平成28年1月22日 朝日新聞
(暴力とスポーツ)「学生間、簡単になくならぬ」 体育・教育系大学、意識培う取り組み

大阪・桜宮高バスケットボール部の主将が顧問の暴力などを苦に自殺したことや、柔道女子の日本代表監督らの暴力・パワハラ問題が明らかになってから3年。スポーツ指導者や中学、高校の運動部活動の顧問となる教員を育てる体育系、教育系の大学では、学生に暴力根絶への意識を植え付けるべく、息の長い地道な取り組みを進める。
年間約300人の保健体育教員を送り出す日体大で、昨年10月から11月にかけて3度、運動部の指導者全員が集められた。「学生間で不安の残る関係が存在する。大変なことが起こったら廃部も辞さない」。谷釜了正学長が訴えた。
谷釜学長は2013年以降、毎年各クラブを視察して反暴力を説き、合宿所の巡回も指導者に毎月義務づけてきた。そんな中、上級生から暴力を受けたことを示唆する下級生の声が教員を通じて何件か耳に入り、危機感につながった。「学生間では簡単になくならないのが現実。指導者には、暴力を振るう上級生を試合で使わないなど、勝ち負けを犠牲にするくらいの覚悟がいる」 鹿屋体大でもスポーツ哲学・倫理の授業で、英国の体罰防止の先進的な制度を紹介するなどの成果が出ている。昨年10月、3、4年にアンケートをしたところ、暴力に同意する回答は16%で、12年のアンケートの46%から大きく減った。一方で高校までの部活動での体罰経験は「あり」が29%で、12年の18%を上回った。調査をした森克己教授は「体罰経験者が増えたのではなく、スポーツで何が暴力なのか、学生の意識が進んだため」と分析する。
新しいカリキュラムを設ける大学も出てきた。
宮城教育大では新年度から1、2年向けの科目として「運動部活動の教育学」が始まる。学校で教育課程外に位置づけられる運動部活動に焦点を当てた教職科目は、前例がない。担当する神谷拓准教授(スポーツ教育学)は「これまで、体系的な教育を受けないまま現場の部活指導を担う『無免許運転』が実態だった。そこで教師が自分の経験に頼り、暴力的指導をしてきた可能性がある」と言う。講義には指導法だけでなく、暴力が繰り返された歴史的な背景も盛り込む。
大体大では「運動部指導実践論」が17年度から4年の単位として導入される。「これまでも保健体育教師は体育学を十分学んできた。なのに、体罰が起こった」と土屋裕睦教授(スポーツ心理学)。
そこで、講義は生徒の自主性を尊重する部運営の在り方や、生徒、保護者とのコミュニケーションスキルなど、各要素を部活動の現場に照らし合わせた内容にしている。(編集委員・中小路徹)

体操教室指導者、登録を一時停止 協会、暴行容疑事件で
日本体操協会は21日の常務理事会で、静岡市の体操クラブで指導していた元世界選手権代表の寺尾直之容疑者(53)が児童への暴行容疑で逮捕され、指導者登録を一時停止したと報告した。寺尾容疑者の長男で、児童への傷害容疑で逮捕された直希容疑者(28)も同じ処分を受けた。法的な処分が確定した後に、改めて対応を決めるという。

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【1月16日 朝日新聞デジタル】

新しい年の始まりは、スポーツ界にとって、事件の「それから」を顧みる節目でもある。大阪・桜宮高バスケットボール部主将が顧問の暴力などを理由に自殺したことが2013年1月8日に明らかになってから、3年を迎えた。

スポーツの暴力指導はなくなっているのだろうか。

「個人的には痛い思いも必要と思う面はあログイン前の続きる。でも、絶対に殴れない」。関東のある公立中の野球部顧問は話す。

東京都の調査をみると、部活動中の体罰が把握された指導者は公立中高合わせ、12年度が87人、13年度が31人、14年度が11人。生徒へのアンケートなどで明るみに出やすいこともあり、「暴力はダメ」という職員室の合意形成は進んでいるとみえる。とはいえ、根絶はされていない。

また、神奈川県の公立中の運動部顧問の一人は「たたかなくなった代わりに、口がきつい顧問が目につく」と明かす。うまく指導できないいら立ちを、結局は生徒にぶつけてしまう光景である。

先の野球部顧問は「経験の浅い先生は生徒となあなあの関係しか築けず、部活がお遊びの延長になっている」とも言う。強圧的な指導で従わせるやり方が“常道”だった日本スポーツ界で暴力が否定され、「どうすれば……」と立ち尽くす部活動指導者たちがいる。

そんな中、新年度から教員を目指す学生を対象に、宮城教育大では「運動部活動の教育学」の講義が始まる。大体大でも「運動部指導実践論」のカリキュラムができた。学校で教育課程外に位置づけられる運動部活動に特化した講義は、これまで大学のカリキュラムになかった。指導者に求められる資質、理念への理解を学生時から深め、暴力に頼らないスポーツ指導につなげる大学側の動きだ。

今も「うちの子をたたいてください」と保護者に請われる顧問は多い。スポーツ推薦を含めた進学がからみ、我が子の競技成績のためなら親は暴力指導の肯定論者になり、指導者を誘惑する。14年の日本体育学会の調査によると、自治体が体罰に関して出したガイドラインの資料のうち、約80%は学校の教職員に配られたが、保護者を配布対象としたものは約5%のみ。この部分はまだ手つかずに近い。

暴力容認文化の払拭(ふっしょく)への道は長い。風化だけは避けなければならない。

(編集委員)

◇Twitterで発信中 @nakakojit

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【1月15日付 河北新報】

岩手県矢巾町の中学2年村松亮君=当時(13)=が昨年7月、いじめを苦に自殺した問題で、岩手県警は村松君に暴行したとして同級生の少年4人のうち当時14歳の1人を暴行の疑いで書類送検する方針を固めたことが14日、捜査関係者への取材で分かった。少年4人は村松君の父親(41)から暴行などの容疑で告訴されていた。
県警は残る3人について、当時13歳で刑事罰の対象とならない上、いじめへの関与が低いとみて、児童相談所への通告などを検討している。
村松君の父親は昨年7月、いじめに関わったとみられる4少年を暴行、強要、侮辱の3容疑で告訴した。
受理した県警は教職員や同級生に事情を聴くなど、いじめの実態を捜査してきた。
村松君は昨年7月5日、同町のJR矢幅駅で列車にひかれて死亡した。担任とやりとりした生活記録ノートには「づっと暴力、づっと悪口」などいじめの訴えや「ボクがいつ消えるか分かりません」など自殺をほのめかす記述が約3カ月にわたって残されていた。
学校は同26日に公表した調査報告書で、給食準備中に教科書を投げられた、頭を机に押し付けられた、
掃除中にほうきをぶつけられたなど6件をいじめと判断。いじめが自殺の一因であることを認め、断続的に
心身に苦痛を与え続けていたと結論付けた。
町教委は昨年9月、第三者委員会を設置。同12月に生徒や保護者、教職員への聞き取り調査に入った。
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【岩手日報】

同級生を月内にも書類送検 矢巾いじめ問題で県警

矢巾町の中学2年の男子生徒が昨年7月、いじめを苦に自殺した問題で、県警が早ければ月内にも、告訴された同級生の少年4人のうち14歳の1人を暴行の疑いで盛岡地検に書類送検する方針を固めたことが14日、捜査関係者への取材で分かった。他の3人のうち少なくとも当時13歳だった1人は児童相談所への通告を検討している。
捜査関係者によると、県警は男子生徒に対する行為は著しく悪質だったとは言い切れないと判断しているもよう。何人かは暴行などの容疑に当たる事実がなかったとする捜査結果を地検に書類送付する可能性もある。
男子生徒の父親(41)が昨年7月26日、暴行、強要、侮辱容疑で少年4人を告訴。県警は同級生や
教職員らから事情を聴いたほか、男子生徒が「ずっと暴力、ずっとずっと悪口」「死にたい」などと記した
生活記録ノートを分析。机に男子生徒の頭を押さえつけた行為などの裏付けを進めてきた。
男子生徒は矢巾町のJR矢幅駅で昨年7月5日夜、列車にはねられて亡くなった。学校は同26日、いじめ6件を認定し「自殺の一因と考えられる」とする調査報告書をまとめた。
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【NHK盛岡放送局】

“いじめ”同級生書類送検方針

去年7月、矢巾町で中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺したと見られる問題で、警察は、同級生の少年らが男子生徒に暴行を加えていたとして、このうち、14歳の少年1人を暴行の疑いで書類送検する方針を固めたことが、捜査関係者への取材でわかりました。
去年7月、岩手県矢巾町の当時13歳だった中学2年の男子生徒は、JR東北線の矢幅駅で列車にはねられ死亡し、担任の教諭とやりとりする生活記録ノートにいじめをうかがわせる内容を書き記していたことから、いじめを苦に自殺したと見られています。
警察は、男子生徒が暴行などのいじめを受けていたという父親からの告訴を受け、同級生や教職員から事情を聞くなどして捜査を進めてきました。
その結果、同級生の少年らが男子生徒に暴行を加えていたとして、このうち、14歳の少年1人を暴行の疑いで書類送検する方針を固めたことが捜査関係者への取材でわかりました。
また、当時13歳で刑事処分の対象とならない少なくとも1人の少年を児童相談所に通告する方針で捜査を進めています。
男子生徒が通っていた中学校は、去年7月、調査報告書をとりまとめ、「机に頭を押さえつける」など、6件の行為をいじめと認定し、「自殺の一因と考えられる」と結論づけています。

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【1月15日付 共同通信】

北海道教育委員会は15日、同級生の携帯電話が紛失するトラブルで昨年に教師から事情を聴かれた札幌市の道立高校の生徒が行方不明になり、4日後に遺体が見つかったと発表した。
道警によると、3年の男子生徒で、昨年10月に北海道留萌市の海で遺体が見つかった。
死因は水死で事件性はなく、自殺か事故とみている。遺書は見つかっていないという。
道教委によると、生徒は同級生が紛失した携帯電話を持っているのではないかと生徒指導担当の教師に指摘され、個室で20~30分間、事情を聴かれた。教師が受け持ちのクラスの様子を見るため約15分間離れたところ、生徒の姿が見えなくなった。
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【NHK札幌放送局】

[b]高校生 学校の調査後に死亡[/b]

道立高校の男子生徒が去年10月に、同級生が紛失した携帯電話をめぐり学校から事情を聴かれていたさなか行方がわからなくなり、4日後に遺体で見つかっていたことがわかりました。
道教育委員会に設置されている第三者委員会がいきさつを調べています。
道教育委員会によりますと、札幌市内の道立高校3年の男子生徒が去年10月に、同級生が紛失した携帯電話を持っているのではないかとして生徒指導担当の教師から呼び出され、校内の個室で事情を聴かれました。
その際、教師が40分ほど話をしたあと、いったんその場を離れて15分後に戻ると男子生徒は姿を消していて、行方がわからなくなったということです。
学校からの連絡を受けた両親が札幌の中心部などを探したものの見つからず、その4日後に道内の海岸で遺体で見つかりました。
道教育委員会は、当日の学校の対応に問題がなかったのか知りたいという両親の意向があることも受けて、教育委員会に設置されている有識者でつくる第三者委員会のもとで学校関係者などから聞き取りを行い、いきさつを調べています。
道教育委員会石狩教育局の村上明寛・局長は記者会見で「今回の事案を重く受け止めており、背景などについてしっかりと調査し再発防止につなげたい」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20160115/5059101.html

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【1月14日付朝日新聞】

沖縄県豊見城市で昨年10月、小学4年の男児(当時9)が自殺した問題で、両親が朝日新聞の取材に応じた。両親には6月ごろから、日常的ないじめを訴えていたというが、市教育委員会は「いじめは1回だけだった」とし、自殺との関係を否定。母親は「真実を知りたい」と語る。

息子は気持ちのやさしい子で、友達もたくさんいました。
でも、4年生の6月ごろから、「廊下でいきなり蹴られた」「トイレに閉じ込められた」と言うようになりました。私はその都度、先生にきちんと言いなさいよ、と言いましたが、息子は「言っている」と。
でも、夏休みに入るころには「言ってもしょうがない」に変わりました。
秋休み初日の10月10日、様子がおかしいことに気づきました。昼間は普段通りでしたが、その日の夜、息子は突然泣き出したんです。終業式の日に教室で友人に「かっこつけるな」と服を引っ張って倒されたって。こんなことは初めてでした。
11日も、私が運転する車で泣き出しました。「なんで僕は、いじめられなければならないの」と。
単身赴任中の夫に連絡し学校に相談することにしました。息子には、「つらいなら転校してもいいよ」と言ったんです。
でも、12日夜、息子は自分の部屋のベッドの手すりにベルトをかけて首をつってしまいました。
午後10時ごろ、飼い犬を家に入れようと庭に出た、ほんの5分間の出来事でした。
病院に運ばれ、心肺蘇生した時は、とにかく生きてほしいと願いました。でも息子は、戻ってきてくれませんでした。
入院中の10月15日、校長先生が病院に来て、9月のアンケート用紙を見せてくれました。
無記名ですが、息子の文字。精いっぱいの、「助けて」というメッセージだったんだと思います。
守ってあげられなかった。ごめんね。真実もわからず、ただ苦しい気持ちしかありません。

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【1月11日付 朝日新聞】

沖縄県豊見城(とみぐすく)市で昨年10月、小学4年の男児(当時9)が首をつって自殺した問題で、通っていた小学校の校長が10日、市役所で記者会見した。校長は、男児が自殺を図る直前に実施された定期アンケートでいじめを訴えていたものの担任は読んでいなかったと明らかにした。
そのうえで、「残念だが、できるだけの対応はしていた」と述べ、学校側に落ち度はないとの認識を示た。
豊見城市教委によると、児童は秋季休暇中だった昨年10月12日夜、自宅で首をつって自殺を図り、病院に搬送され、19日に死亡した。男児は、学校が9月29日に実施したいじめに関する無記名のアンケートの自由記述欄に「いじめられている」という趣旨を記入。担任は男児が自殺を図った後この記述に気づき、筆跡などから男児のものと判明したという。
校長は会見で、「いじめへの対応には注意していたが、男児から相談はなく、事実を把握できなかった」と説明。担任がアンケートの内容を2週間読んでいなかったことについては、「もう少し早く読んでいたらとも思うが、1学期の終わりで、成績表を一から作らなければならない時期。そちらの業務を優先したのだと思う」と語った。
市教委はまた、11月下旬に男児の自殺を伏せて4、5年生全員に無記名のアンケートを行ったことを明らかにし、この中で9人が「(男児が)いじわるされているのを見た」と回答していたことを明らかにした。
市教委はいずれも自殺との因果関係は不明としているが、今月13日に4年生以上を対象としたアンケートを改めて実施して調査を進めるとしている。
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【NHK沖縄放送局】
[b]児童自殺「いじわるなど見た」[/b]

去年10月、沖縄県豊見城市で小学4年の男子児童が自殺した問題で、学校が行った追加のアンケート調査に対し、複数の児童が、「いじわるなどをされるのを見たことがある」と回答していたことがわかり、教育委員会では、いじめなどがなかったか近く詳細な調査を行うことにしています。
この問題は、去年10月、沖縄県豊見城市で、小学4年の男子児童が自宅で首をつり、その後亡くなったもので、亡くなる前の9月末に、学校が実施したアンケートに対し「いじめを受けた」という内容の回答をしていたことがわかっています。
市の教育委員会は10日、記者会見を開いて、これまでの経緯を説明しました。
それによりますと、児童が亡くなったことを受けて去年11月に学校が行った追加のアンケート調査に対し、あわせて9人の児童が、「いじわるなどをされているのを見たことがある」と回答していたということです。
具体的には、「服を引っ張られるのを見た」が3人、「児童の筆箱を投げ合っているのを見た」が1人などとなっています。
学校側もこれらの事実を把握していましたが、いずれも担任が注意したということで、市が設置した第三者委員会は、「現段階では、自殺につながるようないじめは確認されていない」としています。
教育委員会と学校は、12日、保護者会を開いて経緯を説明した上で、近く、さらに詳細な調査を行うことにしています。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/5094925531.html?t=1452465687415

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【1月8日付 河北新報】

女子生徒が亡くなった現場に花を供え、手を合わせる女性
天童一中(山形県天童市)1年の女子生徒=当時(12)=が2014年1月にいじめを苦に自殺した問題で、天童市の山本信治市長は生徒が亡くなって丸2年となった7日、遺族に「要望があれば伺いたい」と述べ、今後の対応に関する話し合いを直接打診した。生徒の母親は取材に対し「まずは市から具体的な提案を聞きたい」と語った。
母親によると、山本市長は遺族宅を弔問して意向を示した。協議方法、内容について説明はなかった。
遺族は学校設置者の市と教師らの責任の明確化、再発防止策の具体的提示などを求め、市を相手に損害賠償請求訴訟を検討している。母親は「市長の短い言葉だけでは真意が分からない。裁判で決着をつけたい気持ちは強く、納得のいく方法を考えたい」と、代理人弁護士らと相談して慎重に対処する姿勢を強調した。
遺族代理人は山本市長の打診前から河北新報社の取材に対し、提訴せず市側と交渉して遺族の要望を実現する方策を選択肢として挙げていた。母親は「市側から積極的な働き掛けがあれば別だが、そのような話もない」と話していた。
市は双方の代理人による協議を想定する。山本市長は弔問後、「ご遺族の考え方を十分に聞き、丁寧に対応していきたい」とのコメントを出した。
女子生徒の自殺をめぐっては、第三者調査委員会が昨年10月、「いじめが主要な原因」と認定した報告書を市教委に提出した。担任と部活動顧問ら教師と学校の対応を厳しく批判した。
山本市長は報告書を受けて「大きな責任がある」と述べて謝罪した。昨年12月の市議会では、賠償などを促す質問に対し「遺族との関係もあり答弁は差し控えたい」と答えていた。
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【1月7日付 山形新聞】

[b]中1女子自殺で天童市、遺族と協議へ 母親「打診あれば受けたい」[/b]

女子生徒が命を絶った現場には多くの花束などが手向けられている=6日、天童市

天童市の中学1年の女子生徒=当時(12)=が学校でいじめを受け、2年前の1月7日に自殺した問題で、市側が今後の対応について遺族側と協議を始める方針を固めたことが6日、関係者の話で分かった。山形新聞の取材に対し、遺族は同日、「打診があれば受ける」との考えを示し、近く、両者の話し合いが始まる見通しとなった。
女子生徒の自殺については、第三者委員会が昨年10月に報告書をまとめ、「いじめが自殺の主因」と認定した上で、「学校は適切な対応を怠った」と落ち度を指摘。これを受け、山本信治市長は「大きな責任を感じている」との考えを示している。一方で遺族は、市のほか学校や関係した教員の責任の明確化に加え、具体的な再発防止策の提示などを求めている。
関係者によると、両者の協議は、こうした経緯を踏まえ、双方の代理人によって進められる見込み。
市側は既に一定の責任を認める姿勢を示しており、今後は金銭的な問題を含め遺族側から要望を聞いた上で、折り合いの可能性も探っていくとみられる。
遺族の母親は「これまで市からは何の打診もなかったが、協議の場が設けられるなら受けたいとする一方、訴訟についても言及し、「金銭的な問題はまったく関係なく、どんな結果が出ようとも、裁判所の判断を仰ぐことが娘の思いを果たすことにつながるのではないか、との気持ちもある」と話している。

【きょう7日で2年・遺族コメント】
女子生徒が死亡して7日で2年を迎えるのを前に、母親が6日、コメントを発表した。全文は以下の通り。

娘が亡くなり、7日で2年になります。昨年秋に調査委員会から報告書が提出され、その後、いじめに関わった生徒の一部が親とともに謝罪に訪れました。
その時、謝罪に来た生徒を前にして「あなたたちがいじめたりしなければ、間違いなく娘は生きていた。
娘を返してくれ」という思いとともに、「1年生の春にみんな希望を持って同じように入学したのに、なぜこんなことになってしまったのだろう」という思いを抱きました。
娘を失い、私たち家族は一生癒えることのない悲しみの中で生きていかなければなりません。そして、謝罪に来た親子も重い責任を感じて生きていくことになるでしょう。
学校や教職員が真摯に生徒や保護者と向き合い指導していたなら、こんな不幸な結果にはならなかったと思います。被害者も加害者も生まれることはなかったと思います。残念でなりません。
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【1月7日付 読売新聞山形版】

[b]天童いじめ自殺2年 遺族が談話[/b]

2014年1月、天童市でいじめにあっていた中学1年女子生徒(当時12歳)が自殺した問題は、7日で発生から2年となる。生徒の遺族は6日、弁護士を通じて談話を発表し、「学校や教職員が真摯に生徒や保護者と向き合い指導していたら、こんな不幸な結果にならなかった」と、愛する家族を失った苦しみを吐露した。
生徒の命日にあたる7日には、山本信治市長や佐藤通隆・市教委委員長、水戸部知之教育長が遺族宅を訪れる予定。遺族はこれに先立ち、複雑な心境と、同じような悲劇を繰り返してほしくないといった思いをA4判1枚にまとめ、弁護士に託した。
この問題を巡っては、真相究明にあたった第三者調査委員会が昨年10月、「いじめが(自殺の)主要な原因」とし、学校側の対応の不適切さを指摘する報告書を市教委に提出した。遺族は談話の中で、報告書提出後に、一部の加害生徒から謝罪を受けたことに触、「娘を返してくれ」との思いと、「なぜこんな事になってしまったのだろう」との思いが、複雑に交錯したことを振り返った。
その上で、「娘を失い、私たち家族は、一生癒えることのない悲しみの中で生きて行かなければなりません。
そして、謝罪に来た親子も、重い責任を感じて生きて行くことになるでしょう」とし、学校側が適切に対応していれば「被害者も加害者も生まれなかった」と悔しさをにじませた。

女子生徒が通っていた中学校は昨年12月、いじめの再発防止策として学区内の全小学校との連携を強化。
各校の教員が定期的に出席し、対策を検討する「小中連携推進委員会」を設立した。
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【NHK山形放送局】

[b]女子中学生いじめ自殺から2年[/b]

天童市で女子中学生がいじめが主な原因で自殺してから7日で2年がたちました。
現場には花や飲み物が供えられ訪れた市民が静かに手を合わせていました。
おととし1月7日、天童市で中学1年の女子生徒が山形新幹線にはねられて死亡し、市の教育委員会が設けた第三者委員会が調査した結果、去年、いじめが主な原因で自殺したと認定しました。
2年となる7日、女子生徒が亡くなった現場には、花や飲み物などが供えられていました。
また、朝から市民が訪れ静かに手を合わせていました。
一方天童市の山本信治市長は7日朝、遺族の自宅を訪れたということです。
女子生徒の遺族は代理人の弁護士を通じてコメントを出しました。
この中で遺族は「学校や教職員が真摯に生徒や保護者と向き合い指導していたなら、こんな不幸な結果にはならなかったと思います。被害者も加害者も生まれることはなかったと思います。残念でなりません」などと今の心情をつづっています。

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【1月7日付 朝日新聞】

長崎県新上五島町で2014年1月、中学3年の男子生徒が自殺した問題で、町が設けた第三者委員会(委員長=大谷辰雄弁護士)は6日、男子生徒が悪口や陰口を言われる過酷ないじめを受け続け、それが原因で自殺したと認定する報告書を町に提出した。
第三者委は、男子生徒が亡くなる前にいじめ被害を示唆する作文を書くなどしていたのに、教師らが気づかなかったとして、学校のいじめ予防・対策の不十分さも指摘した。
自殺したのは町立中学3年の松竹景虎君(当時15)。3学期初日の14年1月8日、「LINE(ライン)」に自殺を示唆する書き込みをした後、自宅近くの町営グラウンドで首をつった。
公表された報告書の要旨によると、松竹君は3年に進級し、学級委員になった13年、同級生から「出しゃばっている」「キモい」「死ね」といった悪口や陰口を言われるようになった。
2学期には筆箱をひっくり返されることもあった。
松竹君は同年10月ごろに首をつるひもを用意。LINEに、みんなに嫌われ、生きている価値がないので死ぬことを考えている、という内容の投稿をするようになった。14年1月、「次会うときは死んでからだよ」とLINEに書き込み、自殺した。
第三者委は悪口や陰口を「いじめ」と認定。「過酷ないじめを受け続け、生きている価値がないと思うほど追い詰められ、それが原因で自殺した」として、自殺との因果関係を認めた。
また、松竹君が3年生の夏休みに、いじめ被害を示唆する作文を書いたのに、教師が「心の叫び」に気づかなかったと指摘。学校の「いじめ予防、対策が非常に不十分だった」とした。自殺後に学校が生徒に行ったアンケートや聞き取りも極めてずさんだったとして、「いじめはなかったという結論に基づいて調査したとしか思えない」と批判した。
この問題で学校はアンケートなどで悪口の情報を把握したが、遺族には当初、「いじめはなかった」と報告。同級生から「いじめがあった」と聞いた遺族の要望で再調査し、自殺の約4カ月後に「いじめがあった」と遺族に伝えた。町は実態調査のため、弁護士や臨床心理士ら6人による第三者委を設け、昨年1月から22回の会合を開いた。委員のうち3人は遺族側の推薦に基づいて選ばれた。
遺族は6日、代理人を通して「今までわからなかったことが明らかになった。息子がいじめによって追い詰められていった様子を知ることは、大変つらいことだけど、(8日の)命日を迎えるにあたり、息子のためにすべきことが一つ済んだという気持ち」とのコメントを発表した。
(岡田将平、山野健太郎)
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【毎日新聞】

[b]長崎・新上五島の中3自殺「いじめ主因」 町第三者委、報告書で認定[/b]

長崎県新上五島町で2014年1月、いじめを受けていた町立奈良尾中3年の松竹景虎君(当時15歳)が自殺した問題を検証する町設置の第三者委員会(委員長・大谷辰雄弁護士)が「いじめが自殺の主要な原因」とする調査報告書を6日まとめた。町教委は「いじめが自殺の原因とは断定できない」としていたが、第三者委は同級生から繰り返し悪口を言われるなどして孤立感を深め自殺に至ったと判断した。
第三者委は、3年時から学級委員を務め、授業中に積極的に挙手するなどしていた松竹君に対し、複数の同級生が「でしゃばっている」「死ね」といった悪口を繰り返したことなどをいじめと認定。
松竹君は無料通信アプリ「LINE(ライン)」などで同級生に自殺を示唆することで助けを求めたが反応は乏しく、追い詰められていったと判断した。
また、松竹君の同級生の間では、中学1、2年時などにも別の生徒へのいじめがあったのに学校側の危機感は薄く、自殺の約2カ月前には同級生が担任に「松竹君が悪口を言われて困っている」などの相談をしたにもかかわらず対処しなかったという。
松竹君は3学期の始業式があった14年1月8日朝、自宅近くのグラウンドで首をつって自殺した。
学校による同級生へのアンケートや聞き取りで、松竹君が同級生から「うざい」「死ねばいいのに」などの悪口を言われていたことが判明。松竹君は2学期半ばからラインで自殺を示唆するメッセージを何度も同級生に送り、一部の保護者も知っていたが、誰も学校や松竹君の両親に伝えなかった。
町教委はいじめがあったことは認めたものの「自殺の原因とは断定できない」とし、町が15年1月に第三者委を設置した。第三者委は当時の同級生全員(3年生は1学級のみで21人)に聞き取りをした他、残されたラインの記録や松竹君が3年の夏休みに「空気」の題名でいじめをテーマに書いた作文などを検証した。【樋口岳大】
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【読売新聞】

[b]長崎の中3自殺「いじめ原因」…第三者委報告書[/b]

長崎県新上五島町で2014年1月、町立中学3年の松竹景虎君(当時15歳)が自殺した問題で、町設置の第三者委員会(委員長・大谷辰雄弁護士)は6日、「いじめが原因で自殺した」とする調査報告書を江上悦生町長に提出した。
いじめと自殺の因果関係について「断定できない」としてきた町教委に対し、「調査が極めてずさん」と批判した。
報告書の概要版によると、いじめが始まったのは3年の1学期からで、学級委員になったことが引き金となり、「でしゃばっている」「キモイ」などと悪口を言われたり、筆箱を床に落とされたりした。
複数の女子生徒から「死ねばいいのに」と言われたこともあった。
松竹君は2学期に入った後、首をつるひもを用意。無料通話アプリ「LINE(ライン)」などで自殺をほのめかすようになった。3学期の始業式があった14年1月8日、町営グラウンドで首をつっているのが見つかり、その後死亡が確認された。
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【NHK長崎放送局】

[b]“いじめで自殺”第三委報告書[/b]

おととし1月、新上五島町でいじめを受けていた中学3年生の男子生徒が自殺した問題で、原因究明にあたっていた第三者委員会は「男子生徒が過酷ないじめを受け続け、自殺したと判断する」と結論づける報告書を提出しました。
この問題はおととし1月、新上五島町で悪口を言われるなどのいじめを受けていた中学3年生の松竹景虎さんが首をつって自殺したものです。
町の教育委員会はいじめがあったことを認める一方で「自殺の原因とは断定できない」とする調査結果をまとめ、その後、新上五島町が弁護士や学識経験者からなる第三者委員会を設置して原因究明の調査を進めてきました。
6日は長崎市で開かれた会合で調査結果が示され、報告書が遺族の代理人に手渡されました。
報告書では、松竹さんが3年生の1学期から「死ね」と言われるなどのいじめを受けたとしたうえで、「過酷ないじめを受け続け生きている価値はないと思わされるほど追い詰められ、それが原因で自殺したものと判断した」と結論づけています。
また、学校と教育委員会の調査がきわめて杜撰だと指摘し、「当初からいじめはなかったという結論に基づいて調査したとしか思えない」と厳しく批判しています。
このあとの記者会見で遺族の代理人の弁護士は両親のコメントを紹介し、「報告書によって、今まで分からなかったことが明らかになりました。第三者委員会に心より感謝申し上げます。
私たち家族に起きた悲劇が二度と起きないように、町、県、教育委員会には真摯に取り組んでいただきたい」と読み上げました。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5034785921.html?t=1452118554119

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【1月6日付 共同通信】

長崎県新上五島町で2014年1月、自殺した町立奈良尾3年の松竹景虎君=当時(15)=について、町が設置した第三者委員会は6日、「生徒は過酷ないじめを受け続け、それが原因で自殺した」との調査報告書をまとめた。
報告書によると、松竹君は複数の生徒から「出しゃばっている」「死ねばいいのに」などと言われ続け、筆箱を何度も床に落とされたり、ひっくり返されたりした。クラス内で孤立感を深め、13年10月ごろ、自殺の準備を始めた。
報告書は、いじめの予防や遺族への対応面で「学校に反省すべき点が多々ある」と指摘し、他にも相当深刻ないじめが数件あったとも明らかにした。
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【NHK】

長崎 中3男子自殺 第三者委「いじめが原因」

おととし、長崎県新上五島町で自殺した、中学3年の男子生徒について、町が設けた第三者委員会は、いじめが原因で自殺したとする報告書をまとめました。
おととし1月、長崎県新上五島町で、中学3年生の松竹景虎さんが首をつって自殺しました。
町の教育委員会は、いじめがあったことを認めた一方で、「自殺の原因とは断定できない」とし、町が設けた弁護士や学識経験者から成る第三者委員会が調査を続け、6日に報告書がまとまりました。
報告書では、男子生徒が3年生の1学期から、ほかの生徒から「死ね」と言われるなどのいじめを受けていたとしてます。
そのうえで「過酷ないじめを受け続け、生きている価値はないと思うほど追い詰められたことが原因で自殺した」と、いじめが原因で自殺したと結論づけています。
男子生徒の両親は「今まで分からなかったことが明らかになりました。私たちに起きた悲劇が二度と起きないように、町、県、教育委員会には真摯に取り組んでいただきたい」というコメントを出しました。

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【12月24日付 神戸新聞社説】

学校で事故が起きやすいのは体育系の部活動だ。校内での練習場所や時間帯が限られるためで、夏は天候の影響を受けることもある。
児童、生徒らが事故に遭わないようにするにはどうすればよいのか。考えさせられる判断が示された。
兵庫県立龍野高校(たつの市)でテニス部の練習中に倒れ、寝たきりとなった当時2年生の女性と両親が起こした訴訟だ。最高裁第3小法廷は、顧問が不在でも適切に指導する義務があると結論づけ、県の上告を退けた。二審大阪高裁が将来の介護費用を含む約2億3千万円の支払いを県に命じた判決が確定した。
2007年5月に起きた事故で、当時テニス部主将の女性は正午の練習開始から約3時間後に倒れた。
中間試験の最終日で、11日ぶりの部活動だった。顧問の教諭は出張のため開始からしばらくして現場を離れ、女性は顧問が残した指示のメモにしたがって練習を進めた。
たつの市に近い上郡町の当日の最高気温は27度。二審は一審が認めなかった女性の倒れた原因を熱中症と認め、危険を予見できたのに教諭が水分補給や休憩時間を取るなどの指示をしなかった過失を認定した。
学校管理下で起きる児童、生徒の突然死や重い後遺症を伴う事故のうち、災害共済給付が適用される事案の多くは部活動中のものだ。
事故後の学校や教育委員会の対応に、不満を感じる保護者は少なくない。文部科学省の調査では外部の有識者を交えた検証委員会を設置する例はわずかで、結果を保護者に公表する例はさらに少ない。
女性のケースも残念な対応の一つに数えられよう。両親は、学校側も一緒に原因を考えてほしいと考えたようだ。しかし、学校は「(女子生徒が)病気で倒れた」「学校に瑕疵はない」と突き放し、両親は事故から約3年後に訴訟に踏み切る。
顧問が書き残したメモの内容について学校側はもっと丁寧に説明すべきだし、第三者の検証で事の次第を明らかにする誠実さがほしい。
学校側はどこまで安全に配慮すべきなのか。裁判が残したもう一つの課題である。生徒との対話を重視し、モノを言いやすい環境をつくるのは重要だが、決め手になるのか。
部活動中の事故をなくす取り組みに恐らく「十分」はない。不断の検証と実践の積み重ねが大事だ。

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