平成30年5月8日付神戸新聞

中3自殺 第三者委、メモ内容検証の結論持ち越し

2016年10月、神戸市垂水区で市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、「破棄された」とされていた他の生徒への聞き取りメモが見つかったことを受け、いじめの有無などを調べた第三者委員会が7日、会合を開いた。見つかったメモの内容が、昨年8月にまとめた調査報告書に反映されているかどうかを検証したが、結論は出なかった。

会合は非公開。第三者委を設置した市教育委員会によると、この日は委員7人のうち4人が出席した。見つかったメモに記述があった、教員による生徒6人への聞き取り内容と、第三者委が報告書作成に当たって生徒に聞き取りした内容を照合した。今月中旬にも改めて会合を開き、結論を出す方向で調整中という。

第三者委は昨年8月、女子生徒への容姿の中傷発言などをいじめ行為と認定する一方、いじめを自殺の直接要因とは認めない形で報告書をまとめた。

報告書ではメモは「破棄された」としたが、第三者委は「生徒への聞き取りでほぼ(内容を)復元できた」としていた。その後、学校から「メモを保管している」と報告があったが、市教委は放置していた。(井上 駿)

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平成30年5月9日付京都新聞

自死生徒の父「子ども救う判決を」 大津いじめ訴訟が結審

大津いじめから

訴訟が結審し、会見で心情を語る男子生徒の父親(大津市梅林1丁目・滋賀弁護士会館)

大津市で2011年10月、いじめを受けていた中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺し、遺族が元同級生3人と保護者に計3800万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が8日、大津地裁(西岡繁靖裁判長)であり、結審した。判決は11月6日。

争点はいじめと自殺との因果関係で、遺族側は男子生徒がいじめを苦に自死したと主張。元同級生側は尋問で「遊びだった」などと証言し、いじめがあったとの認識を否定している。

この日の最終意見陳述で男子生徒の父親は「いじめ行為は子どもを傷つけ、疲弊させる。多くの子どもが安心して教育を受けられる助けとなる司法判断を心から期待する」と述べた。

閉廷後、記者会見した父親は「自死する子どもを救う判決なら息子も喜んでくれる」と期待感を示す一方、元同級生については「20歳になる前に猛省して社会に出てほしいが、自分のしたことにしっかり向き合えていないのは残念」と印象を語った。

遺族は12年2月、元同級生らとともに大津市も提訴していたが、15年3月に和解している。

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平成30年5月5日付朝日新聞宮城版

いじめ自殺進まぬ調査 仙台中2男子死亡から1年

 仙台中2男子

前回のいじめ問題専門委員会=4月9日、仙台市青葉区

2014年以降、いじめを受けた中学生3人が自殺した仙台市。2年の男子生徒が亡くなってから4月26日で1年が過ぎた。教師から体罰を受けていたことも明らかになるなか、関係者への調査は今も続く。原因究明の遅れに遺族側は落胆を隠せない。

「なるべく速やかに真相を明らかにし、再発防止につながるような結論を得るよう委員会にお願いしたい」。郡和子市長は4月24日の定例記者会見で、この1年の取り組みを問われ、こう述べた。

昨年の自殺を調査しているのは、学者や弁護士ら第三者でつくる市教委の「いじめ問題専門委員会」。自殺に至った原因、防げなかった理由、再発防止策について答申を出す予定だ。

ただ現状は、通っていた市立中学の生徒や教職員らに委員が聞き取りをする段階にとどまっている。

4月9日の前回会合で、聞き取り対象の教職員38人中37人、生徒・保護者13人中8人の調査を終えたことが報告された。だが、教職員のうち、10人は時間の制約で調査が不十分だったとして、再聴取が決まった。答申に向けた、とりまとめのめどは立っていない。

なぜ調査が遅れているのか。専門委の委員の辞任が相次ぎ、後任の人選に時間がかかったことが一因だ。このため実質的な議論が始まったのは昨年12月。自殺から約8カ月たって、ようやく調査を年明けに始めることを決めた。

川端壮康委員長は4月の前回会合の後、「スタートが遅れているので、できるだけスピード感をもって」としつつ、「拙速はいけないので十分な真相究明」が必要と説明した。

遺族は4月25日に発表した談話で、「市長や委員長の『スピード感を持って調査する』との言葉は何だったのかと思う毎日」「なかなか進まない調査で、不安な日々を送っています」「とても一周忌に子どもへ順調に協議がなされているとは報告できない」と訴えた。

16年2月の中2男子の自殺は、再調査の方針が決まっている。市教委の第三者委が昨年3月に答申を出したものの、自殺に至る詳細な経緯が分からないとする遺族側の求めで、新たに「いじめ問題再調査委員会」を立ち上げて実態解明を進めることになった。

昨年9月以降、再調査の進め方などを話し合ってきたが、今年2月の会合では、遺族推薦の委員が委員長らを批判する発言を続け、委員長が協議を打ち切った。3月の次の会合では「調査をしっかりと進めていただきたい」との郡市長のメッセージが読み上げられる中、自殺した生徒の同級生や同じ部活の生徒へのアンケートや聞き取りを検討することでまとまった。

対策次々 体罰やまず

相次ぐ自殺を受け、いじめ防止に向けた新たな施策が始まっている。仙台市は4月、専門部署「いじめ対策推進室」を新設。18年度予算でも対策に重点的に配分し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)での相談体制や、弁護士が学校の相談にのる「スクールロイヤー」などの事業を始める。いじめ防止条例も制定を目指し検討を進めている。

次々と対策を講じる一方で、4月の「いじめ対策等検証専門家会議」で、ある調査結果が報告された。

昨年4月に自殺した生徒が体罰を受けていたことを踏まえ、市と市教委が市立のすべての学校を対象に、児童・生徒、保護者に体罰の有無などを尋ねるアンケートをしたところ、体罰が49件確認された。

昨年9月には、中学校の男性教諭が授業中に私語を続ける男子生徒2人の口に養生用のテープを貼っていた。昨年自殺した生徒は別の中学だったが、教諭から粘着テープを口に貼られるなどの体罰を受けており、同様の体罰が繰り返されていたことになる。

この会議は昨年の自殺を受けて設置。いじめや体罰の防止策について専門家が議論を続け、1月には第1次提言を出している。

アンケート結果について木村民男会長は「いろんな通知を出し、研修の機会を設けているが、先生が主体的に取り組むまでに浸透していないのではないか」と指摘。数々の研修に現場が疲れ、受け身になっている恐れがあるとして、「どんな方法なら学校が動き出すのか、(対策を)まとめていきたい」と語った。

(高橋昌宏)

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平成30年4月30日付神戸新聞

神戸中3自殺 破棄メモで第三者委が報告書の内容検証へ

垂水中3女子5

「破棄された」としていたメモの発見を受け、開催された審議委員会=29日午後、神戸市役所

神戸市垂水区で2016年10月、市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、「破棄された」とされていた他の生徒への教員の聞き取りメモが見つかったことを受け、いじめの有無などを調べた第三者委員会が29日に急きょ開かれ、見つかったメモの内容が昨年8月にまとめた調査報告書に含まれているか検証することを決めた。

第三者委と同じ委員が務める市教育委員会の付属機関「市いじめ問題審議委員会」が事前にあり、第三者委としての開催を決めた。

第三者委は、女子生徒への容姿の中傷発言などをいじめ行為と認定する一方、いじめを自殺の直接要因とは認めない形で昨年8月に報告書をまとめ、今年2月に解散。報告書ではメモは「破棄された」と扱われ、これを見た学校が「保管している」と報告したが、市教委は放置していた。

第三者委は非公開で開催。添田晴雄委員長はメモの存在確認を受け、「誠に遺憾。メモが示唆する実態を第三者委が把握できていたかを慎重に検討する」などとするコメントを出した。

この問題を巡っては、市教委はメモが放置されていた経緯を調べ、市はいじめと自殺の関連などを再調査する方針を発表している。(井上 駿)

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平成30年4月28日付朝日新聞鹿児島版

いじめ再調査の第三者委、人選遅れ 推薦辞退も

鹿児島市の県立高校1年の田中拓海さん(当時15)が2014年8月に自殺した問題で、県が進めている再調査のための第三者委員会の人選が遅れていることが、県への取材で分かった。県は日弁連など5団体に計6人の委員推薦を依頼していたが、1団体が辞退、1団体は期限の延長を申し出たという。

県によると、県は今月27日を期限に委員の推薦を各団体に2日に依頼していた。期限までに3団体から計4人の推薦を受けたが、日本児童青年精神医学会が、「推薦する態勢が整っていない」として4月中旬に推薦を辞退していたという。ほかの1団体は、推薦の期限を5月中旬まで延ばすように申し出たという。

辞退を受け、県は精神医学の分野に詳しい他の団体への推薦依頼に向けて調整している。再調査は委員の人選が決まってから開始されるといい、伊地知芳浩・学事法制課長は取材に「速やかに委員会を開けるよう準備していく」と話した。

田中さんの母親は取材に「推薦を依頼した時に確認していたのかと疑問に思う。調査が遅れることはとても負担になる」と語った。(野崎智也)

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平成30年4月28日付神戸新聞

神戸中3自殺 市会委で審議、教育長「不誠実だった」

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破棄されたメモが見つかった問題を陳謝する神戸市教育委員会の幹部ら=神戸市役所

神戸市垂水区で2016年10月、市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、「破棄された」とされていた他の生徒への教員の聞き取りメモが見つかったことを受け、市議会文教こども委員会が27日、開かれた。長田淳教育長は「不誠実な取り扱いで、ご遺族の気持ちに寄り添った対応ではなかった」と陳謝し、「教育委員会の組織風土を変えていかないといけない」と述べた。

この問題を巡っては、市教委が設置した第三者委員会が昨年8月、容姿中傷発言などをいじめと認定する調査報告書をまとめたが、遺族が「内容が不十分」として再調査を申し入れている。さらに、自殺直後に教員が他の生徒6人に聞き取ったメモについて、第三者委の報告書が「破棄された」としたことに学校側が「保管している」と報告しながらも市教委が放置していた。久元喜造市長は26日、新たに調査委員会を設置し、再調査する方針を発表した。

文教こども委員会では、大谷真一学校教育部長がメモの確認を怠った点について「生徒に聞き取った内容が報告書に反映されているかどうかの確認だけで済ませてしまった。さまざまな事案の対応で忙殺されていた」とし、謝罪した。

今後、再調査を担当する市こども家庭局は「委員選任には遺族の意見を聞き、スタートから信頼を得られる形にしたい」と答弁。市教委の後藤徹也教育次長は、再調査の決定を受け、「一連の市教委の対応がご遺族に寄り添ったものであったのかを厳しく見つめ直し、組織の自浄を進めたい」と述べた。(井上 駿)

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平成30年4月27日付神戸新聞

神戸中3自殺、市が再調査へ 新たな調査委を設置

神戸市垂水区で2016年10月、市立中3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、同市の久元喜造市長は26日、「破棄された」とされていた他の生徒への教員の聞き取りメモが見つかったことなどを受け、新たな調査委員会を設置し、いじめと自殺の関連などを再調査する方針を遺族に伝えた。

久元市長は、これまでの市教育委員会の対応を遺族に謝罪した。

市教育委員会が設置した第三者委が昨年8月、他の生徒からの容姿中傷発言などをいじめと認定する調査報告書をまとめているが、いじめを自殺の直接要因とは認定しておらず、遺族は「調査が不十分」として今月3日、久元市長に再調査を申し入れていた。

久元市長はこの日の会見で、再調査を判断した理由に、第三者委が「破棄された」としていた、自殺から5日後に生徒6人から聞き取ったメモを、学校が保管しながらも市教委が確認を怠っていた問題を挙げ、「対応が不適切だった」と指摘。さらに、第三者委が市教委の付属機関の委員で構成され、非公表で調査が始まったことに触れ、「当初から十分な信用が得られるような形ではなかった」とし、意見を求めた弁護士からも「調査が十分に尽くされていない」との声があったという。

今後は、市子ども家庭局が担当する。遺族の意見も踏まえ、いじめ問題に詳しい弁護士や有識者らを中心に新たな調査委の人選を進め、遺族が求めているいじめと自殺の関連などを調べる方針。久元市長は「可能なら年内にも調査結果をまとめたい」と述べた。

生徒の母親は代理人の弁護士を通じ、「娘に対してどのようないじめが行われてきたのか、なぜ娘が自死に追いやられたのか、学校の対応に問題はなかったかを明らかにしてほしい」とするコメントを出した。

兵庫県教育委員会などによると、いじめ防止対策推進法に基づき、県内の市町教委が設置した第三者委の調査が再調査になるのは初めて。(井上 駿)

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平成30年4月27日付毎日新聞宮城版

仙台・中2いじめ自殺 1年 進まぬ市教委調査 答申めど立たず いらだつ遺族

昨年4月、仙台市立折立中2年の男子生徒(当時13歳)がいじめによる自殺をして26日で1年を迎えた。原因を調査する市教委常設の「いじめ問題専門委員会」は関係者への聞き取りを進めるが、答申の時期もめどがたっておらず遺族はいらだちを見せている。

「会議のスパンが長いと感じる」「一周忌に子どもへ順調に協議がされていると報告できない」--男子生徒の遺族は25日、報道陣に寄せたコメントの中で、調査の遅れを指摘した。同委員会は、委員の選任などに時間がかかり、本格的調査が始まったのは自殺から半年以上経過した昨年12月。今年1月中旬には男子生徒が通っていた小中学校の教職員への聞き取りが始まったが、今月9日に行われた第5回委員会では、聞き取りを行った37人のうち10人に再度聞き取りを行うことが明らかになった。遺族はコメントの中で「市長や委員長の『スピード感を持って調査する』との言葉は何だったのか」と疑念を呈した。

一方、市は各部署と連携して対策を進めていく「いじめ対策推進室」を新設。いじめ対策についてはこれまで、教育行政の独立性を保障する観点から教委が中心となっていたが、同推進室には教員からの出向職員も所属している。木村賢治朗室長は「いじめ対策を総括する部署として、各現場の情報収集を行い教育現場との橋渡しをしたい」と話す。同推進室は郡和子市長が提言する「いじめ防止条例」の制定も検討しており、郡市長は「理念にとどまらない条例をなるべく早期に策定したい」としている。【早川夏穂】

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平成30年4月26日付毎日新聞

大分市立中 教諭が首つかみ生徒失神 市教委公表せず

 

大分市の市立中学校の50代男性教諭が、男子生徒の首をつかんで転倒させ、生徒が一時失神していたことが、市教委への取材で分かった。市教委は学校から報告を受けながらも、記者会見では失神について明らかにしなかった。市教委は「隠す意図はなく、公開する内容ではないと判断した」としている。

市教委が22日に「行き過ぎた指導」として開いた会見によると、教諭は20日午後7時ごろ、昇降口の前で話をしていた男子生徒らに早く帰るよう複数回注意。従わなかったため、自転車にまたがっていた1人の首をつかんで転倒させ、けがをさせた。教諭は柔道の有段者だという。

市教委は会見で「生徒は転倒したが、すぐに立ち上がった」と説明した。しかし、同校校長が21日に提出した報告書には「首をつかんだ際、数秒間意識を失った」とあった。24日には教諭が市教委に「胸をたたいて目を覚まさせた」と説明したが、市教委は会見内容を修正しなかった。

市教委は取材に対し「被害生徒からは事情を聞けておらず、詳細は調査中だ。会見で不確実なことは公表しなかった」と強調する。

しかし、市教委の会見に基づくニュースを見た両親は市に抗議しており、市教委は「事実を明らかにして再度説明したい」としている。【尾形有菜】

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平成30年4月26日付朝日新聞

相撲指導の夫婦がセクハラ 退部の生徒も 静岡の強豪校

静岡県沼津市の私立飛龍高で、ボランティアで相撲部を指導していた夫婦が部員へのセクハラを繰り返し、女子部員が休部や退部をしていたことが関係者への取材でわかった。同校はセクハラを認め、夫婦による指導をやめたうえで、被害者側に謝罪した。同校は相撲の強豪校として知られ、今年3月には全国大会の男子団体で優勝した。

同校によると、セクハラをしたのは同部OBで公務員の20代男性と、世界大会にも出場経験がある30代の妻。部の顧問に誘われ、昨年4月から週2回ほど練習に参加していたという。

関係者によると、男性は男子部員が着替えている際、体に巻いていたタオルを女子部員の前ではがし、妻は男子部員に「自分の胸を見たいか」などと発言した。こうした行為は練習中のほか、練習後にも繰り返し行われたという。

同部は当時、女子部員が2人いた。親族が昨年10月に様子がおかしいと感じ、女子部員に話を聞いて夫婦の行為が発覚。顧問に連絡し、学校側は同月から、夫婦の学校への出入りを禁止した。

校長と夫婦は今年2月になって2人に謝罪をしたが、「気持ち悪いという思いが消えない」として1人が退部、1人が休部した。セクハラに対しては、男子部員からも嫌がる声が上がっていたという。

同校の坂根英夫校長は朝日新聞の取材にセクハラがあったことを認め、「子どもたちが安心して学校生活を送れるようチェックをきちんと行い、二度とこういう問題を起こさないようにしたい」と話した。(増山祐史、宮川純一)

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