人がどうやって気付けるかだ。その感度を高めることに全力を挙げてほしい。
 東北各県も今回、全県で増加した。子ども1000人当たりで見ると宮城が77.9件で全国3位の高水準だった。
山形が5位。青森、岩手の件数は前年度に比べ激増した。
 ここ数年、いじめによる中学生の自殺が各地で相次いだことと無関係ではあるまい。原発事故で福島から他県に避難した生徒が転校先でいじめに遭うケースも表面化した。
 学校現場の危機感が高まっているのなら、増加を肯定的に捉えることもできよう。
 しかし、自殺に至った事例などでは、学校や教育委員会が、いじめ被害を認識しながら適切に対応しなかったことが、度々問題になった。
 いじめ防止対策推進法は、子どもの心身に大きな被害を与えるいじめを「重大事態」と規定。発覚次第、直ちに調査に入るよう求めている。16年度の重大事態は全国で400件と増加の傾向にある。
 仙台市青葉区で今年4月にあった中2男子の自殺では、昨年行われたアンケートで本人がいじめを訴えていたにもかかわらず、校長は当初「その都度解消した」と、いじめとの関連を認めなかった。
 その後に教諭2人に体罰を受けていたことも発覚。重大事態を見過ごした学校や市教委と遺族との信頼関係は断たれ、第三者機関による調査すらいまだに始まっていない。
 いじめ根絶は、依然厳しい道のりと言わざるを得ない。多忙な学校現場だけで全てに対応できないのは明らかだ。
地域や外部団体との連携、カウンセラーなどサポート体制の強化は不可欠であろう。
 ただ、子どもの痛みに向き合う姿勢を欠いたままでは、いくら綿密なアンケートや防止策を講じても問題は先に進まない。
保護者や地域との信頼を築く要であることを学校や行政は肝に銘じるべきだ。

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平成29年9月2日毎日新聞
自殺 夏休み明け相次ぐ 東京、埼玉で中高生3人死亡

 8月30日から9月1日にかけ、東京と埼玉で中学生や高校生計4人が首をつったり、マンションから転落するなどし、3人が死亡していたことが警察への取材で分かった。いずれも自殺の可能性が高い。子どもの自殺は夏休み明けに集中する傾向があり、専門家は注意を呼びかけている。
 8月30日朝、東京都台東区で中学2年の男子生徒(13)がマンションから転落して死亡しているのが見つかった。
渋谷区では同31日午後11時ごろ、高校1年の男子生徒(16)が自宅で倒れているのが見つかり、死亡が確認された。
警視庁は生徒が首をつって自殺したとみている。
 埼玉県所沢市でも同31日午前2時ごろ、県営住宅の敷地内で、近くに住む県立高校1年の男子生徒(16)が死亡しているのを住民が見つけた。埼玉県警は飛び降り自殺したとみている。生徒が通う高校は1日が始業式だったという。
 1日午前には、東京都八王子市の市立中学校で2年生の女子生徒が倒れているのが見つかった。4階の音楽室から飛び降りたとみられる。命に別条はなかったが、足や首の骨を折る重傷。市教委などによると、生徒は直前に友人に対人関係の悩みを打ち明けていたという。
 内閣府が2015年に公表した「自殺対策白書」によると、1972~2013年に自殺した18歳以下の子どもは計1万8048人。内閣府が分析したところ、多くの学校で新学期が始まる9月1日が131人と突出して多く、9月2日94人▽8月31日92人と9月1日前後も目立った。
 九州女子短期大の田中敏明教授(児童心理学)は「自殺や不登校は、いじめや友人関係だけでなく、成績や先生との関係など複合的な要因が多い。夏休み中は一時的に解放されるが、学校が始まると再び不安が高まる。新学期は危険な時期だからこそ、多くの人が気にかけているということを子どもに伝えることが大切」と指摘する。田中教授は対策として「担任だけでなく、養護教諭やスクールカウンセラー、部活動の顧問など複数の教員らが連携して取り組む必要がある」と語る。 【遠藤大志、野倉恵、円谷美晶、石山絵歩】
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◇子どもの相談窓口◇
チャイルドライン(0120・997777)月~土曜の午後4~9時、一部地域は日曜や深夜も相談可。6日まではウェブサイト
(http://www.childline.or.jp/)でも受け付け。
文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」(0120・0・78310)24時間対応。
いのちの電話(0570・783・556)午前10時~午後10時
こころの健康相談統一ダイヤル(0570・064・556)土・日曜は休みの地域もあり。
子どもの人権110番(0120・007110)平日午前8時半~午後5時15分

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平成29年8月29日東京新聞
いじめ疑い自殺に専門官 文科省が設置検討

 文部科学省は二十八日、学校でいじめが原因とみられる子どもの自殺などが起きた際、現地に赴き、学校や教育委員会への指導のほか、遺族対応などを担う「いじめ・自殺等対策専門官」を省内に配置する方針を決めた。教職経験者や有識者など外部人材の活用を検討し、二〇一八年度の機構定員要求に盛り込む。
 一三年施行のいじめ防止対策推進法は、いじめが原因で子どもが重大な被害を受けた場合は「重大事態」として対処するよう求めているが、最近は学校や教委の初動ミスで遺族が不信感を抱くケースが目立つ。
文科省は知識と経験が豊富な専門官を派遣することで、早期に適切な対応をとるとともに、再発防止につなげたい考えだ。
 専門官は同省でいじめ問題を担当する児童生徒課に二人程度配置することを検討。通常時は全国を回って協議会などに出席し、いじめの早期発見や予防のための研修を実施するなど普及啓発活動に取り組む。
 いじめが原因とみられる子どもの自殺が起きた際は、教委などの要請がなくても現地に入り、情報を収集。
警察など関係機関との連絡も行う予定という。
 文科省は来年度から、教員や保護者の法的な相談に乗るなど仲介役を果たす弁護士を派遣する「スクールロイヤー制度」の創設も決めており、将来的にはこうした専門家との連携を強め、対応を充実させていくことも想定している。

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平成28年11月5日 朝日新聞

有識者会議のいじめ防止提言、どう読む 尾木さんに聞く

 写真・図版

尾木直樹氏=東京都千代田区の法政大

■教育評論家・尾木直樹さんに聞く

 いじめ防止を話し合ってきた文部科学省の有識者会議が同省への提言をまとめた。今後、提言がいじめ防止対策推進法の改正につながる可能性もある。教育評論家の尾木直樹さんに、どう読み解いたらいいか聞いた。

 ――提言を読んだ感想はいかがですか。

 私の満足度は高い。最大のポイントは、教職員にはいじめの情報を学校の対策組織に報告・共有する義務があると改めて強調し、懲戒処分に言及した点だ。「罰則」については3年前、法律を作るときも議論になった。だが、当時は教育現場にはなじまない、との結論だったし、私自身も「ちょっと待て」という立場だった。

 ただ、この3年間だけでもいじめの情報が共有されず、何人もの子どもが自殺する事態を招いた。情報共有しないのは、明らかな法令違反であり、処分の対象にするべきだ。

 教職員の日常業務で、自殺予防といじめへの対応を最優先に位置づけるよう促すことが盛り込まれた点も評価したい。

 学校現場に行くと、校長先生に「いじめ対策組織の会議はどの程度機能していますか」と必ず聞き、構成メンバーも尋ねる。生徒指導の委員会と兼ねている学校が多い。そして、多くの校長は重ねて「いじめ対策組織の会議はやりたいけれど、忙しくてなかなかできない」と言う。それではいけない。いじめ対策は命にかかわるもので、職員会議や学年会議、

部活指導などより圧倒的に大事だ。月に2回とか毎週とか、定例的にやらないといけない。

 ――法に位置づけられた「いじめ対策組織」が十分認識されていないとの指摘があります。

 ある学校のPTA会長が、いじめられている子の親に相談を受けて担任の先生に伝えたのに、学校がなかなか動いてくれないとぼやいていた。そこで私が「いじめ対策組織」に頼むよう提案したら、その会長は「うちの学校にはありません」と。

学校が組織の存在を周知していない。重大な事件が起きているのは、こういう学校だ。

 提言には、いじめ対策組織の先生が朝礼であいさつするなど、組織の存在を子どもや保護者に知らせる取り組みが盛り込まれた。こんなことを3年たって書かないといけないのは恥ずかしいと思う。

 ――加害者側への指導という観点からはどうですか。

 「いじめという言葉を使わず指導する」と提言に入ったのは画期的だ。現場での長年の経験からいえば、「お前、それいじめだぞ」と言っても、ほとんどの子は認めない。本当にふざけているつもりの子が圧倒的に多い。だからいじめという言葉を使わず、相手の子のつらさを理解させることが大事だ。こんなに苦しんでるんだよ、君がされたらつらいでしょ、だからもうやめようよ、君ならできるよ、と持っていく。内容で迫り、納得して申し訳なかった、と理解できるようにするべきだ。

 一方、被害者の側には、いじめという言葉を使う。決して許されない人権侵害だよ、と言わなきゃいけない。

 ――提言には「児童生徒の主体的な参画」という要素も入りました。

 法律ができる時、参院での付帯決議に「児童等の主体的かつ積極的な参加」という文言が入ったが、衆院での決議には入らなかった。学校の主役は子どもたちなのに、いじめ防止活動に子どもが参画する、という発想が衆院には理解されなかった。子ども観が古かった。

 いじめが起きたらその日のうちにクラスの半分はわかるし、子どもの参加によってダイナミックな活動ができる。子どもの主体的な参画が盛んな京都市では、いじめを認知する割合が高い。やっと今、その重要性が理解されるようになってきたと思う。

 ――いじめ防止対策推進法を改正して盛り込むべきだと考える点はどこですか。

 いじめへの対応を最優先に位置づけたこと、情報共有、それと児童生徒の主体的な参画、の三つだと考える。

(聞き手・片山健志)

     ◇

 〈いじめ防止の提言〉 文部科学省の有識者会議がまとめた。いじめを教職員の業務の最優先事項に位置づけ、いじめの情報共有が義務であると周知▽いじめの認知件数が少ない都道府県に文科省が個別指導する▽学校の「いじめ対策組織」に外部の人材の参画を進める――などを盛り込んだ。

     ◇

 おぎ・なおき 1947年生まれ。法政大教職課程センター長・教授。東京都内の私立高、公立中教員として22年間、子どもを主役とした教育実践を展開。

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平成28年11月2日 神戸新聞社

いじめ調査/実態を把握できているか

  全国の小中高校などが2015年度に把握したいじめが、過去最高の22万4540件となったことが、文部科学省の調査で分かった。前年度から3万6468件増えた。

 兵庫県内の公立学校で確認されたいじめは6401件で、前年度の約2・7倍に上った。

 文科省は軽微ないじめも報告するよう指導している。件数の増加は、教員が積極的に把握しようとした結果とみるべきだろう。

 ただ、都道府県別の千人当たりの件数は最少と最多で約26倍差がある。4割近い学校が「1件もなかった」と回答した。兵庫でも市町でいじめの認知にばらつきがみられた。

 いじめはどこでも起こりうるが、大人からは見えにくい。早期の対応が、自殺につながるような深刻な事態を防ぐ。そうした認識が教育現場に十分に浸透していない可能性がある。本当に実態を把握できているのだろうか。

 児童生徒が心身に大きな被害を受けるなど、いじめ防止対策推進法で規定された「重大事態」は前年度より136件減ったが、298校で313件あった。いじめの問題に絡んで自殺した児童生徒は9人いた。

 大津市の男子中学生の自殺を受けて13年に施行された同法は、3年が経過し、見直しの時期を迎えている。防止のための基本方針策定や対策組織の設置などを学校に義務づけたが、その後もいじめを苦にした自殺は後を絶たない。

 文科省の有識者会議は、提言を大筋でまとめた。いじめを最優先で取り組むべき業務と位置づけ、いじめなどの解釈が学校や教員によって異なるため、具体例を示すよう求めている。「重大事態」を把握した際、学校に義務づけられている調査の方法や被害者側への説明の手続きを定めた指針を国が作成すべきとした。

 調査では、学校が認知したいじめのうち約9割が「解消した」と報告された。ただ、相手に謝罪したことで「解消」とみなしたケースもあるという。子どもたちの変化をもっと丁寧に見守る必要がある。

 端緒を教員がつかんでも、その後の対応を誤れば、子どもの命が失われかねない。教員が情報共有を徹底し、学校全体で問題意識を持つ姿勢が問われる。一方で専門教員の配置など、多忙な業務に追われる教員の負担軽減策も進めていくべきだ。

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平成28年3月4日朝日新聞

「ブラック部活顧問」改善求める署名、文科省に提出

部活動の顧問を務める中学や高校の教員が、休日返上で働いている現状を変えようと、若手教員らが2万3522人分の署名を集めた。3日、代表の本間大輔さん(34)が文部科学省を訪れ、署名と、教員が顧問をするかどうかを選べるようにすることを求める要望書を提出した。

署名は30~36歳の公立中教員ら6人が呼びかけ、インターネット上で集めた。顧問をする意思があるかを教員に毎年確認するよう文科省が各教育委員会に指示することや、文科省が導入を検討中の「部活動指導員(仮称)」を十分に確保することなどを求めた。

本間さんは取材に、「部活で時間がとられ、不登校の子に会いにいけない現状がある。

長時間拘束は大きな損失だ」と話した。

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平成28年3月3日付朝日新聞

学校での子の死亡、調査委設置明文化 文科省が指針案公表

学校での授業や登下校時に起きた事故などで、子どもが亡くなった時の対応について、文部科学省が2日、指針案を公表した。遺族の要望があれば、自治体が調査委員会を作って原因を調べることを初めてルール化した。3月中にもまとめ、都道府県などに通知する。

指針案では、水泳授業中の事故や地震、津波などの自然災害、給食アレルギーなどで幼稚園児や小中学生、高校生らが死亡したら、学校は3日以内をめどに関係する教職員から聞き取り調査する。

さらに、遺族の要望があるか、再発防止のために必要と判断すれば、市町村教育委員会といった学校の設置者が、第三者調査委を立ち上げ、原因を調べて報告書をまとめる。責任追及が目的ではないとした。

このほか、遺族と学校の連絡を取り持つコーディネーターを各教委に置く遺族支援策も盛り込まれた。

現在、事後対応は学校や自治体に委ねられている。遺族が原因や経緯を知りたい場合、訴訟を起こしたり、自治体に調査開始を働きかけたりしなければならない。文科省の調査では、2005~13年度に災害共済給付が支給された死亡や大けが403件のうち、調査委が設置されたのは2割だった。 (高浜行人)

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子ども自殺で方針「第三者機関設置し調査」

2月25日 18時05分(NHK WEB)

子どもが自殺したときの対応の在り方を検討してきた文部科学省の有識者会議は、体罰や進路の悩みなど、背景に学校生活との関係があるとみられる場合は、第三者機関を設けて詳しい調査を行うことなど方針をまとめました。
子どもの自殺を巡っては、去年、「いじめ防止対策推進法」が施行され、いじめが原因とみられる場合は第三者による調査機関を設けることなどが盛り込まれました。しかし、昨年度自殺した子ども196人のうち、いじめが背景にあるとされたのは6人で、状況が分からないケースが多いことから、いじめに限らず背景を明らかにし自殺を防いでいこうと文部科学省の有識者会議が検討を重ねてきました。
25日開かれた会議で方針がまとまり、すべてのケースで3日以内に学校が教職員から聞き取り調査を行うことや、体罰や進路の悩みなど学校生活との関係があるとみられる場合は教育委員会に第三者機関を設けて詳しく調べるとしています。
文部科学省はこの方針を掲載した手引きを作り全国の教育委員会や学校に配付することにしています。有識者会議の委員のひとり、兵庫教育大学の新井肇教授は「いじめが背景にないと分かると詳しく調べるのをやめてしまうのは良くないことで、きちんと調査し再発防止につなげて欲しい」と話していました。
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「星になった少年」の事件について調査委員会は、「当日の一連の指導以外に目立った介在事情は確認できず、指導と自死の関連性は明らか」と判断しているが、東広島市教育委員会は今だにこの事件の受け止めを公言していない
市教委は文部科学省に対し、「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」において、自殺の状況を「不明」と報告ご両親は、訂正報告を求めているが、学校・市教委は対応しないという。
児童生徒の自殺等に関する実態調査については、「自殺者等の発見の時点から、原則、おおむね1ヶ月後までに記入された調査票を速やかに、詳しい調査が行われる場合は、その結果が判明した後に速やかに提出する。」と報告期限が設けられているが、今だに報告されていない状況が続いている。

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