平成29年8月28日河北新報
青森中学生いじめ自殺1年 遺族の不信感強く
あれから1年
亡くなった男子生徒の小さい頃の写真と仏壇。今月19日には同級生らがお菓子を持って訪れた=青森県東北町
あれから1年、
いじめによる子どもの自殺に関するパネル展で、家族から葛西さんへのメッセージを読み上げる剛さん=26日、青森市

 昨年8月に青森県内で、2人の中学生がそれぞれ、いじめ被害を訴えて自殺してから1年がたった。息子、娘の一周忌を迎えた遺族は、現在も続く原因究明の調査に「今度こそは遺書の内容を読み取って」「曖昧な調査はしてほしくない」と思いを募らせる。

<10月末までに報告>
 「19日が迫ってくるのが怖かった。1年がたったけど、息子が亡くなって、もう戻ってこないという事実に変わりはない」昨年8月19日にいじめ被害を示唆する遺書のようなメモを残して自殺した東北町上北中1年の男子生徒=当時(12)=の母(50)は、一周忌をこう振り返った。
 男子生徒が自殺した翌月、町いじめ防止対策審議会による調査が始まった。12月にまとまった調査報告書では、男子生徒に対する校内でのいじめを認めたものの、自殺に至ったのはいじめのほか、小規模の小学校から人数の多い中学校へ進学したストレス、思春期の影響などの複数の要因があると結論付けた。
 納得のいかなかった遺族は今年1月、町に再調査を要請。3月に町いじめ問題再調査委員会が設置され、現在も調査報告書を再検討している。
 男子生徒の母は「本人が自殺の一番の原因はいじめだと書き残している。この一言では、駄目ですか。息子が残したメモを、遺書として扱ってほしい」と調査への思いを吐露した。再調査委は10月末までに報告書案を遺族に報告する方針だ。

<「日に日につらく」>
 昨年8月25日に自殺した青森市浪岡中2年の葛西りまさん=当時(13)=の父剛さん(39)は、今年の8月25日を普段
通り過ごした。剛さんは「特別な日にしたくなかった。今も亡くなった事実を受け入れたくないが、時間がたつと思い出す機会
が増え、日に日につらくなっている」と話す。
 自殺から4カ月後の昨年12月、市いじめ防止対策審議会は葛西さんへのいじめを認定した。今年3月に調査報告書案を
遺族へ説明したが、葛西さんが思春期特有のうつだった可能性があるとの記載について、具体的な根拠を示せなかった。
 不信感を持った遺族は翌4月、内容の一部再検討や一部委員の解任を要望した。審議会や市教委は応じなかったが、
5月末、審議会の全委員が任期満了に伴い退任。退任間際に、審議会は「(自殺には)いじめ以外の要因がないと断言できる
情報を得られなかった」として自殺が「いじめを含むさまざまな要因が関わった死」との見解を示した。
 宙に浮いた報告書案は、顔触れを一新する審議会の資料になる。新たな委員は全国規模の職能団体からの選出が決まり、
現在も選任作業が続く。剛さんは「いじめさえなかったら娘は亡くなっていないという家族の気持ちを、正面から受け止めて
もらえていない。曖昧な調査結果からは曖昧な再発防止策しか生まれない」と語った。

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平成29年8月25日朝日新聞青森版
いじめ自殺から1年、調査今も
青森いじめ自殺1
葛西りまさんの写真を見ながら話す父親の剛さん=青森市
青森いじめ自殺2
葛西りまさんが亡くなったJR北常盤駅には、りまさんの好きなバラの花束が供えられていた=藤崎町
青森いじめ自殺3
亡くなった葛西りまさん=遺族提供

 県内の中学生2人が、いずれもいじめを訴える文書を残して自殺して1年になる。第三者委員会による調査が
行われたが、認定された「背景」や「原因」に、それぞれの遺族が強く反発。やり直しの調査が今も続いている。
 青森市立中2年だった葛西りまさん(当時13)は昨年8月25日午前10時ごろ、JR奥羽線北常盤駅で電車に
はねられ死亡。スマートフォンに「もう、二度といじめたりしないでください」と書き残していた。東北町立中学1年
だった男子生徒(当時12)は同月19日午前5時半ごろ、自宅の小屋で自殺しているのが見つかった。自室には
「いじめがなければもっと生きていたのにね」と書かれたメモが残されていた。
 青森市と東北町の教育委員会は同年9月から有識者らによるいじめ防止対策審議会で、それぞれ事実関係を
調査。どちらもいじめがあったと認定した。ところが、自殺の「背景」や「原因」をめぐり、遺族との見解の相違が
あらわになった。
 りまさんの問題では3月、報告書案が自殺の背景の一つとして「思春期うつ」を挙げたことに、遺族が「根拠がない」
と強く反発。一部の委員の解任や再調査を求めた。最終報告が出されないまま、任期満了を理由に委員全員が
退任。新たな委員はまだ6人中3人しか決まっていない。
 昨年12月に答申された東北町の最終報告書は、自殺の原因について、本人の特性や思春期の心性など様々な
背景が複合的に関与していたと判断。これに対し、遺族は「(調査に)不審な点が多い」として、町長に再調査を要請
した。これが認められ、3月に町長直轄の再調査委員会が立ち上がり、関係者への聞き取りをやり直すなどしている。
■初動きちんと 子ども目線で
 大津市の中学生いじめ自殺をきっかけに、2013年いじめ防止対策推進法が成立し、学校や自治体などに客観的
な事実を明らかにする迅速で公平な調査が義務づけられた。しかし、調査方法やその内容に遺族が異議を唱える
ケースが全国で相次いでいる。
 いじめで自殺した子の遺族らでつくる川崎市のNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事の小森美登里さんに
よると、同法が定めているにもかかわらず、初動調査が遅れたり、遺族との情報共有を怠ったりする場合が多いという。
小森さんは「教育現場に法律が浸透していない」と指摘したうえで、「遺族は学校で何があったかを知りたいだけ。
初動調査がきちんとしていれば第三者委も必要ない」と話す。
 一方、13年に神奈川県内の中学生が自殺した問題で、第三者委の委員長を務めた小林正稔・神奈川県立保健
福祉大教授(コミュニティ心理学)は、遺族の希望通りでなくても、理解してもらえる調査をすることが大切だと指摘する。
「原因を明らかにすることではなく、遺族や子どもと同じ目線で考え、どういう状況だったのかを明らかにすることが、
再発防止のために最も大切なことだ」と話した。(山本知佳)
■報告案「根拠ある説明ない」葛西さん父親
 葛西りまさんが亡くなって25日で1年。父・剛さん(39)に現在の思いを聞いた。
 遺骨は、居間にある仏壇横の棚に置いたまま。剛さんは「まだ受け入れられない、認めたくないという思いがあります」
と話す。
 棚を埋め尽くすのは、ポップコーンやチョコレート、ミッフィーのぬいぐるみ、バラの花……。すべて、りまさんが好き
だったものだ。買い物に行くとつい買ってしまう。母と姉は、季節ごとにりまさん用の新しい靴や洋服を買い、今月も
紺色のワンピースを買ったばかりだ。
 いじめの調査には積極的に協力した。ただ、聞き取りの際、複数の委員のうち質問をするのは1人だけで、「真剣に
聞いてくれているようには見えなかった」。それでも、最後にはしっかりした報告書が出てくると信じていた。
 それだけに、報告書案に記されていた「思春期うつ」という言葉に衝撃を受けた。説明を求めても、納得できる根拠は
なかった。「何があったかを知りたいだけなのに、説明できないまま委員の任期は終わった。(真実とは)別の結論を
つくっているようだ」。声に力が入る。
 新しい委員もまだ半数しか決まっていない。「(調査が)いつ始まるのかもわからない。市教委には怒りしかない」

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平成29年7月19日 NHK
学校などの初動の調査で「いじめなし」が3分の1に

いじめが原因と見られる子どもの自殺は、平成25年にいじめを防ぐための法律が施行されたあとも全国で33件起きています。このうち、法律に基づいて第三者委員会が原因の調査を終えたおよそ3分の1のケースが、学校や教育委員会による初動の調査で「いじめの事実はなかった」とされていたことがNHKの取材でわかりました。
6年前、滋賀県大津市で起きた中学生のいじめ自殺では、当初、学校がいじめの事実を認めなかったことなどから、これを受けて整備されたいじめ対策推進法では、いじめによる重大な被害が起きた場合、学校や教育委員会による初動の調査でいじめの疑いがあれば第三者委員会が調査することが盛り込まれました。
文部科学省によりますと、この法律が施行された平成25年以降、いじめが原因と見られる子どもの自殺は全国で33件に上ります。このうち、第三者委員会による調査が終わった14件のうち、およそ3分の1にあたる5件で、学校や教育委員会が行った初動の調査の段階では「いじめの事実はなかった」とされていたことがNHKの取材でわかりました。
このうち、おととし7月、青森県八戸市で女子生徒が亡くなったケースでは、学校側は生徒がからかわれていた事実をアンケートで把握しながら、遺族に対していじめはなかったとしました。しかし、第三者委員会は、生徒に対する嫌がらせや無視などのいじめがあったと認め、その判断を覆しました。
生徒の母親は「娘をよく見ていたはずの学校の先生が、もっと真剣に調べてくれたらいじめの事実はわかったはずだ」と話しています。

「事実認め対応することこそが子どものために」
青森県八戸市の高校生だった大森七海は、3年前、みずから命を絶ちました。
七海さんの母親は、同級生から七海さんに対して無視や嫌がらせなどのいじめがあったのではないかと学校に申し出ました。しかし、学校側は調査の結果、いじめはなかったと説明したといいます。母親は「学校の先生たちは、子どもたちへの配慮を理由に自身を守っているのではないかと思った」と話しました。
その後、第三者委員会が行った調査で、七海さんへのいじめがあったことがわかり、最終的に自殺との因果関係も一部、認められました。母親は「学校にとっていじめがあった事実を認めて対応することこそが子どもたちのためになると思います」と話していました。

評論家・尾木直樹さん「法律が現場に浸透せず」
いじめの問題に詳しい教育評論家の尾木直樹さんは「4年前にいじめ防止対策推進法が施行されてからも、学校や教育委員会がいじめの事実を認めないことが続いているのは、法律の趣旨が理解されず、全く現場に浸透していないからだ」と批判しています。
そのうえで、「文部科学省はガイドラインを作るだけでなく、現場の教師が法律の趣旨を認識しているかチェックする必要がある。何よりも、学校で行われる調査は真相を明らかにしてほしいと願う遺族のためにあるのだということをしっかりと心にとめてほしい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170719/k10011064511000.html

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平成29年5月29日河北新報
<青森中2自殺>いじめ以外も要因 市審議会見解

青森市浪岡中2年の葛西りまさん=当時(13)=が昨年8月にいじめ被害を訴えて自殺した問題で、
市いじめ防止対策審議会は28日、「いじめを含むさまざまな要因が関わった死」との見解を示した。
審議会委員は今月末の任期満了に伴い退任し、新委員が調査を引き継ぐ。現委員が作成した報告書案の扱いは未定。
審議会は葛西さんの自殺に影響したいじめが、1年の夏から2年の初夏にかけて4件あったと判断。
一方で「いじめ以外の要因がないと断言できる情報などは得られなかった」とした。
記者会見した櫛引素夫会長(青森大教授)は「事実関係の調査は一定の水準で、中立性も問題ない。
一日も早い答申を目指していたので残念だ」と語った。
審議会は3月26日、報告書案を遺族に説明。遺族側は「納得できない」として一部の委員解任などを求める要望書を出した。市教委は応じないと回答したが、今月23日に全委員が月末で退任し、信頼性・中立性を高めるため、後任を県外から選ぶと明らかにした。

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平成29年5月29日NHK
青森 女子中学生自殺 報告書最終案「背景にいじめ」

去年、青森市の女子中学生がいじめを苦に自殺したと見られる問題で、市の教育委員会が設置した審議会は28日、記者会見を開き、自殺といじめの因果関係について「直接的な引き金が何かは判断できないが、自殺の背景にいじめが関わっていた」とする報告書の最終案を明らかにしました。
青森市の中学2年生だった葛西りまさん(当時13)は去年8月、列車にはねられて死亡し、スマートフォンにはいじめの被害を訴えるメモが残されていました。
青森市教育委員会は、いじめを苦に自殺したと見て、専門家による審議会を設け調査を進めてきましたが、審議会が先月、「いじめとの因果関係は解明できない」などとする見解を示したのに対し、遺族から反発の声が上がるなどし、調査が継続されることが決まっていました。
現在の審議会の委員は今月末で任期が切れるため、それに先立って28日、記者会見を開きました。
この中で、審議会の会長を務めてきた青森大学の櫛引素夫教授は、葛西さんへのいじめが4件確認された
としたうえで、「直接的な引き金が何かは判断できないが、自殺の背景にいじめが関わっていた」とする報告書の最終案を明らかにしました。
一方で、遺族側が納得できないとしていた「葛西さんは思春期に特有のうつ症状だった」とするこれまでの審議会の見解については、「最終案の中で根拠を示したつもりだ」と述べるにとどまりました。
審議会は、来月以降も新たな委員のもとで調査を続け、報告書をまとめることにしています。
会見で櫛引会長は「新しい委員たちにはより正確な報告書を完成してもらいたい」と話しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170529/k10010998421000.html

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平成29年5月24日NHK青森放送局

中学生自殺 新委員で調査継続へ

  青森市の教育委員会は、去年8月に青森市の中学生が自殺したことと、いじめの因果関係について、来月以降、新たな委員で構成される審議会で、調査を継続することを決めました。
去年8月、青森市の中学2年生だった葛西りまさん(当時13)はスマートフォンにいじめの被害を訴えるメモを残して自殺しました。
調査にあたった青森市の教育委員会に委任された審議会は、先月、「いじめとの因果関係は解明できない」「葛西さんは思春期うつだった」などとする見解をまとめました。
これに対し、遺族側は、「具体的な根拠もなく、思春期うつだと、ゆがんだ事実認定を行うなど、看過し得ない問題が含まれている」として、審議会の委員のうち2人の解任などを求めていました。
こうしたなか青森市の教育委員会は、「委員としての適格性を欠いているとは認められない」として2人の委員を解任しないことを決めた上で、今月いっぱいで審議会の現在の委員の任期が切れたあと、新たな委員を県外から選定し、来月以降、新たな委員で構成される審議会で、調査を継続することを決めました。
青森市教育委員会の成田一二三教育長は「審議会の第三者性を高めて遺族の信頼を得た上で、できるだけ早く報告書を提出したい」としています。
また、葛西さんの父親は「解任の要望が認められず、残念です。調査をしてきた委員全員が交代することも不安です」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/6083633511.html

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平成29年4月24日朝日新聞青森版

「一部委員、独自の自殺論」 青森いじめ、遺族が要望書

 

 青森市立中学2年の葛西りまさん(当時13)が昨年8月に自殺した問題で、市教育委員会への答申を前に、遺族側が再調査や一部委員の解任などを求める要望書を出した。代理人弁護士を通じ、市教委と市いじめ防止対策審議会に対し、ファクスで提出した。

 要望書の提出は23日。要望書では、一部の委員が一般的に子どもの自殺の原因はいじめではなく「うつ」にあるという「独自の自殺論を持っている」と指摘。この自殺論に基づいて、りまさんの自殺の一因を「思春期うつ」と判断していると訴えている。また、判断の根拠の説明を求めても納得のいくものではなかったことから、担当したと思われる委員2人の解任と、関わった部分の変更や削除を求めた。

 さらに、報告書では学校のいじめに対する意識の低さや対応の不適切さと、自殺の因果関係の解明が不足していると主張。いじめに詳しい専門家を審議会の委員に選任し、再調査するよう要望した。

 審議会は11日、市教委への答申を前に遺族に報告書の内容を説明していた。この問題では20日、小野寺晃彦市長が、遺族からの要望書の提出を待たずに、市教委に委員の交代や再調査を要請する方針を示していた。 (山本知佳)

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平成29年3月23日NHK青森放送局

いじめ初動調査 体制確立要望

 いじめを苦に自殺したとみられる青森市の女子中学生の父親などが文部科学省を訪れ、深刻ないじめが起きた場合に、直後に情報を集める「初動調査」の体制を確立させることなどを要望しました。
文部科学省を訪れたのは、去年8月に列車にはねられて死亡した青森市の中学2年生、葛西りまさんの
父親の剛さんと、いじめの被害者などを支援しているNPO法人のメンバーです。
要望書のなかで、学校で深刻ないじめが起きた場合に、直後に広く情報を集めて調査しなければ真実が
明らかにならないとして、学校での初動調査の体制を確立させ、その情報を被害者と共有することや、調査委員会は利害関係のないほかの都道府県のメンバーで構成することなどを求めています。
父親の剛さんは、「情報共有がしっかりなされておらず、事実関係がまったく知らされていない。遺族は
苦しめられ、ただ待たされている気持ちになる」と話していました。
また、NPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の小森美登里さんは「第三者調査委員会が立ち上がる
前に学校がきっちり調査しているかを文部科学省が監視するべきだ」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/6084943351.html

 

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平成28年28年12月26日 東京新聞

 

葛西りまさんのスマートフォンに残されていた、LINEの書き込み。仲間はずれにされたことがうかがえる=画像の一部を加工しています、遺族提供
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インターネットを通じた悪口に苦しんだことを訴え、青森市立浪岡中二年の葛西りまさん(13)が自殺した問題で、

青森県警が二十日に書き込みなどをした生徒数人を児童相談所に通告した。ネットでの中傷で通告するのは異例で、

学校現場には動揺が広がる。遺族は対応を評価する一方、詳しい通告内容を知ることができず不満を残した。

「ネットで人を傷つけてはいけません。悩み事があれば相談してほしい」。二十一日、浪岡中の全校集会で、

生徒指導担当の男性教諭が約四百三十人の生徒に語り掛けた。

りまさんが自殺した八月以降、学校は教室に追悼スペースを設け、生徒らは菓子や、折り紙で作った花を供えている。

だが同級生(13)は校内の様子を「先生は話題に出さない。生徒にも話してはいけない雰囲気がある」と打ち明ける。

ネット上には加害者とされる生徒の実名や顔写真、住所などが次々と投稿された。県警が「生徒の特定を防ぐ」として、

通告した人数や性別を明かさなかったため、誰が対象なのか臆測も飛び交う。市はサイト管理者らに五千件超の削除を

依頼、対応に追われた。

県警はりまさんのスマートフォンを調べ、生徒が無料通信アプリLINE(ライン)で「きもい」「死ね」などと書き込んだことを

確認。侮辱などに当たると認定した上で「児童福祉司の指導を求める」との意見を付けて通告した。

警察庁のまとめでは、少年によるネットいじめのうち、警察が介入したのは二〇一三~一五年で計七十一件。大半は、

被害者の服を脱がせた画像を拡散させるなど児童買春・ポルノ禁止法違反に当たる事案で、言葉の暴力はわずかだ。

今回の通告について、りまさんの父剛さん(38)は「言葉の暴力を甘くみてはいけないという教訓になった」と評価。

だが「生徒の名前や詳しい通告内容は教えられないと言われた」と悔しさをにじませた。

元家裁調査官の佐々木光郎氏は「いじめは被害者も加害者もつらい思いをする。社会全体で子供に言動を制御する

能力を身に付けさせることが大切だ」と語った。

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12月25日付東奥日報社説

 青森南署と県警少年課が、いじめを訴えて自殺した青森市の浪岡中学校2年の女子生徒を無料通信アプリLINE(ライン)上などで中傷したとして女子生徒10人弱を侮辱や名誉毀損の疑いで児童相談所(児相)に通告した。

警察は異例を避ける。司法権乱用になりかねないからだ。通告という法的手続きに踏み切ったのはよほどの覚悟の末だろう。教育現場には戸惑い、反発もあろうが、過度な司法介入を招かないためにも、児相通告は、いじめ対策強化を促す叱咤と捉えたい。

 今年は、陰惨ないじめ問題が、本県を含め全国で噴出した。福島第1原発事故で横浜市に自主避難した中学1の男子生徒がいじめを受けていた件では、金銭を要求されたトラブルについて神奈川県警が学校に直接情報を提供したにもかかわらず、学校も市教委も放置していた。

 生徒本人が身体的な暴力被害を訴えてもいた。いじめ防止対策推進法が施行されて3年。「重大事態」を過小評価し、向き合おうとしない、事なかれ主義が教育現場になお根強いことをうかがわせる。

 まして言葉の暴力は、軽く見られがちなことは容易に想像がつく。専門家は本紙取材に、いじめる側の多くが「遊びの延長」の感覚だと指摘している。まずは、遊びどころか、心身を破壊する悪質な行為だと認識を改める必要がある。

警察の通告は、それを求めるメッセージでもあろう。犯罪の可能性があるなら、学校、教委も放置はできまい。

 いじめが起きると「いじめられた方にも原因はある。いじめたからといって、その子たちの教育を受ける権利、将来の芽を奪っていいのか」という声が、教職員や保護者から決まって出る。それは筋違いだと、今回の警察の児相通告は明示した。

違法行為の加害者も守れと言うなら、被害者の命・人権がもっと守られるべきなのは当然だ。学校、先生が味方になってくれないことが、いじめ被害者を絶望に陥れ、死に追いやる。その根っこを改めよ、とも警察は促しているのだろう。

 もちろん、学校だけに責任を押しつけるのでは改善はおぼつかない。本県はネットいじめを防ぐ啓蒙活動が遅れていることも指摘されている。法律や児童福祉の専門家を総動員し、いじめの現状、原因を把握し、解決に結びつける第三者委員会的なシステムを県内に構築すべきだ。

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