平成30年9月7日朝日新聞西部本社版

高校男子バレー部員、父「顧問指導で自殺」 校長は関連否定 岩手

岩手県の県立高校3年の男子生徒(当時17)が7月、自宅で自殺した。生徒は男性教諭(41)が顧問を務めるバレーボール部に所属。部活の悩みなどを記したメモを残しており、父親は「顧問の指導が自殺につながった」と主張している。

男子生徒は7月3日朝、自室で亡くなっているのを家族が見つけた。自室に残されたメモには「ミスをしたら一番怒られ、必要ないと、使えないと言われました」などと記されていた。

県教委が部員に聞き取ったところ、顧問がボールを男子生徒の顔面付近にあてたり「そんなんだから、いつまでも小学生だ」と発言したりしていたといい、遺族は顧問の指導が自殺につながったと主張している。

顧問も一部行為については認めているが、指導の行き過ぎを否定。高校の校長は「将来への不安が自殺につながったと思う」と述べ、自殺との関連を否定している。県教委は第三者委員会を設置し、調査する方針。

この顧問は前任の高校のバレーボール部で過剰な指導があったとして、元部員が顧問や県を提訴。盛岡地裁は一部で不法行為があったと認め、慰謝料などの支払いを命じた。訴訟は仙台高裁で係争中。(加茂謙吾)

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平成30年8月17日毎日新聞

鳥栖 中1いじめ、謝罪の市 提訴で態度一変「知らない」

鳥栖中1いじめ1

弁論準備手続きの後、佐賀地裁近くの公園であった支援者との集まりで弁護団の説明を聞く原告の男性(中央)=佐賀市で2018年7月18日、森園道子撮影

鳥栖中1いじめ2

弁護団や支援者との集まりで、心境を語る原告の男性=佐賀市で2018年7月18日、森園道子撮影

 

市は記者会見で「犯罪に等しい」いじめと認めたが…

佐賀県鳥栖市立中で6年前、当時1年の男性(19)が同級生十数人から約7カ月にわたって殴る、蹴る、エアガンで撃たれるなどの暴行を受け、多額の金を恐喝された。市教委は記者会見で「犯罪に等しい」といじめを認め謝罪したが、男性が学校の責任を問う訴訟を起こすと態度を一変させた。校長が「エアガンの威力は小さい」とする報告書を提出するなど責任回避の姿勢を強め、今も重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ男性はさらに傷つけられている。【樋口岳大】

殴られる、蹴られる、首を絞められる、プロレスの技をかけられる、エアガンで撃たれる、殺虫剤を顔に吹き付けられる--。男性によると、激しいいじめは2012年春の入学直後から始まった。カッターナイフや包丁を突き付けられたり、のこぎりで切られそうになったりしたこともあった。

毎日のように金も恐喝された。お年玉や入学祝いなど自分の貯金が底を突くと、当時脳梗塞で入院していた母(48)が医療費のため自宅に置いていた金なども持ち出すしかなく、男性は被害は約100万円に上ると主張する。

暴行を受け続けるうち「いじめが学校にばれたら、加害者から自分も家族も殺される」という強い恐怖を覚えるようになった男性は被害を周囲に言えず、プール授業を休むなどして学校にも家族にも体の傷を隠した。同年10月にいじめが発覚後、体のあちこちにできた赤黒い内出血痕や傷を見た母は絶句した。

いじめ発覚後、男性は重度のPTSDと診断され、登校できなくなった。県警は捜査に乗り出し、同級生数人を児童相談所に通告した。

鳥栖中1いじめ3

同級生から繰り返し受けた暴行であざができた男性の左ひざ。いじめが発覚した2日後の2012年10月25日に撮影された。男性は体のあちこちにこうした傷ができていた=家族提供

「重大ないじめと言っているが、犯罪に等しいだろうと思っている」。鳥栖市の天野昌明教育長は13年3月に開いた記者会見で陳謝した。

市教委は会見で、男性が同級生十数人からたたかれたり蹴られたり、エアガンや改造銃で撃たれたりしたうえ、数十万円を恐喝されたと説明。学校の保護者や市議会にも同様の説明をし、同5月号の市報には「今回、市内中学生による深刻ないじめ事案が発生し、市民の皆様に大きな衝撃を与え、ご心配をおかけしたことをおわび申し上げます」と記載した。

男性と家族は「これから前を向いて生きるためには、残忍な暴力と、学校が対応を誤った事実を明らかにする必要がある」として、15年2月、同級生8人とその保護者、市に計約1億2700万円の損害賠償を求め、佐賀地裁に提訴した。すると、市は態度を一変させた。ほとんどの暴行を否定する同級生の言い分に沿う形で、「犯罪に等しい」行為とまで断じたいじめを「知らない」と主張するようになった。

市が裁判に証拠として提出した当時の校長作成による16年3月の「報告書」が、市側の保身姿勢を際立たせている。

報告書には、校長室で校長自ら市の代理人弁護士にエアガンを向けて撃つ「実験」写真を載せ、校長は「弁護士によればビリッと感じたが、痛いというほどではないということだった」と書いた。さらに「メーカーなどでは、いわば『おもちゃ』なのだから、危険性がないように工夫されている」と記載。市はこの報告書を基に訴訟で「威力は小さい」と主張している。

エアガンについて、メーカー側は「弾が目に入ると最悪失明する恐れがある」と警鐘を鳴らし、「人に銃口を向けてはいけない」としている。男性側代理人の渡部吉泰弁護士は「男性はエアガンで繰り返し撃たれて負傷し、脅迫されていた。それを校長が『撃っても威力が弱い』などと主張するのは、訴訟の中でとはいえ、異様だ」と指摘する。

鳥栖中1いじめ4

男性へのいじめ問題を受け、「加害生徒を別室登校させる」などと発表する佐賀県鳥栖市の天野昌明教育長(中央)ら=2013年4月5日、上田泰嗣撮影

市はかつていじめを認めた理由について、訴訟の中で「当時は多額の現金が脅し取られたことや、激しい暴行があったことを加害生徒に認めさせようとする(男性の)母親らの要請が厳しく、学校や市教委はそれに従う形で対応せざるを得なかった」と説明している。その後、訴訟で認めなくなった理由について、市教委は取材に「事実関係は被告生徒らの認否や陳述書などで明らかになった点も多い」などと回答した。

男性は「改造して威力を増したエアガンや電動エアガンでも撃たれた。皮がむけた傷が多数でき、傷痕がクレーターのようになった。撃たれた後は、体の芯の部分からの痛みが続いた。

風呂に入る時は激痛を感じた」と証言し、「市がいじめを『なかったこと』にし、責任逃れをしようとしている。ボロボロになった自分を更に追い詰めるのか」と憤る。

男性は20日から始まる尋問で初めて証言台に立ち、被害体験や心境を語る。「当時を思い出すと身も心も壊れそうになる。でも、大きな壁を乗り越えられるよう、頑張りたい」と打ち明けた。

いじめで重度のPTSDと診断 6年後の今も苦しみの日々

7月下旬の夜、男性(19)は佐賀県鳥栖市の自宅の部屋の隅にうずくまり、ガタガタと震えていた。「ごめんなさい。(金を)持って来ますから」「ごめんなさい」。両手で抱えた膝に顔をうずめ、うわ言のように繰り返す。家族の呼びかけは耳に入らず、汗も止まらない。市立中1年のころに激しいいじめを受け心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された男性は、6年たった今も、頻繁によみがえる当時の記憶に苦しめられている。

「毎日毎日、拷問を受けるうちに人格が壊され、暴力を受けても痛みを感じなくなった。生きている感覚が薄れていき、やがて『死んでもいい』と考えるようになった」と男性は語る。

2012年10月にいじめが発覚し、PTSDと診断されて中学に登校できなくなった。その後も暴力を受け続けている感覚が体から抜けず、繰り返しいじめの記憶がフラッシュバックした。

苦しみのあまり何度も命を絶とうとし、家族はひとときも目を離せなくなった。

鳥栖中1いじめ5

被害者の男性が両親に書いた手紙=2018年8月13日、森園道子撮影

15年4月、暴力を振るった同級生たちとは別の高校に進学したが、フラッシュバックはなくならなかった。入学直後に5階の教室から飛び降りようとしたため、教師がすべての窓を開けられないように固定した。高校の校長は「卒業後の進路の話をしても、『その頃、僕はおるかわからんけんねえ』と話していた。いつも目が離せなかった」と振り返る。

「正直、死にたくなんかないけど、家にいる時も、外にいる時も、昔のことを思い出してどうしようもありません。毎日が死にたい、死にたいとそればかり考えてしまいます(中略)大人になって父さん、母さん、妹を支えていくつもりですが、その代わりに僕が死なないように守ってくれませんか?」

2年前の夏、県警などがいじめ被害者らを支援する集まりに通っていた時に両親に宛てた手紙には、そう記した。

外を通る自転車の音、街で見かけた制服姿の中学生、偶然通りかかったいじめの現場となったグラウンド……。こうしたものがきっかけになり、今も頻繁にフラッシュバックは起きる。

いじめられていた時の記憶が映像となって頭の中を流れ出すと止まらなくなる。

この6年、精神科で男性の診療を続ける医師は「同級生から逃げ場がなく強い支配を受けたことによる重度のPTSDで、家族らの支えで何とか生きている状態だ」と言う。さらに、男性が鳥栖市などに損害賠償を求めた訴訟で、いじめを「知らない」と主張している市の姿勢について、「『大人に裏切られた』という男性の不信を上塗りし、回復を遅らせている」と批判した。

男性の支援を続ける「全国学校事故・事件を語る会」代表世話人の内海千春さん(59)=兵庫県たつの市=も「いじめの事実を認めない市の姿勢は、苦しみながら何とか生きようとあえいでいる男性への加害行為だ。被害者救済の視点が完全に抜け落ちている。行政は自らの調査で把握した事実は事実として認めるべきだ」と語った。

東京成徳大の石村郁夫准教授(臨床心理学)らは16年、大学生268人を対象にしたいじめに関する調査結果を発表した。それによると、95人が主に小中学校時代にいじめの被害を受け、このうち39%(37人)がPTSDの基準を満たしていた。

石村准教授は「いじめが一過性のものではなく、被害者を長期間苦しめることが改めて確認された。被害者には長期的なケアが必要だ」と指摘。そのうえで「いじめられた記憶自体はなくならないが、そのつらさを周囲に理解されることが生きていく糧になる。逆に学校や教育委員会がいじめを隠蔽して非を認めなければ、症状を悪化させる」と警告する。

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平成30年6月8日付毎日新聞

葛飾・中3自殺 区長「いじめに該当」 第三者委報告覆す

 いじめが「自死への衝動に影響、可能性は否定できない」とも

東京都葛飾区立新宿(にいじゅく)中3年の男子生徒(当時)が2014年4月に自殺した問題で、青木克徳区長は7日、区の見解を公表し、ジャージーを下ろそうとされたなどの行為は、いじめ防止対策推進法に定義されたいじめに該当すると結論づけた。「いじめと認められない」とした第三者委員会の報告書を覆した形だ。青木区長はさらに、いじめが「自死への衝動に影響を与えた可能性は否定できない」とも踏み込んだ。【川村咲平、福沢光一】

いじめの定義について、いじめ防止対策推進法は「心理的、物理的な影響を与える行為で、対象となった児童らが心身の苦痛を感じているもの」と定義する。しかし第三者委は、法律ではなく「社会通念上、いじめと評価できる行為」を基に判断。他の生徒が男子生徒に霧吹きで水をかけたり、ジャージーを下ろそうとしたりした行為は「いじめと認められない」と答申した。

青木区長は同日開いた記者会見で、第三者委の報告書を「率直に受け止める」とする一方「区の責任として問題を考えた場合、いじめの定義は法律に照らして広く捉える必要がある」と指摘。「小さなきっかけをいじめと認識し、速やかに発見して適切に対応すべきだ、という区の強い思いを反映した」と説明した。

区によると、3月に報告書が発表された後、内容に関して区に数十件の問い合わせがあり、大部分は「いじめと認定すべきではないか」という意見だったという。

青木区長が公表した見解には、今後の対応策も盛り込まれた。「心身の苦痛を感じる行為はいじめで、重大な結果につながる可能性がある」との認識に立ち、児童や生徒に命の大切さや思いやりについて繰り返し指導することを明記。区長や教育委員会で構成する総合教育会議で、生徒の心身の安全に配慮した指導体制などを検討し、再発防止に取り組むとしている。

男子生徒の自殺をめぐっては、区教委が当初、遺族などに「事故死」との認識を示し、不服申し立てを受けて再調査を始めた経緯がある。青木区長は「初動で十分に対応できなかったことは反省している」と陳謝。「区としての結論(見解)を出したことは前進で、再発防止に努力したい」と述べた。

教育評論家の尾木直樹さんの話 区が「いじめ」と認めたことを評価する。第三者委の「社会通念上、いじめではない」という答申を排除し、いじめ防止対策推進法に基づき認定した。

第三者委は批判されるべきだ。いじめと自殺の因果関係を「可能性は否定できない」と結論付けたのは半歩前進。ただ、いじめと自殺の因果関係を認定することは非常に難しい。

 

葛飾区の中3自殺「いじめ」調査の経緯

2014年 4月 9日 区立新宿中3年の男子生徒が部活動のペア決めがうまくいかず黙り込み、他の部員にジャージーを下ろそうとされたり、霧吹きで水をかけられたりした。

男子生徒は学校を出て自殺した

14年 6月 4日 生徒の両親から、部員らへの聞き取り調査を求める要請文が学校に届く

14年12月 1日 区教委に「学校の調査が不十分」として再調査を求める要請文が両親から届く

14年12月15日 区教委が両親に「再調査の予定はなく、いじめを起因とした事案ではない」とする文書を送付

15年 2月 4日 両親の代理人弁護士が区教委に再調査を求める文書を送付

15年 2月13日 区教委が「いじめ・不登校対策検討委」を設置すると弁護士に返答

15年 3月18日 検討委は「継続的ないじめはなく、遺書等もないため、生徒たちの行為と死亡について因果関係があるかどうかは、ないと言わざるを得ない」と結論

15年 9月16日 弁護士が再調査を求める文書を青木克徳区長に送付

15年11月 6日 区教委が見解を改め「いじめと評価しうる行為」とした文書を弁護士に送付

16年 3月28日 区が第三者委員会を設置

18年 3月28日 第三者委員会は「遊びの範囲内で社会通念上のいじめに当たらない」とする報告書を青木区長に答申

18年 6月 7日 青木区長が答申を覆し、一連の行為を「いじめに該当する」とした区の見解を公表。自殺への衝動に影響を与えた可能性も「否定できない」とした

 

「いじめに該当、正しい判断」自殺男子生徒の遺族がコメント

自殺した男子生徒の遺族は7日、コメント文を発表した。他の生徒から受けた一連の行為を、区が「いじめに該当する」と結論づけたことに「正しい判断をしていただけた」と一定の評価を示した。

一方で、いじめが自殺に影響を与えたかどうかについて、区が「可能性は否定できない」と判断したことに、「影響があったと明確に判断されなかった点は、大変残念に思う。

大きく影響したと考えている」という思いを表した。

第三者委員会が3月「いじめによる自死とは認められない」とする報告書を答申した際、遺族は「思いもよらない内容で、到底納得することができない」として、報告書の再考を求めていた。

この日取材に応じた遺族側代理人の弁護士は、遺族が現在、第三者委がどのような検討を重ねたのかを検証していると明らかにした。ただ、遺族はコメント文の中で「いまだはっきりしないことも多々あるが、長い時間の経過を考えると、これ以上の調査は難しいものと受け止めている」とも記している。

弁護士は「静かな生活を送りたいと望む一方で、何があったのか知りたいとも考え、葛藤し続けてきた」と遺族の心境を代弁し、法的措置を含む今後の対応について「具体的に考えていることはない」と述べた。

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平成30年7月24日神戸新聞

宝塚・女子中生転落死 いじめ防止対策委が市に答申

宝塚市中2女子

宝塚市役所=宝塚市東洋町

兵庫県宝塚市内のマンションで2016年12月、市立中学校2年の女子生徒=当時(14)=が転落死した事案を調査してきた第三者委員会「市いじめ防止対策委員会」(会長=石田真美弁護士)は23日、調査結果報告書を森恵実子教育長に答申した。同市教育委員会は今後、遺族に内容を説明した上で「公表するかどうかを総合的に判断する」とした。

弁護士や臨床心理士、大学教授らで構成する第三者委は16年12月から事実関係などを調査し、計44回の審議を重ねた。当初は昨年11月をめどに結果を示すとしたが、大幅にずれ込んだ。

答申までに約1年7カ月を要した理由について、石田会長は「委員にそれぞれ専門分野があり、かなり議論があった」と委員間で意見の相違があったことをにじませた。

答申を受けた森教育長は「痛ましい出来事を二度と繰り返さないよう、学校現場、教育委員会一丸となって再発防止に取り組む」とコメントした。市教委は今後、文部科学省のガイドラインに沿って遺族との協議や市長への報告などを行う。(中島摩子)

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平成30年7月20日神戸新聞

神戸・中3自殺 市教委、隠蔽を中学の保護者会で謝罪

垂水中2自殺

神戸市垂水区で2016年10月、中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺し、いじめを証言した同級生らへの聞き取りメモが隠蔽された問題で、女子生徒が通っていた市立中学校で19日、保護者説明会が開かれた。市教育委員会が設置した第三者委員会の調査結果などが報告され、参加者からは「なぜ女子生徒が亡くなったのか釈然としない。学校で何があったのか、きちんと明らかにしてほしい」などの声が上がった。(井上 駿、広畑千春)

保護者向けの説明会は、女子生徒が亡くなった約10日後に行われた後はなかったといい、PTA会長らが市教委に要望し、この日の開催に至った。非公開で約1時間半あり、卒業生・在校生の保護者ら約250人が参加した。

冒頭、後藤徹也教育次長が、保護者への説明が遅れ、さらにこの問題で学校教育への信頼を損ねたことに対し謝罪。市教委によると、いじめを含む複合要因により女子生徒が自殺したという第三者委の見解▽市教委の首席指導主事によるメモ隠蔽の指示▽市こども家庭局の再調査への移行-などを説明したという。

第三者委の報告書は信頼性が失われ、再調査も決まっているため詳細は明らかにしなかった。保護者からは「再調査の結果を報告してほしい」という要望や、うわさの流布などによる生徒への負担を懸念する声もあったという。子どもが女子生徒と同学年だったという母親は「隠蔽問題の話が多く、2年近くたっているのにいじめについてほとんど説明がなかった。

処分を含め、市教委や学校は誠実に対応してほしい」と話した。

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平成30年7月19日毎日新聞

救急要請遅れか マニュアル具体的指示なし

梅坪小1熱中症1

梅坪小1年男児の死亡について会見する豊田市教委の鈴木直樹・学校教育課長(左)と藪下隆・梅坪坪小校長=豊田市役所で2018年7月18日午後5時25分、中島幸男撮影

梅坪小1熱中症2

ほとんど日陰のない和合公園=愛知県豊田市京町で2018年7月18日午後1時29分、中島幸男撮影

梅坪小1熱中症3

愛知県豊田市立梅坪小1年生の男児(6)が17日に校外学習後、熱射病で死亡した。同市では18日も最高気温39.7度と連日の猛暑が続く。授業中の痛ましい事故はなぜ防げなかったのか、再び悲劇を繰り返さないための対策は。【中島幸男、岡村恵子、三浦研吾】

「大事な命を守れず本当に申し訳ありません」。一夜明けた18日朝、体育館で全校児童約730人を前に籔下隆校長が謝罪した。

男児は学校へ戻ると風通しの良い教室の一角で休んだが、体調が急速に悪化、20分後に意識を失った。119番し病院へ向かったのはその20分後だった。市教委は「養護教諭を教室に呼んで対処したり、AED(自動体外式除細動器)で救命措置をしたりしており、搬送までにロスした時間はない」と説明する。

しかし、日本救急医学会の対処法では、軽症の「1度」でも改善しなければすぐ病院へ搬送を求める。一方、市教委が5月に各校に配布したマニュアルには「適切な処理を行う」とあるだけで、どんな症状なら急いで119番すべきかなど具体的な指示はない。県教委によると、初任者研修のほか熱中症を扱う教員研修はないという。

熱中症に詳しい三宅康史・帝京大病院高度救命救急センター長は「そもそも帰り道で男児が『疲れた』と言った段階で歩かせるのをやめるべきだった」と指摘。「子どもは暑い場所に長くいるのはよくない。単に日陰でなく冷房のきいた場所で『質のいい休憩』が必要で、車を同伴し体調が悪くなったら乗せるなど安全への工夫が不可欠だ」と求めた。

県内の小中学校のエアコン設置率(昨年4月)は27.8%と、香川県92.3%や東京都84.5%より少ない。太田稔彦市長は2021年までにエアコンを全校に新設する計画の前倒しを表明した。

 

市長「対策不十分だった」

校外学習をした和合公園は約1万1000平方メートルと広く、あずまや2棟のほか強い日差しを遮る樹木はほとんどない。18日昼も耐えがたい暑さで人影はなかった。

太田市長は18日の定例会見で「対策が不十分だった。中止の判断もあり得た」と陳謝した。県教委も同日、県内の公立校に対し「熱中症が危惧される場合は行事の縮小・中止も検討を」と再発防止策の徹底を通知したが、中止の判断基準は示していない。

熱中症の研究に取り組む国立環境研究所の小野雅司・客員研究員(環境疫学)は事故の当時、5日連続で愛知県内に高温注意情報が出ていたことに注目。「暑い日が続くことで体に疲れが蓄積しており、明らかに危険な状況だ」と指摘する。さらに、今の生活様式が続く限り、地球温暖化で熱中症の患者は今後増えると強調。学校や公共機関などは天気予報だけでなく、熱中症の危険度を知るため、環境省が明後日までの各地の予測値を公表している「暑さ指数」を見て、指針に従うことが必要だと訴えた。

 

暑い中なぜ…保護者説明会

豊田市立梅坪小では18日夜、保護者への説明会が開かれた。約400人が参加して2時間続き、十数人から発言があったという。6年生の父親は「校長は判断ミスだと謝罪した。

泣いている保護者も多く、私はただ悔しい気持ち」と話した。

後半は保護者から今後の対策や対応についての質問が集中したといい、別の児童の父親は「なぜこんな暑いのに外に出したのかという厳しい意見も出て、私も同じ気持ちだ。しかし、学校が今後、親から集めた意見を取り入れて対策を取ると示したので期待したい」と苦渋の胸の内を明かした。

終了後、籔下校長は報道陣を前に今後の対策を説明した。学校としての熱中症マニュアル作成▽「暑さ指数」に基づく「熱中症メーター」を校内6カ所に設置▽授業中に水分補給の時間を設ける▽塩分補給タブレットや保冷剤入りのクーラーボックスを用意する--などの内容。学校行事の中止や延期などの見直しも進めるとし、まずは来週開かれる予定だった市内6小学校の合同スポーツ大会が中止になったと話した。籔下校長は事故当日の対応について「別のやり方があったはずだ」と述べ、学校の責任に言及した。【黒尾透】

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平成30年7月19日付神戸新聞

神戸・中3自殺 生徒アンケに「いじめ」文言なし

神戸市垂水区で2016年10月、市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺し、いじめを証言した同級生らの聞き取りメモが隠蔽された問題で、学校側が生徒に実施したアンケート調査の質問に「いじめ」という文言が入っていなかったことが18日、同市教育委員会などへの取材で分かった。遺族の代理人弁護士は「いじめの情報を把握しながら、それを前提としないアンケートで不十分」と指摘している。

アンケートは、同級生らへの聞き取りの約1週間後に文部科学省の指針に基づき、在校生に実施した。市教委は女子生徒がいじめを受けていた可能性を明示せず、女子生徒の様子を尋ねたという。一方、同時期に発足した加古川市の第三者委では、第三者委がアンケートを作成し、いじめの有無を明確に尋ねる内容になっていた。

神戸市教委によると、アンケートでは、いじめられていたことを示す回答が含まれていたが、代理人は質問の趣旨にいじめが明示されていれば、より具体的な情報が多く得られたなどとしている。

市教委は「アンケートは文科省の指針にのっとり、有識者にも意見を聞いて実施した。対応が適切だったかどうかは、市の再調査委員会の判断に委ねたい」としている。(井上 駿)

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平成30年7月19日東京新聞

愛知小1男児熱射病死 校長「判断甘かった」

愛知小1男子熱

校外学習から帰った児童が熱射病で死亡し、謝罪する梅坪小の籔下隆校長(手前)ら=愛知県豊田市役所で

市立小の一年男児(6つ)が校外学習後に熱射病で死亡した愛知県豊田市の太田稔彦市長は十八日の記者会見で「異常気象を踏まえた対策としては不十分だった」と校外学習を中止しなかった学校の判断の誤りを認め陳謝した。市教育委員会は市立学校百四校に、高温下での活動の中止や延期を検討するよう通知。男児が通っていた梅坪小は再発防止に取り組むが、専門家は「猛暑が続く中、全国どこの学校でも起こり得る」と警鐘を鳴らす。

市は、来年度から三年間で市立学校の全教室にエアコンを設置する計画を前倒しする検討を始めた。梅坪小は同日、全校集会を開き、籔下隆校長が児童に「大事な命を守れず、本当に申し訳ない。校外学習を中止できず、判断が甘かった」と謝罪した。

校外学習は、学校から約一キロ離れた公園で遊ぶことを目的としていた。徒歩で移動中、男児は列から遅れ担任に「疲れた」と訴えたが、そのまま公園に向かった。

名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「炎天下であえて行く必要があったのか。途中で連れ帰る判断もできたはず」と指摘する。内田氏は約百十人を各担任四人で引率したことも問題視。校外では養護教諭も同伴するなど、教員を増やす必要があったという。

同小は再発防止のため、児童にスポーツドリンクの持参や保冷剤を包んだタオルなどで首を冷やすよう呼び掛けた。内田氏は「部活動は当然、エアコンのない屋内でも注意が必要」と訴えた。

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平成30年7月19日NHK首都圏ニュース

高校生自殺でいじめ有無を再調査

3年前、都立高校の男子生徒が自殺した問題で、東京都は、いじめがあったかどうかを調べた東京都教育委員会の調査が十分に尽くされていないとして、再調査を行うことを決めました。 3年前、都立高校の1年生の男子生徒が、山梨県内の駅で線路に飛び降りて自殺した問題では、生徒の母親がLINEなどにいじめが疑われる記述があったとして調査を求めましたが、東京都教育委員会の調査部会は去年9月、「いじめがあったと判断することは極めて困難」と結論づけました。 遺族からの再調査の求めを受けて、東京都が設置した専門家による検証チームは、教育委員会の調査は遺族との信頼関係を築けていなかったため、十分に尽くされてないという結論を19日までにまとめました。 これを受けて、都はいじめがあったかどうかを再調査することを決め、新たな調査委員会を設置することになりました。 この中では、遺族の同意が得られず、調査が行われていなかった、自殺した生徒のスマートフォンの解析や、遺族に対していじめがあったと証言したとされる人への聞き取り調査を行うということです。 再調査について、男子生徒の母親は「息子の無念の思いを真摯に受け止めて、きちんと再調査を行い、息子の人権と名誉が回復されることを望んでいる」と話しています。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180719/0015018.html

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平成30年7月18日中日新聞

熱射病、豊田の小1死亡 校外活動後、教室で悪化

17日正午ごろ、愛知県豊田市の市立梅坪小学校の教室で、小学1年生の男子児童(6つ)が意識不明で倒れ、病院に運ばれたが約1時間後に死亡した。死因は熱中症の中でも重症な「熱射病」とみられる。男児は、学校近くの公園で午前中にあった校外活動で疲れを訴え、教室に戻った後に容体が悪化した。

市教委学校教育課の鈴木直樹課長は「学校の教育活動の中で、児童の命がなくなるという重大な事態が発生した。亡くなられた男児と保護者に深くおわびする」と陳謝した。県警も、学校関係者から事情を聴くなどして、死亡に至った経緯を調べる。

市教委や学校によると、1年生4クラスの計112人は担任教員4人と午前10時ごろ、学校から約1キロ離れた和合公園に向けて歩いて出発した。約20分かけて到着したが、男児は途中で「疲れた」と話し、他の児童から遅れることもあり担任の女性教員が励ましたという。公園で児童たちは虫捕りやすべり台などの遊具で30分ほど遊び、徒歩で学校に戻った。

帰り道でも男児は「疲れた」と訴えた。午前11時半ごろに学校に戻ってからは、教室で担任教員が付き添って様子を見ていたが、唇が紫色に変色し、次第に意識が遠のいたため119番した。

亡くなった男児を含め、児童たちは熱中症対策のため帽子をかぶり、水筒を持参していた。担任らも小まめに水分補給するよう指示していたという。

男児のほかに女児3人が学校に戻ってから「頭が痛い」などと体調不良を訴え、うち1人は嘔吐し保護者が学校に迎えに来た。

この日早朝、気象庁は県内全域に「高温注意情報」を発表していた。名古屋地方気象台によると、豊田市の気温は午前9時には30・4度を記録。午後2時すぎには37・3度まで上がった。

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