平成28年2月27日神戸新聞

「部活副顧問が暴行」元村野工高生、賠償求め提訴

部活の副顧問に殴られて目に障害が残ったとして、神戸村野工業高校(神戸市長田区)の元男子生徒(18)が副顧問と学校を相手に総額約1300万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴したことが26日、分かった。元生徒は刑事告訴もしており、長田署は今月上旬、副顧問を傷害容疑で書類送検した。

提訴は昨年10月20日付。訴状などによると、元生徒は同校の少林寺拳法部に所属。2年生だった2014年9月ごろ、顧問不在で副顧問の指導を受けていたが、これまでの練習メニューと違ったため、顧問に相談した。その翌日の同月11日朝、副顧問に「何をちくったんや」と目の付近を殴られるなどし、目の前を虫が飛ぶような錯覚がある「飛蚊(ひぶん)症」を患った、としている。

元生徒の母親(47)は「感情で教師が殴ったと聞き、信じられない思い。その後の対応でも学校側の誠実さが感じられなかった」と主張。同校は治療費を支払い、副顧問を減給10分の1(3カ月)とし、現在も部活指導を自粛させている。「本校の教諭が生徒にけがをさせたことは申し訳なく、おわび申し上げる。係争中なので中身はコメントできない」としている。

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平成28年2月27日

体罰教員名、神戸市に再び公開要請 審査会答申

神戸市情報公開審査会(会長=米沢広一・大阪市立大大学院教授)は26日、神戸市立学校の体罰報告書に関する情報公開請求に対し、一部を除いて教職員名を非公開とした同市教育委員会

の決定を妥当とせず、原則公開を求める答申を出した。

同審査会は2014年8月にも同様の答申を出しており、今回が2回目。市教委は前回の答申後、従来の全面非公開から方針転換したが、原則公開には応じていない。

神戸大大学院の馬場健一教授(法社会学)が前回の答申後、神戸市立の小中学校と高校、特別支援学校が09~13年度に市教委に提出した体罰報告書の公開を請求。市教委は131件について内容や学校名などを公開したが、教職員名の公開は50件にとどまった。

市教委は「被害者は同じ学校の児童・生徒や保護者らに体罰を受けたことを知られると、精神的苦痛を受ける」などと主張。担任による体罰などは、教職員名から被害児童・生徒の特定につながるとして非公開とした。

これに対し、審査会は「一般人が得られる情報では、被害者の特定は極めて困難」と判断。部活動の主将と顧問のように、体罰をした教職員と児童・生徒の関係から被害者が特定できる場合などを除き、121件を教職員名の公開対象とした。

体罰報告書をめぐっては12年、兵庫県教委に対し教職員名の公開を命じた大阪高裁判決が確定。

これを受け、県教委は原則公開を決めた。大阪府教委や同市教委なども原則公開している。

答申を受け、神戸市教委は「今後、教育委員会会議で議論したい」とした。(紺野大樹)

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平成28年2月27日朝日新聞社説

高2自殺判決 生徒を追い詰めた暴力

 

2012年12月に大阪市立桜宮高校バスケットボール部2年の男子生徒(当時17)が自殺したのは、元顧問(50)の暴力が原因だとして、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は市に約7500万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

裁判長は「元顧問の暴行がなければ男子生徒は自殺しなかった」と因果関係を明確に認めた。

そして生徒が暴行を受けた後に無気力になる異変を元顧問が認識していたとも指摘、自殺を予見できたと認めた。

判決後、遺族は「息子のような子を二度と出したくない」と語った。

子どもへの暴力行為は、正当化する余地のない人権侵害だ。市教委はもちろん、教壇に立つ教員、学校関係者はこれを機に改めて心に刻んでほしい。

理解できないのは、事件後に「暴力が自殺の要因」と認めていた市が、裁判で一転して「主な原因は生徒自身の悩みや家族にあった」と主張したことだ。「賠償にあたり、元顧問以外の要素はないのか詰めなければならなかった」と説明する。だが、責任を家族に帰するような主張は遺族感情を傷つけた。

元顧問は13年、傷害と暴行の罪で有罪判決を受けたが、暴力と自殺の因果関係は争点にならなかった。

遺族は関東に移り住んでから因果関係などの認定を求めて訴訟を起こした。市はもっと遺族側に寄り添った対応はできなかっただろうか。

体罰は指導上やむを得ないという考えは、今も根強い。

文部科学省によると、14年度に体罰で処分された公立の小中高校などの教職員は952人で、前年度の約4分の1に減ってはいる。だが、ゼロと回答する県もあり、実態がどこまで把握できているか、疑問も残る。

兵庫県姫路市立中学校の教諭が、いじめを受けて骨折した生徒について「病院では階段から転んだことにしておけ」と別の教師に指示したとして、今月停職6カ月の懲戒処分を受けた。

ことを荒立てず、面倒を避けたい。そんな勝手な隠蔽体質が学校現場にあれば、子どもたちは救われない。

学校や教育委員会は、体罰は顕在化しにくいとの前提に立ち、被害の掘り起こしに努めるべきだ。

定期的なアンケートや、外部に相談窓口を設ける取り組みなどを広げたい。

暴力はもちろん、教師の暴言や不用意な一言も、子どもを傷つける。教師は自らの指導方法を常に省みてほしい。教師同士が互いの指導に意見を言い合える雰囲気作りも不可欠だ。

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平成28年2月26日共同通信

中2自殺、同級生1人を書類送検 岩手、暴行容疑

昨年7月、岩手県矢巾町の中学2年村松亮さん=当時(13)=がいじめを苦に自殺した問題で、県警は26日、村松さんに暴行したとして告訴された同級生4人のうち、14歳の少年を暴行容疑で書類送検した。

当時13歳だった別の少年1人は児童相談所に通告し、残る2人は暴行容疑に当たる事実がなかったと判断した。

村松さんの父親(41)は昨年7月、暴行容疑などで少年4人を告訴。県警は村松さんが「ずっと暴力」と同級生からの暴力を訴えていた生活記録ノートや、学校の報告書を分析。同級生や教職員からも事情を聴き、捜査を進めていた。

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平成28年2月26日岩手日報

同級生26日にも書類送検 矢巾・中2いじめ自殺

矢巾町の中学2年の男子生徒が昨年7月、いじめを苦に自殺した問題で、県警は26日にも、告訴された同級生の少年4人のうち14歳の1人を暴行の疑いで盛岡地検に書類送検する方針を固めたことが25日、捜査関係者への取材で分かった。

書類送検は26日か遅くとも週明けの見通し。他の少年3人のうち、1人は児童相談所に通告し、2人は暴行などの容疑に当たる事実がなかったとする捜査結果を地検に送付する見込み。

男子生徒は昨年7月5日夜、矢巾町のJR矢幅駅で列車にはねられ死亡。男子生徒の父親(41)が同26日、暴行、強要、侮辱容疑で少年4人を告訴した。

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平成28年2月26日朝日新聞西部本社版夕刊

熊本高1自殺 「いじめが影響とは認めがたい」調査委

2013年8月に、「LINE(ライン)」の書き込みなどで同級生からいじめを受けていた熊本市内の熊本県立高校1年生の女子生徒(当時15)が自殺した問題で、学校が設置した調査委員会(委員長=園部博範崇城大准教授)は26日、「いじめが自殺に直接的な影響を与えたとは認めがたい」とする報告書をまとめ、遺族に手渡した。

学校は14年、女子生徒への複数のいじめを認定。十分な対応をしていなかったとして遺族に謝罪したが、自殺との因果関係は「不明」として、調査を続けていた。

女子生徒は13年4月に入学し、熊本市内の学生寮で生活。同年8月17日に、夏休みで帰省中の同県上天草市内の実家で首をつって自殺した。

県教委などによると、女子生徒は同年5~6月から、「LINE」上に同級生から「レスキュー隊を呼んでおけ」と脅迫する内容や身体的特徴をからかう言葉を書き込まれたり、中学の卒業アルバムに落書きをされたりした。物を隠されたり、スマートフォンを無断で使われたりしたこともあった。

保護者は担任に相談。対応を任された寮担当の教師は、生徒同士の話し合いで「和解した」と思い込んでいた。生徒の自殺後、学校は教師らによる校内調査委を設け、14年10月にいじめがあったと認定していた。

昨年2月にメンバーを園部准教授と社会福祉士、弁護士、校長と保護者代表の5人に改めた調査委を設け、校内調査委のアンケートをもとにした聞き取りなどを経て、「寮で起きたいじめが自殺に直接的な影響を与えたとは認めがたい」とする報告書をまとめた。(籏智広太)

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平成28年2月26日共同通信

自殺の直接原因と認めず、熊本 高1女子LINEいじめ

熊本県で2013年8月、無料通信アプリ「LINE(ライン)」の書き込みでいじめを受けた熊本市の県立高校1年の女子生徒=当時(15)=が自殺した問題で、高校の調査委員会は26日、ライン上の脅迫的な書き込みなど五つの行為をいじめと認定したが、自殺に直接的な影響を与えたとは認めがたい

との報告書を公表した。

調査結果を受け、熊本市で記者会見した生徒の母親(48)は「娘の死は100パーセントいじめが原因と思っていたのに、納得できない」と批判。報告書作成に時間がかかったとして、学校側に不信感を示した。

マット

高校の調査委員会から報告書を受け取る遺族(手前)=26日午前、熊本市

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平成28年2月26日 NHK熊本放送局

“いじめ自殺に直接影響せず”

 3年前、熊本市の県立高校に通う女子生徒が自殺した問題で、原因を調査してきた調査委員会は、26日、「いじめが自殺に直接的な影響を与えたとは認めがたい」とする報告書を遺族に手渡しました。 3年前の平成25年8月、熊本市にある県立高校の1年生で学校の寮で生活していた当時15歳の女子生徒が、帰省していた自宅で自殺しました。 県教育委員会はおととし10月、ほかの生徒からいじめにあたる行為があったことを認め、臨床心理士や高校の校長など5人でつくる調査委員会が去年2月から自殺との因果関係を調査してきました。 委員会は教諭や同級生などへの聞き取りをもとに報告書をまとめ、26日、遺族に手渡しました。 調査委員会によりますと、報告書では、スマートフォンの無料通話アプリ「LINE」で学校の寮の仲間から、呼び出しを強要したり、危害を加えると脅したりする書き込みがされたことなどいじめにあたる行為が5件あったとしています。 一方で、夏休みが終われば寮に戻らなくてはならないという強い心的ストレスにさらされ、絶望感から「うつの状態」に陥り、その後、なんらかの理由で自殺に至った可能性が高いとして「いじめが自殺に直接的な影響を与えたとは認めがたい」と結論づけました。

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平成28年2月26日NHK

“いじめを苦に自殺” 同級生を暴行容疑で書類送検

 去年7月、岩手県矢巾町で中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺したとみられる問題で、警察は男子生徒に暴行を加えていたとして、当時14歳の少年を書類送検し、当時13歳の少年を児童相談所に通告しました。2月26日付NHK

去年7月、岩手県矢巾町の中学2年の男子生徒がJR東北線の矢幅駅で列車にはねられて死亡し、担任の教諭とやり取りする生活記録ノートに、いじめをうかがわせる内容を書き記していたことから、いじめを苦に自殺したとみられています。 警察は、いじめを受けていたという父親からの告訴を受け、同級生や教職員から事情を聞くなどしてきました。その結果、当時14歳の同級生の少年が男子生徒の胸ぐらをつかむなどしたとして、暴行の疑いで書類送検し、当時13歳で刑事処分の対象とならない別の同級生の少年を、男子生徒の頭を机に押さえつけたとして、児童相談所に通告しました。 男子生徒の中学校は、去年7月に調査報告書を取りまとめ、「机に頭を押さえつける」など6件の行為をいじめと認定し、「自殺の一因と考えられる」と結論づけています。 これについて、死亡した男子生徒の父親は「警察の捜査で、息子に対するいじめのすべてが明らかになったわけではない。中学校で何があったのかを専門家による町の第三者委員会でしっかり調査してもらいたい」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160226/k10010422881000.html

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平成28年2月25日東京新聞

桜宮高自殺で大阪市に7500万円賠償命令 「体罰が原因」

大阪市立桜宮高バスケットボール部主将の二年の男子生徒=当時(17)=が自殺したのは、顧問だった元教諭(50)による体罰や暴言が原因として、両親と兄が市に総額約一億七千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は二十四日、約七千五百万円の支払いを市に命じた。

岩井伸晃裁判長は「顧問による暴行で精神的に追い詰められたことが自殺の原因で、顧問は自殺の可能性を予測できた」と判断した。

判決は、元顧問の体罰を「教育上の指導として許される範囲を著しく逸脱した暴力的な虐待行為で、違法性は強い」と厳しく指摘。「生徒は顧問の暴行や威迫的な言動によって強い不安や恐怖、混乱に陥り、精神的に追い詰められて自殺した」とし、体罰や暴言と自殺との因果関係を認めた。

訴訟で、市は自殺を予測できなかったと主張したが、判決は「顧問は、自殺直前の練習での様子から生徒の異変に気付いていたのに暴行や暴言を続け、自殺の危険性を増大させた」と指摘し、自殺は予測可能だったと判断した。

判決によると、生徒は二〇一一年四月、バスケ部に入り、一二年九月に主将になった。元顧問から何度も平手で強く顔を殴られたり、「キャプテン辞めろ」といった暴言を繰り返し受けたりして精神的に追い詰められ、同年十二月に自宅で自殺した。

大阪市の吉村洋文市長は「市にとって厳しい判決だが、真摯に受け止める。控訴は行わない」とのコメントを出した。元顧問は、暴行と傷害の罪で懲役一年、執行猶予三年の有罪判決が確定している。

◆「指導の効果 暴力にない」

「暴力に指導の効果はない。今でも暴力をふるっている指導者がいるなら、改めていただきたい」。

判決後、東京都内で記者会見した生徒の父親(46)は、体罰の根絶を強く訴えた。

今回の事件は、文部科学省が教員による体罰の実態調査を始めるなど、国や自治体が教育現場の体罰防止に取り組むきっかけとなった。両親は息子の自殺後に関東地方に転居し、二〇一三年十二月に提訴した。

父親は「二度と息子のような犠牲者を出してはいけないという思いでやってきた」と振り返り、「体罰や暴言が息子を自殺に追い込んだと認め、おおむね納得がいく判決を出してもらった」と語った。二十代の兄は「裁判は終わっても弟は帰ってこない。生きていたら酒を飲んだり、将来、子どもを見せ合うこともできたのに」と話した。

大阪市は元顧問を懲戒免職としたが、訴訟では「体罰と自殺に因果関係はない」などと主張し、遺族側と全面的に争ってきた。

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